分光セミナー

2023年11月09日(木) 10:30-13:00 アネックスホール F206
【SC-1 振動分光法の生命科学・医学応用の最前線

日本分光学会

赤外超解像顕微鏡で生体試料を観察する

岡山理科大学 理学部化学科 教授 酒井 誠 氏
振動分光法の1つである赤外分光法は、分子構造に敏感な分光法である。生体関連試料の研究にも広く用いられており、タンパク質の二次構造の決定などにも利用されている。
この分光法には様々な応用先があるが、例えば顕微鏡下での測定においては、赤外波長が長いため、マイクロメートル以下の空間分解能で試料を観察することができない。これは、光の回折限界に起因するもので、顕微鏡としては致命的な欠点といえる。

私たちは、赤外光を含む多波長レーザー分光法を利用することで、この欠点を克服した赤外超解像顕微鏡を開発した。
講演では、その測定原理について解説するとともに、赤外超解像顕微鏡で生体試料を観察した例をいくつか紹介する。
●入門程度(大学一般教養程度)/ 初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

コヒーレントラマン分光法の基礎と生命科学応用

九州大学 大学院理学研究院 化学部門 准教授 平松 光太郎 氏
コヒーレントラマンイメージングは、細胞内分子を無標識かつ高速に計測できるため、2010年頃から多くの注目を集めている。
近年では市販のコヒーレントラマン顕微鏡も登場し、生命科学・医学研究において実用できるツールとなりつつある。

一方、最近5年程度の先端研究としては、ラマンタグとの融合による超多色計測、蛍光エンコーディングによる高感度化、オミクス解析との融合、量子光学の応用による高感度化、フローサイトメトリーとの融合による大規模細胞解析などが挙げられ、更なる高感度化や新たな応用開拓が進められている。

本講演では、コヒーレントラマン散乱の基礎を解説した後に、これら最近のトピックを紹介し、コヒーレントラマン分光法を用いた生命科学研究の今後を展望することを目指す。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

ラマン分光法と低侵襲精密医療

大阪大学 大学院工学研究科物理学系専攻応用物理学コース 准教授 熊本 康昭 氏
ラマン分光法は、対象を固定、染色、破砕などにより前処理をせずそのまま分子網羅的に分析できる。
この特長を踏まえ演者はラマン分光法により、非侵襲的かつ精密な検査・診断や手術ナビゲーション、検体の前処理を必要としない迅速な精密検査・診断などの患者負担の少ない精密な検査、診断、治療支援が可能になると期待している。

本講演では、ラマン分光法により患者負担の少ない精密な医療への貢献を目指す研究や取り組みを紹介する。
ラマン分光法の医療分野への応用には、技術的な課題や開発技術の普及に向けた課題も数多く存在する。本講演ではそれらの課題を挙げると共に、課題の克服につながる研究や取り組み、アイデアを紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)/ 中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

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酒井 誠

岡山理科大学

理学部化学科 教授

1997年4月早稲田大学理工学部化学科助手、1998年11月岡崎国立共同研究機構分子科学研究所助手、2003年5月東京工業大学資源化学研究所助手、2006年7月同研究所助教授、2007年4月同研究所准教授、2016年4月より現職。

平松 光太郎

2011年3月 東京大学理学部化学科卒業
2013年3月 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 修士課程修了
2013年4月-2016年3月 日本学術振興会特別研究員DC1
2016年3月 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士課程修了
2016年3月 東京大学フォトンサイエンスリーディング大学院 修了
2016年4月 - 2016年8月 理化学研究所田原分子分光研究室 基礎科学特別研究員
2016年9月 - 現在 東京大学大学院理学系研究科化学専攻
スペクトル化学研究センター 助教
2018年10月 – 2022年3月 国立研究開発法人科学技術振興機構 さきがけ研究員
2023年10月 - 九州大学 大学院理学研究院 化学部門 准教授

熊本 康昭

大阪大学

大学院工学研究科物理学系専攻応用物理学コース 准教授

2011年大阪大学大学院工学研究科精密科学・応用物理学専攻応用物理学コース博士後期課程修了.博士(工学).理化学研究所および大阪大学大学院工学研究科の博士研究員を経て,2015年京都府立医科大学大学院医学研究科助教,2019年大阪大学大学院工学研究科助教,2023年現職.2019年よりナノフォトン株式会社技術顧問,及び京都府立医科大学大学院医学研究科研修員,2020年より分光研究編集委員,2023年より大阪大学先導的学際研究機構准教授をそれぞれ兼務.専門は紫外フォトニクス,ライフフォトニクス.日本分光学会奨励賞,応用物理学会講演奨励賞,日本生体医工学会大会Young Investigator's Award 最優秀賞等を受賞.SPIE終身会員,OPTICA会員,日本応用物理学会会員,日本分光学会会員.