光源・光学素子セミナー

2023年04月19日(水) 10:00-12:55 アネックスホール F204
【LO-1 赤外線技術の基礎

赤外線の基礎

静岡大学 名誉教授 廣本 宣久 氏
赤外線は近年、検出器や光学素子の性能向上、小型化、低価格化によって、利用分野が拡大し、イメージング・分光などの技術を用いる非破壊非接触の検査・物質識別のために、なくてはならないものとなっています。
本講演では,応用を考えるために必要な、赤外線の科学・技術の基本をやさしく説明します。

 1.赤外線とは ―光、電波と同じ電磁波
 2.赤外線の性質 ―赤外線と物質との相互作用から
 3.赤外線放射の測定の物理量 ―何を測定しているか
 4.赤外線放射の測定方法 ―正確な測定のために
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

中赤外コヒーレント光源の最前線

理化学研究所 光量子制御技術開発チーム 研究員 宮田 憲太郎 氏
赤外線領域の中でも、約2-20µmの領域に相当する中赤外線領域には分子固有の吸収スペクトルが無数に存在する。この波長域における光源は、レーザー分光技術を基礎とした環境計測に加え、バイオ・医療、レーザー加工など様々な分野への応用が期待されている。

本講演では、近年発展が目覚ましい中赤外線レーザー光源の技術について、固体及びファイバーを利得媒体として用いたレーザーとその波長変換を中心に、時間領域ではフェムト秒から連続波、スペクトル領域では2–20µmまでを網羅するよう解説する。

特に本技術でキーとなる非酸化物系の光学材料について、既に一般的なものから最前線で研究されているものまで、物性データを中心にその基本特性を丁寧に説明し、レーザー光源技術へとその内容を体系的に展開させる。

最後に、中赤外線レーザー光源を用いた具体的な応用例を紹介する。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

赤外線イメージング技術の動向

元 立命館大学 木股 雅章 氏
赤外線イメージングは、撮像対象が放射する赤外線の分布を二次元画像として捉える技術で、最近では民需応用も活発になり、監視、セキュリティー、設備保全、工業計測など幅広い応用分野で活用されている。

赤外線イメージング用の赤外線イメージセンサには、非冷却型と冷却型がある。

非冷却型は、室温で動作する熱型検出器によって赤外線を検出するもので、熱コンダクタンスの小さい画素構造を実現できるMEMS (Micro Electro Mechanical Systems) 製造技術を活用して性能向上が進められ、画素ピッチは10 µm以下、解像度はFull HDレベルに達している。
非冷却型では、低コスト化のための技術開発も進められており、コロナ禍で注目を集めた発熱者スクリーニング応用に加え、スマートフォン応用や車載応用での市場拡大が期待されている。

冷却型は、半導体の光電効果を利用して赤外線を検出するもので、狭バンドギャップ半導体であるHgCdTeとInSbを用いた赤外線イメージセンサが一般的であったが、最近、Type-II超格子検出器の性能も実用レベルに達している。

本講演では、赤外線イメージセンサと赤外線カメラの基礎と開発動向および注目される応用を解説し、デバイス技術として冷却型と密接な関係を持つ短波長赤外線イメージングについても触れる。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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2023年04月19日(水) 13:40-16:35 アネックスホール F204
【LO-2 紫外線の基礎と応用

紫外線の基礎と応用

東海大学 名誉教授 佐々木 政子 氏
紫外線・可視光線・赤外線は“光”と総称される。可視光線の紫より短波長側にある眼には見えない400~100nmの電磁波が紫外線と呼ばれる。
専門用語は紫外放射(ultraviolet radiation: UV)であり、略語UVが常用される。
光は横波の性質を持つエネルギー粒子である。
光子1個のエネルギーεは、次式(1)で示される。

ε==hc/λ  (1)

ここで、hはプランク定数、νは振動数、λは波長、cは真空中の光速である。
(1)式から、光子のエネルギーは、電磁波の振動数に比例し、波長に反比例することがわかる。原子や分子で構成される物質が光子を吸収して起こす化学反応は、mol単位で行われる。
物質1molあたりに含まれる粒子数はアボガドロ定数NA(NA ≒ 6.022 × 1023 mol-1 )と呼ばれる。

