2020年11月13日(金) 10:30-16:00 -アネックスホール F201
【-1 進化するイメージセンサと革新的イメージング技術(於:第3会議室)

コーディネーター挨拶

静岡大学 香川 景一郎 氏

従来比4倍の200m測距を可能にしたソリッドステートLiDAR向け受光技術

(株)東芝 Tuan Thanh Ta 氏
当社は、自動運転に不可欠な距離センシング技術「LiDAR」注1において、高解像を保ったままカメラ型LiDARの長距離測定性能を、従来の4倍に延ばすことのできる受光回路技術を開発しました。従来のカメラ型LiDARは使い勝手が良い反面、自動運転には性能不足でした。本技術により、自動運転など用途に応じて市販レンズを柔軟に選択することで、ユーザの幅広い要求に適した高性能LiDARシステムを迅速に構築・提供することができます。

マルチタップコンピュテーショナルCMOSイメージセンサによるTOF・生体計測

静岡大学 香川 景一郎 氏
マルチタップCMOSイメージセンサは、画素内に1つのフォトダイオードと複数の電荷蓄積部をもち、昨今注目を集めているコンピュテーショナルフォトグラフィと相性が良い新しい撮像デバイスである。機能的な露光が可能であり、光源・プロジェクタと同期した時間分割多重撮影や符号化露光などを、フレームレートをむやみに上げることなく効率的に実現する。また、画素内の電荷転送速度を飛躍的に高めることで、光飛行時間(TOF)に基づく距離計測や散乱光を用いた生体計測を可能とする。本講演では、マルチタップCMOSイメージセンサによりTOF距離画像計測と構造光照明を用いた広視野拡散光生体イメージングの性能を向上する例を紹介する。我々の開発した2×2画素を1単位とする4タップ時間分解画素を利用し、異なる周波数でこれらの画素を同時に駆動することでTOFにおける誤差要因であるマルチパスを分離できる。光の損失がほとんどなく、1回の撮影で計測距離レンジを延ばすことができるのが特長である。拡散光を用いた生体計測において散乱と吸収を分離する方法として、3つの異なる位相をもつ正弦波パターンを生体に次々投影する空間周波数領域イメージング法(SFDI)が提案されている。この方法の課題として、環境光と計測対象の動きにより大きな計測誤差が生じることが挙げられる。4タップCMOSイメージセンサとプロジェクタを同期させ、高速に投影パターンを切り替えることで、環境光と動きの影響を受けにくい改良型SFDIを開発した。多波長SFDI、血流スピードイメージングなどについても紹介する。
●難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

TAGレンズと露光タイミング制御による瞬時フォーカス切り替えとその動的映像制御への応用

群馬大学 奥 寛雅 氏
近年、Tunable Acoustic Gradient index (TAG)レンズと呼ばれる、液体内部の超音波の共振現象を利用した液体レンズが登場した。液体の圧縮率は低いためその固有振動数は高くなる傾向にあり、現在入手可能なTAGレンズの共振周波数も約69kHzと高速である。TAGレンズは共振周波数と同じ周波数で焦点距離が変動するため、TAGレンズを結像に用いると、そのフォーカスが69kHzで振動してしまい、一般的な撮像素子では特定の焦点距離における画像を撮影することが難しい。そのためもあってかこれまでTAGレンズは主にレーザーのフォーカス制御などに利用され、結像にはあまり利用されてこなかった。
本講演ではこのように高速だが扱いが難しいTAGレンズを露光タイミング制御が可能な撮像素子と組み合わせて映像計測に応用する手法を概説する。また、この手法を1000fpsで撮像と処理が可能な高速ビジョンに応用することで、1ms毎にフォーカス位置を制御して顕微鏡下対象の三次元位置を高速に計測・フィードバックした結果と、さらに、4-tap Lock-in Pixel Image Sensorと組み合わせて4箇所の異なるフォーカス位置の画像を同時に100fpsで撮像するSimulfocus Imaging技術を紹介する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

