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-紫外線

2018年04月26日(木) 13:10-16:05
【-1 紫外線/深紫外光源の基礎から応用まで


紫外線の基礎

東海大学 佐々木 政子
 紫外線・可視光線・赤外線は“光”と総称される。可視光線の紫より短波長側にある眼には見えない100~400nmの電磁波が紫外線と呼ばれる。専門用語は紫外放射(ultraviolet radiation: UV)であり、略語UVが常用される。光は横波の性質を持つエネルギー粒子である。
 光子1個のエネルギー(ε)は、次式(1)で示される。
 ε=hν=hc/λ (1)ここで、hはプランク定数、νは振動数、cは真空中の光速、λは波長である。光子エネルギーの単位はkJで表す。アボガドロ定数(N)単位の光子エネルギーは、E =Nε=Nhν=Nhc/λ [kJ/mol] となる。赤外線や可視光線より波長の短い紫外線の光子エネルギーは大きく、物質に吸収されるとその電子状態を変化させ光化学反応を起こすことから化学線と呼ばれることもある。
 紫外線の光化学反応は、日々の生活を支援している多種・多様な産業に必要不可欠な要素技術を数多く提供している。
 本講演では、
  1. 紫外線とは、
  2. 紫外線の放射源 太陽光と人工光源、
  3. 紫外線の計測法、
  4. 紫外線の人体作用、
  5. 紫外線利用技術・産業応用
について述べる。

 なお、紫外線の波長帯域区分用語:UV-A、UV-B、UV-Cは、1932年に光療法の普及の過程で提案され、現在は、国際照明委員会(CIE)の定義用語となっている。しかし、研究・産業分野によって同一用語を使いながら、帯域区分波長が異なる場合が多々ある。
 用語UV-A、UV-B、UV-Cを用いて紫外線を論ずるときには波長明記が必須と言える。

殺菌用深紫外LEDの開発と今後の展望

国立研究開発法人 理化学研究所 平山 秀樹
波長が230-350nmの紫外発光ダイオード(DUV-LED)、レーザダイオード(LD)は、殺菌・浄水、医療、生化学産業、照明、公害物質の高速分解(ダイオキシン、PCB)、高密度光記録、紫外硬化樹脂応用など、さまざまな分野での応用が考えられており実用化が期待されている。最近、窒化物AlGaN系半導体を用いた紫外LEDの開発が盛んに行われており、すでに実用可能な出力も達成されている。殺菌用途(波長250-280nm)の100ミリワット以上出力LEDや最短波長220-250nm帯LEDの実現、DUV-LEDの高効率化などの開発は最近注目を集めている。本講演では、窒化物紫外LEDの最近の進展と実用化に向けた今後の技術開発のポイントについて、ワイドギャッップAlGaN系半導体の結晶成長、高効率化の素技術などについて概説し、今後の展望を述べる。

固体レーザー、ファイバーレーザーを利用した産業用紫外線レーザー

国立研究開発法人 理化学研究所 和田 智之
< 講演要旨 3月下旬公開予定 >
 

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2018年04月27日(金) 09:30-12:25
【-2 紫外線技術:加工、水殺菌、医療への応用


真空紫外レーザーによるシリコーンの表面改質と樹脂窓への応用

防衛大学校 大越 昌幸
 商用化レーザーの中で最短波長(157 nm)のフッ素(F2)レーザーを用いて,化学的に安定な高分子材料の1つであるシリコーン(有機ポリシロキサン)表面を,光化学的に炭素混入のないシリカガラス(SiO2)に改質する手法についてまず述べます.そして本手法を基にした,軽量・耐衝撃性自動車用プラスチック窓材の開発について紹介します.また,窓材のスマート化の観点から,シリコーン表面に光化学的に周期的な微細隆起構造を形成する手法と,その結果発現する超撥水性についてもご説明します. 
 また,シリコーンに代えて,アルミニウムや純鉄薄膜にF2レーザー誘起光化学表面改質を適用すると,結晶性を有する透明なAl2O3薄膜,ならびに疑似海水に浸漬しても錆びない純鉄薄膜が形成できることもお示しし,紫外レーザーの有用性の一端を紹介させていただきます.