1molあたりの光子エネルギー(E)は、光子1個のエネルギーεにアボガドロ定数NAを乗じたものとして示される。
E =NAε=NA hν=NAhc/λ  [kJ mol-1]
赤外線や可視光線より波長の短い紫外線の光子エネルギーは大きく、物質に吸収されると電子状態を変化させ光化学反応を起こすことから化学線と呼ばれることもある。
紫外線の光化学反応は、日々の生活を支援している多種・多様な産業に必要不可欠な要素技術を数多く提供している。 
本講演では、1.紫外線とは、2.紫外線の放射源 太陽光と人工光源、3.紫外線の計測法、4.紫外線の人体作用、5.紫外線利用技術と産業応用について述べる。

なお、紫外線の波長帯域区分用語:UV-A、UV-B、UV-Cは、1932年に光療法の普及の過程で提案され、現在は、国際照明委員会(CIE)の定義用語となっている。しかし、研究・産業分野によって同一用語を使いながら、帯域区分波長が異なる場合が多い。
用語UV-A、UV-B、UV-Cを用いて紫外線を論ずるときには波長明記が必須である。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

紫外線光源と応用の最前線

理化学研究所 光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チーム チームリーダー 和田 智之 氏
紫外線は、ウイルスのゲノムに直接ダメージを与え不活化することができるために、社会課題である新型コロナウイルスの不活化で着目された、この応用では、紫外線が人の皮膚や目に与えれるダメージから普及が難しかった。

しかしながら、波長230nm以下の紫外線は、皮膚の表面や目の表面で吸収されるために皮膚や目のダメージを避けることができる波長領域として注目を浴びている。 ウイルスによるパンデミックは今後も発生する人類の課題であり、この新しい波長領域の光源が特にLEDを中心に必要とされている。

日本に半導体産業を復活させるとの政府の戦略から半導体リソグラフィー等に用いられる紫外線も新ためて注目を集めている。このほか、紫外線は、高分子の凝固による3Dプリンターや接着技術でも要望が高まっている。

本講演では、紫外線領域の応用のトピックスと光源開発の現状について最近の動向について述べる。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

紫外発光素⼦材料とそのデバイス応⽤

名城大学 理工学部 材料機能工学科 准教授 岩谷 素顕 氏

受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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2023年04月20日(木) 10:00-12:55 アネックスホール F204
【LO-3 赤外線の光学系の基礎

赤外レンズ ― 設計と活用

(株)タムロン 光学開発センター 執行役員センター長 安藤 稔 氏
近年可視光では見ることのできないものを見る技術として、赤外線(1 ~14μm)領域が
注目されている。

赤外線の領域には、さまざまな分子のスペクトルが存在し物質の異なった特性を
見ることができる反面、その特徴から透過する材料が限られる。

レンズ設計においては、材料の特性や色収差の問題のため近赤外、中間赤外、
遠赤外それぞれの領域で使える材料などについて理解をすることが必要となる。

本公演では赤外線用カメラの活用について紹介するとともに、赤外線用レンズの材料の特徴を比較、それらを使用した光学設計について解説を行う。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

赤外透過材料 ―焼結法による赤外透過多結晶セラミックスの創製―

物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 蛍光体グループ 主席研究員 森田 孝治 氏
粉末を原料に、焼結法によって製造することができる透明多結晶セラミックは、比較的高い生産性に加え、光学特性と機械特性を同時に実現できる点で注目を集めている。

多結晶セラミックにおいて優れた透過性を達成するための重要な要素は、緻密で微細な組織を達成することである。
最近、緻密で微細な組織を有する透明なセラミックを達成するために、電場、高圧および磁場のような外場効果と組合せた焼結法が広く利用されている。

前者の2つは、粉末の緻密化を加速することができ、それ故に低温で緻密な微細構造を達成することを可能にする。
3つ目は、多結晶セラミックの結晶配向を制御することで、結晶間の方位差を小さくすることで粒界での光散乱を減少させることができる。

