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月刊OPTRONICS

月刊オプトロニクス表紙 光技術関連業界の最新情報が満載の月刊OPTRONICS。
技術者,研究者の方はもちろん,光に携わる方は是非ご購読ください!
 
2011.8 vol.30 No.356
8月号 特集
非線形光学効果を用いたテラヘルツ光源の新展開

総論

名古屋大学 川瀬 晃道

 近年,テラヘルツ波の産業応用に必要な要素技術の創出を我が国から切り拓くことが期待されている。特に,産業界がテラヘルツ波の応用で最も期待している分野として,高いSN比を有する発生検出系,センシングやイメージングが挙げられている。これは,未確認・未発見の現象や非破壊での識別など,未だベールに隠されているテラヘルツ波利用が数多く存在するとの期待に基づくものである。しかし,テラヘルツ波の利用可能性を広範囲において示してきた過去の報告は,同時にその計測対象や目的の多様さゆえに実際の産業応用の難しさをも示してきた。光スイッチを用いる時間領域分光法はこの10年程出力が頭打ちであり,量子カスケードレーザーは産業応用に必須とされる3 THz以下において極低温の壁が以前立ちはだかっており,他方,VDI社に代表されるマイクロ波の逓倍型光源は未だ3 THzには届かない。また,様々な産業応用に広帯域波長可変光源が強く求められている。・・・(続きは本誌で)

超高強度テラヘルツ光源の新展開

京都大学 廣理英基,田中 耕一郎

 テラヘルツ領域とはおよそ300 GHz から10 THz の周波数領域のことを指し,光子エネルギーに換算すると数meV〜数十meV に対応する。この領域の電磁波はいわゆる「電波」と「光」の境界に位置し,これまで発生・制御・検出が困難であったために「未開拓領域」と言われてきた。近年,超短パルス光技術を基礎にしたテラヘルツパルスの発生・検出技術の発展は,クラマース・クローニッヒ変換という近似を必要とする操作をせずに光学定数を直接与えることができる時間領域テラヘルツ分光法をもたらし,DNAやたんぱく質といった巨大生体高分子材料のラベルフリー分析,薬物や医薬品といった複合化学物質の精密なテラヘルツ分光を可能にした1〜3)。テラヘルツ波はまた,紙やプラスチックといった食品の包装や衣服に使われる材料に対して高い透過性を示すため,食品の品質・安全管理や空港や港でのセキュリティーチェックへの応用も期待されている3)・・・(続きは本誌で)

電気光学結晶を用いたテラヘルツパルス波検出技術

福井大学 谷 正彦,山本 晃司

 本特集では非線形光学効果を用いたテラヘルツ(THz)光源を取り上げているが,光源技術とともに検出技術も重要である。そこで本報告では非線形光学効果を用いたTHzパルス波の検出技術について解説する。非線形光学効果を用いたテラヘルツ光源としては2次の非線形感受率を用いた差周波発生(差周波混合,過渡的光整流,パラメトリック発振,パラメトリック増幅など)が主として用いられるが,その過程では周波数ω1(=ω23)の光子がω2のアイドラー光子とω3のTHz波光子に分裂する。一方,非線形光学効果を用いたTHz波検出ではその逆の過程,すなわち,ω2のプローブ光子とw3のTHz波光子が非線形光学結晶に入射しω1の光子が和周波発生により生じている。・・・(続きは本誌で)

有機非線形光学結晶を用いた超広帯域テラヘルツ光源・検出

(独)理化学研究所 南出 泰亜

 テラヘルツ波研究は,成熟した光技術や超高速エレクトロニクスの技術よって飛躍的に進歩し,今日では世界的な研究分野のひとつとなっている。基礎科学応用から産業応用まで様々な分野においてテラヘルツ波を用いた応用が提案され,年々論文報告の数が増加している。一方,一般に光波領域や電波領域では普通に存在する要素技術であっても,テラヘルツ波領域では必ずしも十分とは言えず,特に社会へと普及できる実用的な技術としては,未だ新しい要素技術の創出が必要な状況にある。
 ここでは,技術開発の進んだ光波領域のコヒーレント光と非線形光学効果を利用することで実現した革新的なテラヘルツ波技術として,超広帯域波長可変テラヘルツ波光源と,高感度・高速時間応答・室温動作テラヘルツ波検出技術に関して概説する。・・・(続きは本誌で)

