感覚・感性セッション

2024年07月17日(水) 15:15-17:30 マイドームおおさか(8F会議室)
【STC-3 【感覚・感性セッション】ヒトの感覚、感性のセンシングとその応用

人の知覚や感性・こころの理解は、人が関わるセンサ・システムやメンタルヘルス評価等のために非常に重要です。
本セッションでは、ヒトの触知覚、脳と感情に関する最先端の研究と、人が心地よいと感じる室内環境創出への応用例について紹介します。

触感とは何か?測る前に知って欲しいヒトの触知覚原理

東京都立大学 情報科学域 教授 岡本 正吾 氏
工業試験機による計測では「触り心地」はなかなか評価できません。ヒトに備わった触知覚機能は、物理的・機械的な量を計測することはできないし、それをする必要もないからです。

私たちはまず、ヒトの触知覚方法を知らねばなりません。ヒトに備わった皮膚・受容器・認知機構がどのように機能しているかを解説します。

触感の評価時に注意すべき、指の個人差にも言及しながら、テクスチャ(粗さ・摩擦)と硬軟の知覚メカニズムについて特に解説をいたします。

脳波・自律神経系活動とエクソソームの計測に基づいた統合的な「こころ」の定量化

東北大学 大学院生命科学研究科 教授 筒井 健一郎 氏
筒井が代表をつとめるムーンショット目標9のプロジェクト「多様なこころを脳と身体性機能に基づいてつなぐ「自在ホンヤク機」の開発」では、主に脳・生命科学の技術にもとづいたこころの計測技術と、バーチャルリアリティやロボット工学に基づいたこころの介入技術を融合して、社会のさまざまな場面で人々のコミュニケーションを支援するための技術・製品を研究開発することを目標としている。
この講演では、その技術的基盤の2本柱の一つである、脳・生命科学の技術にもとづいたこころの計測技術について紹介する。

脳神経系からのこころの状態の読み取り技術としては、脳波などの電気生理学的測定が再び脚光を浴びている。電気生理学的測定は、大きな施設が必要な機能的MRI等に比べて、軽装備かつ経済的で、広い社会実装に適している。これまで、覚醒や緊張の度合いをある程度読み取ることが可能になっているが、本プロジェクトでは、計測データの数理的解析法を作り込むことにより、リアルタイムにさまざまな感情を読み取ることを目指している。

電気生理学よりもより長期的な、数日から数週間の時間のスパンでこころの状態を読み取る対象として、エクソソームに注目している。エクソソームとは、体内のあらゆる臓器の細胞から放出される小胞で、内部には、由来細胞のマイクロRNAやタンパク質などを含んでいる。したがって、このエクソソームに含まれるマイクロRNAやタンパク質を解析することにより、身体の様々な臓器の状態に反映されるこころの状態が読み取ることが出来ると期待されている。本プロジェクトではまず、ストレスの度合いが血中のエクソソームに反映されることを明らかにしている。将来的には、中長期的な心身の充実度や、性格傾向などを読み取ることを目指している。

IAQ(Indoor Air Quality)の重要性と各種指標の計測センサ技術の可能性

シー・エイチ・シー・システム(株) 代表取締役 渋谷 俊彦 氏
室内の空気の状態・品質を室内空気質(IAQ)と言い、構成要素ごとに定量的な指標・管理基準が定められている。例えば、室内のCO2濃度によって、空気の汚染の度合いと換気効率を定量的に把握することが可能となる。
「換気の見える化」を行い、換気設備を自動制御することで、IAQを適正レベルに保つとともに、エアコンに要する電気料金の削減も可能となる。

本講演では、在室者の健康面や生産性だけでなく、省エネルギー(CO2排出量削減)の観点からも、IAQが果たす役割の大きさについて、具体的な事例を交えて紹介する。
同時に、各種指標の計測センサ技術を用いた共同研究などの取り組みを紹介しつつ、今後の新たな活用の可能性についても述べる。
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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岡本 正吾

東京都立大学

情報科学域 教授

博士(情報科学).東北大学大学院情報科学研究科で博士号を取得.名古屋大学大学院工学研究科講師,准教授を経て,現在は東京都立大学システムデザイン研究科 教授.専門はハプティクス,人間情報学,感性科学・工学,拡張現実.人間の感覚と運動を情報科学の手法で理解・支援する研究を行っている.曖昧な人間の感性を計算し,感性に訴える製品とサービスづくりを支援する技術開発も推進.

筒井 健一郎

東北大学

大学院生命科学研究科 教授

東京大学卒業、東京大学大学院博士課程修了・博士(心理学)。日本学術振興会 特別研究員(PD)(所属先:日本大学医学部)、ケンブリッジ大学解剖学 Research Associate(助手)を経て、東北大学大学院生命科学研究科・助教授、 のち職階制改正に伴い、准教授。2017年 同教授。 2002年 日本神経科学学会奨励賞、2005年 日本心理学会国際賞奨励賞受賞。2022年より、内閣府・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)ムーンショット事業 目標9「2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現」におけるプロジェクト「多様なこころを脳と身体性機能に基づいてつなぐ「自在ホンヤク機」の開発」の代表(プロジェクトマネジャ)をつとめる。

渋谷 俊彦

シー・エイチ・シー・システム株式会社

代表取締役

1977年生まれ(東京都出身)

【学歴】
早稲田大学理工学部(大気環境工学、建築設備)卒業
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)建築環境工学大学院修了
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)建設経済・経営学大学院修了

【職歴】
2000年 東京電力株式会社 入社
2012年 システム・ハウジング建設株式会社 取締役、シー・エイチ・シー・システム株式会社 取締役
2015年 システム・ハウジング建設株式会社 代表取締役
2016年 ティー・ツー・ピー・アーキテクツ株式会社設立 取締役
2019年 シー・エイチ・シー・システム株式会社 代表取締役