個々の外場効果のさらなる改善が必要であるが、外場効果と融合した高度な焼結技術は優れた光学的および機械的特性を重畳した新規の透明セラミックの開発を加速できるであろうと期待される。

本講演では、これまで物材機構において取り組んでした赤外透過多結晶セラミックスの創製に関する成果を中心にご紹介させて頂きます。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

メタマテリアルと赤外線センサー

理化学研究所 開拓研究本部 田中メタマテリアル研究室 主任研究員 兼 光量子工学研究センターフォトン操作機能研究チーム チームリーダー 田中 拓男 氏
メタマテリアルは、波長より細かな人工構造を用いて物質の光学特性を制御した疑似材料である。
メタマテリアルそのものは構造体であるが、それを構成する構造を波長より細かく設計・加工することで、1つ1つの構造は光波に直接感知されずにメタマテリアル全体が1つの均質な物質として振る舞う。

メタマテリアルの特徴の1つは、その構造をうまく設計することで、自然界から直接得られる物質には無いような光学特性を物質に付与できることである。
メタマテリアルが実現する特異な光学特性の1つが、透磁率を制御した物質である。
一般に光周波数においては自然界のほぼ全ての物質の透磁率の値は真空の透磁率と同じになる。
物質の透磁率を人工的に変化させることができると、誘電率と透磁率の比で定義される物質のインピーダンスも人工的に操作できることとなり、物質界面での光の反射を抑制して光を完全に吸収する物質もつくることができる。

本講演では、メタマテリアルの概要について簡単に触れた後、特に光を完全に吸収する光吸収メタマテリアルを中心にその原理と特性を述べる。
そして赤外光を吸収する赤外吸収メタマテリアルのような新しい赤外材料にフォーカスを絞り、それを応用して赤外分光法の分子検出感度を飛躍的に高感度化する技術など、赤外吸収メタマテリアルの応用技術に関する最新の研究成果を赤外線センサーの最近の動向と共に紹介する。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)
受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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2023年04月20日(木) 13:40-16:35 アネックスホール F204
【LO-4 紫外線の半導体製造技術

半導体製造のための光源(1)DUV加工そしてEUV応用

九州大学 客員教授 / 元ギガフォトン(株) シニア・フェロー 溝口 計 氏
半導体の微細化の進展とともに光リソグラフィ光源の短波長化が水銀ランプ:g線、i線、エキシマレーザ:KrF、ArF、ArF液浸とフラグシップをより短波長な光源に替えながら進化してきた。しかし、2010年以降は、高出力EUV光源の開発の遅延により量産工場では2~4重露光によるArF液浸露光とエッチングを組み合わせたマルチパターニングに至りパターニングコストが大きく押し上げられた。

一方、これまで真打と言われながらもボトルネックになっていたEUV(極端紫外線)波長でのEUV光源の性能改善がようやく進展し、2018年頃から半導体製造現場での250 W運転の成功も報告されるようになった[1]。これによってロジックデバイス製造メーカを中心にEUV露光装置の本格導入がすでに始まっている。

こうした中で最先端リソグラフィのフラグシップが一律に切り変わっていた時代から、
 (1) ロジックデバイス、DRAMはEUV+ArF液浸または液浸多重露光(前工程1)
 (2)KrFを使い3D構造化し、階層数が増加しているNANDフラッシュメモリ(前工程2)
 (3)パッケージング工程の微細化の進展(従来は後工程と呼ばれていたが、最近の微細なものは中工程の名称で呼ばれる)と半導体の微細化は多線化の時代になった。これに連動してリソグラフィ用の光源開発も、短波長化の1本道から多品種の光源への複雑な要求に変化している。

本報では、DUVリソグラフィの進展とDUVエキシマレーザ光源開発、それに続くEUV光源の開発の現状、そして第3の微細化:パッケージングの微細化へのギガフォトンの挑戦を中心に解説する。

Keywords: Lithography, DUV lasers, EUV LPP Source, Packaging, Middle end process
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

