ポジショニング応用技術セミナー

2020年04月22日(水) 09:30-12:25
【PE-1 超精密位置決め技術のためのソフト、アルゴリズム

製造業向け予兆検知を実現するIoTサービスOMNI edge/LMガイド/ボールねじの概要および採用事例紹介

THK(株) 小野寺 涼太 氏、小澤 浩司 氏
国内の製造業では、高齢化などにより離職が進み、労働力不足の深刻化が懸念されている。これにより、現在作業者に依存している製造装置の保守点検作業の自動化や、故障予兆検知をシステム化するニーズが高まっている。製造装置全体の不具合を検知しても、故障部分の特定には熟練した保守点検作業員の感覚による診断が必要である。また各部品のセンシングデータを取得しても、部品の専門知識がなければデータ解析ができず、故障検知に至らない場合がある。さらに設備状態を可視化する IoTシステム構築には、工場内ネットワークとの接続などITに関する専門知識と多額の初期・運用費用が必要となるため、システムを導入できない場合もある。
 本講演では、上記の問題を解決するためのIoTサービスについて紹介する。
 現場の装置に後付けが可能なセンサをLMガイドやボールねじ等の主要部品に組み込むことで、主要部品の状況を直接、計測し、予兆検知ソフトで診断する。このデータを収集・蓄積・分析するシステムの設計・構築作業を自動化することで、IT担当者不在の製造現場でも簡単かつ短期間での導入が可能となる。
 機械要素入門レベルの知識が本技術理解には不可欠なため、機械系技術者以外のために、本技術で主な監視対象とするLMガイドおよびボールねじの概要および光学系、画像検査装置などへの採用例についても紹介する。
★難易度:一般的(高校程度、一般論)

非線形位置合わせの工業製品への適用とAIを利用した画像検査技術について

大同特殊鋼(株) 布施 直紀 氏
画像処理を利用した検査で頻繁に用いられる処理として、パターンマッチング処理、差分処理などがあります。パターンマッチング処理は検査画像内の共通する特徴物を基準にして画像の一致度の判断を行うもので、画像の位置合わせなどに用いられています。一方,差分処理は,検査画像間の差分により画像内の異なる部分を抽出する手法で、異常部分の検出を目的とするものです。
しかし,画像検査においては現実問題として、検査ワーク撮像時の物理的位置ズレ、ワーク寸法個体差などが存在し、これらをなくすことは不可能といっても過言ではありません。特にワークが立体複雑形状の場合、これら位置ズレ,個体差を含んだ状態で撮像し、画像処理を行うと、パターンマッチング精度の悪化、差分値の増大による欠陥検出性能低下などに至る場合があります。
そこで、このようなワークの位置ズレ、寸法個体差の影響をなくす方法として,非線形位置合わせ技術が主に医療分野で実用化されています。
本講演では非線形位置合わせ技術の工業製品への適用について解説するとともに、昨今進歩の著しいAI技術が画像検査にどのように適用できるかを含めて紹介していきます。
★難易度:入門程度(大学一般教養程度)初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

サーボシステムの制御技術とAI活用

三菱電機(株) 池田 英俊 氏
電子部品実装機や半導体製造装置など各種産業用機械の位置決め制御に用いられるサーボシステムでは、製造の精密化や生産性向上の要望を背景に、第一に制御性能の高速高精度化が要求される。また設置性等を理由とした装置の軽量化要求も強く、機械系の低剛性に起因した振動の問題を制御により解決することで、装置性能を最大限引き出すことが望まれる。更に、制御性能向上のためには、サーボユーザにより製作された様々な装置の機械特性に応じて、サーボアンプに実装された専門性の高い制御方式のパラメータを適切に調整する必要があり、専門家でなくても手軽に調整できるような制御方式や制御パラメータの自動調整機能を提供することが望まれる。
本発表では、三菱電機のサーボシステムMELSERVO-J5シリーズに搭載されている技術を中心に、上記課題の解決を目的とした制御技術や自動調整技術について紹介する。また今後の活用が期待される技術として、機械系に加速度センサなどの外部センサを追加することで、簡単な調整で従来にない制御性能を実現する技術を紹介する。
更に、近年注目が高まっているAI技術の活用例として、多くの制御パラメータを少ない試験回数で最適化することで、従来では困難なレベルの高速高精度位置決めを自動調整により実現する技術を紹介する。
★難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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2020年04月23日(木) 09:30-12:25
【PE-2 LiDARの市場動向とアプリケーション

LiDAR市場の現状と今後の注目市場動向

(株)テクノ・システム・リサーチ 本橋 直樹 氏
本講演では、LiDAR(Time of Flight:TOF)市場における現状の動向を報告するとともに、今後期待される市場にフォーカスして報告を行なう。
今回は同市場を牽引していくことが期待される“自動車市場”におけるLiDARの現状と今後の展望について弊社の市場分析を交えて説明をする。また、近年では“産業市場”からもLiDARを積極的に活用しようとする動きが出てきている。こうした事を踏まえて、今後の“産業市場”における注目すべき市場動向や用途など需要の変化についても言及をするものである。
★難易度:一般的(高校程度、一般論)

