2020年11月11日(水) 09:45-12:40 -アネックスホール F201
【-1 蛍光分光法の生命科学への応用(於:第3会議室)

蛍光分光法の基礎と近赤外蛍光を用いた生体分子計測

学習院大学 高門 輝 氏
蛍光は高いエネルギー状態にある分子が低いエネルギー状態に落ちる際に生じる一種の発光現象である。分子の構造や周囲の環境を反映して様々な色(波長)の発光が生まれるため、蛍光現象を観測することで分子のミクロな情報を知ることができる。また、顕微鏡を用いて発光現象を観測する、細胞のイメージングなどにも広く用いられている。本セミナーではこのような蛍光測定を用いて生命科学研究への応用を行っている分光手法について紹介する予定である。
本講演では、まず蛍光分光法の初学者向けの基礎的な解説を行う。一般的な蛍光現象の解説から、生命研究に向けた生体分子測定や、顕微鏡を用いた蛍光検出例などについて簡単に説明するつもりである。大学一般教養程度から大学専門程度の内容を予定している。また、蛍光分光法の生命科学研究への応用を目指して、近赤外波長領域で発光する色素分子を用いた測定例を紹介する。これまで広く用いられてきた可視光波長領域で吸収・発光を示す色素分子を生体分子計測に用いる際に問題となるのが、生体由来の分子からの発光や光散乱である。近赤外波長領域での発光を利用することで、こうした擾乱を避け、生体内でも高感度で分子計測ができると期待している
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

一分子FRET法による生体分子の構造ダイナミクス計測

理化学研究所 石井 邦彦 氏
蛍光分光法は極めて高感度な分光計測手法であり、その利点を生かして単一の生体分子(タンパク質やDNA/RNAなど)を検出することが可能である。
本講演では、一分子蛍光計測法の中でも生体分子の構造情報に敏感な一分子FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)法に焦点を当てる。FRET法は二つの蛍光プローブ分子を計測対象の生体分子に標識し、その蛍光スペクトル測定を通してプローブ間のエネルギー移動効率を求める手法である。得られるエネルギー移動効率はプローブ間の距離を鋭敏に反映するため、「分子ものさし」として生体分子の構造計測に応用することができる。今世紀に入りFRET法を単一の生体分子の構造計測に応用した一分子FRET法が広く用いられるようになり、分子構造の不均一性やダイナミクスの研究に活用されて成果を上げている。FRETを用いて一分子を計測することで、多数の分子の同時計測では得られない構造分布の情報や、生体分子が自発的に構造を変化させる様子を捉えることができる。
講演ではFRETの原理から始め、一分子FRET計測に用いる装置の構成要素と高感度計測に必要な技術、データ解析法等を概観した後、生体分子の機能に関わる構造ダイナミクス計測に応用された例を取り上げる。最後に一分子FRETに蛍光寿命計測を導入する我々の取り組みを紹介し、時間分解能を数マイクロ秒の時間領域まで向上させた新たな計測手法について述べる。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

生命の仕組みを解明する蛍光分析 -生きたままの細胞を対象に-

東京大学 吉村 英哲 氏
蛍光分析はその感度と選択性の高さから、様々な分析に利用されている。特に2008年および2014年のノーベル化学賞の対象となったような蛍光タンパク質の発見と応用や蛍光顕微鏡技術の発展と普及により、生体内分子の解析についても各種蛍光分析法が広く利用されている。得られた成果は基礎研究における様々な発見はもちろんのこと、生きたままのサンプル内における分子の機能を解析することで創薬や医療などへの貢献も大きい。
本講演では生体、特に生きた細胞サンプルを対象とした手法を中心に、細胞内の分子動態や分子間相互作用の蛍光分析を利用した時空間解析法について広く紹介する。特に生細胞、生体内における蛍光分析を可能とする分子ツールおよび各種蛍光顕微鏡法について解説し、具体的な研究例と併せて紹介する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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2020年11月11日(水) 09:45-12:40 -アネックスホール F201
【-1 蛍光分光法の生命科学への応用(Zoom聴講)