水処理における紫外線殺菌技術の現状と展望

お茶の水女子大学 大瀧 雅寛
 近年、上下水処理において注目されている紫外線殺菌技術について、その原理を説明しながら、この技術の長所および短所について解説する。また紫外線利用の歴史は100年以上に登るが、特に水道において注目を浴びるようになったのは、ここ十数年のことである。その理由についても説明するとともに、実際の現場の適用例として日本や海外における水道への適用事例を紹介する。
 また水道では消毒が要求基準を満たすことが必須である止め、紫外線装置の能力検証は非常に重要視されている。この検証方法はユニークな方法が実践されているが、その方法について解説すると共に、問題点についても紹介したいと考えている。
 水道だけでなく、下水処理において紫外線殺菌技術の適用例は国内外において見ることができる。特に日本における適用拡大の可能性を条例と併せて紹介するとともに、今後の展望として海外では実際に稼働している再生水への適用法を紹介する。その中にはオゾンや過酸化水素といった酸化処理との併用によるAOP(促進酸化処理)も含まれるが、その発展の可能性について紹介したい。また新光源であるLEDの上下水処理への適用の可能性などについても今後の展望として紹介する予定である。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

紫外線の医療への応用―安全な治療器開発をするために

ウシオ電機(株) 木村 誠
痛みや副作用が少なく、患者の”Quality of Life (QOL)”の向上に有効な医療が求められている。従来の外科的な手術から、光・放射線・熱などを用いた、新しい治療方法が注目されている。本セミナーでは、安全な医療機器開発を行うために、最低必要な薬事法の基礎について、現状認可が取れている治療機器の解説を行い、「光」に着目し、光源についてと解説を加えるとともに「光治療」について、特に紫外線(UV-A、UV-B)を用いた治療機器の解説を行う。紫外線治療については、「紫外線によって免疫細胞を抑え、同時に皮膚への紫外線による副作用をどれだけ軽減できるか」という課題をもとに、乾癬に治療効果があるスペクトルを数値化、T細胞のin vitroの試験を経て薬事認可を取得、乾癬患者、白斑患者・アトピー性皮膚炎患者・掌蹠膿疱症患者、円形脱毛患者に臨床試験データを紹介する。また、紫外線のスカホールド作成プロセスについて説明し、再生医療への応用について解説を行う。

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2018年04月27日(金) 13:10-16:05
【-3 紫外線技術:光触媒、殺菌用LED、UV接着剤


光触媒反応の高効率化とスケールアップのための導光システム

信州大学 宇佐美 久尚
 酸化チタンによる水の光分解―ホンダ-フジシマ効果-の発見を契機として、各種金属酸化物の光触媒特性が精力的に研究され、最近では、太陽光で水素を発生する光触媒も開発されている。しかし、実用化のためには入射光の散乱を抑制して光利用効率を高め、十分な反応速度を確保する必要がある。本講演では、導光性の向上、光触媒の担持面積の拡張、および物質移動の効率化に着目した光触媒反応器の設計指針を示す。これらの要件を満たす固定床式の反応器として、光ファイバー反応器および多孔質ガラス反応器の仕組みを解説する。
 光ファイバー反応器は、光ファイバーのクラッド層を高屈折率の光触媒層に置き換えたもので、端面から入射した光を光触媒層に少しずつ漏光して励起し、光ファイバーを束ねた隙間を反応溶液の流路とするため、励起された光触媒表面と溶液との接触が密になる。しかし、端面からの受光量が少なく、光触媒層に導光できる光強度がファイバー長に強く依存することから希薄な気相反応系に限定されている。
 多孔質ガラス反応器は、ガラスビーズを相互に融着した多孔質モノリスで構成されている。相互に融着したガラスビーズネットワークは導光路として機能し、反応器の中心部に担持した光触媒も十分に励起される。一方、ビーズ間の細孔は内径150~1000 µmのネットワークを形成するため、実用上は並列マイクロチャネル反応器を構成する。これらの反応器の活性を4-クロロフェノールの光分解反応を指標として説明し、光触媒反応器の活性を高めるための反応器構造の特徴を解説する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

