光学薄膜セミナー

2019年11月12日(火) 09:30-12:25
【-1 光学薄膜の外観欠陥評価と設計ソフトウェア活用

光学薄膜の各種評価と実例

東海大学 室谷 裕志 氏
光学薄膜は様々な光学センサー、光学製品に用いられており、その使用範囲も量も増大しています。特に自動車の自動化運転に関わる各種光学センサーに用いられる光学薄膜は、カメラ等に求められていた以上の耐久性が求められています。また、デジタルカメラ、スマートフォンのカメラ等の撮像製品においては、高感度、高画質化、小型化がますますすんでいます。これらの結果、光学特性・外観品質・機械的特性に求められるものは、ますます厳しくなってきています。
この様に求められる特性が厳しくなってきても正しく評価できなければ良い製品を作ることができません。また、異物、白濁、シミなどの外観品質や機械的特性については、製品の評価だけでなく、製造工程の影響を考える必要もあり、それにはプロセスの評価も必要となります。当然ですが、検査工程で見つけることができなければ、製造工程へのフィードバックもできません。
本セミナーでは光学特性の評価の基礎から異物、白濁、シミなどの外観品質の評価方法、機械的特性の評価方法などを実例を元に紹介します。また、SEM、 EDX、 XPS、XRD等分析方法の実例を踏まえて、データの解析方法、正しいデータを得るための注意点等をご紹介いたします。また、低屈折率化や低応力化などのこれからの光学薄膜に求められる特性についての考え方なども紹介します。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

光学薄膜の設計・成膜工程における薄膜設計ソフトウェア活用の基礎

(有)ケイワン 鬼崎 康成 氏
光学薄膜の未経験者・入門者が実際に成膜をするためにはどのような手順で進めていけば良いのかを設計、成膜、結果のフィードバックの側面から具体的に解説する。目標とする分光特性目標を実現するためには光学薄膜設計ソフトウェアが不可欠であるが、ソフトウェアによって有している機能が異なっており、使用する技術者の生産性や歩留にも影響する。本講演ではOIC2019の設計コンテストで毎回1位を獲得している光学薄膜ソフトウェア「OptiLayer」の機能を元に
  ・成膜データの取得について
  ・目標分光特性に対する膜の最適化設計について
  ・最適化設計結果の成膜条件(光量変化)への変換について
  ・成膜後の測定結果と設計との差異解析について(リバースエンジニアリング)
等々の実務的な内容を中心に具体的に解説する。
難易度:一般的(高校程度、一般論)

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2019年11月12日(火) 13:10-16:05
【-2 光学薄膜の基礎

光学薄膜の膜設計と成膜手法の基礎

オプトグリーン(株) / (一社)光融合技術協会 生水 利明 氏
光学薄膜が使われる分野は年々広まっており光学機器以外にも応用されている。光学薄膜は、その歴史においてレンズの反射防止膜(ARコート)から始まり、近年では層数が200層以上にもなる高精度干渉フィルターが実用化されている。一方その重要性は、レンズばかりでなくFPD、HUD、太陽電池、加飾、重力波検出干渉計ミラーなどの分野でも、差別化技術としての光学薄膜が注目されている。本講演では広範な分野で利用されている光学薄膜を製品化する上で、必須な膜設計・成膜に関する基礎を、反射防止膜を中心に紹介する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

偏光による光学薄膜の計測

東京工芸大学 川畑 州一 氏
偏光を用いた薄膜や表面の計測手法としてエリプソメトリー(偏光解析法)がよく知られている。しかし、偏光解析法は、感度および精度において優れた計測手法であるのにも拘わらず、未だに、一般的な手法として普及しているとは言い難い。その理由の一つに、偏光についての“馴染みの薄さ”があると考えている。
偏光は光の持つ性質のなかで最も理解し難いといった声をよく聞く。偏光を理解するにはその電気ベクトルの軌跡をイメージすることが大切であるが、その軌跡は光の伝播とともに三次元的な軌跡を描くので、このことが偏光の直感的な理解を困難にしているものと思われる。セミナーでは偏光についてなるべく視覚的に説明し、その理解を容易にするように努めたいと思っている。
そして、セミナーでは偏光解析法の測定原理と測定手法を分かり易く説明すると共に、いくつかの代表的な応用例についても紹介する。
最近、Four Detector PolarimetryやStokes Polarimetryなどの新たな偏光計測の手法が提案されており、従来の装置の性能や機能を超える偏光計測素子が開発されつつある。これらの素子は光学薄膜の計測や制御において、様々な可能性をもたらすものと予想される。例えば、現在でも困難と思われる成膜のin-situでのモニタリングも容易になり、将来的な展望として、不均質膜の成膜やモニタリングが可能になることが期待できる。セミナーでは最後に、それらの可能性につても解説する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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購読者割引は読者番号(送本時の宛名ラベルに記載)とお申込み者のお名前が一致している方が対象となります。

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2019年10月以降のイベントにつきましては消費税率10%でご請求させていただきます。

[ 特定商取引法に基づく表記 ]



室谷 裕志

東海大学

工学部 光・画像工学科 教授

1988年 3月 東海大学大学院工学研究科光工学専攻博士課程前期 修了
1988年 4月 株式会社 日本製鋼所 入社
光導波路、光ピックアップ、光学薄膜、光学ローパスフィルター等の研究開発に従事
2001年 3月 東海大学より博士(工学)号を取得
2003年 4月 東海大学 工学部 光・画像工学科(旧 応用理学科 光工学専攻)に赴任
2011年 4月 光学薄膜研究会 代表
2011年 9月 ISO/TC 172/SC 3/WG 2のExpert
2015年 4月 ISO/TC 172/SC 1/WG 1のExpert

鬼崎 康成

有限会社 ケイワン

代表取締役

1977年 東海光学(株)入社 眼鏡事業の生産技術・研究開発担当
1996年 新規事業としての薄膜事業を立ち上げ
2014年 有限会社ケイワン入社
現在、光学薄膜設計ソフトウェア「OptiLayer」輸入販売および
光学薄膜コンサルティングに従事。光学薄膜研究会運営委員。

生水 利明

オプトグリーン株式会社

代表取締役

1982年 オリンパス株式会社 入社
主に光学薄膜・光学材料・光学素子の研究開発に従事
・カメラ、顕微鏡、内視鏡、等に使用する反射防止膜及び各種光学フィルターの設計開発、機能性光学材料、新規光学素子の開発
・イオン成膜、スパッタリングを用いた光学薄膜の開発
2009年 オプトグリーン株式会社 代表取締役
2012~17年 宇都宮大学客員教授 兼務
2017年 一般社団法人光融合技術協会 理事 兼務

川畑 州一

東京工芸大学

名誉教授

1973年 3月 学習院大学理学部物理学科卒業
1978年 3月 学習院大学大学院自然科学研究科
物理学専攻、博士課程満期退学
1978年 4月 学習院大学理学部物理学科助手
1980年 3月 理学博士(学習院大学)
1980年 4月 東京工芸大学工学部講師
1988年 4月 同 助教授
2002年 4月 同 教授
2014年 3月 東京工芸大学工学部 定年退職
2014年 7月 東京工芸大学名誉教授 現在に至る