赤外線セミナー

2024年10月30日(水) 13:30-16:00 アネックスホール F206
【IR-1 赤外線イメージセンサと赤外線カメラの最新技術 ーローエンド製品から高性能製品までー

小フォーマット非冷却赤外線イメージセンサ技術

三菱電機(株) 先端技術総合研究所 先進機能デバイス技術部 画像デバイス技術グループ
主席研究員 花岡 美咲 氏
赤外線は我々が目で見る可視光よりも波長が長く、小さなエネルギーを持つ光であり、特に波長8µmから14µmの長波長赤外線は、人間や動物など常温程度の熱を持つ物体から多く放射される。

赤外線の検出原理として、光の持つエネルギーによる電荷励起を起因とした量子型と、光のエネルギーを熱に変換して検出する熱型の検出原理がある。量子型は雑音対策のため冷却機構が必要であり、より小型で安価な赤外線センサとしては、微細加工による局所断熱構造を取り入れた熱型の非冷却赤外線センサが普及している。三菱電機では、熱型の非冷却赤外線センサとして、Silicon-on-Insulator(SOI)層に形成したpn接合のダイオードを温度センサとして用いており、入射赤外線をBuried Oxide(BOX)層で吸収、温度上昇によるダイオードの出力変化を利用して赤外線を検出している。

当社独自方式であるこの検出方法を用いた赤外線センサMelDIR(メルダー)を2019年より民生向け製品として販売を開始した。
画素数80×32(MIR8032B1)と画素数80×60(MIR8060B1、MIR8060B3)のセンサを製品化しており、画像として識別可能な温度差(温度分解能)は100mK(MIR8060B3は高温検知が可能な250 mK)、フレームレートは4 Hz(MIR8060B1、MIR8060B3は8Hzも選択可能)で駆動できる。現在は主に、家庭向けエアコンの制御やプライバシーに配慮した人の状態監視システムに適用されている。

本講演では、赤外線センサの基礎から、小フォーマット非冷却赤外線イメージセンサを用いたアプリケーションを中心に、将来製品に向けた開発技術について紹介する。
●一般的(高校程度、一般論)

シャッターレス遠赤外カメラモジュール開発

(株)タムロン 特機事業本部 ICM技術部 部長 岩本 暢 氏
カメラ開発では、可視光・遠赤外線問わず、光線を取り込むレンズ、電気信号に変換するセンサー、取り込んだデータを扱いやすい様に加工する画像処理部を中心とした、信号処理システムの構築が必要である。

しかし遠赤外領域では、主要構成部品に可視カメラ向けの様なデジカメやスマートフォン等で身近な一般的・安価な部品は少ない。また遠赤外向けレンズ、遠赤外向けセンサー、画像処理部も特殊の部品を組み合わせる為、調達性やコスト増大が大きな課題になる。加えて、遠赤外カメラでは被写体が熱エネルギーである為、カメラ自体の内部発熱や、被写体以外の周囲温度など、外的・内的な要因が画像に大きく影響を及ぼす。熱分離する機構の対策も必須となり、さらなるコスト増の原因となる。

当社では、ソフトウエア処理を前提とした遠赤外カメラシステム構築に取り組み、機構部品を低減した低画素シャッターレスカメラ製品化を実現した。

本講演では、システムと課題解決事例を中心に概説し、低画素遠赤外カメラの活用例・応用例を紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

非冷却赤外線カメラ技術

(株)JVCケンウッド イノベーションデザインセンター 林 啓太 氏
近年非冷却赤外線センサの狭小ピッチ化や多画素化が進み、VGA(12umセル、640x480センサが主流となっている。赤外線カメラは光の届かない夜間や逆光などの影響を受けず、雨や霧のような悪天候においても光の散乱が少ないことから可視化に有利である。
さらに従来のQVGA→VGA化にともない遠方の人物を鮮明に撮像することが出来るため、物体認識性能の向上が見込める。

しかし、霧や雨などの悪天候環境では水成分が赤外線光を吸収する影響から、赤外線カメラに到達するエネルギーが減衰し、センサーセルサイズの縮小も影響してコントラストの低下を招く。AIなどの物体認識と組み合わせ、昼夜・悪天候問わず様々な環境において安定的に性能を維持するためには、カメラの高感度化と最適な認識画像を生成する技術が必要である。

本講演では、AI認識と組み合わせたセンシングデバイスとしての開発事例として、高感度カメラユニットの開発や物体認識に適切な画像を生成する画像処理技術の開発、
開発時の不具合や改善事例など交えながら紹介します。また、直近の弊社の取り組みや開発技術の応用例についても紹介します。
●一般的(高校程度、一般論)/ 入門程度(大学一般教養程度)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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2019年 名古屋大学大学院 理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻
(所属研究室:宇宙物理学研究室 赤外線グループ)
博士後期課程修了 学位取得(理学博士)
同年 三菱電機株式会社 入社
先端技術総合研究所 先進機能デバイス技術部 配属
2019年より現在まで 非冷却赤外線センサの開発に従事
~受賞歴~
2024年 日本赤外線学会 第11回研究奨励賞

岩本 暢

(株)タムロン

特機事業本部 ICM技術部 部長

1999年 京都大学工学部卒。
卒業後は主に大手電機/光学メーカに所属し、組み込みソフトウエア制御を専門分野として、カメラやレコーダなど映像機器開発に携わる。
2009年より株式会社タムロンに入社し、同社レンズ製品を活用したカメラモジュールの技術検討を担当。同社カメラビジネスの立ち上げに携わる。可視領域のカメラ開発に加え、遠赤外は原理試作・検討から参加し、同社の遠赤外カメラモジュール製品の立ち上げに関与した。
現在も、同社で引き続きビジネス拡大を目指し、各種カメラ開発と将来に向けた技術検討の取りまとめを、マネージャの立場から推進中。

2009年 JVCケンウッドホールディング株式会社 入社。
2011年 株式会社JVCケンウッドへ社名変更
民生カムコーダ―のLSI開発業務に従事したのち、オートモーティブ分野にて車載用カメラ先行開発業務を担当。現在、遠赤外線カメラシステム開発業務に従事。