-レーザー・光技術応用セミナー

2016年11月17日(木) 13:00-16:40
【-1 レーザー・光技術応用研究の最前線


長らく産業界と共同で研究・開発に取り組んできたレーザー技術総合研究所の講師陣を迎え、レーザー加工・光学・計測の3つのカテゴリーに分けて基礎から応用まで、徹底解説します。
製品・技術を開発するうえで必要な知識を深める場としても有効です。また研究事例を交え、その応用展開の可能性も探ります。ぜひこの機会にご参加をお願いするとともに、活発な議論を期待します。

なお、聴講申込みをいただいた方々には、月刊オプトロニクス2016年11月号特集「産業界とともに育む!レーザー総研に見る応用研究の最前線」を無料で差し上げます。

加工セミナー

● 光の立場で考えるパルスレーザー加工の可能性
~ 複合・多層材料加工のツボをおさえるコツは ~

(公財)レーザー技術総合研究所 レーザープロセス研究チーム 主席研究員 藤田 雅之

 様々なレーザー加工の中でも、特にパルスレーザーを用いた加工現象を理解するために、光の立場から見たレーザーと物質の相互作用について解説します。波長やパルス幅が変わると、また、プラズマが発生すると、レーザー光の吸収がどう変わり、どのようなレーザー加工が実現できるのかを解説します。
 また、パルスレーザーの効果的利用法を示唆する加工事例を4件紹介します。最初の2件は多層構造をもつ材料のレーザー加工です。光学的・機械的性質の異なる材料で構成された多層構造の境界にレーザー光を吸収させることで、レーザーエネルギーを効率よく加工に利用することが可能となります。事例として、レジスト剥離およびMEMSウェハの低ストレスダイシングを紹介します。残りの2件は複合材料のレーザー加工です。レーザー加工特性の異なる成分で構成される複合材料に対して、レーザー照射パラメータをチューニングすることで各成分に対して効果的な加工を施すことができます。事例として、Al-Si合金表面の低摩擦化加工、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の加工を紹介します。これらの加工事例に共通するポイントを俯瞰することにより、効果的なレーザー加工技術開発の方向性が見えてきます。

● レーザープラズマシミュレーションの最前線
~ 核融合から加工まで そこで何が起きているのか ~

(公財)レーザー技術総合研究所 理論・シミュレーション研究チーム 副主任研究員 砂原 淳

 レーザープラズマのシミュレーションはどのようなものか、具体例としてレーザーアブレーションを中心に基礎と応用について講演する。まずレーザーと物質の相互作用に関する基礎過程、加熱された物質のダイナミクスを説明する流体力学等の基本を説明した上で、レーザーアブレーションのシミュレーションをどのように実行するのか、シミュレーションの基礎方程式を説明する。続いて具体的な計算例として、スズのドロップレットにレーザーを照射した時のプラズマ生成、ドロップレットのダイナミクスについて説明する。この中で、物性を司る状態方程式の重要性を示す。特に最新のトピックスとして、気体と液体の混合相(気液混相)に注目し、気液混相の性質により興味深いダイナミクスが現れることを示す。また、レーザー加工のように平板ターゲットにレーザーを照射する場合についても生成されたプラズマの時間発展についてシミュレーション結果をもとに説明する。これらの説明を通じて、レーザープラズマを考える際に必要な基本的な物理を理解できるだろう。また、数値シミュレーション手法を用いるとどのようなことができるか、実際に数値シミュレーションを行うにはどうすればいいか、レーザーアブレーションのシミュレーションの活用の仕方について、またはシミュレーションの課題について理解できるだろう。

フォトニクスセミナー

● パワーフォトニクスを支える光学技術
~ 失敗しない光学素子の選び方 ~

(公財)レーザー技術総合研究所 レーザー技術開発室 主任研究員 本越 伸二

多くの国内外のメーカより、光学素子は製造、販売されている。同じようなレンズ、ミラーでも、価格、性能が異なる。このような状態で、何を基準に光学素子を選んで良いか判らないユーザーの方も多い。特に、高出力レーザー装置を取り扱う上での光学素子の注意点も含め、用途に応じた光学素子選びの考え方を紹介する。

計測セミナー

● 暮らしに役立つレーザー計測
~ リモートセンシングの基礎と応用を徹底解説 ~

(公財)レーザー技術総合研究所 レーザープロセス研究チーム 副主任研究員 染川 智弘

 レーザー計測は基礎科学から産業応用まで幅広い領域で利用されています。計測技術にレーザーを用いる利点として、レーザーの高出力が手の届く範囲だけではなく、数m~数kmに及ぶ遠距離でも維持が可能であることが挙げられます。したがって、実験室で行っている種々の計測手法を数km先でも実現することが可能になります。本セミナーでは、このような特徴を活かしたリモートセンシング技術を中心に解説します。  レーダーの光源をラジオ波からレーザーに置き換えたライダー(LIght Detection And Ranging(LIDAR))は、レーザーと測定対象が相互作用(ミー散乱、ラマン散乱、吸収等)すれば数kmに及ぶ測定対象の高度分布情報を取得することが可能です。レーザーの偏光の解消度を見れば上空のエアロゾル・雲の形状(球形・非球形)の識別が可能になり、中国からの越境汚染が懸念される黄砂の観測が可能になります。また、ラマン散乱を利用すれば、レーダーでは検知できない雨粒の前の水蒸気の観測が可能になり、ゲリラ豪雨の予測精度向上に向けた研究も紹介します。

● あなたを守る レーザー計測
~ トンネルコンクリートを遠隔で非破壊検査 ~

(公財)レーザー技術総合研究所 レーザー計測研究チーム 主任研究員 島田 義則

 レーザーを物質に照射すると物質内に衝撃波が発生する。この衝撃波を用いて物質内部の情報を得る手法がレーザー超音波技術である。これを用いてインフラの健全性を評価する研究を行っている。この講演ではレーザーを用いたコンクリート欠陥検出技術等について紹介する。

総括

● レーザー技術総合研究所 30年間の産業支援
~ レーザー応用開発の現状と課題 ~

(公財)レーザー技術総合研究所 所長 井澤 靖和

 本格的な光の時代を迎え、レーザー・光技術の重要性はますます増大している。講演では、設立以来30年にわたるレーザー技術総合研究所の研究開発活動の概要、産業界との係わりについて紹介するとともに、レーザー応用技術の現状と課題、新しいレーザー産業開拓に向けての展望を述べる。

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