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赤外線セミナー

講演内容 (2015年実績)


【OS-1】コース
レンズの基礎

11月17日(火) 9:30-12:25



光学の基礎 

チームオプト株式会社 槌田 博文


 まずレンズ基礎コース全体での狙いや位置づけを説明した後、本講義の目次を話します。
 最初の章では、光とは何かを概説し、光の持つ3つの性質である光線性、波動性、粒子性について説明します。  第2章では、次講義の光学設計で重要になる光線としての光の性質について、光はまっすぐ進む、反射の法則、屈折の法則、全反射について説明します。あわせて、屈折率や反射率について説明します。
 第3章では、プリズムについて、光を曲げる働き、光を波長に分ける働きを説明します。
 第4章では、レンズについて、集光作用、結像作用を説明します。結像作用については、レンズはプリズムの集まりであるという切り口からそのしくみを説明し、次の講義につなげます。
 最後の第5章では、レンズの歴史について触れます。

★難易度:一般的(高校程度、一般論)

光学設計入門(近軸結像と収差) 

竹内光学設計事務所 竹内 修一


レンズやミラーなどを使った光学系を設計するに当たって基本となるのは、焦点距離や倍率といった近軸量であり、近軸量を使って記述できる近軸結像である。近軸結像を理解することにより、希望の場所に必要な大きさの像を結ばせる「光学設計」が可能となる。一方で、実際の光学系による結像は理想的な近軸結像ではなく、収差と呼ばれる結像性能の劣化が生じる。収差の発生状況はレンズの形状や配置によって変化し、例えば収差の発生を抑えることに有効な非球面レンズを使っても、使い方を誤れば逆に収差の量が増えるようなことも起こり得る。したがって、性能の良い光学系を設計するためには、収差についても理解しておく必要がある。
そこで、本講演ではまず近軸結像について、近軸量の求め方や近軸結像による物体と像の関係式を説明し、光学系の基本構成が設計できるようにする。その上で、収差の性質とその影響について概説する。収差の発生を抑えるためのレンズの形状や配置の選び方、非球面レンズの効能について理解することで、不用意な性能の劣化がなく必要十分な性能を有した光学系が得られるようにする。

★難易度:一般的(高校程度、一般論)

OTF入門 

コニカミノルタ株式会社  宮前 博


OTF(Optical Transfer Function=光学伝達関数)は、光学系の結像の空間周波数特性を評価する指標である。物体が点光源であってもその像(点像)は光学系の持つ収差や回折の影響で空間的な広がりを持つ。この点像をPSF(Point Spread Fumction=点像強度分布)という。OTFはPSFの空間的なフーリエ変換で定義でき、一般には空間周波数を変数とする複素関数である。その絶対値MTF(Modulation Transfer Function=変調伝達関数)は、物体と像をいろいろな空間周波数を持つ正弦波の和と考えたときの物体と像のコントラスト比に対応し、その位相PTF(Phase Transfer Function=位相伝達関数)はそれらの位置ずれに対応する。PSFはASF(Amplitude Spread Fumction=点像振幅分布)の絶対値の2乗であるが、ASFが瞳関数のフーリエ変換で表されることから、「OTFは瞳関数の自己相関関数である」という重要な結論が導かれる。瞳関数の位相部分は波面収差に対応し、光学系の収差とOTFの関係が示される。講演ではこれらの用語の物理的な意味と相互関係を図式的に理解できることを目標としたい。

★難易度:入門程度(大学一般教養程度)
 
【OS-2】コース
レンズの応用

11月18日(水) 9:30-12:25



レーザー距離計測とその解析 

株式会社ニコン 大舘 暁


レーザー距離計測は近年身近なところでよく使われるようになってきた技術であるが、この技術に関してまとまった解説記事などを見つけることは難しい。レーザー距離計測の歴史は比較的長く、講演者はこの分野を俯瞰できる専門家ではないが、これまで講演者が教科書や論文などから学んで来たことを中心に、この分野でよく使われていると思われる光学周辺の事柄について紹介したい。本公演では、超短パルスレーザーや光コムを用いた干渉計測による精密な長さ計測の話は含まれない。
 1.レーザー距離計測の歴史、計測方式
 2.光源からの光波伝搬計算(Collins formula)
 3.対象物における反射と、その光検出
 4.太陽光の影響(ボーズ統計)
 5.霧天候における影響(モンテカルロ計算)

★難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

ステッパーの光学系 

株式会社ニコン 大村 泰弘


 人類史上もっとも精密な機械といわれる半導体露光装置(ステッパー)は、最先端光学技術の塊でもある。その主役である投影光学系を中心に、これまでの変遷、最新のトピックスを紹介する。
 産業の米と言われる半導体の高性能化を支えるのは、回路パターンの微細化技術であり、その鍵を握るのがステッパー光学系の解像力向上である。これに応えるために縮小投影に用いられる露光波長の短波長化、投影光学系のNA拡大、超解像技術開発が行われてきた。また最近はマルチパターニング技術による回路パターンの微細化が進んでいるが、それを支えるのもステッパーのパターニング位置(重ね合わせ)精度向上であり、光学技術が主役を担っている。
 本講演ではステッパー光学系の結像理論から、投影光学系の進化の歴史、さらには超解像技術を支える照明光学系、およびアライメント光学系の最新トピックスを織り交ぜ、半導体製造現場の挑戦をお伝えしたい。

