紫外線セミナー

2019年11月14日(木) 09:30-12:25
【-1 紫外LEDの高効率・高出力化とその応用

UVC-LEDs高出力化の現状とロードマップ

丸文(株)/ 理化学研究所 鹿嶋 行雄 氏
265nm-280nm高出力市販品の紫外C-LED(UVC-LEDs)の主な性能は、駆動電圧(5.5V)、駆動電流(350mA)において出力が50mW、電力光変換効率は2~3%程度である。電力光変換効率の内訳は、注入効率を含めた内部量子効率が60%、電圧効率が80%、光取出し効率は5%程度と見積もられる。光取出し効率が低い主な要因は、UVC光がp-GaNコンタクト層で吸収される事、LED素子と空気の界面で内部全反射が起こる事である。
現在光取出し効率を改善する方法として、UVC光に対して透明なp-AlGaNコンタクト層の導入、p-GaNコンタクト層におけるUVC光の吸収を抑制する反射型フォトニック結晶の形成、並びに光取出し面への半球レンズの直接接合など、様々な要素技術が開発されている。一方、市場においてはこの数年来、殺菌・水道水の浄化以外にもUVC樹脂硬化、環境、農業などへの適用事例が紹介されている。
本講演では、上記要素技術に関する産業実用化の可能性と用途適用に繋がるロードマップについて紹介する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

"Current Status, and Future Outlook for UVA and UVC LEDs (UVA及びUVC-LEDsの現状と将来展望)"

Luminus Devices, Inc. Murali Kumar 氏(日本語解説:丸文(株)/ 理化学研究所 鹿嶋 行雄 氏)
ここ数年UV-A LEDsは効率が60%を超えてコストが著しく低下している、これによりUV-LEDによる樹脂硬化を可能にし、ほとんどのLEDsに関して1-2 A/mm2動作が可能となった。同時に高出力を必要とする大容積3Dプリンティングのような新規用途が現れている。これらの用途に向けて、かつ、旧来用途のシステムスピードを改善する為に、Luminus Devicesは商品市場において最も電流密度の高い4 A/mm2動作を可能にするUV-A LEDsを開発いたしました。この次世代LEDsは4 A/mm2動作で信頼性があり、2 A/mm2動作より出力で74%まで高くすることが可能である。
今回は、次世代LEDsの性能・特徴と、斬新で新規な用途を可能にするロードマップを紹介する。また、UVC-LEDsは未だ電力光変換効率が2-4%と低く出力も100mW程度である。しかし、UVC-LEDsは水銀ランプの代替のみならず、全く新しい市場を創生しつつある。今回は、将来数年内に可能となる用途例に沿ってUVC-LEDsの現況を紹介する。

UV-LED市場の展望

(株)富士キメラ総研 清水田 大典 氏

・UV-LED市場の低出力/高出力市場の展望

・UV-LED市場の技術ロードマップ

・UV-LED市場の市場展開までの課題

・有力メーカーの動向と参入メーカー一覧

難易度:一般的(高校程度、一般論)

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2019年11月14日(木) 13:10-16:05
【-2 紫外LEDの応用を切り拓く装置開発と適用事例

深紫外線LED光の照射による作物ウイルス病害制圧の試み

広島県立総合技術センター 松浦 昌平 氏
 紫外線(UV)の農業利用には、UV-B領域を含む防除用ランプのタフナレイ®によるイチゴやバラのうどんこ病、ハダニ類防除の実用事例がある。LEDは放射波長幅が狭く、任意の単一波長を高い電力効率で照射できる利点がある。また、水銀ランプと比べ耐久性にすぐれ、動作電圧も低い。サイズが小さく軽量化が容易など、利点が多い。1990年代に入りLEDの短波長化が進み、2000年代に入ると、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体の結晶化の成功により、深紫外線(以下DUV)領域(波長300nm以下)の波長のLEDが実現され、近年ではその高出力化も著しい。このように、DUV LEDの農業利用も夢ではなくなった。
農作物のウイルス病害は主に微小害虫による虫媒、生産者の管理作業やハサミを介しての接触で感染が拡大する。ウイルスに直接作用する農薬はなく、防除は感染株の抜き取りや、殺虫剤による媒介虫駆除が中心となり、その効果には、うどんこ病などの糸状菌病と異なり限界がある。また、一度地域がウイルスに汚染されると、根絶が難しい事例も多い。そこで、未来の技術を先取りする視点から、DUV LED光を作物へ照射することで防除の難しい作物ウイルス病害を防除する技術開発を目指し、トマトやキク栽培で問題となるトマトモザイクウイルス(ToMV)や黄化えそウイルス(TSWV)の被害抑制効果や作物へのUV障害の回避について調査し、一定の成果が得られたので紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

