レーザーセミナー

2019年11月14日(木) 09:30-12:25
【-1 レーザー光線による障害防止

レーザ製品の安全基準(JIS C 6802:2014)

(一財)日本品質保証機構 松元 尚己 氏
レーザー製品の安全基準として国内規格JIS C 6802(国際規格IEC60825-1)が規定されています。この規格は波長180nm~1mmのレーザーを放射する製品の安全基準について規定しています。
要求事項としては、レーザー製品をクラス分けの規則に基づいて製品からの被ばく放出レベルをクラス1~クラス4まで8種のいずれかのクラスに分類すること、レーザー製品は分類された各レーザークラスに応じた保護きょう体、セーフティインタロックなどの技術的な要求事項を満たすこと、などがあります。また、使用者及びサービス実施者への安全確保/注意喚起として、製品のクラスや構造に則した各種ラベルを貼り付けること、使用者及びサービス実施者が安全に使用及びサービスを実施できるように必要な情報(ユーザーマニュアル、サービスマニュアル)を提供すること、などが要求されます。
本講演ではレーザ製品の安全基準と題して、2014年9月に発行されたJIS C 6802:2014(最新版)に規定されている、これらの要求事項についての概要を解説します。
難易度:一般的(高校程度、一般論)/入門程度(大学一般教養程度)

レーザーの性質とレーザー発振の仕組み

大阪産業大学 部谷 学 氏
 レーザーと太陽光の違いの1つに「可干渉性(コヒーレント)」がある。コヒーレントなレーザーは干渉現象によって、空間的に、時間的に、エネルギーを集中でき、小さな集光スポットや超短パルスのレーザービームを生成できる。このようなレーザーは微細加工といったレーザー加工などに用いられている。また、レーザーは単色性に優れ、平行光に近い。レーザー加工で多用されている波長1000-1100 nmの近赤外レーザーを例に説明する。近赤外レーザーは眼球の前眼部(角膜、水晶体、硝子体)に吸収されにくい。コヒーレントで平行光に近いレーザーは、眼球がレンズとして機能するため、眼底で集光されてしまう。紫外レーザーは生体組織に吸収されやすいため、その影響は皮膚などに現れる傾向にある。
 このように、レーザーを安全に使用するには、レーザーの性質を十分に理解する必要がある。この講演では、レーザーの性質およびレーザー発振の原理について理解することを目的とする。講演の概要は以下の通りである。
 1.レーザーの性質
  ・僕らが見ることができる光はどんな光?
  ・可干渉性、単色性、平行光
 2.レーザー発振の原理
  ・原子モデル、自然放出、誘導放出
  ・光共振器、励起、反転分布
  ・レーザー発振器の分類
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

光・レーザー安全対策の基礎と実際

東海大学 若木 守明 氏
レーザーの利用はその高効率な光源としての特徴を反映して産業機器に限らず、一般にも急速に広がっている。レーザーの種類も発振波長、出力形態(CW, パルス)等多岐に渡っている。これらレーザーの応用分野の拡大に応じて、企業の技術者、教育機関での研究者並びに学生、更に一般市民に対してレーザーを取り扱う上での何らかの教育が必要となっている。しばらく前に、安価なレーザーポインターが巷に出回り、子供等のいたずらで目への障害が生じた例も記憶に新しい。
本講演では、主にレーザーを安全に取り扱うためのハード面と、レーザーの特徴を理解し、それに対する教育を踏まえたソフト面での対策の現状を、レーザー加工機メーカー、レーザー発振器製造メーカー、レーザー取扱商社、大学等の教育機関での例を紹介し、安全向上に対するアイデアを提供することを目的とする。

以下に本セミナーの概要を示す。
 1.レーザー光の特徴
 2.レーザー応用の展開
 3.レーザーによる事故と安全教育に関するアンケート調査
 4.レーザー出力のクラス分けと安全対策
 5.安全管理システムの構築
 6. 各利用現場に於ける安全管理の例
  1) レーザー加工機メーカー
  2) レーザー発振器製造メーカー
  3) レーザー取扱商社(サービス等)
  4) 大学等の教育機関
 7. 安全対策のまとめ
 8. 安全教育
 9. おわりに
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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2019年11月14日(木) 13:10-16:05
【-2 ファイバレーザーが拓く未来―バイオイメージングと加工への基礎と応用

波長可変パルスファイバーレーザーによる多色分子振動顕微鏡

東京大学 小関 泰之 氏
 ラマン散乱分光法は、物質の分子振動分光情報を光で検出する手法として知られていたが、信号強度が微弱であり、イメージング計測に応用するには長時間を要することからその応用が限られてきた。近年、誘導ラマン散乱(SRS)を用いることで高速にラマン信号を捉えるSRS顕微法が大きく進展した。SRSは、2色の光と分子との相互作用のひとつであり、光の差周波と分子の振動周波数が一致するとき、高周波の光が減衰し、低周波の光が増幅される現象である。SRS顕微法では、2色のピコ秒パルスを用意し、一方に強度変調を施した後、合波して試料に集光する。集光点でSRSが発生すると、強度変調がもう一方に転写される。この転写された強度変調成分をロックイン検出することでSRS信号を得て、ビーム走査によりイメージングを行う。SRS顕微法は単一の分子振動周波数におけるラマン信号を高感度に検出し、高速な振動分光イメージングを実現することから、無標識観察・同位体標識観察・ラマンタグ観察等の様々な応用がなされている。本講演では、SRS顕微法の原理を説明したのち、講演者が研究を進めてきた、波長可変パルスファイバーレーザーを活用する高速・多色SRS顕微鏡システム、およびSRS顕微鏡の組織・細胞イメージングへの応用について紹介する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