★難易度:入門程度(大学一般教養程度)

大型望遠鏡の光学系  〜望遠鏡の進化への期待〜 

自然科学研究機構国立天文台 宮下 隆明


大型望遠鏡と言えば、米国カルフォルニア州にあるパロマー天文台(標高1713m)のヘール望遠鏡(口径5.1m)が1948年のファーストライトから40年以上にわたり存在感を示してきた。
1990年代になりKeck(1993)、すばる望遠鏡(1999)、Gemini(1999)など、次々と8~10mクラスの望遠鏡がハワイ島のマウナケア山山頂付近(約4200m)に建設された。日本が建設した「すばる望遠鏡」は、可視光と赤外光の観測により太陽系外惑星や原子惑星系円盤の撮影、最古の銀河の発見と宇宙の夜明け時期の解明、超新星爆発構造の解明など大きな成果を上げてきた。さらに宇宙の解明を進めるために、昨年から日本、米国、カナダ、インド、中国の国際協力で口径30mの超大型光・赤外線望遠鏡TMT(Thirty Meter Telescope)の建設が開始され、2024年の完成をめざしている。 
 本講では、望遠鏡の歴史、基本的な光学系、8‐10m級の大型光学望遠鏡の登場、2020年代のさらなる大型望遠鏡の時代へと移りゆく望遠鏡の姿を整理する。特に、日本が建設に加わっているTMTについては、大口径を実現する光学系、本体構造、観測装置について概観し、性能と期待される観測成果についても紹介したい。

★特に専門知識は不要。
 
【OS-3】コース
偏光計測の基礎と応用

11月19日(木) 9:30-12:25


偏光の基礎とエリプソメトリー 

東京工芸大学 川畑 州一


 偏光は光の持つ性質のなかで最も理解し難いといった声をよく聞く。偏光を理解するにはその電気ベクトルの軌跡をイメージすることが大切であるが、その軌跡は光の伝播とともに三次元的な軌跡を描くのでこのことが偏光の直感的な理解を困難にしているものと思われる。セミナーでは偏光についてなるべく視覚的に説明し、その理解を容易にするように努めたいと思っている。そして光の偏光状態を表す様々な表示法とそれらの互換性について解説する。
 また、偏光を用いた薄膜や表面の計測手法としてエリプソメトリー(偏光解析法)がよく知られているが、その測定原理と測定手法を説明すると共に、いくつかの代表的な応用例についても紹介する。

★難易度:入門程度(大学一般教養程度)

偏光素子の基礎から光渦への応用まで 

埼玉医科大学 若山 俊隆


 偏光は光の本質の一つであるけれど、屈折や反射以上にわかりにくい光学特性の一つとして知られている。この偏光を制御するためには、偏光子や波長板などの偏光素子が必須となっている。
 一般的には1/4波長板や1/2波長板が知られているけれど、これらを一体どのように取り扱うのかは、実はあまりよく知らない方も少なくない。
 本講演では、偏光素子の基礎的な取り扱い方法から始めて、偏光素子を透過することで偏光がどのように変化されるのかを紹介していく。このような偏光素子を利用した身近なものとして、CDやDVDのピックアップや液晶ディスプレイなどが有名である。それらのメカニズムを簡単に紹介し、偏光がどのように利用されたり、どんな工夫があるのかを示していきたい。
 また、計測・分析分野にとどまらず、光通信分野においても高速に偏光状態を制御することが近年求められている中で、電気光学素子は、高速偏光変調を可能にしている。電気光学偏光変調素子のメカニズムに触れながら、その応用についても紹介していきたい。さらに偏光を制御することで何が得られるのかを近年の研究テーマから最新トピックスを集めて紹介させていただく。
 液晶を用いた空間位相変調器や空間偏光変調器が登場し、これらを使用することで得られる偏光ビームは、従来のそれとは根本的に異なるユニークな光学特性を見出している。偏光を精密制御することで得られるその特徴的な物理化学効果についても概説させていただく。

★難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)、中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す) 

ストークス偏光計とミュラー行列偏光計 

宇都宮大学 大谷 幸利


近年の様々な光学やオプトエレクトロニクス分野の開発には偏光の知識が要求される。光の偏光状態は、直線偏光、楕円偏光、円偏光や非偏光と表現される。これらは、ストークス・パラメータとして表すことができる。また、偏光素子は、偏光子、旋光子、位相子や偏光解消子があるが、複屈折、旋光(円複屈折)、二色性(複吸収)、円二色性(円複吸収)や偏光解消という物理量をもつ。
この偏光情報をミュラー行列として表すことで、入射光と出射光および偏光素子の関係を理解することができる。ここでは偏光とは何かという基礎的な部分からスタートして、偏光の表示法とこれらの検査方法である偏光計やエリプソメータについて解説する。
 以上の講義によって偏光関連のカタログ、論文や特許を理解できるようになることを目標とする。

★難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
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