光技術×バイオ・メディカル

2020年04月22日(水) 10:30-15:55
【OBM-1 光技術×バイオ・メディカル

MEMS接触圧センサ一体型レーザ血流量センサ

Palmens(株) 澤田 廉士 氏
MEMS(Micro-electro-mechanical systems)技術ではCanなどにパッケージされた光学部品は使用せず、レーザチップやフォトダイオードチップなどの光学素子を用い、光学系全体をパッケージする。2003年に、MEMS技術を用いることにより、絶対速度が測定できるMEMSドップラーセンサと絶対速度が測定できないが、血流量センサには適している高感度のドップラーセンサの2種類について対比しながら述べる。当時主流であった光ファイバープローブを使用した血流計のファイバを廃し、センサをプローブ先端部へ搭載することによってバッテリー駆動と信号処理部等システム部分の小型化設計によりシステム全体を身体に装着可能としたウェアラブルな携帯型レーザ血流計を実現した。ウェアラブルレーザ血流センサの実現によって、従来では考えられなかった運動時や日常生活時などの動的環境下において安定した末梢血流計測が可能になり、医学分野の研究者からも微小循環(末梢血管)が注目されるようになった。
とは言え、血流量センサにはもう一つの大きな課題がある。それは、血流量が接触圧と皮膚温度の影響を大きく受けることである。講演の後半では、さらに新たに開発した、血流量に大きく影響を及ぼす接触圧と皮膚温度も同時測定可能な接触圧・皮膚温度センサ一体型血流量センサについて述べる。
★難易度:入門程度(大学一般教養程度)

光電力伝送による超小型インプランタブル光神経刺激デバイス

東京工業大学 徳田 崇 氏

テラヘルツバイオチップおよびイメージング技術の最前線

大阪大学 斗内 政吉 氏
エレクトロニクス・自動車産業に次ぐ、我が国の新産業エンジンとして、バイオメディカル分野への期待が大きい。その様な中、未開拓分野であるテラヘルツバイオメディカルは、まだ日本の参入チャンスが大きく残されている。本講演では、テラヘルツバイオメディカル分野の最近の進展と、我々が取り組む高感度テラヘルツµTASの開発とバイイメージング技術について解説する。テラヘルツ帯300GHz-30THzには、様々な大型分子の運動や分光情報が含まれているが、微量検査・高分解能イメージングが困難であり、テラヘルツ技術の弱点となっていた。われわれは、その弱点克服を目指して、近接場テラヘルツ放射イメージングシステムやメタマテリアル結合型非線形結晶流路を開発している。ここでは、ミネラル水、数十ピコリットル中の数百アトモルのイオン検出・非浸潤乳管癌(DCIS)可視化などの試みを紹介する。
★難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

パーソナルヘルスケアを目指した近赤外カラーイメージング技術による自撮り可能小型眼底カメラ

奈良先端科学技術大学院大学 太田 淳 氏
近赤外3波長をRGBに対応させてカラー画像を再現する近赤外カラー化技術を眼底網膜像撮像に応用することで、まぶしくない自撮り可能な小型眼底カメラを実現することができる。本講演では、この近赤外カラー化技術を応用した眼底カメラについて、その基本構成、特徴、撮像例、パーソナルヘルスケアを目指した応用、今後の課題などについて解説を行う。
★難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

単独自律動作が可能な持続血糖モニタリング機能付きスマートコンタクトレンズ

名古屋大学 新津 葵一 氏
すべての人々の健康を実現するために、日常生活に調和したヘルスケア・医療エレクトロニクスを実現します。その実現に向けて、生活習慣病の中でも深刻な問題となっている、糖尿病の治療・予防に資する研究開発を行っています。糖尿病の治療・予防においては持続的な血糖値のモニタリングが大変重要なのですが、従来の持続血糖モニタリングは穿刺が必要であり、日常生活において気軽に使用することは困難でした。本研究開発では、より人間生活に調和した持続血糖モニタリングを最先端のAI/IoT技術を駆使して実現することを目指します。スマートコンタクトレンズ型の持続血糖モニタリングにおいて重要な課題が安定した電源の確保ですが、バイオ燃料電池と低消費電力CMOS集積回路を組み合わせた電力自立動作の実現を目指しています。涙液糖から発電とセンシングを行って電力自立動作を実現した、電源供給用メガネ型端末が不要のコンタクトレンズ型継続血糖モニタリングの実証に成功しました。0.6mm角の世界最小クラスサイズの固体素子型グルコース発電素子と、0.385mm角の世界最小クラス消費電力(電源電圧0.165V時に0.27nW)の半導体集積送信器回路を開発し、コンタクトレンズ上に実装しました。本講演においては、これまでの研究開発事例と共に、機械学習を用いた低血糖予測との連携や小型集積エレクトロニクス・スマートコンタクトレンズに関する最新研究開発動向についても紹介をいたします。
★難易度:一般的(高校程度、一般論)

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澤田 廉士

Palmens(株)

代表取締役社長、九州大学名誉教授

昭和53年3月 九州大学大学院工学研究科修士課程修了
昭和53年4月 日本電信電話株式会社入社(旧名日本電信電話公社)
平成16年1月 九州大学大学院工学研究院教授着任
平成16年11月 英国物理学会(IOP)フェロー
平成24年4月 バイオメカニクス研究センター長
平成31年3月九州大学スタートアップ企業Palmens株式会社を起業

斗内 政吉

大阪大学

レーザー科学研究所 教授

1988年3月、大阪大学、基礎工学研究科修了(工学博士)、1988年4月 大阪大学助手、1989年4月九州工業大学助手、1994年4月 郵政省通信総合研究所 主任研究官、1996年11月大阪大学 助教授、2000年5月大阪大学・教授、南京大学兼任教授(2005より)、米国物理学協会JAP編集委員(2015より)

太田 淳

奈良先端科学技術大学院大学

教授

1981年 東京大学 工学部 物理工学科卒業
1983年 東京大学大学院 工学系研究科 修士課程修了
同年 三菱電機(株)入社 中央研究所配属
1992年 博士(工学)(東京大学)授与
1992年~1993年 米国コロラド大学光電子コンピューティングシステムセンター客員研究員
1988年 三菱電機(株)退社
同年 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科助教授
2004年 同 教授 現在に至る
応用物理学会フェロー,映像情報メディア学会フェロー,電気学会上級会員,IEEE Senior Member

新津 葵一

名古屋大学

大学院工学研究科 電子工学専攻 准教授

2006年慶應義塾大学理工学部卒業.2008年同大学院修士課程修了.同年日本学術振興会特別研究員.2010年同大学院博士課程修了.同年群馬大学助教.2012年名古屋大学大学院工学研究科講師.2015年科学技術振興機構 さきがけ研究者(兼任).2018年名古屋大学大学院工学研究科准教授.バイオ・医療やパワーエレクトロニクスに向けた高エネルギー効率半導体集積システムに関する研究に従事.これまでに、65編の査読付き原著論文、146編の国際会議論文を発表.文部科学大臣表彰 若手科学者, IEEE BioCAS 2016 Best Paper Award, IEEE BioCAS 2018 Best Live Demo Award, 電子情報通信学会末松安晴賞, 安藤博記念学術奨励賞, 船井研究奨励賞, 丹羽保次郎記念論文賞, バイオインダストリー奨励賞など受賞.IEEE TBioCAS Associate Editor, IEEE CICC, ISCAS, ICECS, APCCAS Technical Program Committee.