半導体製造のための光源(2)EUVからBeyond EUV

宇都宮大学 工学部 基盤工学科 情報電子オプティクスコース 教授 東口 武史 氏
AI、IoT、EV、次世代ディスプレイ、スマートシティー、省エネなどSDGsを意識した活動が盛んです。
しかし、物資不足で、いまや「半導体」という言葉を「半導体不足」という言葉とともに聞かない日はありません。

「産業のコメ」と呼ばれた半導体素子は「産業のブレイン」と言われるまでになりました。
EUVリソグラフィー登場し、半導体素子の高性能化・省エネ化が加速しています。

本講座では、EUVリソグラフィーの露光と光源について平易にお話する予定です。

1.EUVリソグラフィーとは
 1.1 半導体素子の回路線幅の微細化と高集積化について最近の動向を簡単に
 1.2 露光用光源とは
2.EUV光源について
 2.1 EUV光源の原理
 2.2 各種EUV光源
3.レーザー生成プラズマEUV光源
 3.1 光源の物理と技術
 3.2 装置構成
4.Beyond EUV (BEUV) 光源
 4.1 beyond (BEUV) 光源とは?
 4.2 BEUV光源の現状と課題
5.まとめ
6.今後の展開
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)/ 初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

フォトマスク検査機へのEUV光源適用技術

レーザーテック(株) 宮井 博基 氏
半導体デバイスの性能向上のため13.5nmの波長を用いたEUV露光の適用が拡大している。

EUV露光で用いられるフォトマスクはウェハに転写する欠陥を検査機で確実に検出して性能を保証することが求められている。
そのため、マスク検査では露光と同じEUV波長を用いることで欠陥検出特性を露光特性と合わせたアクティニック方式での検査が適用されている。EUV波長は従来から用いられてきたDUVや可視波長とは特性が異なるため、検査用途で用いるには新たな技術開発が必要であった。

EUV波長は大気中では減衰する特性を持つために光路を真空に引く必要があることや、光子エネルギーが高いため使用する部材の劣化対策が必要になる点などである。

本講演ではEUV波長を応用する際に必要となる技術、検査機に求められる光源および照明の特性を解説し、世界で最初に実用化したEUVを用いたアクティニックマスクブランクス検査機、マスクパターン検査機の適用事例を紹介する。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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2023年04月21日(金) 10:00-12:55 アネックスホール F204
【LO-5 赤外線のアプリケーション

防衛分野における赤外線技術

防衛装備庁 次世代装備研究所センサ研究部 光波センサ研究室長 工藤 順一 氏
本講演では、防衛用光波センサにおいて特に重要な技術であります赤外線センサ技術について防衛装備庁次世代装備研究所での研究開発状況等を踏まえながら発表する予定です。

昨年と同様の内容ですが、その後公表された情報も加えつつ研究成果等をお伝えし、将来への方向性が感じられるような内容にする予定です。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

中赤外光および深紫外光を用いたヘルスケアモニタリング

東北大学大学院医工学研究科 教授 松浦 祐司 氏
波長6ミクロン以上の中赤外光、および波長300 nmの深紫外光というこれまではあまり活用されていなかった極端波長域の光を用いたヘルスケア機器の現状と将来展望について報告する。

まず波長が6~12ミクロン程度の中赤外光を用いた分光法により、生体を構成するタンパク質、脂質、糖質などの高精度な分析が可能になる。
この領域では最近、中赤外量子カスケードレーザや、室温動作の半導体検出器が登場し、小型かつ安価なヘルスケア機器の実現性が高まってきた。
また波長300 nm以下の深紫外領域は、特に種々の揮発性ガスが強力な吸収を示すため、LEDや新しい光源の開発とともに、新しいアプリケーションの発現が期待されている。

そこで本講演では、中赤外減衰全反射(ATR)法に基づく非侵襲血糖値測定や血中コレステロール分析、さらにはATR法に代わる光熱変換分光法の応用などについて紹介する。
そして中空光ファイバを微小容量かつ長光路ガスセルとして利用した深紫外、真空紫外分光分析の応用例として、代謝計測の有用な呼気中イソプレン、およびアセトンの高精度計測の結果などを報告するとともに、中赤外光および深紫外光を用いたヘルスケア機器の今後の展望などについて述べる。
●難易度:入門程度(大学一般教養程度)

