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-メディカル

2018年04月27日(金) 09:30-12:25
【-1 医療分野に参入するための基礎知識 ~光を用いた医療機器開発~


医療に寄り添う光技術

防衛医科大学校 石原 美弥
 医療における様々な場面で光技術が使われている。「こういった技術があるといい」に応えるニーズ指向型の技術と,先端技術を医療に導入するシーズ指向型の技術に大別される。いずれも,医療の安全性や確実性を高めるために,医療現場で精査されて具現化される。
 本講演では,まず医療に光技術を用いる利点とそれを活かした医療機器使用の実例を紹介する。次にニーズ指向型とシーズ指向型の技術をその開発過程の具体例を提示して説明し,光源や光部品がどのように利用されているかの理解につなげたい。
 

医療機器研究開発の現状とイメージング技術の将来動向

公益財団法人医療機器センター 菊地 眞
医療機器の“風上から風下までの行程”(研究開発から製品化、薬事審査、上市、市場開拓、普及)は様々な行政施策や取り組みでかつて例を見ないほど充実した。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性等の確保に関する法律」(医薬品医療機器法)が公布・施行され、議員立法(「国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する法律」(医療機器促進法)、その基本計画策定会議座長が演者)も公布された。国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED ; Japan Agency for Medical Research and Development) が創設され、これまで生命科学・医学・医療・健康にまつわる各種施策や研究開発は文部科学省、厚生労働省、経済産業省が別々に支援してきたが、内閣官房に「健康・医療戦略推進会議」を発足させ各省予算を一元化して執行する機能が樹立した。医療機器に関しては産学連携部・医療機器研究課が所掌し「オールジャパンでの医療機器開発」として取り上げられ、演者がPD(プログラムディレクター)を拝命している。健康・医療推進戦略会議の下には「次世代医療機器開発推進協議会」、「次世代医療ICT基盤協議会」などが設置され演者は両協議会に参画している。本講演では、最近の医療機器研究開発の取り組みを紹介すると伴に、今後期待される次世代医用イメージング技術に言及する。

無理なく円滑な医工連携の進め方~製販企業がもつノウハウを活用しよう!~

一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 柏野 聡彦
 これからの有望産業として注目される医療機器産業。「興味はあるけど、取り組み方がわからない」そんな会社は多いのではないでしょうか。異業種から医療機器産業に無理なく円滑に参入する方法のひとつは、医療機器ビジネスを熟知した“製販企業(いわゆる医療機器メーカー)”と連携することです。
 医療機器産業には特殊な法規制(医薬品医療機器等法)と市場構造があり、これらが異業種から参入しようとする企業にとって大きなハードルになることがあります。そのハードルにいきなり真っ向から立ち向かうこともひとつの方法なのですが、製販企業と連携して医療機器の共同開発に取り組むことで、部品部材の供給で売上をつくりながら医療機器ビジネスへの理解を深め、ハードルを越える準備が整えていくこともひとつの方法です。後者の進め方のほうが、多くの企業にとって、より無理がなく円滑な方法といえるのではないでしょうか。
 このセミナーでは、異業種から医療機器産業に新規参入する企業が製販企業と連携することの意義、製販企業との連携の進め方、製販企業との連携による医療機器開発の実例などを、全国の事例を交えて紹介します。また、最近、全国で活性化している「臨床ニーズ・マッチング会」について、その背景と最新動向、取り組む際のポイントなどを紹介します。

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2018年04月27日(金) 13:10-16:05
【-2 医療分野で活躍する光技術 ~手術ロボットから生体イメージングまで~


レーザー技術を用いた低侵襲手術ロボット

千葉大学 中村 亮一
 近年の外科医療における中心技術は,如何に患者への侵襲(生体へのダメージ)を軽減しつつ治療目標を達成するかという「低侵襲治療技術の実現」である.低侵襲な治療を実現する上で有利に働く機能は「ピンポイントな物理的作用」であり,その面で接触による力学的な負荷を伴わずに微小領域に直接エネルギーを投入し生体作用をえることの出来るエネルギーデバイスは低侵襲治療において必要不可欠な技術である.例えば20世紀初頭にクッシングが発案した放電火花による手法から始まり現在の電気メスやベッセルシーリングシステム(自動血管閉塞切除装置)に至る電気的止血方法は,圧迫や結紮という力学的負荷や異物である糸の利用を廃し,周辺組織の障害を引き起こさず簡便かつ迅速にピンポイントな止血を実現することが可能となった.
 メスや鉗子・鑷子(ピンセット),針糸を用いた従来の手法に比べ,エネルギーデバイスを用いた治療法は低侵襲性,迅速性,ピンポイント性において有用性を持つ可能性を有する.また低侵襲な手術手技を実現する上で重要な技術は,使用する手術道具の大きさを小さくすることと,作業の目的部位へのピンポイントな精密誘導操作を実現することであり,この点でロボット技術の有用性が強く現れる.この観点から筆者は医療用レーザとロボット技術を用いた新しい低侵襲手術装置の開発に取り組んできた.本講演ではこれまでの研究成果を元に,ロボット技術と融合したレーザ治療技術の可能性について解説する.