高強度テラヘルツ波パルスを用いた実時間イメージング

筑波大学 服部 利 明

 テラヘルツ波は波長が30 mmから3 mm程度の電磁波であり,その波長程度の空間的な分解能を有する。そのためイメージング1)を行うことにより,単なる強度測定や波形測定と比較して,得られる情報量が大幅に増加し,またその結果,対象物の直観的な把握を行うことができる。しかし,その実現のためには障害も多い。通常,十分に高出力のテラヘルツ波源や十分に高感度の検出器が簡単に利用できないため,画像の取得には非常に時間がかかることが多い。テラヘルツイメージングに関する論文等で報告されている多くのテラヘルツ画像は数10分以上の時間をかけて取得されている。本稿のテーマである実時間での画像取得のためには,高出力のテラヘルツ波源を用い,かつ高感度・高速の画像検出器または検出法を用いなければならない。・・・(続きは本誌で)

高強度テラヘルツパルスによるカーボンナノチューブの超高速非線形光学現象

慶應義塾大学 渡邉紳一/東京大学 島野 亮

 最近のテラヘルツパルスのピーク電場の増強に伴い,テラヘルツ波と物質との間の相互作用に関する研究は新たな展開を迎えている。テラヘルツパルスの電場の強さは,従来の光と物質との相互作用の摂動論的な描像,即ち一光子あるいは多光子過程により物質中の量子準位間遷移が生じるという描像ではなく,むしろテラヘルツパルス電場により電子がトンネル効果でエネルギーギャップを越える,いわゆるランダウツェナートンネリングの描像が成り立つような領域に達しつつある。本稿では,このような高強度テラヘルツパルスと物質との相互作用の一例として,半導体カーボンナノチューブで観測された高強度のテラヘルツパルスによる非線形光学現象とその超高速分光計測について紹介する1, 2)・・・(続きは本誌で)

連載・シリーズ

発明・特許のこぼれ話 第44回 ロバート・フックの世界

鴫原 正義

 17世紀頃までの欧州における発明家と言えばイタリア,オランダ,ドイツなどが中心で,英国は未だ偉大と呼ぶにふさわしい発明家を輩出していませんでした。ロバート・フック(1635〜1703)はそのような時期に生まれた英国の偉大な発明家であり科学者でした。7年後に生まれたアイザック・ニュートン(1642〜1727)との衝突は有名ですが,今回はその陰に隠れたフックの世界を追ってみましょう。
 フックは英国国教会の聖職者を父に持ち,1635年英国南部のワイト島で生まれています。生まれつき体が弱く自宅での勉学を中心にして育ったそうですが,観察好きで機械や製図にも大きな興味を持ち始めます。1648年に父を亡くした後に,ロンドンに出て幸いにもウェストミンスター・スクールに入学します。そして後に同校の学長になったリチャード・バズビー(1606〜1695)の個人教授から様々な学問を学び知るのです。・・・(続きは本誌で)

光通信技術の基礎 −原点を見直し,将来を考える− 第8回 光変復調技術

中川 清司

 1980年代までは,固定電話の電話料金は,距離が遠くなればなるほど割高であった。1990年代初めごろからインターネットや携帯電話などの新しい通信サービスが普及し,10年位の間に携帯電話の台数は固定電話の台数を追い抜き,さらにインターネット上のWebページ閲覧や電子メールのようなデータ通信が急増している。
 電話のネットワークは,コネクション型と呼ばれ,交換機において1対1の接続で,接続中は回線を保有する。一方,インターネットはコネクションレス型と呼ばれ,端末からあて先をつけて情報を送出し,相手先に届けられる。従って端末は常時通信可能で,原理的にN対Nも接続できる。後者の通信方式はインターネット・プロトコル(IP)と呼ばれ,このようなネットワークをIPネットワークと言われる。・・・(続きは本誌で)

光技術者のための基礎数学 第32回 確率分布(II)

職業能力開発総合大学校 河合 滋

(1)ガウシアンビーム
 均一な媒質中を一方向に伝搬する光を考える。その波が平面波に近いと仮定すると,その波は,平面波との差を表す緩やかな関数A(r)を用いて,次式のように書き表すことができる。

 この式をヘルムホルツ方程式

に代入すると,次式が得られる。・・・(続きは本誌で)