自動車における赤外センサ

次世代センサ協議会 理事 室 英夫 氏
自動車用センサの開発は1970年代排ガス規制へ対応するためのエンジン電子制御システムにおいてスタートし、圧力センサや酸素センサ、車輪速センサなど多くのセンサが実用化された。
その後システムの電子化はシャシ系やボディ系へも発展し、実に様々なセンサが用いられるようになった。
その中でMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術による小型・低価格の加速度センサや振動ジャイロが商品化され、自動車用システムの電子化の推進力となった。

1990年代以降は交通安全の社会ニーズの高まりから、国によるASV(Advanced Safety Vehicle)プロジェクトが始まり、ITS(Intelligent Transport Systems)用環境認識センサが本格的
に研究開発されるようになった。
カメラ、レーザレーダ、ミリ波レーダに加えて、赤外線センサも検討され、実用化も始まっている。

本講演では自動車用センサの開発の歴史を振り返った後、自動運転に向けた環境認識センサの概要を述べ、その後赤外線センサの基礎のレビューを行い、特にMEMS技術により小型・高性能化を実現したいくつかの赤外線イメージセンサの開発例を紹介したいと思う。
受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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2023年04月21日(金) 13:40-16:35 アネックスホール F204
【LO-6 ウイルス不活化への紫外線応用

人体無害ウイルス不活化230nm帯Far-UVC LEDの開発

理化学研究所 平山量子光素子研究室 主任研究員 平山 秀樹 氏
ポストコロナ・ウィズコロナ社会において、ウィルス不活化用の光源として深紫外線が期待されている。
220~270nm帯の深紫外線は、殺菌・ウィルス不活化、浄水、空気浄化作用に優れており家庭や公共の空間におけるウィルス感染拡大の防止、除菌に役立つと考えられる。

特に230nmより短波の紫外線は、人体の皮膚や目の表面で吸収され内部の細胞に影響を及ぼさないことから、生体無害ウィルス不活化ができる光源として注目されている。
230nm帯LEDは、人の活動する空間における利用が可能であるため、その応用範囲も広がると考えられる。AlGaNを用いた230nm帯の短波長LEDの開発は、短波長化とともに効率が急に低下することから課題が多い。

当研究室では、分極ドープ効果を用いて電子の注入効率を高め、230nm帯LEDの高出力化を行っている。さらに、AlN結晶の高品質化による高効率発光の実現に加え、光取り出し効率の向上で飛躍的な高出力化を目指している。
最近は230nm帯LEDを用いて100mWクラスLEDパネルを作製し、コロナ不活化の実証試験を行っている。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

深紫外光を用いた新型コロナウイルス不活化

徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所 ポストLEDフォトニクス研究部門 准教授 南川 丈夫 氏
新型コロナウイルス感染症は、2020年度初頭から世界的な大流行を引き起こし、医療・教育・経済・社会など様々な活動に影響を与えた。
その病原体は、新型コロナウイルスと呼ばれ、特に高齢者や基礎疾患を有している人に対して、高い確率で重篤な呼吸器疾患を引き起こす。

2022年にようやくアフターコロナ社会への変遷の兆しを見せているものの、依然としてその致死率や感染力は、季節性インフルエンザや通常の風邪に比べて非常に高い。
また、変異株の発生による再感染拡大や、他の感染症の勃興の懸念など、今後の医療・教育・経済・社会など様々な活動を守るためには感染症対策の確立は必須の事項になっている。

新型コロナウイルス感染対策の有効な手段の一つとして、深紫外光を用いたウイルス不活化技術が挙げられる。
深紫外光は、エネルギーコストが安い(物質を消費しない、消費エネルギーが少ない)、処理後の残存物質が無い、対象物への影響が小さい、非接触で実施可能、変異ウイルスを含む様々なウイルスにも対応可能といった利点から注目されている。

本セミナーでは、新型コロナウイルス感染対策として深紫外光を用いる利点から、深紫外光源の種類、実際の不活化効果などについて紹介する。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