蛍光分光法の基礎と近赤外蛍光を用いた生体分子計測

学習院大学 高門 輝 氏
蛍光は高いエネルギー状態にある分子が低いエネルギー状態に落ちる際に生じる一種の発光現象である。分子の構造や周囲の環境を反映して様々な色(波長)の発光が生まれるため、蛍光現象を観測することで分子のミクロな情報を知ることができる。また、顕微鏡を用いて発光現象を観測する、細胞のイメージングなどにも広く用いられている。本セミナーではこのような蛍光測定を用いて生命科学研究への応用を行っている分光手法について紹介する予定である。
本講演では、まず蛍光分光法の初学者向けの基礎的な解説を行う。一般的な蛍光現象の解説から、生命研究に向けた生体分子測定や、顕微鏡を用いた蛍光検出例などについて簡単に説明するつもりである。大学一般教養程度から大学専門程度の内容を予定している。また、蛍光分光法の生命科学研究への応用を目指して、近赤外波長領域で発光する色素分子を用いた測定例を紹介する。これまで広く用いられてきた可視光波長領域で吸収・発光を示す色素分子を生体分子計測に用いる際に問題となるのが、生体由来の分子からの発光や光散乱である。近赤外波長領域での発光を利用することで、こうした擾乱を避け、生体内でも高感度で分子計測ができると期待している
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

一分子FRET法による生体分子の構造ダイナミクス計測

理化学研究所 石井 邦彦 氏
蛍光分光法は極めて高感度な分光計測手法であり、その利点を生かして単一の生体分子(タンパク質やDNA/RNAなど)を検出することが可能である。
本講演では、一分子蛍光計測法の中でも生体分子の構造情報に敏感な一分子FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)法に焦点を当てる。FRET法は二つの蛍光プローブ分子を計測対象の生体分子に標識し、その蛍光スペクトル測定を通してプローブ間のエネルギー移動効率を求める手法である。得られるエネルギー移動効率はプローブ間の距離を鋭敏に反映するため、「分子ものさし」として生体分子の構造計測に応用することができる。今世紀に入りFRET法を単一の生体分子の構造計測に応用した一分子FRET法が広く用いられるようになり、分子構造の不均一性やダイナミクスの研究に活用されて成果を上げている。FRETを用いて一分子を計測することで、多数の分子の同時計測では得られない構造分布の情報や、生体分子が自発的に構造を変化させる様子を捉えることができる。
講演ではFRETの原理から始め、一分子FRET計測に用いる装置の構成要素と高感度計測に必要な技術、データ解析法等を概観した後、生体分子の機能に関わる構造ダイナミクス計測に応用された例を取り上げる。最後に一分子FRETに蛍光寿命計測を導入する我々の取り組みを紹介し、時間分解能を数マイクロ秒の時間領域まで向上させた新たな計測手法について述べる。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

生命の仕組みを解明する蛍光分析 -生きたままの細胞を対象に-

東京大学 吉村 英哲 氏
蛍光分析はその感度と選択性の高さから、様々な分析に利用されている。特に2008年および2014年のノーベル化学賞の対象となったような蛍光タンパク質の発見と応用や蛍光顕微鏡技術の発展と普及により、生体内分子の解析についても各種蛍光分析法が広く利用されている。得られた成果は基礎研究における様々な発見はもちろんのこと、生きたままのサンプル内における分子の機能を解析することで創薬や医療などへの貢献も大きい。
本講演では生体、特に生きた細胞サンプルを対象とした手法を中心に、細胞内の分子動態や分子間相互作用の蛍光分析を利用した時空間解析法について広く紹介する。特に生細胞、生体内における蛍光分析を可能とする分子ツールおよび各種蛍光顕微鏡法について解説し、具体的な研究例と併せて紹介する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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