宇宙・天文光学 特別技術セミナー

2026年04月23日(木) 09:30-12:25 アネックスホール F202
【SA-1 JAXAの研究者が語る宇宙コース

いぶきGW(GOSAT-GW)搭載TANSO-3の開発と運用

宇宙航空研究開発機構 岡村 吉彦 氏

第一宇宙技術部門 GOSAT-GWプロジェクトチーム ミッションマネージャ
温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」(GOSAT-GW)は、温室効果ガス観測センサ3型(TANSO-3)と、高性能マイクロ波放射計3(AMSR3)という2つの観測センサを搭載し、温室効果ガスや地球の水を宇宙から見守る地球観測衛星です。いぶきGWは、2025年6月29日H-ⅡAロケット50号機で打上げられ、10月9日から定常運用(初期校正検証運用)を実施しています。 

TANSO-3は2009年に打上げられた「いぶき」(GOSAT)及び2018年に打上げられた「いぶき2号」(GOSAT-2)の温室効果ガス観測ミッションを、AMSR3は2012年に打上げられた「しずく」(GCOM-W)の水循環変動観測ミッションを、発展的に継続します。環境省からの委託によりJAXAが開発を実施したTANSO-3は、これまでのフーリエ干渉分光方式から新たに回折格子型分光方式を採用したことで、空間的に詳細化した温室効果ガスの観測が可能となります。また,TANSO-3では、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)に加えて、新たに二酸化窒素(NO2)の観測も実施します。 

本講演では、いぶきGW のうち主にTANSO-3センサの開発・運用についてご紹介します。 

●入門程度(大学一般教養程度)

ガンマ線バースト探査衛星HiZ-GUMDAMの可視光・近赤外線望遠鏡

宇宙航空研究開発機構 篠崎 慶亮 氏

研究開発部門 主任研究開発員 
 HiZ-GUNDAMは、ガンマ線バーストという宇宙最大の爆発現象およびその残光を捉えることで、宇宙で最初の世代と呼べる星の誕生と終焉、およびその時代の銀河間ガスの物理状態を解明することを目指すミッションです。

ガンマ線バーストを捉える広視野のX線モニタと、残光をいち早く観測する赤外線望遠鏡の搭載を提案しています。
このうち可視光・近赤外線望遠鏡MONSTERは0.5~2.5μmの波長範囲を5分割して同時観測することを目指します。

 本講演では、HiZ-GUNDAM計画の概要および可視光・赤外線望遠鏡の開発の現状について、宇宙特有の冷却技術を交えながら紹介します。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

JAXAにおける地球観測用ライダーの開発

宇宙航空研究開発機構 片山 晴善 氏

研究開発部門センサ研究グループ 主任研究開発員
衛星搭載のライダーは、宇宙からの森林バイオマスの高精度推定や高精度な地形情報取得等に貢献する技術であり、今後の地球観測においても欠かせない技術とされている。
JAXAでは、日本初のレーザーによる森林観測ミッションであるISS搭載ライダー実証(MOLI)及び、高さ方向の高精度観測を可能とする高度計ライダー衛星の開発を行っている。 

本講演では、衛星搭載ライダーの基礎的な原理や地球観測への応用を解説するとともに、MOLIおよび高度計ライダー衛星の概要を紹介する。 

●入門程度(大学一般教養程度)

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2026年04月24日(金) 09:30-12:25 アネックスホール F202
【SA-2 国立天文台を活用する研究者が語る天文コース

可視・赤外観測で明らかにする系外惑星の姿

アストロバイオロジーセンター 森 万由子 氏

系外惑星探査プロジェクト室 若手研究者雇用特別研究員
太陽系の外に存在する惑星「系外惑星」は、現在では6000個以上が知られるようになり、その性質が驚くほど多様であることが分かってきました。密度や軌道、大気の有無といった個々の系外惑星の性質を詳しく調べるために、可視光・赤外線による観測が大きな役割を果たしています。

特に、2021年に打ち上がったジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、トランジット分光法による惑星大気組成解析において観測精度を飛躍的に向上させました。現在では、海王星以下のサイズの惑星についても、その大気組成が明らかになりつつあります。また、2030年代には口径30mクラスの大型望遠鏡の運用が始まり、アストロバイオロジーにつながる「第二の地球」探しが今後ますます加速すると期待されています。一方で、大型装置による観測だけでなく、1m級の地上望遠鏡を用いた継続的な観測も、惑星系の詳細な特徴づけには不可欠です。

本講演では、可視・赤外観測が系外惑星の発見や半径・質量・大気の特徴づけにどのように貢献してきたのかを解説します。また、2030年代の大型望遠鏡時代を見据え、装置の安定性や恒星の磁気活動の理解など、現在世界的に取り組まれている課題についても紹介します。

●入門程度(大学一般教養程度)

超大型望遠鏡TMTで迫る太陽系外惑星の姿

国立天文台 寺田 宏 氏

TMTプロジェクト 教授
国立天文台では、カナダ・インド・米国との国際共同開発で次世代の超大型光学赤外線望遠鏡Thirty Meter Telescope(TMT)計画を推進しています。

TMTは字句通り口径30mを有する望遠鏡で、日本の誇るすばる望遠鏡を含む現存の最大口径8-10m望遠鏡群を遥かに凌ぐ集光力(約10倍)と補償光学システムを生かした圧倒的な空間分解能(James Webb Space Telescopeの約5倍)を2030年代に実現する予定です。この望遠鏡開発の中で、日本は望遠鏡本体構造、及び492枚の分割鏡から成る望遠鏡主鏡の主要部分、さらには科学観測装置の開発までを担当し、計画の核心部分に重要な技術貢献を行っています。

