オプティクスセミナー

2024年10月30日(水) 10:30-13:00 アネックスホール F206
【OS-1 最先端の光制御 〜メタサーフェス/メタマテリアル〜

誘電体メタサーフェス・メタレンズの設計・製造の基礎

東京農工大学 大学院工学研究院 准教授 岩見 健太郎 氏
サブ波長サイズのナノ構造”メタ原子”を配列した位相格子である”メタサーフェス”が注目を集めている。メタサーフェスによるレンズ”メタレンズ”は、偏光分離イメージングのような新機能や、高NAと高効率の両立などの特徴から、次世代の超薄型素子として期待されている。メタサーフェスは平面的な構造を持つメタマテリアルの一種であり、実効屈折率が制御されたメタ原子の配列によって波面を設計するという考え方に基づく。メタサーフェスおよびメタレンズは、近年の可視高効率メタレンズの報告などによって、世界的に研究が活発化している。

我々は、誘電体メタサーフェスに基づいて、可変焦点メタレンズ・偏光分離レンズ・多色ホログラムなどの各種アプリケーションを報告してきた。代表的な加工法としては、電子線リソグラフィと反応性イオンエッチングを採用している。本講演では、これらメタサーフェス・メタレンズの設計・製作法と、各種アプリケーション、およびそれらをめぐる課題について報告する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)/中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

ランダム構造に基づいた新規プラズモニック・メタマテリアル

大阪公立大学 大学院工学研究科 電子物理系専攻 教授 岡本 晃一 氏
メタマテリアルは自然界に存在しない人工材料であり、特に金属ナノ構造を用いたプラズモニック・メタマテリアルは、可視波長領域で光学特性を自在に制御できる点で注目されている。

我々は、従来のトップダウンの微細加工技術を用いず、簡便かつ安価に大面積で作製可能なランダムナノ構造に基づく新たなプラズモニック・メタマテリアルを開発した。これにより、共鳴波長のフルカラー調整が可能となり、ナノレーザーや高効率・高速LEDといった次世代光デバイスへの応用において重要な役割を果たすことが期待されている。
また、バイオセンシングや光触媒、イメージング分野でも、この技術の革新性が期待されており、特に高感度検出や効率的な光エネルギー変換、従来を超える解像度のイメージングが可能になる。

このようなスマートフォトニクス技術は、従来の光デバイスの限界を超えた新しい次元を切り開き、光デバイスの高効率化・高感度化・高速化・超小型化・高集積化を促進する。これにより、次世代の超スマート社会の実現を支える基盤技術として、我々の生活や産業に大きな影響を与えることが期待される。

講演では、シミュレーション動画を交えて、これらの技術について詳しく解説する予定である。
●一般的(高校程度、一般論)

多層膜の光学特性と多層膜を用いた熱放射の波長制御

物質・材料研究機構ナノアーキテクトニクス材料研究センター チームリーダー
石井 智 氏
多層膜は単純な構造でありながら、光(電磁波)の伝搬を制御するのに有用である。

本講演では、始めに周期多層膜の光学特性を概説する。周期が波長と同程度の周期多層膜の場合は分布ブラッグ反射器(DBR)を取り上げる。一方、周期が波長より十分小さな周期多層膜は実効的に非常に大きな異方性を持つ場合があることを紹介する。

続いて、DBRを使いて電磁波による熱輸送である熱放射の波長を制御した応用例を3種類紹介する。DBRと金属薄膜を積層すると、キャビティのない共振器のような特性を持ち、半値幅がサブミクロンの狭帯域な熱放射が得られる。狭帯域熱放射の中心波長は、DBRの膜厚を調整することで任意に制御可能である。

また、紫外の反射率が高いDBRと銀薄膜を用いると、99%に迫る高い太陽光反射率が得られ、DBRと基板は赤外の放射率も高いため、屋外で受動的に冷却する日中放射冷却膜になる。更に、簡易な日中放射冷却構造としてガラス基板とアルミ薄膜からなる構造を採用し、それを熱電素子の上に設置すると、24時間発電可能な素子になる。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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岩見 健太郎

東京農工大学大学院工学研究院

准教授

1980年生.2003年東北大学工学部機械電子工学科卒業。2008年同大学院工学研究科ナノメカニクス専攻博士後期課程修了、博士(工学)。2005年より日本学術振興会特別研究員(DC1)。2008年より東京農工大学大学院共生科学技術研究院機械システム工学専攻助教。2011年 スタンフォード大学Visiting Scholarを経て2012年より東京農工大学大学院工学研究院准教授、現在に至る。メタサーフェス・NEMS/MEMSの研究に従事。日本光学会,日本機械学会,電気学会,応用物理学会,IEEE, SPIE各会員。

岡本 晃一

大阪公立大学

大学院工学研究科 電子物理系専攻 教授

1998年京都大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了.博士(理学).同年京都大学ベンチャービジネスラボラトリー博士研究員,2000年日本学術振興会特別研究員,2001年カリフォルニア工科大学電気工学科博士研究員,2005年同大学 物理学科シニア・リサーチ・フェロー,2006年科学技術振興機構さきがけ研究者,2007年京都大学大学院工学研究科特命准教授,2011年九州大学先導物質化学研究所准教授,2018年大阪府立大学大学院工学研究科教授,2022年大阪公立大学大学院工学研究科教授.プラズモニクス,メタマテリアルの研究に従事.2020年からプラズモニクス研究会代表幹事.2024年から日本学術会議連携会員を兼任.著書アクティブ・プラズモニクス(2013年コロナ出版)など.

石井 智

物質・材料研究機構ナノアーキテクトニクス材料研究センター

チームリーダー

2012年3月 Purdue大学大学院電気情報工学専攻修了 2012年4月~2012年10月 日本学術振興会 海外特別研究員 2012年11月~2014年5月 情報通信研究機構未来ICT研究所研究員 2014年6月~2017年3月 物質・材料研究機構構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点研究員 2017年4月~2020年3月 同上 主任研究員 2020年4月~2023年3月 同上 主幹研究員 2023年4月~現在 現職