X線カラーイメージング

(株)ANSeeN 青木 徹 氏
X線イメージングはマイナーですが、例えば空港のセキュリティー検査、病院のレントゲンやCTスキャナなど誰もが思いつく場所ばかりでなく、工場の出荷検査や食品、インフラ配管などの非破壊検査など思ったより多くの場所で使われています。もちろん、X線イメージングの現場ではX線の画像センサーが使われています。歴史的にはX線写真フィルムやX線イメージングプレートが広く使われてきたが、最近になっていわゆるイメージセンサーが急速に普及してきています。
本講演では、我々が手がけてきたX線のカラーイメージングについて解説します。目に見えない、すなわち目というリファレンスがないX線での「カラー」イメージングとは何か、そのためのイメージセンサーを広く知られている可視のイメージセンサーやイメージングと比較しながら解説します。X線は波長が大変短い光の一種ですが、そのフォトン1つ1つが持つエネルギーが可視光に比べ桁違いに違うので、信号の発生の仕組みが異なります。実は今みなさまが見ているX線の画像は正しい入出力直線性を持っていなかった、というお話しもします。もちろん人間の目に見えない、いわゆる不可視情報のイメージングですのでどれが正しい、ということはでありませんが、AI時代の入力デバイスとして物理的に正確な高次情報を検出できるイメージセンサーを目指した最新のフォトンカウンティングフラットパネルイメージセンサーも解説します。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

IRマルチスペクトルセンサーとその眼底カメラへの応用

奈良先端科学技術大学院大学 太田 淳 氏
本講演では近赤外カラー化技術のためのマルチスペクトルCMOSイメージセンサとその眼底カメラへの応用について述べる.近赤外カラー化技術とは,近赤外3波長を可視光3波長に対応させることで,近赤外光だけでカラー画像を再現する技術である.近赤外カラー化技術の応用の一つに眼底カメラがある.眼底カメラは眼内を撮像するために通常強いフラッシュ光を用いるが,近赤外カラー化技術を導入することで,まぶしくなく一人で撮像可能な眼底カメラが実現できる.眼底像は体外から唯一血管が観察できる部位であるため,眼底像から糖尿病,高血圧,肥満など生活習慣病の兆候を観察することが可能である.従ってまぶしくない自撮りできる眼底カメラはパーソナルエルスケアへの応用が期待できる. NIRマルチカラー化対応CMOSイメージセンサを実現する誘電体多層膜オンチップフィルタ手法と近赤外カラー化技術を導入した自撮り可能な眼底カメラ技術についてその構成と画像例,そしてパーソナルヘルスケアへの応用について述べる.

X in 1 マルチスペクトルカメラシステム

富士フイルム(株) 小野 修司 氏
この講演では、X in 1 マルチスペクトルカメラシステムを紹介させていただきます。
このシステムは、富士フイルム株式会社が長年培った光学技術と最先端の画像処理技術を結集して、新たに開発した新方式のマルチスペクトルカメラシステムです。 世界で初めて偏光方式を採用し、最大9バンドの波長に分光した映像(分光映像)を高精細かつ同時に撮影して、リアルタイムに表示することが可能になりました。
人の眼では識別できない情報を分光映像として取得できるので、製造ラインにおける高精度な品質検査や、農作物の生育状況を一瞬で把握するなど、生産性向上に大きく貢献します。また、撮影の同時性を活かすことで、明瞳孔と暗瞳孔を正確に捉えて瞳孔検出する応用なども検討されています。
本カメラには、以下のような特長があります。

1. 独自開発フィルターを搭載したレンズと、光の偏光情報をとらえる偏光イメージセンサーを組み合わせることでマルチスペクトルカメラとして動作します。
2. 異なる波長の映像を高精細かつ同時に撮影して、リアルタイムにスペクトル像を取得することができます。動画撮影にも対応します。
3. 波長間の画像の位置ずれがなく、高速なスペクトル画像処理が可能です。
4. 複雑な撮像光学系を必要とせず,メカやエレキで駆動する部品はありません。そのためたいへんコンパクトなカメラヘッドで構成されています。
5. 被写体に応じて最適な波長の光学バンドパスフィルタ-を選択して撮影できます。