高出力化・高機能化が進むファイバーレーザー

古河電気工業(株) 松下 俊一 氏
ファイバーレーザーは、レーザーマーキングやレーザー切断・溶接の分野で急速に普及し、加工ツールの一つとして広く認知されるようになった。レーザー加工は、物質の光吸収で発生する熱を使う熱的加工が主流である。レーザー光は直径100um程度に集光されるため、高精度、高精細な加工ができる反面、局所的に大きなパワーが投入されることにより、材料内部に急激な温度変化や急峻な温度勾配が生じ、加工品質に影響を及ぼすスパッタの発生や材料特性の劣化が起こる。近年、加工品質を向上させる方法として、材料への入熱を空間的に制御するビーム制御技術や、入熱の量やタイミングを高速に時間制御するパルス幅可変短パルスレーザーや高速変調制御技術などが提案され、レーザーの新しい機能として使われ始めている。
本講では、まず、ファイバーレーザーの基本構成からその特性、特徴を解説する。続いて、いくつかの事例を元に、ファイバーレーザーの新しい機能とその効果について紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

フェムト秒高出力ファイバーレーザーとレーザー加工の迅速な最適化

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 吉富 大 氏
 ファイバーレーザーは、高効率で品質のよい高出力光が安定に得られることから、加工用レーザーとしても近年多く用いられるようになってきた。特に、ミクロ加工や難加工材の加工においては、熱影響の少ないフェムト秒短パルス光が注目を集めている。加工の高品質化や加工速度の向上を行うためには、材質や加工形状に応じた多種多様なる加工パラメータの最適化が必須となるが、それには労力と時間を伴うため、いかに効率よく行うかが課題となる。本講演では、まず、フェムト秒高出力ファイバーレーザーの光源開発の概要について解説する。次に、現在、国家プロジェクトで開発中の各種パラメータを柔軟に可変できるレーザー加工装置について解説し、それを用いたパラメータ可変加工による条件探索の事例を紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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[ 特定商取引法に基づく表記 ]



松元 尚己

一般財団法人 日本品質保証機構

安全電磁センター 試験部 安全試験2課

2010年:一般財団法人日本品質保証機構入構

部谷 学

大阪産業大学

工学部電子情報通信工学科 教授

1999年3月、大阪大学大学院・工学研究科・博士(工学)取得、
論文名『超高速二次元X線画像計測によるレーザー爆縮コア・プラズマの一様性に関する研究』。
2003年6月から、レーザー学会・レーザーの安全とその教育専門委員会、委員(現在に至る)。
2004年3月、大阪大学大学院・工学研究科・電子情報エネルギー工学専攻、助手。
2005年4月から、光産業創成大学院大学・光産業創成研究科、講師、准教授。
レーザーものづくり中核人材育成講座の育成に携わる。
2011年4月から、大阪産業大学・工学部・電子情報通信工学科 准教授、
教授(現在に至る)、レーザーピーニング技術による金属高強度化の研究に従事。

若木 守明

東海大学

工学部 光・画像工学科 名誉教授

東海大学工学部光・画像工学科・名誉教授、理学博士。
昭和45年:電気通信大学電気通信学部電子工学科卒業、
昭和50年:東京教育大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了、
同年:東海大学工学部光学工学科講師、
昭和54年:東海大学工学部光学工学科助教授、
昭和63年:東海大学工学部光学工学科教授、
平成25年:東海大学工学部光・画像工学科特任教授、
平成27年より東海大学名誉教授。
レーザー学会、応用物理学会、日本光学会、
Society of Advance Science (SAS)、SPIE、OSA各正会員。
平成23年度日本光学会鈴木・岡田賞受賞。
平成27年SPIE・Senior Member、
レーザー学会「光・レーザー安全教育」技術専門委員会・委員、
SAS (Society of Advanced Science)・理事。

小関 泰之

東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻

准教授

2004年東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了。
科学技術振興機構博士研究員、大阪大学大学院工学研究科助手、
助教、さきがけ研究者等を経て2013年より現職。

松下 俊一

古河電気工業株式会社

研究開発本部 コア技術融合研究所 先行開発センター 課長、主席研究員

1999年 東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(理学)
1999年~ 古河電気工業株式会社
ラマン光増幅器、ファイバー非線形デバイス、ファイバーレーザーなどの研究開発及び事業化に従事 2014年より現職
1998年~1999年 学術振興会特別研究員
2002年~2004年 マサチューセッツ工科大学客員研究員

吉富 大

産業技術総合研究所

電子光技術研究部門 先進レーザープロセスグループ 主任研究員

1996年 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了。
1996~2000年(株)日本アイ・ビー・エム。
2000~2003年 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程。博士(工学)
2003年~ 産業技術総合研究所。2013年より現職。