オプティクスセミナー

2023年11月08日(水) 10:30-13:00 アネックスホール F206
【OS-1 最先端の光制御 〜メタサーフェス/メタマテリアル〜

日本光学会

メタマテリアル/メタサーフェスを用いた光制御

理化学研究所 田中メタマテリアル研究室 主任研究員 田中 拓男 氏
メタマテリアルとは、波長より細かな人工構造を用いて物質の光学特性を制御した疑似光学材料です。メタマテリアルそのものは構造体ですが、それを構成する構造を波長より細かく設計・加工することで、1つ1つの構造は光波に直接感知されずにメタマテリアル全体が1つの均質な物質として振る舞います。

このメタマテリアルの中で、その構造を基板表面などに1層だけ付与した2次元版のメタマテリアルがメタサーフェスです。
メタマテリアルの特徴の1つは、その構造をうまく設計することで、自然界から直接得られる物質には無いような光学特性を物質に付与できることです。

本講演では、メタマテリアルの概要について簡単に触れた後、メタサーフェスで作製した極薄でフラットなレンズである「メタレンズ」や、光を完全に吸収する「光吸収メタマテリアル」とその赤外分光法技術への応用など、メタマテリアル/メタサーフェス技術の光制御素子への応用例を紹介します。
●一般的(高校程度、一般論)/ 入門程度(大学一般教養程度)

誘電体メタサーフェスによる光制御 ~ミートロニクスの視点から

大阪大学 大学院工学研究科 物理学系専攻 教授 高原 淳一 氏
金属を用いない誘電体のみからなる誘電体メタサーフェスの原理と最新の研究成果についてわかりやすく紹介します。

メタサーフェスはメタ原子とよばれる金属からできた人工的な光共振器(光アンテナ)を平面基板上に2次元的に配列させたもので、メタマテリアルを2次元化したものです。メタマテリアルは単一のメタ原子の構造を制御することで有効屈折率をデザインします。これに対しメタサーフェスは周期配列したメタ原子のサイズを変えて、散乱の振幅と位相を制御することで波面を制御します。

講演ではシリコンメタサーフェスを例にとり、メタ原子のミー共振を利用した波面制御とその応用について述べます。
ホイヘンス・メタサーフェス、縮退臨界結合などの原理を活用することで、損失の極めて小さな近赤外域においても、完全透過、完全反射、完全吸収を実現できます。これらはミートロニクス(Mietronics)ともよばれ世界的に大きな注目を集めています。
●入門程度(大学一般教養程度)/ 初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

社会課題解決に向けた光・電波制御メタマテリアル

東北大学 大学院工学研究科ロボティクス専攻 教授 金森 義明 氏
メタマテリアルは、⼊射波⻑よりも⼩さいサブ波⻑構造で構成され、誘電率や透磁率を人工的に拡張可能とし、光波からテラヘルツ波を含む電磁波を自在に制御できる革新的な技術として注目されています。
近年、メタマテリアルのユニークな光学特性を活用した産業応用が期待されています。

本講演では、社会課題を解決するという切り口から、当研究室で開発してきた様々な光・電波制御メタマテリアルについて解説します。
●入門程度(大学一般教養程度)

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田中 拓男

国立研究開発法人 理化学研究所

田中メタマテリアル研究室 主任研究員/チームリーダー

●職歴 2022- 学習院大学 客員教授
2019- フィリピン大学ディリマン校 客員教授
2019- 徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所 特別招聘教授
2017- 台湾 国立清華大学 客員教授
2017- 理化学研究所 田中メタマテリアル研究室 主任研究員
2014- 理化学研究所 光量子工学研究領域
  フォトン操作機能研究チーム チームリーダー
2008-2017 理化学研究所 田中メタマテリアル研究室 准主任研究員
2003-2005 理化学研究所 ナノフォトニクス研究室 研究員
1996-2003 大阪大学大学院基礎工学研究科 助手

●学歴
1996.3 大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻
  博士後期課程修了 博士(工学)

高原 淳一

大阪大学

大学院工学研究科 物理学系専攻 教授

1990年 大阪大学 基礎工学部電気工学科 卒業
1992~1995年 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
1995年 大阪大学 大学院基礎工学研究科物理系専攻修了
  博士(工学)
1995年 大阪大学 基礎工学部電気工学科 助手
2003年 大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教授
2010年 大阪大学 大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻 教授
2010年 大阪大学 フォトニクス先端融合研究センター 教授
2020年 大阪大学 大学院工学研究科 物理学系専攻 教授
工学研究科附属フォトニクスセンター教授(兼)

金森 義明

東北大学

大学院工学研究科ロボティクス専攻 教授

■経歴
2001年 東北大学大学院工学研究科機械電子工学専攻 博士(工学)
2001年 同研究科 機械電子工学専攻 助手
2003年 Laboratory of Photonics and Nanostructure/CNRS(フランス)ポスドク研究員(1年間)
2007年 東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻 准教授
2019年 同研究科 ロボティクス専攻 教授
2020年 同研究科附属 マイクロ・ナノマシニング研究教育センター(MNC)センター長(併任)(~2022年3月)
2022年 同研究科 メタマテリアル研究革新拠点(Meta-RIC)拠点長(併任)(継続中)
2023年 グリーン未来創造機構(兼務)(継続中)

■所属学会
IEEE、日本機械学会、応用物理学会、電気学会、精密工学会

■受賞
・平成19年度船井情報科学奨励賞
・第26回センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム優秀論文賞
・平成26年度コニカミノルタ画像科学奨励賞
・第50回市村学術賞貢献賞
 他多数。