宇宙・天文光学 特別技術セミナー

2021年06月30日(水) 09:30-12:25 アネックスホール F201
【SA-1 コース】 JAXA(相模原)の研究者が語る宇宙コース


★現地会場のみの開催


はやぶさ2による小惑星Ryuguのリモートセンシング観測

立教大学 坂谷 尚哉 氏
小惑星探査機「はやぶさ」による世界初の小惑星からのサンプルリターンに引き続き、2014年12月、小惑星 Ryugu からのサンプルリターンを目指して「はやぶさ2」が打ち上げられた。2018年6月に小惑星から距離 20 km 程度のホームポジションに到着し、リモートセンシング観測を開始した。

はやぶさ2に搭載されている科学機器はマルチバンド望遠カメラ ONC-T、単バンド広角カメラ ONC-W1, 近赤外分光系 NIRS3、中間赤外カメラ TIR、小型ランダー MASCOT、衝突装置 SCI、および小型分離カメラ DCAM3 である。これらの科学観測機器を駆使した理学成果は Science や Natureを初めとして、数多くの科学論文誌に掲載されている。
はやぶさ2は小惑星Ryuguの2箇所からサンプルを採取し、2020年12月6日、地球にサンプルを無事に届け、次の宇宙旅行へ向かっている。

本講演では、Ryugu近傍運用でのリモートセンシング観測による科学成果を、私の専門分野に近い中間赤外カメラTIRを贔屓しながら、紹介する。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

宇宙X線観測で活躍するX線望遠鏡

宇宙航空研究開発機構 前田 良知 氏

宇宙インフレーションの痕跡を探る宇宙マイクロ波背景放射の偏光観測

宇宙航空研究開発機構 関本 裕太郎 氏
現代の宇宙論観測の精度は、目覚ましく進化している。
宇宙の年齢 138億年であり、宇宙はダークエネルギー 68%、ダークマター27%、普通の物質5%からできていることが、宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background: CMB)の温度(2.73 K)揺らぎの観測により明らかになってきた。

一方で、「なぜ宇宙はこれほど等方なのか?」や「なぜ宇宙はこれほど平坦なのか?」といった、疑問が残されている。これらは、開闢直後の急激な加速膨張(インフレーション)によって宇宙は作られたというインフレーション仮説を考えると解決される。
このインフレーションは、原始重力波を作り出し、CMBに渦巻き状(B-modeと呼ばれる)の偏光パターンを引き起こす。

大角度スケールで生じる原始重力波起源のCMB Bモード偏光を検出しようという野心的な計画がLiteBIRD衛星である。LiteBIRDは、2020年代後半に打ち上げ予定のJAXA戦略的中型衛星であり、ヨーロッパ、米国、カナダとの国際協力ミッションである。
ミリ波広視野望遠鏡を宇宙用冷凍機にて温度5Kに冷却し、100mKに冷却された超伝導焦点面検出器を用いる。

どのようにミリ波偏光を全天にて高精度で観測するかについて講演する。大学教養の電磁気学の知識を前提とするが、できるかぎり易しく解説する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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2021年07月01日(木) 09:30-12:25 アネックスホール F201
【SA-2 コース】 JAXA(つくば)の研究者が語る宇宙コース


★現地会場のみの開催


静止地球観測と3.6m分割望遠鏡システムの研究開発

宇宙航空研究開発機構 佐藤 世智 氏
口径3.6mの望遠鏡を静止軌道に打ち上げ、地球観測衛星として活用するという構想がJAXA研究開発部門で検討されている。理論上の地表面分解能(直下視・可視域)で7mに迫るこのような静止軌道衛星が実現されれば、即時性の高い観測システムの構築が可能となり、災害時における被災地の迅速な状況把握に役立つと期待される。また、即時性は静止軌道衛星より劣るが、より高分解能な低軌道周回衛星と組み合わせることで、時間分解能と空間分解能を相補的に活用した新たな観測システムの実現も望まれる。

以上が動機的な背景であるが、一方で技術的な背景に目を向けると、これまでに打ち上げられた宇宙望遠鏡は可視域ではハッブルが最大であり、その口径は2.4mである。望遠鏡は大型になるほど主鏡と支持構造の重量が打ち上げの負担となるため、単純に口径をサイズアップしていくことは難しい。

このような課題に対し、JAXA研究開発部門では軽量な主鏡材料と分割鏡システムによって上述した静止地球観測衛星を実現すべく検討を進めている。本講演では、静止地球観測衛星構想について要素技術の概要を交えながらJAXAの取り組みを紹介する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

GOSAT衛星による宇宙からの温室効果ガス観測から見えてきたもの

宇宙航空研究開発機構 塩見 慶 氏
温室効果ガス観測技術衛星GOSATは2009年から12年以上、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)といった、温室効果ガス濃度の全球観測を宇宙から行っている。継続的な観測とその強化を図ったGOSAT-2では、一酸化炭素(CO)を追加してCO2燃焼起源に迫る観測を2018年から開始した。GOSATシリーズでは当初、地球全体のCO2濃度分布を1つのセンサで同じ物差しで測ろうということを目的としていた。現在はそれに加えて、見たい場所を軌道上から狙うポインティング機構を駆使して、大都市からのCO2や油田地帯からのCH4といった発生源に特化した観測の強化を行っている。

