-オプティクス

2016年11月17日(木) 09:30-12:25
【-1 レンズの応用


2 in 1カメラ

富士フイルム(株) 小野 修司
 防犯カメラや車載カメラのような「映像情報取得」を目的とするカメラにおいては撮像チャンスを逃さないことが最重要であり、撮り逃しは許されない。究極の目標は、ピント合わせ時間「ゼロ」・ズーム切り替え時間「ゼロ」であろう。このような機能の実現に繋がる新しい撮像技術として、富士フイルム(株)では2種の映像を同時撮像できる独自の「2in1 カメラ」を考案し、試作機を開発した。
 本セミナーでは、波面符号化撮像法やライトフィールドカメラなどの先行技術と比較しながら、2in1カメラの原理をわかりやすく解説する。また、2in1カメラには、レンズ交換によってさまざまな2種映像の同時撮像に対応できるという特徴がある。これまでに「広角・望遠2画角2in1カメラ」「遠・近2焦点2in1カメラ」、そして「可視・近赤外2波長2in1カメラ」を開発し、用途開拓を展開中である。これらで撮影したさまざまな映像をご覧いただき、撮影チャンスの広がりを実感していただきたい。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

屈折作用による光量変調を適用した新規輪帯照明法
-iPS細胞の立体観察手法-

オリンパス(株) 鈴木 良政
 顕微鏡は、観察対象である標本の特性に合わせて様々な顕微法が提案・発展してきた経緯がある。顕微鏡の主要な観察対象物として細胞があるが、細胞は無色透明な位相物体であるため、通常の明視野観察法を用いても観察できない。しかし、1935年にF. Zernikeによって考案された『位相差法』を用いると、細胞内部の構造の観察が可能となるため、現在では広く用いられている。特に『位相差法』を用いると、細胞を無染色・非侵襲で観察することが可能となることから、生物学や医学分野においては標準的な観察法として適用されている。
 また、近年の細胞観察に関するニーズとして、再生医療分野で注目されているiPS細胞の形態の観察が挙げられる。iPS細胞は通常コロニー(細胞塊)として培養されるが、細胞の品質管理のためコロニーの形態を顕微鏡によって観察することが求められている。現状、この観察には『位相差法』が広く用いられているが、コロニーのような膨らみ構造を有する標本を位相差法で観察すると、標本の輪郭が白く輝くアーティファクト(ハロー)が発生してしまう課題があった。
 我々は、『位相差法』と異なる原理による透明な位相物体の観察法として、『新規輪帯照明法』を考案した。これは、顕微鏡のコンデンサレンズ内に形状を最適化したリングスリットを挿入するだけの非常にシンプルな構成で、標本の形態を立体的に捉えることができる特徴を有しており、コロニーのような標本に対し3次元での形状認知に優れているといわれている。本講演では、本観察手法の構成・原理について解説する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

スマートグラスの開発

セイコーエプソン(株) 小松 朗
 近年、情報機器を体に装着するウェアラブル機器が関心を呼び、様々な製品が上市されている。その中でも、情報を画像として表示するメガネ型の表示機器、スマートグラスに注目が集まっている。
 セイコーエプソンでは、両眼シースルータイプのスマートグラス MOVERIOシリーズを発売しており、今回は、歴史的な経緯を振り返りつつ、その原理や使用シーンについて解説する。
難易度:一般的(高校程度、一般論)

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2016年11月17日(木) 13:10-16:10
【-2 偏光計測の基礎と応用


偏光の基礎とエリプソメトリー

東京工芸大学 川畑 州一
 偏光は光の持つ性質のなかで最も理解し難いといった声をよく聞く。偏光を理解するにはその電気ベクトルの軌跡をイメージすることが大切であるが、その軌跡は光の伝播とともに三次元的な軌跡を描くのでこのことが偏光の直感的な理解を困難にしているものと思われる。セミナーでは偏光についてなるべく視覚的に説明し、その理解を容易にするように努めたいと思っている。そして光の偏光状態を表す様々な表示法とそれらの互換性について解説する。
 また、偏光を用いた薄膜や表面の計測手法としてエリプソメトリー(偏光解析法)がよく知られているが、その測定原理と測定手法を説明すると共に、いくつかの代表的な応用例についても紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

ストークス偏光計とミュラー行列偏光計

宇都宮大学 大谷 幸利
 近年の様々な光学やオプトエレクトロニクス分野の開発には偏光の知識が要求される。光の偏光状態は、直線偏光、楕円偏光、円偏光や非偏光と表現される。これらは、ストークス・パラメータとして表すことができる。また、偏光素子は、偏光子、旋光子、位相子や偏光解消子があるが、複屈折、旋光(円複屈折)、二色性(複吸収)、円二色性(円複吸収)や偏光解消という物理量をもつ。この偏光情報をミュラー行列として表すことで、入射光と出射光および偏光素子の関係を理解することができる。ここでは偏光とは何かという基礎的な部分からスタートして、偏光の表示法とこれらの検査方法である各種偏光計について解説する。
 以上の講義によって偏光関連のカタログ、論文や特許を理解できるようになることを目標とする。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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