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2020年11月13日(金) 10:30-16:00 -アネックスホール F201
【-1 進化するイメージセンサと革新的イメージング技術(Zoom聴講)

コーディネーター挨拶

静岡大学 香川 景一郎 氏

従来比4倍の200m測距を可能にしたソリッドステートLiDAR向け受光技術

(株)東芝 Tuan Thanh Ta 氏
当社は、自動運転に不可欠な距離センシング技術「LiDAR」注1において、高解像を保ったままカメラ型LiDARの長距離測定性能を、従来の4倍に延ばすことのできる受光回路技術を開発しました。従来のカメラ型LiDARは使い勝手が良い反面、自動運転には性能不足でした。本技術により、自動運転など用途に応じて市販レンズを柔軟に選択することで、ユーザの幅広い要求に適した高性能LiDARシステムを迅速に構築・提供することができます。

マルチタップコンピュテーショナルCMOSイメージセンサによるTOF・生体計測

静岡大学 香川 景一郎 氏
マルチタップCMOSイメージセンサは、画素内に1つのフォトダイオードと複数の電荷蓄積部をもち、昨今注目を集めているコンピュテーショナルフォトグラフィと相性が良い新しい撮像デバイスである。機能的な露光が可能であり、光源・プロジェクタと同期した時間分割多重撮影や符号化露光などを、フレームレートをむやみに上げることなく効率的に実現する。また、画素内の電荷転送速度を飛躍的に高めることで、光飛行時間(TOF)に基づく距離計測や散乱光を用いた生体計測を可能とする。本講演では、マルチタップCMOSイメージセンサによりTOF距離画像計測と構造光照明を用いた広視野拡散光生体イメージングの性能を向上する例を紹介する。我々の開発した2×2画素を1単位とする4タップ時間分解画素を利用し、異なる周波数でこれらの画素を同時に駆動することでTOFにおける誤差要因であるマルチパスを分離できる。光の損失がほとんどなく、1回の撮影で計測距離レンジを延ばすことができるのが特長である。拡散光を用いた生体計測において散乱と吸収を分離する方法として、3つの異なる位相をもつ正弦波パターンを生体に次々投影する空間周波数領域イメージング法(SFDI)が提案されている。この方法の課題として、環境光と計測対象の動きにより大きな計測誤差が生じることが挙げられる。4タップCMOSイメージセンサとプロジェクタを同期させ、高速に投影パターンを切り替えることで、環境光と動きの影響を受けにくい改良型SFDIを開発した。多波長SFDI、血流スピードイメージングなどについても紹介する。
●難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

TAGレンズと露光タイミング制御による瞬時フォーカス切り替えとその動的映像制御への応用

群馬大学 奥 寛雅 氏
近年、Tunable Acoustic Gradient index (TAG)レンズと呼ばれる、液体内部の超音波の共振現象を利用した液体レンズが登場した。液体の圧縮率は低いためその固有振動数は高くなる傾向にあり、現在入手可能なTAGレンズの共振周波数も約69kHzと高速である。TAGレンズは共振周波数と同じ周波数で焦点距離が変動するため、TAGレンズを結像に用いると、そのフォーカスが69kHzで振動してしまい、一般的な撮像素子では特定の焦点距離における画像を撮影することが難しい。そのためもあってかこれまでTAGレンズは主にレーザーのフォーカス制御などに利用され、結像にはあまり利用されてこなかった。
本講演ではこのように高速だが扱いが難しいTAGレンズを露光タイミング制御が可能な撮像素子と組み合わせて映像計測に応用する手法を概説する。また、この手法を1000fpsで撮像と処理が可能な高速ビジョンに応用することで、1ms毎にフォーカス位置を制御して顕微鏡下対象の三次元位置を高速に計測・フィードバックした結果と、さらに、4-tap Lock-in Pixel Image Sensorと組み合わせて4箇所の異なるフォーカス位置の画像を同時に100fpsで撮像するSimulfocus Imaging技術を紹介する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

