光協会オープンセミナー

2023年11月07日(火) 13:20-16:15 アネックスホール F204
【OIT-1 光産業動向と革新的技術セミナー

一般財団法人 光産業技術振興協会

光産業の目指すべき方向と技術革新の必要性

光産業技術振興協会 副理事長・専務理事 小谷 泰久 氏
光情報通信、レーザ加工、光センシングなど光産業の現況について光産業技術振興協会で実施している光産業動向調査のデータに基づき紹介し、各分野において今後期待が持てる動きや問題となっている点を解説する。

上記を受けて、例えば、光電融合デバイス、光チップレットなどの光情報処理(コンピューティング分野)への展開、超高速・低消費電力の情報通信インフラの構築、光センシング、低遅延ネットワーク、次世代ディスプレイが融合したサイバー・フィジカル空間形成、自動運転・空飛ぶクルマなど新モビリティシステムに必要となる光技術について今後の技術革新の必要性について概説する。

分散コンピューティングに向けた異種材料集積技術を利用した広帯域コヒーレント光トランシーバ・光集積回路技術

光電子融合基盤技術研究所/東京工業大学 西山 伸彦 氏
2030年代には、粒度の異なる様々なデータが様々なネットワーク上で飛び交い、より高速な情報処理が必要とされる。その場合、地域的に分散した計算資源が、協力して処理を行う分散コンピューティング実現が望まれる。

そのため、それに適したネットワーク、ミドルウェア・ソフトウェア技術に加えて、マルチテラビット級の広帯域コヒーレント光トランシーバを開発しなければならない。そのトランシーバは、その広帯域性を、少ない消費電力で実現する事が求められるため、従来の延長線上ではない技術・設計思想の導入が必須となる。

本講演では、その技術のとして異種材料集積技術を利用した光集積回路とそれを利用した光トランシーバ設計について述べる。

コンピューティングのための光電変換技術

アイオーコア(株) 田原 修一 氏
AIの進展に伴い、膨大なデータを処理することが強く求められている。それに伴いサーバーやコンピュータシステムの性能向上への要望はとどまるところを知らない。これらを高性能化するために、大きな課題は消費電力の低減と、CPU、GPUなどのI/Oの高速化である。

システムにおいて通常に使われている銅配線は、データ処理速度が高速になるにつれて、消費電力などに大きな課題がある。その課題を解決するために、有望な技術が光電融合技術(フォトニクスとエレクトロニクスの振舞いを融合させた技術)である。

エレクトロニクスは、微細化技術の進展により、この30年間で広範な半導体集積回路において急速な進化を遂げてきた。一方、フォトニクスは、高速光通信やスーパーコンピュータの筺体間接続等で利用され、特定の高性能領域で威力を発揮してきた。

これらの両者を融合し、強い技術とするべく、技術研究組合PETRAでは、新規なデバイス構造に基づく、超低消費電力型の光エレクトロニクス実装基盤技術と、それらの要素技術を統合したシステム化技術等の開発を行ってきた。さらに開発した技術を基盤としてスタートアップ企業、アイオーコア株式会社を設立した。アイオーコア株式会社は新規市場を開拓し、光電融合技術の社会実装に邁進している。

本稿では、PETRAで開発してきた光電融合技術、スタートアップ企業アイオーコア株式会社でのIOCoreTMの開発の歩みを示し、光電融合技術が拓く新たなコンピューティング領域を概説する。

シリコンフォトニクス光集積型FMCW LiDARの開発

横浜国立大学 馬場 俊彦 氏
3次元イメージセンサであるLiDARは、自動運転をはじめ様々な応用が期待され世界中で開発が進んでいる。

特にビームスキャン型FMCWライダは、コヒーレント検波による高感度やドップラー検出による動きの検出が可能で、環境ノイズ光耐性も高い。
他のLiDARと比べて構成が複雑になるが、シリコンフォトニクスを用いれば、コヒーレント干渉計だけでなく、ビームスキャン機構も集積し、LiDARをワンチップ化できる可能性がある。

本記事はこのような背景と開発の現状、ならびに筆者による実例を紹介する。

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小谷 泰久

光産業技術振興協会

副理事長・専務理事

1978年3月 東京大学工学部電気工学科卒業、1980年3月 東京大学大学院情報工学専門課程修了、1980年4月 通商産業省入省、1991年4月 工業技術院総務部大型プロジェクト室補佐 1992年4月 京都府庁商工部工業課長、1994年7月 JETROイスタンブール事務所部長、1997年7月 通商産業省機械情報産業局素形材産業室長、1999年7月 製品評価技術基盤機構企画管理部長、2001年7月 経済産業省産業技術環境局知的基盤課長、2003年8月 新エネルギー・産業技術総合開発機構アジア地域総代表・バンコク事務所長、2007年7月光協会専務理事、2017年6月光協会副理事長(専務理事兼務)

西山 伸彦

光電子融合基盤技術研究所/東京工業大学

工学院電気電子系 教授

2001年東京工業大学総合理工学研究科博士課程修了.博士(工学).同年米国コーニング社入社.2006年東京工業大学理工学研究科助教授として着任.2020年より同大工学院電気電子系教授. 2021年よりPETRA異種材料集積デバイス・分散コンピューティング研究開発本部長兼務.半導体レーザ,異種材料集積をコアとするシリコンフォトニクスに関する研究に従事.

田原 修一

アイオーコア株式会社

取締役CFO

1981年九州大学大学院工学研究科卒業。
同年NEC入社。
2007年NECナノエレクトロニクス研究所所長。
2012年中央研究所理事。
その間、シリコンフォトニクス、スピントロニクス、超電導デバイス、スマートエネルギー関連技術など幅広い研究開発およびそのマネジメントに従事。
2016年よりPETRA専務理事。光電融合技術の開発に注力。
NEDO光エレ実装PJにて高い評価を得る。
2017年アイオーコア社の新設分割に貢献。
2022年アイオーコア社入社。取締役CFO。
1988年から1989年にかけて、スタンフォード大学客員研究員。
IEEEフェロー。応用物理学会フェロー。工学博士。

馬場 俊彦

横浜国立大学

教授

1990年横浜国立大学大学院博士課程修了。工学博士。1994年同大学助教授、2005年教授、現在に至る。シリコンフォトニクス、フォトニック結晶、ナノレーザ、スローライト、LiDARなどを研究。日本学術振興会賞、文部科学大臣表彰科学技術賞、IEEE・Opticaフェローなど。