宇宙、海底、DCを網羅する光通信技術のインパクト

2026年11月10日(火) 13:00-15:00 展示ホール内特設会場1
【SA-1 】 宇宙、海底、DCを網羅する光通信技術のインパクト

我が国の情報通信成長戦略 課題と展望

総務省 総務審議官
湯本 博信 氏

情報通信インフラは、「インフラの中のインフラ」として、ICT技術・サービスの進展、昨今のAIの爆発的な普及と相まって、我が国の社会・経済活動の一翼を担うものとして、その重要性はますます増大している。また、その発展は国際競争力の強化・自律性の確保といった点からも重要なキーファクターとなっている。政府が策定した日本成長戦略においても、総合的に支援すべき17の戦略分野の一つとして、情報通信も位置付けられているところである。 

本講演においては、このような背景を踏まえ、情報通信分野の成長戦略で特に重点分野とされた 

     オール光ネットワーク 
     海底ケーブル 
     次世代ワイヤレス 

といった3つの分野を中心に「ワット・ビット連携」、AX戦略、自動運転等の具体的な施策も絡めつつその課題と展望について概説する。 

光衛星通信の最新動向

情報通信研究機構 ネットワーク研究所 ワイヤレスネットワーク研究センター 主管研究員
豊嶋 守生 氏

スマートフォンや動画配信、クラウドサービス、AIの普及により、世界中で通信データ量は急速に増え続けています。その次の通信インフラとして注目されているのが、宇宙空間に多数の衛星を配置し、地球全体を高速につなぐ「衛星コンステレーション」です。そして、その大容量化を支える重要技術として、電波ではなくレーザー光を用いる「光衛星通信」が世界的に実用化段階へ進みつつあります。 

本講演では、光衛星通信の基本的な仕組みをわかりやすく紹介するとともに、小型衛星、データ中継衛星、月探査、衛星量子暗号、ブロードバンド衛星通信など、世界で進む研究開発と実証事例を概観します。特に、StarlinkやAmazonなどに代表される大規模衛星ネットワークの動向、日本における光通信技術の取り組み、そして地上と宇宙を多数の光リンクで結ぶ将来像について解説します。 

光衛星通信は、単に「宇宙で速く通信する技術」ではありません。地上の通信網が届きにくい地域、航空機・船舶、災害時の通信、将来の月・深宇宙探査、さらには量子暗号による安全な通信基盤にもつながる可能性を持っています。本講演では、光技術が宇宙通信をどのように変え、私たちの社会インフラにどのような新しい価値をもたらすのかを、最新動向と今後の展望を交えて紹介します。

●入門程度(大学一般教養程度)

光海底ケーブルネットワークの最新動向(仮題)

日本電気(株) 海洋システム事業部門
井上 貴則 氏

近年、AIやクラウドサービスの急速な普及に伴い、データセンタ間を接続するグローバル通信トラフィックは飛躍的に増加している。その中で、国際通信の基盤を支える海底ケーブルシステムは、デジタル社会を支える重要インフラとしてますます注目を集めている。本講演では、まず海底ケーブルシステム市場の最新動向を紹介し、AI時代における通信需要の拡大やハイパースケーラーによる海底ケーブル投資の活発化など、市場環境の変化について解説する。 

続いて、海底ケーブルシステムの技術的な進化の歴史を振り返り、同軸海底ケーブルから光海底ケーブルへの発展、波長多重(WDM)技術や光増幅技術の導入による大容量化など、通信容量拡大を支えてきた主要技術を概説する。 

さらに、近年の大容量化を支えるSDM(Space Division Multiplexing)技術を中心に、多芯ファイバやマルチコアファイバを活用した最新の海底ケーブルシステム技術動向を紹介するとともに、今後の通信需要増加に対応するための技術課題と将来展望について解説する。 

●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

AI時代を支える光電融合技術(CPO)の最新動向と実用化への課題

(国研) 産業技術総合研究所 チーム長
須田 悟史 氏

生成AIの急速な普及に伴い、データセンターでは多数のGPUやアクセラレータを高速かつ低消費電力で接続するインターコネクト技術の重要性が高まっている。特に、光電変換機能をスイッチASICやGPU近傍に配置するCo-Packaged Optics(CPO)は、次世代AIインフラを支える有力な光インターコネクト技術として注目されており、近年では研究開発段階から実用化を見据えた技術開発へと移行しつつある。

本講演では、AIインフラの進化とCPOが求められる背景を概説するとともに、シリコンフォトニクス、外部光源(ELS)、光配線、光コネクタ、実装技術など、CPOを構成する主要技術の最新動向を紹介する。また、関連する業界・標準化動向についても触れながら、CPOの実用化に向けて重要となる高出力光への対応、信頼性、保守性および評価技術などの課題を解説する。さらに、これらの課題に対する研究開発の取り組みを紹介し、今後のCPOおよび光電融合技術の展望について述べる。 

●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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湯本 博信

総務省

総務審議官

1990年に郵政省(現総務省)に入省、以後、主に情報通信行政に従事。在中国日本大使館一等書記官、総務省総合通信基盤局事業政策課調査官、総務大臣秘書官などを経て、2017年に総務省情報流通行政局放送政策課長、2019年に同局総務課長、2020年に総務省大臣官房審議官(情報流通行政局担当)、2021年に総務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、2022年にデジタル庁統括官付審議官(戦略・組織グループ特命担当次長)、2023年に総務省総括審議官(情報通信担当)、2024年に総務省総合通信基盤局長、2026年に現職

豊嶋 守生

情報通信研究機構

ネットワーク研究所 ワイヤレスネットワーク研究センター 主管研究員

1994年4月 郵政省通信総合研究所(現、NICT)へ入所。技術試験衛星VI型(ETS-VI)を用いた地上-衛星間の光通信実験に従事
1999年7月 宇宙開発事業団(現、宇宙航空研究開発機構(JAXA))に出向し、光衛星間通信実験衛星(OICETS)の開発に従事
2003年12月 通信総合研究所に戻り、OICETSとの低軌道衛星―地上間のレーザー通信実験に従事
2004年10月 ウイーン工科大学客員研究員(1年間)
2011年4月 NICT宇宙通信研究室長
2015年6月 小型光トランスポンダ(SOTA)を用いた世界初の50kg級小型衛星―地上間のレーザー通信実験及び量子通信基礎実験を成功裏に実施
2021年4月 NICTワイヤレスネットワーク研究センター長
2026年4月~ 現在、NICTワイヤレスネットワーク研究センター 主管研究員。博士(工学)

井上 貴則

日本電気(株)

海洋システム事業部門

2000年にKDDI-SCSへ入社し、長距離・大容量光伝送技術の研究開発に従事。2005年に日本テレコム株式会社(現ソフトバンク株式会社)へ入社し、海底ケーブル陸揚局の運用・保守業務を担当。2008年よりNECにて光海底ケーブルシステムの研究開発に従事している。現在は、SDM(Space Division Multiplexing)技術を活用した多芯ファイバおよびマルチコアファイバによる大容量光海底ケーブルシステムの研究開発を推進している。

須田 悟史

国立研究開発法人 産業技術総合研究所

チーム長

2008年に東京工業大学大学院博士課程を修了後、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員を経て、産業技術総合研究所および技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)において、シリコンフォトニクス、ポリマー光導波路、光電融合実装技術の研究開発に従事。現在は産業技術総合研究所 光電融合研究センター チーム長として、光電融合向けパッケージ基板技術の研究開発およびIOWN Global Forumにおける標準化活動を推進している。