有人下で使用するFar UV-Cの安全性と効果、今後の展開について

ウシオ電機(株) 事業統括本部 光源事業部 EH Solutions GBU ビジネスユニット長 平尾 哲治 氏
昨今、紫外線によるウイルス不活化技術が注目されていますが、これまではひとがいる環境ではなく、密閉された空間に限定して主に波長254nmのUV-C光源が広く使用されてきました。
UV-C光源は細菌やウイルスに対して高い不活化効果を示しますが、ひとに対して急性障害(紅斑、紫外線角膜炎)、慢性障害(皮膚ガン)を引き起こす可能性があるため、ひとがいる環境での使用は避けられてきました。
一方、波長222nmの紫外線は波長254nmと同様に高い不活化効果を持ちながら、人体への安全性が極めて高いことが複数の研究機関などで得られてきました。

この波長222nmを含む200-230nmの波長域をFar UV-C(深紫外線)として活用するために開発された紫外線除菌技術Care222の安全性について、従来のUV-C光源(254nm)と比較して詳しく紹介するとともに、新型コロナウイルスSARS-COV-2などへの不活化効果についてもご説明します。

また、光源および照射機の性能をご紹介するとともに、これらを使用して行った不活化実験や最新の導入事例、実際ご利用いただいている施設での効果試験などについても報告するとともに、最新の技術動向、紫外線に関する許容暴露量(TLV)が改訂されたことによる今後の展望についてもご報告します。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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購読者割引は読者番号(送本時の宛名ラベルに記載)とお申込み者のお名前が一致している方が対象となります。

受講申し込み後のキャンセルは受け付けておりません。申し込み後、受講者のご都合で欠席となる場合でも受講料は申し受けます。テキスト(pdf)は事前に参加者全員にメールにてお送りいたします。
なんらかの不可抗力により該当セミナー、及び付帯するイベントの開催が不可能となった場合、主催者は受講のキャンセルの受け付け致しません。また、受講料の返金を含む、これにともなった損害の補填・補償は行いません。

【不可抗力】台風、洪水、地震を含む天災、あるいはそれらを原因とする様々な事態、疾病や伝染病の蔓延、労働争議、主催者の合理的なコントロールを超えた会場設備の使用制限や講師の欠席等を含むもの


[ 特定商取引法に基づく表記 ]



廣本 宣久

静岡大学

名誉教授

1985年京都大学理学博士。 1984年より郵政省電波研究所,郵政省通信総合研究所(現国立研究開発法人情報通信研究機構)にて赤外・テラヘルツ工学の研究に従事。 2001年独立行政法人通信総合研究所関西先端研究センター長。 2003年総務省情報通信政策局技術政策課企画官。 2005年国立大学法人静岡大学工学部教授。 2020年静岡大学名誉教授。現在に至る

宮田 憲太郎

国立開発研究法人 理化学研究所

光量子制御技術開発チーム 研究員

2008年マックスボルン研究所, 客員研究員.
2009年マックスボルン研究所, 博士研究員.
2010年メガオプト,研究員.
2012年メガオプト,グループ長.
2016年メガオプト,プロジェクトリーダー.
2018年理化学研究所,研究員.

木股 雅章

元 立命館大学

1976年 名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了。同年 三菱電機株式会社入社。 2004年 三菱電機株式会社退社。同年 立命館大学理工学部教授。2022年 立命館大学退職。1980年より現在まで赤外線イメージセンサの研究開発に従事。2009年よりJAXAのType-II超格子赤外線センサの開発に参画。電気学会、日本赤外線学会、応用物理学会、IEEE会員、SPIEフェロー。2013〜2014年 日本赤外線学会会長。1988年 市村賞貢献賞、1993年 全国発明表彰内閣総理大臣発明賞、2016年 日本赤外線学会業績賞などを受賞。工学博士

