光技術×半導体産業

2024年10月30日(水) 13:00-16:05 アネックスホール F202
【OSM-1 オープンセミナー「光技術×半導体産業」

半導体・デジタル産業戦略

経済産業省 デバイス・半導体戦略室 室長 清水 英路 氏
経済産業省では半導体・デジタル産業戦略に基づいて、あらゆる産業の基盤となる先端半導体の製造能力を国内に確保するべく、様々なプロジェクトをダイナミックに展開している。半導体・デジタル産業戦略の中でも、光電融合は我が国に強みのある将来技術として、大きな期待が集まっている技術であり、経済産業省はグリーンイノベーション基金事業やポスト5G基金事業を活用して技術開発を支援している。
本講演では上記のさまざまな施策を紹介する。

半導体後工程へ向けたAIレーザー微細加工

東京大学 物性研究所 教授 小林 洋平 氏
半導体基板では層間の電気信号をつなぐ微細な穴が無数にあるが、これらはレーザー加工であけられている。現在は40ミクロン程度の穴を炭酸ガスレーザーで加工している。この先、チップ配線の微細化やチップレット化に伴い後工程側の基板配線も微細化するため、10ミクロンを切るような微細穴あけ技術が求められている。これら基板の材料や微細穴あけ加工装置は日本が強く、現在世界のシェアの大部分を占めるに至っている。今後も日本の微細穴あけ加工技術の強さを維持し、発展させることが重要である。

微細になっていくと加工条件の探索が難しくなる。そこで、我々は微細レーザー加工の条件探索にAIを適用する研究を進めている。近年、深層学習を取り入れたレーザー加工シミュレーションの構築に成功した。この技術を発展させるためには教師データを大量に取得することが最も重要となる。そのため、全自動でレーザー加工データを取得できる装置を開発・運用している。また、産官学でこの技術を推し進めるべく、TACMIコンソーシアムを運営している。現在130法人が参画している。当日これらの活動についてご紹介する。

半導体パッケージ基板向け層間絶縁材料と高密度化技術の開発について

味の素ファインテクノ(株) 研究開発部第3グループ 係長 廣庭 大輔 氏
半導体パッケージ基板は、PCやスマホ、自動車、データセンタなど、多岐にわたる分野で活用されているが、さらなるIoT、高度通信技術、生成AIなどの普及に伴い、情報量が増大するため、情報伝達の高速化や大容量化に対応することが求められている。こうした要求に応えるため、高密度な配線が形成され、複数のチップが搭載された2.5D基板や3D基板などの先端半導体パッケージ基板が開発されている。

当社では、これら先端半導体パッケージ基板に使用されている層間絶縁樹脂の開発を行っているが、本発表では、これまでの半導体パッケージ向け層間絶縁樹脂の変遷と層間絶縁樹脂に関して、配線形成やビア形成などの層間絶縁樹脂への加工の結果を絡めて紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

EUV光源開発の最新動向と九州大学・EUVフォトン社におけるEUV研究活動の紹介

九州大学 九州大プラズマ・ナノ界面工学センター 客員教授
EUVフォトン 取締役兼CTO
溝口 計 氏
波長13.5 nmのEUV光は反射光学系(反射率68%程度)による縮小投影を用いたリソグラフィで1986年にNTTの木下ら4)により提唱された日本発の技術である。しかしながら、現在は世界の EUV リソグラフィの最先端量産用露光装置開発はオランダの ASML 社主導のもとに進んでいる。

近年光源の出力改善が進み、2017 年に発売された ASML 社の NXE-3400 において 250 W(設計値)を達成し、スループットは 125 WPH を超えた。Apple 社の iPhoneXII 台湾の TSMC 社で EUV を使った 5 nm プロセスで量産される A14 チップが搭載され、これを皮切りに現在さらに4nmへと微細化が進んでいる。また、三星電子はEUV 露光装置をメモリの量産ラインに導入し、量産を行っている。EUV 露光装置の出荷台数(見込)は、2019 年に累積 34 台、2024 年には 300 台を超えると予想される。まさに EUV リソグラフィ量産時代に突入したと言っても過言ではない。

本講演では、まず最近の世界のEUV光源開発の最新動向について解説する。また高出力化が進められているEUV光源開発の課題と問題点についても解説する。さらに日本の優れたEUV材料開発を支援するために、九州大学が設立したEUVフォトン社の今後の活動計画についても紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

EUVマスク欠陥検査装置の最新動向

レーザーテック(株) 技術五部 部長 宮井 博基 氏
半導体デバイスの高機能化、動作速度向上、消費電力低減のため、EUV露光を用いた電子回路パターンの微細化が進められています。露光時に用いられるフォトマスクに欠陥が存在すると、欠陥は繰り返しウェハに転写して製品不良を発生させてしまうため、フォトマスクの欠陥検査と転写性欠陥の管理は半導体製造において重要な役割を果たしています。

EUVリソグラフィーでは従来とは異なる反射型多層膜を用いたフォトマスクが使用されており、露光と同じ波長を用いるアクティニック検査を用いることで検出可能になる位相欠陥と呼ばれる欠陥が存在します。転写性のあるこの欠陥を確実に検出するにはアクティニック検査機が必要です。