光技術の研究開発・特許動向II/技術別に見る最新情報 第164回 太陽電池用蓄電技術

嶋本国際特許事務所 嶋本 久寿弥太

 太陽電池用蓄電技術は,太陽電池の利用と効率化のために注目されている要素技術として知られ,研究開発も活発化している。
 「太陽電池用蓄電技術」の特許出願公開(国際出願,特許公表を含む),登録実用新案を見ると,その件数は合計7,353件に達しているが,2010年1月1日から2011年5月31日までのほぼ17ヶ月間にかけては909件,2010年6月1日から2011年5月31日のほぼ1年間にかけては666件,2010年12月1日から2011年5月31日の6ヶ月間にかけては358件が公開されている。
 同期間中の注目技術を見ると,次のようなものがある。・・・(続きは本誌で)

Photonics Festival in Taiwan 2011 ― LED照明の発展に注力する台湾,産業用レーザにも注目集まる!―

 台湾の光エレクトロニクス産業分野で特に成長が著しいのが,LED,太陽電池,フラットパネルディスプレイ(FPD)だ。LEDに関して言えば,その生産量は世界一位で,生産額は日本に次ぐ第二位に位置している。また太陽光発電産業の生産量については去年,欧州と日本を越え,中国に次いで世界二位となったと言われている。
 実際,台湾の光エレクトロニクス産業の現状はどうなっているのだろうか? これを探るため,去る6月14日〜16日の3日間,台湾で開催された光産業専門展示会『Photonics Festival in Taiwan 2011』を取材した。
 同展示会はレーザや光学関連製品を一堂に集めた『OPTO TAIWAN』,LED専門展『LED Lighting TAIWAN』,太陽電池専門展『SOLAR TAIWAN』の三つで構成されており,光電科技工業協進會(PIDA)が主催している。・・・(続きは本誌で)

信頼性・寿命の確保に向け,第 II 期高信頼性太陽電池モジュール開発・評価コンソーシアムが発足

 クリーンエネルギーとして太陽光発電への関心が高まっている。しかし,太陽光発電は他の発電方式に比べて発電電力量当たりのコストがまだまだ高いのが現状だ。太陽光による発電コストを既存の電力コストと同等にするためには,発電効率の向上や製造コストの削減も重要だが,太陽電池モジュールの信頼性の向上と長寿命化によるコストの低減が必須ともいわれている。
 太陽電池モジュールの信頼性や寿命は,モジュールに使用される充填材,バックシート,シール材,配線材などの周辺部材によるところが大きい。現在これらの部材を製造するメーカは,さらなる信頼性と寿命の確保に向けて新規開発を進めている。こうした中にあって求められていたのが,これらの新規開発部材を用いた太陽電池モジュールの性能を評価する体制の整備だ。・・・(続きは本誌で)

その他 

NEWS FLASH

▼理研とJASRI,XFELで1.2Åの短波長発振に成功
▼NEC,100Gb/s対応ノンブロッキング光クロスコネクト伝送装置を開発
▼マイクロレーザプロジェクタが消安法の改正で,日本でも販売可能に
▼山形大学,有機エレクトロニクスイノベーションセンターを設置へ
▼液晶パネル合弁会社・NLTテクノロジーが始動
▼NEC,静電容量方式のタッチパネル端末の新製品を発売
▼リコー,HOYAのPENTAXイメージング・システム事業を買収
▼NTT-AT,低電磁ノイズのLED照明機器を開発
▼東北大学,量子ナノ円盤アレイ構造の作製に成功で高効率量子ドット太陽電池の実現に前進
▼産総研など,多結晶シリコン太陽電池の新しい作製方法を開発
▼シャープ,電力消費の最小化と住空間の快適性を両立する技術の実証実験を開始
▼オムロン,高反射材に印字できるファイバレーザマーカを発売
▼キヤノン,半導体製造後工程向け露光装置市場に参入
▼東芝,熱アシスト記録など次世代高密度磁気記録技術の開発を加速
▼ソニー,MDウォークマンの生産を終了へ
▼飛島建設,光ファイバセンサを用いたハイブリッドひずみ計測システムを開発
▼大阪医科大学と龍谷大学,自走式カプセル内視鏡でヒトでの撮影に成功
▼EO,製品検索機能を改善したWEBサイトをリニューアル
▼伊賀健一東工大学長,任期満了へ

MARKET WATCH

▼2010年度化合物半導体出荷額は対前年同期比110%の405億7,800万円
▼2020年の世界有機エレクトロニクス市場,10億ドル近くまで拡大
▼スマートフォン法人加入者数,2015年には554万人に
▼2015年の3Dディスプレイ市場,眼鏡方式が1億6,746万台,裸眼方式が1億5,710万台に
▼3Dテレビ所有者の4人に3人が3D視聴に不満あり
▼発光ダイオード輸出数量,18ヶ月連続のプラス
▼太陽電池モジュールの生産実績,25ヶ月連続のプラス
▼民生用電子機器国内出荷金額,対前年同月比94.2.%の2,160億円
▼総務省,FTTHの契約数を発表