GOSATシリーズではCO2導出手法でも進化を遂げた。従来、太陽光の地表面反射による短波長赤外から、大気全体の気柱平均濃度を導出していた。一方、短波長赤外だけでなく地球の熱放射の両方を利用することで、対流圏高度約12kmを更に下層(0-4km)と上層(4-12km)の2層の部分気柱濃度に分離することが可能となった。発生したCO2を高濃度な下層情報として捉えることができる。これらは、フーリエ分光計による広い観測波長の確保と高い波長分解能を得るためのセンサの最適設計と、打上げ後の校正検証活動による観測値の精度向上により成し遂げられた。

本講演では、対流圏2層CO2濃度に見るコロナ禍の人間活動抑制の影響や、NASAのCO2観測ミッションOCO-2との校正検証協力についても報告する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

地球を見守る「だいち」の目 ~先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の開発とデータ利用~

宇宙航空研究開発機構 度會 英教 氏
JAXAが開発する先進光学衛星ALOS-3「だいち3号」は、陸域観測技術衛星ALOS「だいち」(2006~2011年)の光学ミッションを引き継ぐ地球観測衛星である。現在、2021年度中の打上げを目指してフライトモデルの試験を進めている。

「だいち3号」の主要なミッションは、日本全域のみならず地球規模の陸域を高分解能かつ高頻度に観測し、蓄積した平時の画像や発災時の画像を防災・災害対策等を含む広義の安全保障に活用すること、また高精度な地理空間情報を整備・更新すること、である。このミッション要求に応えるため、「だいち3号」では新たに広域・高分解能センサ(WISH: WIde-Swath and High-resolution imager)を開発した。WISHは光学系の大型化・検出器の高感度化により、「だいち」と比較して広い観測幅(直下70km)を維持しつつ、約3倍高い地上分解能(直下0.8m:パンクロマチックバンド)を実現。またデータ利用分野の拡大を目指して、新たに2つの観測バンドを追加している。

本講演では「だいち3号」のミッション、機能・性能、最新の開発状況を紹介するほか、様々な分野における光学データの利活用についても具体的事例を交えて解説する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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2021年07月02日(金) 09:30-12:25 アネックスホール F201
【SA-3 コース】 国立天文台の研究者が語る天文コース


★現地会場のみの開催


天の川の最新描像と赤外線位置天文観測衛星JASMINEで挑む天の川と巨大ブラックホールの謎

国立天文台 郷田 直輝 氏
太陽のように自らが燃えている恒星が数千億個も集まった天体である銀河は、この宇宙に2兆個以上存在すると言われています。しかし、銀河の誕生やその時間進化はまだ完全に解き明かされていない難しい問題です。

先ず、銀河の研究を行う上で、我々が住む天の川銀河が、この上もなく貴重で重要な研究対象であることを説明します。そして、天の川銀河を探求する上で大きな観測手段となる位置天文観測についての概説を行います。さらに、現在運用中のヨーロッパ宇宙機関(ESA)のGaia衛星による高精度位置天文観測で得られてきている科学的成果、特に天の川銀河の最新描像についての説明も行います。次に、Gaiaでは残される謎を解くために、日本で進めている赤外線位置天文観測衛星(JASMINE)計画に関して説明します。
なお、JASMINEは、JAXA宇宙科学研究所により、公募型小型計画3号機の唯一の候補として選定されています。そしてJASMINEの科学的成果として期待される、銀河中心考古学と銀震学による天の川銀河の探求(太陽が生まれた場所や今まで天の川銀河内でどのような軌跡をたどってきたかの探求にもつながります)や巨大ブラックホール形成の探求を概説します。

なお、以上のような科学目標を達成するためには、JASMINEは、25マイクロ秒角という非常に高精度で天球面上での星の動きを評価する必要があります。このような精度を達成するためにはデータ解析方法と観測システムの両輪をうまく工夫することが必要であることについても概説します。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

スペースからの観測とそのための観測装置開発

国立天文台 鹿野 良平 氏

すばる望遠鏡と30m光学赤外線望遠鏡TMTが結ぶ新たな宇宙像

国立天文台 岩田 生 氏
すばる望遠鏡は、国立天文台がハワイ島マウナケアに設置し運用する口径8.2mの鏡を擁する光学赤外線望遠鏡です。1999年の観測開始から20年を超え、最も遠くの銀河の記録を塗り替え続ける、太陽系外の惑星の直接撮像に成功するなど、これまでに大きな成果をあげていますが、新しい観測装置を搭載することで、その性能を不断に向上させています。
また、国立天文台では、国際協力により、すばる望遠鏡と同じマウナケアに口径30mの光学赤外線望遠鏡=Thirty Meter Telescope (TMT)の建設を目指しています。
TMTは、現在の地上光学赤外線望遠鏡をはるかに上回る口径と先進の補償光学システムにより、恒星のような点光源に対してすばる望遠鏡の100倍もの感度向上と、3倍以上の空間解像度の向上を達成し、宇宙最初の天体の検出や地球型太陽系外惑星の発見と生命の兆候の探査など、人類に新たな宇宙像をもたらすことを目指しています。
他の大型望遠鏡に類を見ない非常に広い視野での探査を特徴とするすばる望遠鏡とTMTの連携で、どんな科学研究を行おうとしているか、紹介させて頂きたいと思います。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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