LiDARと自動運転

芝浦工業大学 伊東 敏夫 氏
自動運転技術が現実的なものになってきた。自動運転技術には、自車がどの位置にいるのか把握するための自己位置推定技術、測距センサ等を活用し周りの環境を認識するための外界認識技術、自車位置と向き速度等を総合的に判断するための行動計画技術、ステアリングやブレーキの操作を行うための車両制御技術という4大要素技術に分類できる。自己位置推定技術はGPSの精度向上やSLAM(Simultaneous Location and Mapping)技術の進歩により現実的なものになっており、行動計画や制御技術は高速道路で前方走行車に追従するアダプティブ・クルーズ・コントロールACCや自動ブレーキの開発により実用化されている。ところが、外界認識技術はACCや自動ブレーキに使われてはいるものの、自動運転レベルの精度はこれまで難しかった。そこへGoogleがLiDAR(Light Detection and Ranging あるいは Laser Imaging Detection and Ranging)を使った自動運転車の公道実験を行うようになり、一気に自動運転ブームになり、同時に、LiDARが外界認識の切り札として認識され俄然注目され始めた。LiDARによって計測されたデータ群はポイントクラウドと呼ばれ、ポイントクラウドを処理することにより外界認識(物体認識)やSLAMを行うことができる。LiDARによるSLAMはGPSが得られない屋内でも有用なため、移動ロボットやドローンにも適用可能である。本講演ではLiDARがなぜ自動運転の切り札なのかを解説し、LiDARの現状の構造やポイントクラウド処理方法から今後の展望まで報告する。
★難易度:一般的(高校程度、一般論)

デジタルコヒーレントライダー

(国研)産業技術総合研究所 土田 英実 氏
ライダー(LiDAR; Light Detection and Ranging)は、光ビームを空間的に走査して対象物の距離や速度を測定し、距離画像から3次元空間を認識するセンサーであり、自動運転支援、自律走行ロボット、防犯・セキュリティなど様々な分野での応用が期待されている。本講演では、次世代方式として期待されているFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)ライダーについて、基本原理と課題を紹介した後、筆者が開発を進めているデジタルコヒーレントのライダーの概要を説明する。ToF(Time of Flight)方式と比較して、FMCWライダーは高感度、高分解能、速度検出などの特徴を有しているが、レーザ光源の非線形チャープによる精度劣化と、コヒーレンスによる距離制限が大きな課題である。これらの課題に対処する技術として、(1)レーザの周波数変調測定技術、(2)非線形チャープを補償する信号処理技術、(3)コヒーレンス限界を打破する差動検出技術を紹介する。
難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

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小野寺 涼太

THK(株)

応用技術統括部 GE部 GS課 主務

2014年THKに入社.LMガイド等に関する営業技術業務(技術問い合わせ対応,製品PR,トラブル対応等)に従事.2017年からは,海外エリアの営業技術業務を担当.

小澤 浩司

THK(株)

IOT本部 アカウント営業部 OMNIedgeセクション 課長

1996年THKに入社.新規市場向け製品、主にサービスロボット向け要素部品開発に従事.2018年からは,製造業向けIoTサービス OMNIedgeの立上げ業務を担当.

布施 直紀

大同特殊鋼(株)

技術開発研究所 副主席研究員

1994年大同特殊鋼入社
新分野事業部にて垂直磁気記録ヘッドの研究・開発に従事
以降、技術開発研究所にて
・鋼材の三次元計測技術開発
・レーザ超音波による高温材料の非接触計測技術開発
・複雑立体形状製品の画像検査技術開発
・オープンソース(ROS)によるロボット制御、AI技術開発
など、主に非破壊検査技術開発に従事

池田 英俊

三菱電機(株)

先端技術総合研究所 駆動制御システム技術部 モーション制御グループ グループマネージャー

1989年京都大学工学部電気工学科卒業.1991年同大学院修士課程修了.同年三菱電機株式会社に入社.2002年から同社先端技術総合研究所に所属.主にサーボシステム等の制御装置の研究開発に従事.電気学会,計測自動制御学会,システム制御情報学会,IEEEの会員

本橋 直樹

(株)テクノ・システム・リサーチ

研究員

株式会社テクノ・システム・リサーチ入社後、光ストレージ調査に従事、車載ネットワーク/車載通信関連製品及びセンシング関連の市場調査を経て現在LiDAR市場に関連した市場調査を中心に行う。

伊東 敏夫

芝浦工業大学

システム理工学部 機械制御システム学科 教授

1957.4.28生.1982.3神戸大学工学部システム工学科卒.同年ダイハツ工業(株)入社以来カーエレクトロニクスの研究開発に従事し、ASV、ITSの各システムを開発.
2013.3ダイハツを定年退職.同年芝浦工業大学に赴任.以来運転支援システムや自動運転のセンシング(画像処理、LiDAR)、HMI、シミュレーション、自動運転車開発を研究.
自動車技術会フェロー.博士(工学)

土田 英実

(国研)産業技術総合研究所

電子光技術研究部門 招聘研究員

1984年3月 東京工業大学大学院物理情報工学専攻博士課程修了.同年4月 工業技術院電子技術総合研究所入所.1991年10月〜1992年9月 カリフォルニア工科大学客員研究員.2001年4月より産業技術総合研究所.研究グループ長、上席研究員、総括研究主幹を経て、2017年4月より同所電子光技術研究部門招聘研究員.光信号処理・計測技術の研究開発に従事.