青色半導体レーザー接合加工共創コンソーシアム主催セミナー

2021年06月30日(水) 10:30-16:05
【CNL-1 コース】 カーボンニュートラルと光・レーザー技術セミナー

協賛:(一社)レーザー学会 / 協力:大阪大学レーザー科学研究所


★現地会場のみの開催


総論:カーボンニュートラルに貢献する光・レーザー技術

大阪大学 山本 和久 氏
2020年10月、政府は『2050年カーボンニュートラル宣言』を行った。
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという目標であり、その実現向けては様々な技術開発が必要となってくる。その鍵は電化であり、いつでも、どこでも使うためには蓄電が重要となる。

経済産業省はNEDOに2兆円基金を設立、民間企業の15兆円研究開発費を誘発するという大きなビジネスチャンスでもある。カーボンニュートラルにおいて、光・レーザー技術の果たす役割は何であろうか?

人工光合成、次世代太陽電池、LED/レーザー照明・ディスプレイ、光給電、5G/6G、光インターコネクト、レーザー加工(電気自動車、電池、半導体)、スマート農業用光技術、レーザー核融合などあり、ここではその概要を述べる。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

次世代太陽電池(ペロブスカイト)

桐蔭横浜大学 宮坂 力 氏
有機無機ハイブリッドのペロブスカイト材料を用いる薄膜太陽電池はシリコンと同等のエネルギー変換効率(>25%)に到達し、開発に拍車がかかっている。
安価な溶液塗布(印刷法)を使った低コスト生産ができるほか軽量でフレキシブルな素子の作製にも適するため、太陽光発電用としてのみならずIoT用の光電変換デバイスへの応用も期待される。最近では、単一のセルで、光照射下に1.4Vの電圧を出力する能力も明らかになっている。

国内外で10社近くが実用モジュールの開発を行うほか、発電用以外に発光素子(LED)、光センシング素子、X線検出素子を含めて光産業における応用範囲が広がっている。さらに放射線への耐久性が高い特長を持つことから、宇宙産業に軽量ペロブスカイト太陽電池を応用する取り組みもJAXAとの共同研究で進めている。

本セミナーでは、光産業技術への応用において、ペロブスカイト半導体のもつユニークな特徴を紹介し、産業実用化への取り組みと将来展望を紹介する。

カーボンニュートラル時代の人工光合成(CO2光燃料化)

千葉大学 泉 康雄 氏
化石燃料の燃焼で生じた二酸化炭素(CO2)を光エネルギーを利用して燃料に戻す、カーボンニューラル・サイクルについての研究を行った。失活することなく定常的に反応を進めることができ、また比較的安価で余分なエネルギーを要することのない素材選びも重要である。

金属ニッケル(Ni)ナノ結晶と酸化ジルコニウム(ZrO2)から成る光触媒を開発し、CO2を燃料となるメタンへ還元した。通常の12Cは陽子6つ、中性子6つ含むのに対し、陽子7つ、中性子6つ含む13Cで標識した13CO2を原料として、2日間紫外線と可視光線を照射しながらリアルタイムで反応を追跡し、定常的に13Cで標識されたメタン(13CH4)を生成することを示した。

半導体の性質をもつZrO2に紫外線が当たることで電子(マイナス電荷)とホール(プラス電荷)が生じ、この電子によりCO2が還元されて一酸化炭素(CO)が生じた。一方、光反応試験前に水素処理を行うことで平均1.7 nmのNiナノ結晶は電気的中性の0価に還元されており、CO2光燃料化反応中には394 Kに達していることが、シンクロトロンX線実験により明らかになった。COからCH4への反応過程はこのNi上で可視光線から変換された熱により進むことが実証された。

本研究成果は地球上でのゼロエミッションへの適用に限らず、紫外線特性を利用した成層圏でのオゾン層修復や、火星上の資源のみで燃料を得るオンサイト燃料供給など、想像もしなかった応用が期待できる。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)/初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

光無線給電

東京工業大学 宮本 智之 氏
光ビームを用いる光無線給電は、既存の無線給電と異なり数kmほどまでの長距離給電も可能である。また、光源と受光デバイスは直流動作することもあり、光ビームも含めて他の機器への電磁ノイズの影響がない。これらの特徴から光無線給電は極微小端末から情報端末、家電、さらに電気自動車やロボット、ドローンといったモビリティなどさまざまな応用が期待される。

この光無線給電は、原理は比較的簡素だがまだ研究事例は非常に少ない。2010年代後半から少しずつ活性化し始めた分野であり、今後の進展が期待される。なお、そのシステム実現に必要な基本要素等はすべてそろっており、高い実現性があるといえる。