TMTが切り拓く科学フロンティアは、太陽系内天体研究から宇宙論まで幅広い宇宙・天文分野を含み、それぞれの科学需要に対して革新的な知見をもたらすことが期待されています。特に、近年進展が目覚ましい太陽系外惑星探求分野においては、TMTが提供する超高感度・超高解像度の観測威力が存分に発揮され、太陽系外惑星研究は「発見」のフェーズから本格的な「精密科学分析」へと質的転換が見込まれます。

本講演では、TMT望遠鏡の概要、及びこれが実現する科学を概説した後、昨秋概念設計を完了したばかりの先進的な近赤外線ファイバー高分散分光装置(MODHIS)を中心にTMTで計画されている太陽系外惑星観測装置群についてご紹介する予定です。

●中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

分光測定による光合成研究から太陽系外生命探査まで

アストロバイオロジーセンター / 基礎生物学研究所  滝澤 謙二 氏

副センター長 / 特任准教授
植物は光エネルギーを利用して水と二酸化炭素から炭水化物を合成する「光合成」により生長するため、効率的で柔軟な集光・エネルギー変換メカニズムを備えている。

光合成反応系を構成する各要素はそれぞれ特定波長の光を選択的に吸収するため、様々な励起光を組み合わせた分光測定により生体内の光合成反応を非破壊で測定することができる。分光測定は光合成研究の主要なツールとして実験室では古くから用いられてきたが、光源と検出器の小型化により近年では野外調査においても一般的になりつつある。

植物の葉が全体として示すより波長幅が広い吸光特性は遠隔観測でも確認できるため、衛星リモートセンシングによる植生調査などに利用されている。特に赤色光の吸収と近赤外線の反射により形成される「レッドエッジ」は顕著であるため、将来の太陽系外生命探査においても重要な手がかりになると期待されている。

実験室における光合成研究と、野外の植生調査、太陽系外惑星の生命探査では観測対象のスケールが全く異なるが、光合成に由来するシグナルの分光観測という意味では共通しており、連続した研究と技術開発が可能である。

●入門程度(大学一般教養程度)

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岡村 吉彦

宇宙航空研究開発機構

第一宇宙技術部門 GOSAT-GWプロジェクトチーム ミッションマネージャ

2000年、宇宙開発事業団(現、宇宙航空研究開発機構)入所。気候変動観測衛星「しきさい」搭載の多波長光学放射計(SGLI)や、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」搭載の温室効果ガス観測センサ3型(TANSO-3)など、主に衛星搭載光学センサの開発・運用に従事。

篠崎 慶亮

宇宙航空研究開発機構

研究開発部門 主任研究開発員

2006年、東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了、博士 (理学)。
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所の宇宙航空プロジェクト研究員を経て、2009年より同機構研究開発部門に着任し現在に至る。
宇宙用冷却技術、赤外線センサシステムの研究開発を進めながら、冷却を要する各宇宙機プロジェクトに従事。

片山 晴善

宇宙航空研究開発機構

研究開発部門センサ研究グループ 主任研究開発員

2003年,大阪大学院理学研究科宇宙地球科学専攻博士後期課程修了(理学博士).同年,宇宙開発事業団 宇宙航空特別研究員, 2006年, 宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センターを経て、2016 年, 先進光学衛星プロジェクトチーム。
現在は、衛星利用運用センターにて将来の地球観測衛星やセンサの開発に関わる。

森 万由子

アストロバイオロジーセンター

系外惑星探査プロジェクト室 若手研究者雇用特別研究員

2023年東京大学にて博士(理学)取得。
東京大学 広域科学専攻特任研究員を経て、アストロバイオロジーセンター 若手研究者雇用特別研究員 (学振PD)。
専門は太陽系外惑星の観測的特徴づけと、恒星の黒点が系外惑星観測に及ぼす影響の調査。
世界5箇所の望遠鏡に搭載された多色測光装置「MuSCAT」等、地上望遠鏡と宇宙望遠鏡を共に活用した観測を実施。
出張授業の実施やYouTubeチャンネル「アスナロサイエンス」の運営など、天文学を伝える活動にも取り組む。

寺田 宏

国立天文台

TMTプロジェクト 教授

京都大学理学部卒、京都大学大学院理学研究科博士課程修了 (物理学・宇宙物理学専攻)、理学博士
すばる望遠鏡ファーストライト観測装置の開発を手掛け、国立天文台ハワイ観測所では科学運用部門長・装置部門長を歴任
その後、TMT計画推進のため米国カリフォルニア州パサデナに異動しTMT国際天文台本部にて望遠鏡本体構造の開発を進めると共に、
太陽系外惑星研究に特化したTMT科学観測装置MODHISのプロジェクトマネージャーを兼務
2023年に国立天文台本部に異動し、現在、TMTプロジェクト日本担当部の技術開発を統帥 国立天文台TMTプロジェクト教授

滝澤 謙二

アストロバイオロジーセンター / 基礎生物学研究所

副センター長 / 特任准教授

1997年信州大学農学部卒業後、農薬メーカーで除草剤開発に従事。
光合成色素合成阻害剤による植物の白化現象に惹かれ、ワシントン州立大学大学院で植物生理学を学び、2006年に博士号取得。
北海道大学低温科学研究所と基礎生物学研究所で藻類の光合成研究に従事し、自作の分光測定装置を用いて電子伝達反応の制御機構の解明に貢献した。
光合成研究の傍ら国立天文台との共同研究に参加し、太陽系外惑星の生命探査に向けた観測可能なシグナルの予測に取り組む。
途中商社勤務により研究を中断した後、2017年から現職となり、太陽系外惑星における植物進化の予測と観測可能なシグナルの提言に取り組んでいる。