
赤外・紫外特別セミナー講演内容詳細
【UI-1】 紫外線技術の基礎と応用
紫外線の基礎と産業利用
電磁波の仲間である紫外線(専門用語は紫外放射:Ultraviolet radiation;略記号UV)は21世紀の産業創生要素の一つです。電磁波の物質への作用力(光子エネルギーの大きさ)は波長に反比例するため、光子エネルギーが赤外線や可視光線より大きいUVは物質の電子状態を変化させ化学反応を起こすため化学線と呼ばれることもあります。
UVのこの化学反応性を利用するエレクトロニクス・デバイス等に関連するナノテクノロジー・材料産業、医療関連、農・水産業、上下水道殺菌、建設関連、リモートセンシングなども含むライフサイエンス・環境産業が発展途上にあります。
ここでは、紫外線の定義、UV放射源:人工光源と太陽光、UVの物質作用と作用スペクトル、UV計測法とその課題、UV利用産業等について述べます。
東海大学
佐々木 政子 氏
光触媒の基礎と応用、未来への展望〜快適で持続可能な社会のために〜
最近、外装材や空気清浄機などに応用されている“光触媒”。
「光が当たるだけで汚れが落ち、空気もきれいになる」などといった宣伝文句が印象的だが、本当にそんな効果があるのだろうか?そもそも光触媒とはいったい何なのか?
ある種の金属酸化物は、光を当てると、その表面で酸化分解反応などを起こす。しかし、金属酸化物自体は反応の前後で変化しない。
金属酸化物が光エネルギーを吸収し、それを使って反応を起こしているのである。これが光触媒反応である。現在、酸化チタンに紫外線を照射することで、この光触媒反応が効率よく起きることが知られており、幅広い分野に応用されている。光触媒関連技術は我が国オリジナルの技術であり、酸化チタンを用いた水の光分解(本多・藤嶋効果)の発見以来、実に40年以上にわたって研究開発が続けられている。しかしながら、その知名度や製品の市場が急速に拡大したのは、ごく最近のことである。
光触媒技術を応用した製品の事業規模は、ここ10年足らずで約3倍に増加した。内訳を見ると、外装材および浄化機器分野の成長が特に著しい。
本講演では、いくつかのトピックスをとりあげ、光触媒の基礎から最新の研究成果、市場の動向および未来への展望などについて述べる。
☆理系大学1、2年程度の知識がある方
財団法人神奈川科学アカデミー
落合 剛 氏
紫外LEDとその応用(プリンター、印刷分野)
青色LEDの実用化に伴い蛍光剤と組み合わされた白色LED照明が普及期に差し掛かっていますが、それと共に高出力の395〜365nmの近紫外LEDも開発が進んでおり、従来の紫外線ランプの問題であったランプ寿命の短さ・消費電力の大きさ・対象物への熱放射などを解決し、大幅な省資源・省エネルギー・不良削減を実現すると共に水銀を含まず環境負荷の小さい光源として産業分野での応用も進んでいます。
ここでは代表的な高出力紫外線LEDと共に応用事例として商業用インクジェットプリンター、ラベル印刷機、オフセット枚葉印刷機の各分野で製品化されている紫外線LED照射装置を紹介します。
☆理系大学1年程度の基礎知識のある方
パナソニック電工株式会社
藤原 祥雅 氏