この光無線給電は、カーボンニュートラルに有効なのであろうか。まず給電の効率は現時点で10-20%と低い。将来的にも50%程度が上限であろう。このため光無線給電自身や単に既存の配線を置換えるだけではカーボンニュートラルへの貢献は難しい。一方で、光無線給電により機器自身やその使い方、使う場面、またそれらを前提とした社会全体の仕組みが大きく変わる可能性がある。既存の仕組みの延長のみでは容易でないカーボンニュートラル社会への転換が、新たな仕組みにより社会の転換の起点にすることも可能ではないかと考えている。講演では光無線給電方式の動向と将来の可能性を議論予定である。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)/入門程度(大学一般教養程度)

固体光源による超省エネ照明 -LEDからレーザーへ-

大阪大学 山本 和久 氏
カーボンニュートラル達成のためにはクリーンエネルギーによる発電も重要であるが、消費する電力量の削減も重要となる。
LEDという固体光源の登場により、照明・ディスプレイは大きく省エネ化された。更なる省エネ化のためにはレーザーのポテンシャルは高く、期待が大きい。すでにレーザープロジェクタなどのディスプレイや一部の照明への導入が始まっている。
ここではその概要を述べる。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

カーボンニュートラルと青色レーザー加工

大阪大学 塚本 雅裕 氏
CO₂をはじめとする温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目的とするカーボンニュートラルを実現するためには、排出量を大幅に削減する社会システムの構築が必要である。それには、ガソリンエンジン車に代わり電気自動車を普及させることが不可欠である。
電気自動車を効率よく走行させるためには、動力源であるモーターの小型軽量化および高出力化が必要となり、そのためには、モーターコイル構造の最適化が必須である。モーターコイルには電気伝導率の高い銅材料が使用されているので、最適構造実現のためには、高度な銅の溶接技術が要求される。

当技術を開発するためには、レーザー溶接は有効な方法の一つであり、銅に対し高い吸収率を有する青色半導体レーザーを用いることが得策である。
NEDOプロジェクト「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発(2016年度~2020年度)」では波長450nmの青色半導体レーザーに着目し、大阪大学接合科学研究所、(株)島津製作所、ヤマザキマザック(株)が日亜化学工業(株)の協力のもと、当レーザーの高輝度化及び高出力化の研究開発を推進してきた。

本セミナーでは青色半導体レーザーの優位性を説明し、当プロジェクトで開発してきた青色半導体レーザーを紹介する。

次に200W青色半導体レーザーを3台用いた世界初青色半導体レーザー搭載ハイブリッド複合加工機および200W青色半導体レーザーと近赤外線ファイバーレーザーを組み合わせたハイブリッドレーザー溶接ユニットを示す。最後に「500W青色半導体レーザー3台を用いた1.5kW溶接用加工ヘッドの開発」について紹介する。

スマート農業

国立研究開発法人 理化学研究所 和田 智之 氏
我々のグループでは、脱炭素社会に向けて水素を利用したエネルギー貯蔵水素を利用した発電、さらに電気化学反応を利用した炭化水素の合成に向けた研究を進めている。

昨年度からは、MSの採択を受けさらに本研究を推進している。一方、研究室では、スマート農業と呼ばれている最先端の技術を導入した新しい農業研究を始めている。特に、完全環境制御型農業と呼ばれる植物工場の研究を展開している。
こうした農業では、照明や空調の電力がコストを大きく採用している。さらに、二酸化炭素の分圧を上げることが効率的な育成につながる。言い換えると、効率的な光合成による植物の育成は、二酸化炭素を消費し除去する手段となる。
本講演では、カーボンニュートラルに向けたこれらの研究を紹介する。

レーザー核融合研究開発とカーボンニュートラル

大阪大学 兒玉 了祐 氏
2050年カーボンニュートラルを目指した様々なシナリオと共に水素を活用した二酸化炭素削減や二酸化炭素から新たな燃料創生など様々取り組みが提案されている。それらほとんどすべてのアプローチで必要となるのがゼロカーボンエネルギー源やゼロカーボン水素である。そのためには化石燃料からの脱却と共に自然エネルギーや2酸化炭素を発生しない再生可能エネルギーの活用である。

今後、2050年までに省エネルギー化が進みこれらのエネルギーだけで必要なエネルギー・電力をまかなえればよいが、幾つかの予測によると、その割合は50-70%といわれている。一方で、今後、情報化や自動化など多くの電子機器を利用することが予測される社会では、電力需要の可能性がより高くなり、新たなエネルギー・電力源が必要となると考えられる。このような中で核融合は、新たなゼロカーボンエネルギー源の可能性の一つとなる。

本講演では、レーザー核融合研究開発の現状と2050年を目指した取り組みを紹介するとともに、レーザー核融合ゼロカーボン水素製造や関連するパワーレーザー技術による新極限グリーン物質材料創生の可能性について紹介する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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