本セミナーでは進化を遂げてきたEUVアクティニック検査技術全般と共に、マスクブランクス検査、マスクパターン検査への適用事例を紹介します。また、更なる半導体デバイスの微細化のため開発が進められているHigh-NA EUVリソグラフィーに向けたフォトマスク検査機の開発、評価の結果についても紹介します。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

先端半導体デバイス向けEUV露光装置

ASMLジャパン(株) テクニカル マーケティング ディレクター 永原 誠司 氏
ロジックやDRAMの先端デバイスの微細加工に、極端紫外線(EUV)リソグラフィ技術が広く用いられている。半導体デバイスのさらなる微細化に伴い、0.33の開口数(NA)の露光装置による超改造技術によるパターニングに加え、最先端の0.55 NA(高NA)の露光装置によるパターニング評価が進んでいる。また、EUVリソグラフィのコスト低減のため、高スループット化の技術開発も進んでいる。

先端デバイスでは重ね合わせ精度の改善もデバイスの歩留まり改善のために重要であり、改善活動が進んでいる。また、EUVリソグラフィのエネルギー消費量の削減も需要な課題であり、ASMLではウェーハ当たりのエネルギー効率の改善を進めている。
本公演では、これらの課題の対策状況も含め、EUVリソグラフィの最新状況を報告する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
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清水 英路

経済産業省

デバイス・半導体戦略室 室長

・2006年経済産業省入省。米カリフォルニア大学バークレー校にて、公共 政策学修士を取得。
・2017年より、内閣総理大臣補佐官秘書官、通商政策局経済連携課課長補佐、産業技術環境局総務課政策企画委員、大臣官房総務課政策企画委員を経て、2023年7月より現職。

小林 洋平

東京大学

物性研究所 教授

1989年 北海道立札幌南高校卒
1993年 東京大学工学部物理工学科卒業
1998年 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了,工学博士.
1998年 工業技術院電子技術総合研究所入所
2001年 改組により産業技術総合研究所となる.
2008年 東京大学物性研究所准教授,2018年同教授,今に至る.
専門はレーザー開発とその応用.
2017年より TACMIコンソーシアム代表

廣庭 大輔

味の素ファインテクノ株式会社

研究開発部第3グループ 係長

2006年 4月:シャープ株式会社入社
2012年 7月:学校法人立命館着任
※博士(工学)取得 2015年3月
2016年 10月:株式会社アルバック入社
2023年 12月:味の素ファインテクノ株式会社入社
現在に至る

溝口 計

九州大学

九州大プラズマ・ナノ界面工学センター 客員教授

EUVフォトン

取締役兼CTO

1982年九州大学総合理工研究科修了。同年コマツ入社、以来CO2レーザ、エキシマレーザ、EUV光源の研究開発に従事。2000年にギガフォトン(株)創業。同社の研究開発部門の責任者を長年務めた、2008年から2018年まで同社代表取締役副社長(兼)CTOを歴任。2023年3月ギガフォトン社を定年退職。
現在、ギガフォトン・技術顧問。九州大学 プラズマ・ナノ界面工学センター客員教授、九州大学・EUVフォトン社取締役 兼 CTO。
 SPIEフェロー。工学博士(1994年九州大学工学部)。日本レーザー学会 諮問委員、正会員。日本応用物理学会 正会員。IAAM会員。レーザー学会産業賞を授賞(2010年、2020年)。一般財団法人 光産業技術振興協会 第33回桜井健二郎氏記念賞受賞(2017年)

宮井 博基

レーザーテック株式会社

技術五部 部長

1999年 横浜国立大学大学院修士課程を卒業、川崎重工株式会社入社
2002年 レーザーテック株式会社に入社
2009年 EUVマスク欠陥検査機の開発を担当
2013年 EUVマスクブランクス検査装置に関するPhotomask Japanでの発表でベストオーラルプレゼンテーションを受賞
2018年 EUVマスクブランクス検査装置の開発がマスク業界に貢献したことから、SPIEよりBACUS Awardを受賞
2019年EUVマスクパターン検査装置に関するPhotomask Technologyでの発表でベストオーラルプレゼンテーションを受賞

永原 誠司

ASMLジャパン株式会社

テクニカル マーケティング ディレクター

永原誠司は、現在ASML Japanにて、テクニカル マーケティング ディレクターとして、技術マーケティング活動に従事している。ASMLに所属する前は、東京エレクトロンにて、シニアチーフエンジニアとして、塗布現像装置のマーケティングと開発を担当した。さらに、TEL入社前は、NEC(その後、NECエレクトロニクス、ルネサスエレクトロニクスに社名変更)にて、リソグラフィエンジニアとして、先端技術開発を行った。
先端リソグラフィ技術に関して、IMEC、カリフォルニア大学バークレー校、米エネルギー省アルゴンヌ国立研究所、東芝(駐在)、EIDECでも研究開発を実施。DUV, EUV, EBリソグラフィ、DSA、NILなどに関連した研究開発を幅広く経験している。