高出力殺菌用深紫外LEDの開発

旭化成(株) 後藤 広将
波長280nm以下の深紫外領域は殺菌用途への展開が期待されている。従来の殺菌方法は、水銀灯による光殺菌、塩素系などの薬液殺菌、熱による煮沸殺菌など、用途に応じて実施されているが、UVC-LEDはクリーンな殺菌手法として注目されており、今後、需要が拡大していくと予想される。
旭化成は米国クリスタル・アイ・エス社の高品質AlN基板を用いて、2014年に計測用LED:Optanを2016年には殺菌用LED:Klaranを製品化してきた。
本講演では、旭化成のUVC-LEDの特性と応用例について解説する。
 

UV硬化の基礎と最新動向

東京理科大学 有光 晃二
 UV硬化技術は省エネルギーかつクリーンな技術として注目されており、インキ、接着剤、エレクトロニクス関連部材、自動車関連部材の製造などに用いられ、現代産業に欠くことのできない技術となっている。この技術では光硬化を実施するための光源、および光開始剤とモノマー・オリゴマーが必須アイテムであり、これらを両輪とした研究開発が不可欠である。UV硬化技術が成熟したと感じている技術者もいるようだが、産業界での高度な要求性能に応えるべく新規な硬化機構、材料、光源、プロセスが産学官から現在も創出され続けている。ここでは、UV硬化の基礎(ラジカルUV硬化、カチオンUV硬化、アニオンUV硬化)、および高感度化や影部の硬化法について筆者らの研究を中心に紹介する。
難易度:初級〜中級程度(大学専門程度、基礎知識を有す〜大学院程度、ある程度の経験を有す)

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※有料セミナー キャンセル規程:
お客様のご都合による受講解約の場合、3/26までは受講料の50%、3/27以降につきましては受講料の全額を解約金として申し受けます。

※学生料金:
個人もしくは学校からのお支払いで、30歳未満の方が対象となります。

[ 特定商取引法に基づく表記 ]

大瀧 雅寛

お茶の水女子大学

基幹研究院 教授

1995年3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程を修了した後、1995年 4月 東京大学大学院工学系研究科の助手として勤務。
1997年11月に同講師として勤務した後、1999年 4月よりお茶の水女子大学大学院人間文化研究科に助教授として就任。以後2012年に同教授、現在に至る。
途中、2000年8月から2001年3月には南フロリダ大学にて客員研究員。
専門は環境衛生工学だが、特に水処理における消毒技術が専門。他にも国内外の都市用水需要の予測に関する研究も行っている

宇佐美 久尚

信州大学

繊維学部 教授

1987年 名古屋大学工学部応用化学及び工業化学科卒
1992年 名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程修了
    博士(工学)
1992年 信州大学繊維学部 助手
1996年 日米科学技術協力派遣研究者
     (米国ペンシルバニア州立大学、T.E.Mallouk研究室)
2005年 信州大学繊維学部助教授
2008年 信州大学繊維学部准教授
2012年 信州大学繊維学部教授 現在に至る

1990年 旭化成工業㈱(現 旭化成㈱)入社  ナローバンドギャップ半導体(磁気センサ)開発に従事 2007年 旭化成エレクトロニクス㈱研究開発センター化合物半導体開発部  IRセンサ/IR-LED開発 2016年 旭化成エレクトロニクス㈱研究開発センター新材料デバイス開発部  UVC-LED開発 2017年 旭化成㈱UVCプロジェクト先進デバイス開発部兼務  UVC-LED開発

有光 晃二

東京理科大学

理工学部 先端化学科 教授

平成9年7月 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 電子化学専攻 博士課程中退
同年7月 東京工業大学 資源化学研究所 光機能化学部門 教務職員
平成13年3月 博士(工学) 東京工業大学
同年4月 東京理科大学 理工学部 工業化学科 助手
平成18年4月 マサチューセッツ工科大学 (Prof. Timothy M. Swager) 博士研究員
平成19年4月 東京理科大学 理工学部 工業化学科 講師
平成22年4月 東京理科大学 理工学部 工業化学科 准教授
平成29年4月 同大学 同学部 先端化学科 教授
(平成29年4月より学科名を先端化学科に改称)
現在に至る