赤外線セミナー

2023年11月08日(水) 13:30-16:00 アネックスホール F206
【IR-1 赤外線イメージングとその応用

世界の赤外線イメージング技術動向

中里 英明 氏
可視光に隣接した波長の電磁波で、イメージングにおいて最も特徴的な情報収集をもたらす赤外線を用いたセンシングの基礎とその技術動向をイメージング(画像化、撮像)を中心に解説します。

赤外線の波長は0.75μmから1 mmまでの広範囲に及びますが、全般に亘る代表的な応用事例を紹介した後、関心の高いNIR(Near Infra-Red、近赤外)、SWIR(Short-Wave Infra-Red、短波長赤外)、MWIR(Mid-Wave Infra-Red、中波長赤外)およびLWIR(Long-Wave Infra-Red、長波長赤外)の「大気の窓」を利用している12μm辺りまでの技術に重点を置いて説明します。

イメージングの主要構成品として赤外光学系、赤外線検知器および画像・信号処理に着目し、複数の大気の窓を通して得られる多様な特性の情報を取得、組合せてより高度な情報を抽出するためのマルチスペクトル関連、より広い範囲を一度に、かつより精細な画像を取得するための多画素・小画素化、主としてレーザを用いたアクティブ・イメージングによる3次元画像生成、低コスト化に向けた取組み等を紹介します。

赤外線検知器は大別して光量子として検知する量子型(冷却型)と熱エネルギーとして吸収、材料特性の温度変化として検知する熱型(非冷却)があり、前者は通常、極低温に冷却して動作させる必要から高コストとなる代わりに高性能・高速性を追及し、後者は極低温冷却の必要性を除くことによってロー・エンドでの広範な普及を目指す傾向がありますが、そうした通念に囚われない取組みにも言及します。

併せて、近年の赤外画像処理へのAI活用(ADAS: Advanced Driver Assistance System、先進運転支援システム)のトピックスをご紹介します。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

サーマルカメラを使用した高度道路交通ソリューション

フリアーシステムジャパン(株) 森下 正悟 氏
交通システムにおいて事故の検知だけでなく事故を未然に防ぐ取り組みも必要になっています。

例えば道路上を逆走する自動車や、高速道路上を走る自転車や歩行者等、事象をいち早く捉え、自動車のドライバーに警告をする事で被害の拡大を防ぐ事が可能です。交通事象を検知する方法として画像装置がありますが、通常可視カメラが一般的に使用されています。サーマルカメラを使用した場合においても様々な利点があります。

本講演ではサーマルカメラの特性を活かし、交通での使用実例をご紹介します。

●一般的(高校程度、一般論)

中赤外パッシブ分光イメージングによる様々な計測事例紹介 ― 体内や果実中の糖、有色マイクロプラスチック種弁別、インフラ計測など ―

香川大学 創造工学部 教授 石丸 伊知郎 氏
物体からは、その温度に応じた中赤外領域(波長10µm=波数1,000cm-1近傍)の光が放出されている。中赤外パッシブ分光法とは、照明を用いる事無く、物体から放出される中赤外光そのものの波長ごとの輝度値である分光発光強度を計測する。例えば血糖成分のグルコースは、9.25µm、9.65µmなどに固有の発光ピークを有している。我々は、マイクロボロメーターアレイセンサーによる手のひらサイズの中赤外パッシブ分光イメージング装置を開発した。本装置は常温でのパッシブ分光が可能であり、離れた場所から腕などを観察して体内の血糖値計測に成功している。
本講演では、照明を用いる事無く遠隔から常温で広視野計測できる利点を活かした、多様な計測事例について紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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中里 英明

1980年03月 東北大学理学部天文および地球物理学科第1卒
1980年04月 富士通株式会社入社。無線事業部・特機技術部に配属。宇宙・防衛用赤外線機器開発に従事
1981年01月 (株)富士通システム統合研究所に出向。防衛用赤外機器研究・開発に特化。以来、防衛用光波システムの研究・開発に従事。
2004年06月~ (一財)防衛技術協会「防衛用赤外・ミリ波技術研究部会」および後継の「赤外・ミリ波センシング研究部会」幹事。
2016年06月~ 日本赤外線学会執行役員。2019年06月~ 副会長(~ 2021年05月)
2016年12月 富士通株式会社退職、(株)富士通システム統合研究所に再雇用。継続して光波センシング・システムの研究・開発に従事。
2022年12月 (株)富士通システム統合研究所退職、UT エフサス・クリエ株式会社に移籍し元職場に派遣。
2023年09月 派遣先が統合され富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ(株)となる。

森下 正悟

フリアーシステムジャパン株式会社

フィクスドソリューション部

2022年 フリアーシステムズジャパン株式会社入社
セキュリティー、交通系赤外線サーマルカメラ担当

石丸 伊知郎

香川大学

創造工学部 教授

1962年生まれ
1987年3月 大阪大学 工学部 産業機械工学科卒
1987年4月(株)日立製作所 生産技術研究所入社
自動化設備や半導体集積回路の光学検査装置の研究開発に従事
1999年 博士(工学)東京大学
機械学習による熟練技能の自動化に関する研究
2000年4月 香川大学 工学部赴任
2008年4月 教授昇任
赤外分光イメージングの研究に従事
平成29年度 全国発明表彰 21世紀発明奨励賞など受賞
日本光学会、応用物理学会、SPIE会員