赤外レーザーの医療応用

大阪大学 間 久直
 赤外線の中でも波長2~20 µm程度の中赤外線領域は分子振動と共鳴する領域であり、共鳴波長が化学結合の種類によって異なる。このため、疾患部位のみに存在する分子固有の共鳴波長に一致した波長のレーザーを利用することで、疾患部位のみにレーザーのエネルギーを吸収させることができ、周囲の正常組織には低侵襲な選択的治療が可能である。しかし、これまで、中赤外線領域ではレーザー光源の種類が非常に限られていたため、中赤外レーザーの医療応用は極めて限られていた。近年では、中赤外レーザーによる低侵襲かつ選択的な治療の実用化を目指して光パラメトリック発振や差周波発生などの波長変換技術を用いた小型・高出力な波長可変レーザー、および量子カスケードレーザーのような小型光源などが開発され、高出力化が進められてきている。これらに加え、中赤外レーザーを伝送可能な中空光ファイバーが開発されたことで、今後、中赤外レーザーの医療応用がさらに拡大していくと予想される。
 本講演では、中赤外レーザーの新規医療応用の例として、動脈硬化、および早期消化器がんの内視鏡治療について解説する。一方、波長0.7~2 µm程度の近赤外線領域では半導体レーザーを用いた小型装置の医療応用が進んでおり、その例として下肢静脈瘤治療、前立腺肥大症治療について解説する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

超広スケールな生体イメージング目指して

自治医科大学 西村 智
本講演ではすべて手作りで設計から実装までを行った、生体イメージングシステムを動画中心にわかりやすく説明する。生体を広いスケールで網羅的・探索的に解析を行いたいというニーズが基礎医学および臨床現場からしばしば聞かれるようになった。しかし、現在のハイエンドの顕微鏡は空間解像度は高いものの、時間解像度、イメージングサイズが限られており、実際の生体には用いづらい。我々は、非線形光学に加えて高画素CMOSセンサを生体観察に応用しながら、ロバスト性の高い生体観察を可能にしている。さらに、光学、ロボティクス、電子工学、情報工学とも融合を行い、生体に特化したイメージングモダリティを開発し、広スケールでのイメージングを達成した。他にも、超ミクロを追求した二光子超解像技術、超小型で手持ち運用可能な高解像度システム、マクロ・ミクロを同時にカバーするデバイス、など、広スケールにわたるイメージングを独自開発のシステムにより行っている。マルチスケール時空間のなかでの一細胞を中心としたネットワークを、生体イメージングを用い明らかにしており、イメージング技術開発から医学出口まで含めてその全貌を講演では紹介したい。

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個人もしくは学校からのお支払いで、30歳未満の方が対象となります。

[ 特定商取引法に基づく表記 ]

柏野 聡彦

一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ

専務理事(東京都医工連携HUB機構 プロジェクトマネージャー)

1998年3月、筑波大学大学院理工学研究科修了。同年、総合シンクタンク入社(2016年4月退職)。医療機器産業に関わる多くの調査研究・コンサルティングを経験。2010年度には経済産業省「課題解決型医療機器等開発事業(現在のAMED医工連携事業化推進事業)」の初代の事業管理支援法人として、本事業のスタートアップに携わる。

 東京慈恵会医科大学ME研究室訪問研究員や東京大学大学院医学系研究科客員研究員などを歴任。2013年9月から一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事、2016年5月から同専務理事、現職。

 最近は、医療機器特有の市場や法規制に関するノウハウを有する「製販企業」に注目し、製販企業とものづくり企業との連携による無理なく円滑な医工連携のかたち「製販ドリブンモデル」を提唱、全国各地の行政機関とともに製販ドリブンモデルの実践に注力している。

 2015年7月~現在、東京都医工連携HUB機構プロジェクトマネージャー。2016年2月~2017年3月、AMED臨床ニーズ抽出委員会(企業への橋渡し委員会)委員。2016年6月~2017年3月、経済産業省関東経済産業局「関東メディカルオープンイノベーションプラットフォーム構築事業」プロジェクトマネージャー。2016年6月~2017年3月、AMED「医工連携における知財権の活用に関する調査研究」委員会委員。

間 久直

大阪大学

大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 准教授、博士(工学)

平成8年:静岡大学 工学部 光電機械工学科卒業、平成10年:東京理科大学 大学院理工学研究科 電気工学専攻 修士課程修了、平成13年:東京理科大学 大学院理工学研究科 電気工学専攻 博士後期課程修了、同年:川崎重工業株式会社 技術研究所入社、平成18年:大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 特任研究員、平成21年:同研究科附属高度人材育成センター 助教、平成26年:同研究科 環境・エネルギー工学専攻 講師、平成27年より現職。レーザー学会、電気学会、応用物理学会、日本レーザー医学会、日本レーザー歯学会、日本歯科用レーザー・ライト学会、日本光線力学学会、日本レーザー治療学会、日本質量分析学会、American Society for Mass Spectrometry各会員。