CALENDAR

EVENTS

▼月刊OPTRONICS特別セミナー「実践!照明光学設計セミナー」
▼月刊OPTRONICS特別セミナー「詳説 光学ガラスの基礎と応用・最新動向」
▼JOEM/ODG共催チュートリアル やさしくわかる!光設計の最新動向
▼第1回レーザーディスプレイ技術セミナー〜「解説レーザーディスプレイ」を解説する〜

PRODUCTS INFORMATION

今月のコメント

 電波と光の境界領域といわれるテラヘルツ波は,食品包装や衣服に使われる材料等に対して高い透過率を有しているため,食品の品質・安全管理や空港等におけるセキュリティチェック,さらには環境計測やバイオテクノロジーといった幅広い分野における応用が期待されています。
 テラヘルツ波は元々その発生,制御,検出が非常に難しく,それゆえこの周波数領域は未開拓な電磁波領域と言われてきました。もちろん,その研究はこれまでにも活発に進められてきました。しかしながら,現状では時間領域分光法は出力が頭打ちの状況で,量子カスケードレーザは3THz以下における極低温という壁があり,マイクロ波逓倍型光源は発振周波数が3THzに達していない等々,まだまだ克服すべき課題が残されているというのが実情のようです(特集総論より)。
 期待されるテラヘルツ波の産業応用を加速させるには,光源の高効率発生,高強度発生,超広帯域波長可変性が必要であり,検出においては常温で動作する高感度で小型の検出器が求められています。そこで,近年ではテラヘルツ光源や検出デバイスにおいて,非線形光学と熟成した技術であるレーザ・光技術を用いようという流れが注目を集めています。
 今月号の特集では,この新しい潮流に関する最新の研究動向を取り上げました。企画していただいたのは,名古屋大学・エコトピア科学研究所の川瀬晃道教授。有り難うございました。研究を紹介いただいた各ご執筆者の方々にも御礼申し上げます。
 この6月,ドイツ・ハンブルクで開催されたスーパーコンピュータの国際会議ISSC2011で発表されたスパコン性能評価世界ランキングTOP500において,理化学研究所と富士通が共同開発中の「京(けい)」が,計算速度8.162ペタフロップスで世界ナンバーワンの座を射止めました(1ペタフロップスは1秒間に1000兆回の浮動小数点演算ができる能力)。
 2004年6月まで1位だったNEC製「地球シミュレータ」以来,実に7年ぶりの快挙です。前回(2010年11月)は中国の「天河1号A」が2.57ペタフロップスで首位を獲得して話題となりましたが,今回この「天河1号A」を抜き去り,みごと日本が首位の座を奪還しました。
 「京」の研究・開発は「2位じゃ駄目なんでしょうか」というトンデモ発言によって,一時は予算の凍結という判定を下されました。その後,ノーベル賞受賞者を始め,科学・技術関係者の反撃によって凍結は解除されたものの,計画の変更や予算削減など,軌道修正を余儀なくされました。
 研究・開発を妨害された格好となった「京」ですが,関係者はスケジュールを前倒しで進め,今回の結果につなげたと言います。協力会社の中には東日本大震災で被災した会社もあったそうです。これらの障害を跳ね除け結果を出した関係者の努力には,本当に頭が下がります。まさに日本の誇り。ナンバーワンこそがオンリーワンという事でしょう。
 競争はますます厳しさを増していきます。これからもナンバーワンを目指す方々を応援していきたいと思います。

編集長 川尻 多加志

■次号(2011年9月号)の特集予定

ここまで進んだ紫外発光素子(仮)

▼総論‥‥名古屋大学 天野 浩
▼新材料を用いたpn接合‥‥工学院大学 川西英雄
▼紫外・深紫外発光素子のための結晶成長技術‥‥名城大学 岩谷素顕
▼紫外・深紫外LEDの高出力化技術‥‥(独)理化学研究所 平山秀樹
▼紫外発光素子研究‥‥三重大学 三宅秀人
▼紫外・深紫外LEDの高効率化技術‥‥創光科学(株) 平野 光
短波長紫外半導体レーザ‥‥浜松ホトニクス(株) 吉田治正

(都合により,内容に変更のある場合があります。)

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