佐々木 政子

東海大学

名誉教授

東京理科大学理学部化学科卒業.東京大学工学博士.東京大学生産技術研究所文部技官・助手を経て,東海大学に転出.東海大学開発技術研究所・総合科学技術研究所教授を経て,現在,東海大学名誉教授,日本化学会フェロー,日本フォトニクス協議会(JPC)名誉会員など.その間,日本女性科学者の会会長,日本光生物学協会会長,Photochemical & Photobiological Sciences, Associate Editor,JSTさきがけ「光の利用と物質材料・生命機能」領域アドバイザー等を歴任.第1回日本光医学・光生物学会賞,光化学協会功績賞,日本女性科学者の会功労賞,国際照明委員会(CIE) Award,2022年日本光生物学協会功績賞など受賞。

和田 智之

国立研究開発法人 理化学研究所

光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チーム チームリーダー

1992年4月 科学技術庁 基礎科学特別研究員
1995年4月 理化学研究所フォトダイナミクス研究センター フロンティア研究員
2000年1月 理化学研究所工学基盤研究部 研究員
2001年9月 理化学研究所固体光学デバイス研究ユニット ユニットリーダー
2008年4月 理化学研究所宇宙観測用固体レーザー研究チーム チームヘッド
2010年4月 理化学研究所光グリーンテクノロジー特別研究ユニット ユニットリーダー
2013年4月 理化学研究所光量子工学研究領域光量子技術基盤開発グループ  グループディレクター
   理化学研究所光量子工学研究センター光量子制御技術開発チーム チームリーダー
2014年4月 現在に至る

安藤 稔

株式会社タムロン

光学開発本部 本部長

2003年 3月 名古屋大学大学院素粒子宇宙物理学専攻博士課程後期修了 博士(理学)取得 赤外線天文学
2003年8月 株式会社タムロン入社
 デジタルカメラ用レンズ,リアプロジェクター用レンズ,監視カメラ用レンズ,車載用レンズ,赤外線レンズなどを担当
2014年3月 本部長代理
2015年4月 本部長
2022年1月~ 光学開発センター センター長

国立研究開発法人 物質・材料研究機構

機能性材料研究拠点 蛍光体グループ 主席研究員

1997年九州大学大学院総理工材料開発工学博士後期課程修了,博士(工学).1996年-1997年日本学術振興会特別研究員,1997年4月金属材料技術研究所(現:物質・材料研究機構)研究員、2010年-2012年ダルムシュタット工科大学客員研究員を経て、2016年4月より同機構主席研究員.セラミックスの超塑性・高温変形、放電プラズマ焼結(SPS)装置を利用した構造/機能セラミックスの創製と特性評価に関する研究に従事. 2001年日本金属学会奨励賞,2007年文部科学大臣表彰,2013年日本金属学会功績賞などを受賞.日本金属学会、日本セラミックス協会、粉体粉末冶金協会、各会員.

田中 拓男

国立研究開発法人 理化学研究所

1968年3月28日生.1991年大阪大学工学部応用物理学科卒業,1996年大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士後期課程修了,博士(工学),1996年大阪大学基礎工学部電気工学科助手,1997年大阪大学大学院基礎工学研究科助手,2003年理化学研究所 研究員,阪大フロンティア研究機構 特任助教授,2005年理化学研究所 先任研究員,2008年理化学研究所 准主任研究員,2010年北海道大学電子科学研究所 客員教授,2010年埼玉大学 連携教授,2012年学習院大学 講師,2014年理化学研究所 チームリーダー(兼務),2014年東京工業大学 連携教授,2017年理化学研究所 主任研究員,2017年台湾国立清華大学 客員教授,2019年フィリピン大学ディリマン校 客員教授,2020年台湾国立中興大学 客座教授

溝口 計

九州大学

客員教授(元ギガフォトン(株) シニア・フェロー)

現在、ギガフォトン㈱ シニア・フェロー(兼)九州大学客員教授: ギガフォトンNextGLP共同研究部門研究統括。SPIEフェロー。工学博士。日本レーザー学会会員。日本応用物理学会会員。 1982年九州大学総合理工学研究科、村岡研究室修了。1994年工学博士(1994年九州大学工学部)。1990年以来、リソグラフィ用KrF、ArF、F2レーザ、LPP-EUV光源、ハイブリッド・エキシマレーザの研究開発に従事。現在に至る。2002年、2016年、レーザー学会論文賞(DUVレーザー、EUV光源)受賞。2009年および2019年日本レーザー学会産業賞(装置部門)受賞(ギガフォトン社:GT62AおよびGT6XAシリーズ)。2018年光振興協会桜井賞受賞。2020年Advanced Materials Lecture SeriesにてIAAM Scientist Awardを受賞.