UVC-LEDsによる樹脂硬化事例

大阪府立大学 岡村 晴之 氏
 光硬化樹脂は、その速乾性、溶剤レスといった特徴を活かして塗料、インク、接着剤等幅広く用いられており、さらに現在では強度、耐熱性、力学的性質などの高機能化の研究が活発に行われている。一方、光硬化によく用いられる紫外領域の光源として、近年ではエネルギー効率に優れるLED光源が普及し始めており、従来の高圧水銀ランプからの代替のみならず、LEDの特徴を活かした応用に対しても注目が集まっている。深紫外LED (UVC-LED) 光源はセンサーやLED封止剤に関する報告例があるのみであり、光硬化樹脂作製への取り組みは筆者らの報告のみである。従来の光源である高圧水銀灯により作製された光硬化樹脂と同等以上、もしくはそれと異なる新たな機能を有する光硬化樹脂が作製できる可能性を有しており、また、新たな光硬化系として未開拓の波長域の利用可能性を見出し、それを利用した応用開発の基礎が構築されることが期待される。
光硬化樹脂は多様なタイプがあるものの、多量に用いられているアクリル樹脂およびエポキシ樹脂を検討した。シリコン板上に光開始剤を含むアクリルおよびエポキシ光硬化樹脂の塗膜を作製し、265 nm光、 285 nm光、もしくは300 nm光を放射するLEDランプを用いて光硬化を行った。波長、光開始剤の種類、膜厚、雰囲気の影響について検討した。ラジカル光硬化系によるアクリルの光硬化では酸素阻害を軽減できること、また、カチオン光硬化系によるエポキシの光硬化では100 m以下の薄膜作成において有用であることが分かった。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)、中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

我国の水道における紫外線処理技術適用拡大に向けた取組み

(公財)水道技術研究センター 市川 学 氏
 令和元年5月29日付で、厚生労働省は、「水道施設の技術的基準を定める省令の一部を改正する省令」の公布、施行、及び、「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針の一部改正」の通知を行った。これにより、地表水への紫外線処理の適用が位置付けられた。また、最近ではUV-LEDの技術開発も進められている。
そこで、当センターでは、水処理における紫外線処理技術の適用と拡大を具体的に図るため、紫外線処理技術の導入の仕方、及び、維持管理の方法をまとめた手引きを作成する予定である。
 そこで、当センターの取組みについてご紹介する。

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2019年10月以降のイベントにつきましては消費税率10%でご請求させていただきます。

[ 特定商取引法に基づく表記 ]



鹿嶋 行雄

丸文株式会社

参事/理化学研究所 平山量子光素子研究室 客員技師

筑波大学 自然学類 物理学科卒。
丸文株式会社勤務。
理化学研究所 平山量子光素子研究室 客員技師。

Murali Kumar

Luminus Devices, Inc.

Director of Product Marketing

Murali Kumar is Director of Product Marketing at Luminus Devices. He is responsible for the UV Business at Luminus, including UV-A and UV-C product lines. Through his career, Murali has held roles in R&D, Applications and Marketing. Murali has an MS in Electrical Engineering from Stony Brook University and an MBA from Cornell University.

清水田 大典

(株)富士キメラ総研

主任

2007年 横浜国立大学卒業
2007年 株式会社 富士キメラ総研 入社
ディスプレイ、半導体、LED、基板関連などの市場調査に従事

松浦 昌平

広島県立総合技術研究所農業技術センター

主任研究員

1965年京都市出身、
1989年九州大学農学部卒、
1991年九州大学農学研究科修士課程修了
1991年広島県入庁、病害虫防除所福山支所に勤務した後、
1994年から広島県立総合技術研究所農業技術センターで作物病害防除に関わる試験研究業務に従事。
2008年岩井久教授指導の下、博士(農学)鹿児島大学連合大学、取得。
2019年現在に至る。
専門は植物病理学、主に作物ウイルス病害の防除技術の開発を主要テーマとする。
家族は妻に娘二人とチワワ一匹。趣味はジャズギター演奏、日本中世史を巡る旅。

岡村 晴之

大阪府立大学院工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野

准教授

平成6年3月  京都大学工学部高分子化学科 卒業
平成8年3月  京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻
     修士課程修了
平成10年11月 京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻
   博士後期課程 修了
     京都大学博士(工学) を取得
平成11年1月~ 大阪府立大学工学部 助手
平成17年4月~ 大阪府立大学大学院工学研究科 助教
平成23年10月~ 同 准教授
平成21年8月~ 平成22年3月 アメリカ・コーネル大学 材料科学科 客員研究員

市川 学

水道技術研究センター

主幹 浄水技術部長

1982年 神奈川県内広域水道企業団
2012年 神奈川県内広域水道企業団 技術部長 水道技術管理者
2015年 神奈川県内広域水道企業団 総務部長
2017年 神奈川県内広域水道企業団 技監 
(公財)水道技術研究センター派遣 浄水技術部長
2019年 (公財)水道技術研究センター 主幹 浄水技術部長