X線カラーイメージング

(株)ANSeeN 青木 徹 氏
X線イメージングはマイナーですが、例えば空港のセキュリティー検査、病院のレントゲンやCTスキャナなど誰もが思いつく場所ばかりでなく、工場の出荷検査や食品、インフラ配管などの非破壊検査など思ったより多くの場所で使われています。もちろん、X線イメージングの現場ではX線の画像センサーが使われています。歴史的にはX線写真フィルムやX線イメージングプレートが広く使われてきたが、最近になっていわゆるイメージセンサーが急速に普及してきています。
本講演では、我々が手がけてきたX線のカラーイメージングについて解説します。目に見えない、すなわち目というリファレンスがないX線での「カラー」イメージングとは何か、そのためのイメージセンサーを広く知られている可視のイメージセンサーやイメージングと比較しながら解説します。X線は波長が大変短い光の一種ですが、そのフォトン1つ1つが持つエネルギーが可視光に比べ桁違いに違うので、信号の発生の仕組みが異なります。実は今みなさまが見ているX線の画像は正しい入出力直線性を持っていなかった、というお話しもします。もちろん人間の目に見えない、いわゆる不可視情報のイメージングですのでどれが正しい、ということはでありませんが、AI時代の入力デバイスとして物理的に正確な高次情報を検出できるイメージセンサーを目指した最新のフォトンカウンティングフラットパネルイメージセンサーも解説します。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

IRマルチスペクトルセンサーとその眼底カメラへの応用

奈良先端科学技術大学院大学 太田 淳 氏
本講演では近赤外カラー化技術のためのマルチスペクトルCMOSイメージセンサとその眼底カメラへの応用について述べる.近赤外カラー化技術とは,近赤外3波長を可視光3波長に対応させることで,近赤外光だけでカラー画像を再現する技術である.近赤外カラー化技術の応用の一つに眼底カメラがある.眼底カメラは眼内を撮像するために通常強いフラッシュ光を用いるが,近赤外カラー化技術を導入することで,まぶしくなく一人で撮像可能な眼底カメラが実現できる.眼底像は体外から唯一血管が観察できる部位であるため,眼底像から糖尿病,高血圧,肥満など生活習慣病の兆候を観察することが可能である.従ってまぶしくない自撮りできる眼底カメラはパーソナルエルスケアへの応用が期待できる. NIRマルチカラー化対応CMOSイメージセンサを実現する誘電体多層膜オンチップフィルタ手法と近赤外カラー化技術を導入した自撮り可能な眼底カメラ技術についてその構成と画像例,そしてパーソナルヘルスケアへの応用について述べる.

X in 1 マルチスペクトルカメラシステム

富士フイルム(株) 小野 修司 氏
この講演では、X in 1 マルチスペクトルカメラシステムを紹介させていただきます。
このシステムは、富士フイルム株式会社が長年培った光学技術と最先端の画像処理技術を結集して、新たに開発した新方式のマルチスペクトルカメラシステムです。 世界で初めて偏光方式を採用し、最大9バンドの波長に分光した映像(分光映像)を高精細かつ同時に撮影して、リアルタイムに表示することが可能になりました。
人の眼では識別できない情報を分光映像として取得できるので、製造ラインにおける高精度な品質検査や、農作物の生育状況を一瞬で把握するなど、生産性向上に大きく貢献します。また、撮影の同時性を活かすことで、明瞳孔と暗瞳孔を正確に捉えて瞳孔検出する応用なども検討されています。
本カメラには、以下のような特長があります。

1. 独自開発フィルターを搭載したレンズと、光の偏光情報をとらえる偏光イメージセンサーを組み合わせることでマルチスペクトルカメラとして動作します。
2. 異なる波長の映像を高精細かつ同時に撮影して、リアルタイムにスペクトル像を取得することができます。動画撮影にも対応します。
3. 波長間の画像の位置ずれがなく、高速なスペクトル画像処理が可能です。
4. 複雑な撮像光学系を必要とせず,メカやエレキで駆動する部品はありません。そのためたいへんコンパクトなカメラヘッドで構成されています。
5. 被写体に応じて最適な波長の光学バンドパスフィルタ-を選択して撮影できます。

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