東口 武史

宇都宮大学

工学部 基盤工学科 情報電子オプティクスコース 教授

宮崎大学助手,宇都宮大学助教,准教授を経て,教授.現在,工学部基盤工学科情報電子オプティクスコース長 (2023年度). これまで,米国ブルックヘブン国立研究所,英国オックスフォード大学, アイルランド国立大学ダブリン校,チェコ科学アカデミー物理学研究所で客員教授,客員研究員. 高繰り返しレーザー,EUV光源,光計測,医用生体工学などの研究に従事している.

宮井 博基

レーザーテック株式会社

1999年 横浜国立大学大学院修士課程を卒業、川崎重工株式会社入社
2002年 レーザーテック株式会社に入社、半導体検査装置の開発に従事
2011年 EUV検査機の開発、製品化を担当
2013年 国際学会Photomask JapanでEUV光を用いたマスクブランクス検査装置の発表にてベストオーラルプレゼンテーションを受賞
2018年 EUVマスクブランクス検査機で開発した技術がマスク業界に貢献したことから、SPIE(国際光工学会)よりBACUS Awardを受賞
2019年 SPIE Photomask Technology+EUVL 2019でEUVマスクパターン検査装置の発表にてベストオーラルプレゼンテーションを受賞

工藤 順一

防衛装備庁

次世代装備研究所センサ研究部 光波センサ研究室長

1995年筑波大学大学院理工学研究科修了。1995年より防衛庁技術研究本部第2研究所(現防衛装備庁次世代装備研究所)にて、光波センサシステム、赤外線撮像装置等の研究開発に従事。2015年11月より現職。工学博士。

室 英夫

次世代センサ協議会

理事

1976年 東京大学工学部電子工学科卒業
1978年 同大学院工学系研究科電子工学専攻 修士課程修了
1981年より日産自動車(株)中央研究所において自動車用半導体デバイス・MEMSセンサの研究開発に従事
1997年 東京大学より博士(工学)の学位取得
2006-2019年 千葉工業大学工学部教授  SOI-MEMS技術を用いた共振形センサ、磁歪膜積層型磁気センサなどの研究に従事
現在、千葉工業大学非常勤講師、芝浦工業大学非常勤講師、一般社団法人次世代センサ協議会理事、一般社団法人センサイト協議会理事

南川 丈夫

徳島大学

ポストLEDフォトニクス研究所 ポストLEDフォトニクス研究部門 准教授

2010年9月 大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻博士後期課程修了
2010年9月 博士(工学),大阪大学
2021年2月 博士(医学),京都府立医科大学
専門分野:顕微分光学,医用光学

2008年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC1),大阪大学
2011年4月 日本学術振興会特別研究員(PD),京都府立医科大学
2013年12月 京都府立医科大学 大学院医学研究科 助教
2015年7月 徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部 特任講師
2015年7月 京都府立医科大学 大学院医学研究科 客員講師(兼任,〜現在)
2017年10月 科学技術振興機構(JST)さきがけ(兼任,〜2021年)
2019年3月 徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所 ポストLEDフォトニクス研究部門 准教授
2021年8月 国立循環鼻鏡研究センター 客員部長(兼任,〜現在)

平尾 哲治

ウシオ電機

事業統括本部 光源事業部 EH Solutions GBU ビジネスユニット長

1996年 ウシオ電機入社 以降プロジェクタ用光源開発従事
2014年 プロジェクタ用光源及びオフィスプリンタ機器定着用光源 技術部長
2019年 光源事業部技術部門長
2020年 光源事業部技術部門長 兼 XEFLビジネスユニット長
2022年 光源事業部EH Solutions グローバルビジネスユニット長