赤外線セミナー

2022年11月11日(金) 13:30-16:00 第3会議室
【IR-1 赤外線イメージング ーセンサデバイスから応用までー

サーマルダイオード赤外線センサ技術

三菱電機(株) 先端技術総合研究所 先進機能デバイス技術部 画像デバイス技術グループ グループマネージャー 藤澤 大介 氏
常温物体からは、10µm近傍の赤外線が最も多く放射されることから、赤外線の波長帯のうち8~14 µm帯を検知対象とした赤外線センサは、常温物体の検知に優れている。

赤外線センサは、検出原理の違いから冷却型(量子型)と非冷却型(熱型)に大別され、特に非冷却赤外線センサは、冷凍機が不要であることから、防犯、空調、スマートビルなどの幅広い分野で使用されてきたが、最近では、コロナへの対策として、発熱者のスクリーニングなどでの非接触体表面温度計測へのニーズも急速に高まっている。

非冷却型の赤外線イメージセンサは、シリコン基板上に断熱構造を有する画素(温度センサ)を2次元アレイとして形成したもので、温度センサとしては、ボロメータ、サーモパイル、強誘電体、ダイオード等など様々なものが用いられている。

三菱電機が開発を行う赤外線イメージセンサは、温度センサ部にシリコン単結晶でできたダイオードを使用しており、高温度分解能化(<100 mK)を実現し、0.1℃単位での温度分析を可能にしている。

今回の講演では、非冷却赤外線イメージセンサの中で、三菱電機が開発を行っているダイオード方式を中心に非冷却赤外線イメージセンサ技術(原理・画素縮小・大フォーマット化・TECレス・シャッタレス)について紹介し、開発事例にも触れる。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

SWIR / MWIR / LWIR赤外線カメラと応用

(株)ビジョンセンシング 杉崎 那々海 氏
遠赤外線カメラの低価格が進みあらゆる分野への赤外線画像の応用が進んでいる。コロナ感染の発熱検知カメラなど低価格を後押ししている。また、非冷却型カメラでNETD性能が良いカメラも開発されより広いアプリケーションへの対応が期待されている。

近赤外線カメラでは、高速反応ができるGated Imaging Modeを搭載されたセンサが開発されている。このカメラのレーザによる距離測定や高速移動体の追尾への応用が進んでいる。また、波長を選択することにより水分の検出などアプリケーションへの応用が進んでいる。

中赤外線カメラでは、画素ピッチの狭小化が進み、大画素センサが市場に投入されている。また焦点距離が900mmから1200mmと超焦点距離のズームレンズが開発されている。しかし、レンズ内での反射によってナルシサスが発生し、その除去が必要となっている。また、波長を絞って炎の向こう側の温度測定を行うなど中赤外線領域で出来ることの可能性が広がっている。

本講演では、赤外線カメラの波長別の特徴と現在のトレンド及び最先端カメラの性能や波長別でのアプリケーションの違いを説明する。
また、ユーザー目線での赤外線カメラの選択方法や目安を分かりやすく説明する。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

赤外線センサの衛星リモートセンシングへの応用

宇宙航空研究開発機構 研究開発部門 センサ研究グループ 客員 片山 晴善 氏
衛星搭載用の赤外線センサは、気象観測、災害観測、環境観測などの衛星リモートセンシングにおいて、重要な役割を果たしている。

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)シリーズは、短波長赤外領域および熱赤外領域の地表面からの太陽光反射光および地球大気からの放射を観測することにより、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを高精度に測定する。

気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)は、多波長光学放射計(SGLI)を搭載し、雲、エアロゾル(大気中のちり)、海色、植生、雪氷などの観測を行う。SGLIの赤外走査放射計部(SGL-IRS)は、海面水温、地表面温度の把握など、赤外線の特徴を活かした観測を行っている。

また小型の赤外イメージャとして開発された地球観測用小型赤外カメラ(CIRC)は、小型の特徴を活かして陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)及び、国際宇宙ステーションの実験装置(CALET)に相乗り機器として搭載され、様々な観測を行っている。

さらに、今後打上げ予定の先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)には、防災・減災、災害発生後の被害状況把握への貢献、高精度な地理空間情報の整備・更新等のミッションを目的に、可視から近赤外域の広域・高分解能センサ(WISH)が搭載され、観測を行う予定である。

本講演では、低軌道の地球観測衛星を中心に様々な衛星に搭載されている衛星リモートセンシング用の赤外線センサを紹介するとともに、センサの基本原理についても解説する。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

併催イベント一覧へ

元のページに戻り選択を続ける
お申込み受付は終了いたしました。


※有料セミナー キャンセル規程:
お客様のご都合による受講解約の場合、10/31までは受講料の50%、11/1以降につきましては受講料の全額を解約金として申し受けます。
但し、申込者が既定の人数に達しない場合、中止とすることがあります。その場合には、申し受けた受講料は返金致します。

なんらかの不可抗力により該当セミナー、及び付帯するイベントの開催が不可能となった場合、主催者は受講のキャンセルの受け付け致しません。また、受講料の返金を含む、これにともなった損害の補填・補償は行いません。

【不可抗力】台風、洪水、地震を含む天災、あるいはそれらを原因とする様々な事態、疾病や伝染病の蔓延、労働争議、主催者の合理的なコントロールを超えた会場設備の使用制限や講師の欠席等を含むもの


[ 特定商取引法に基づく表記 ]