応用物理学会フォトニクス分科会主催セミナー

2023年04月21日(金) 13:15-16:00 展示会場内特設会場2
【APP-1 応用物理学会フォトニクス分科会主催セミナー「光技術を利用した様々なセンシング」

フォトニクス分科会紹介


汎用型メタ表面バイオセンサーの最近の進展

物質材料研究機構 主席研究員 岩長 祐伸 氏
様々なバイオセンサーが社会で使われ、現在も新たに開発が試みられている。

高感度化のために光の活用が有効であることは従来から認知されてきたが、高感度化と高コストがセットとなっていることが超高感度な光バイオセンサーの普及のボトルネックとなっている。蛍光と特に高輝度化し、検出を容易にする光メタ表面の発見により、簡易的な配置であってもバイオ分子の超高感度検出が可能になってきている。

新型コロナウイルスの遺伝子やスパイクタンパク質および癌マーカーなどの検出の実例を通じて、最近のメタ表面バイオセンサーの進展を紹介し、今後を展望したい。

光共鳴ナノ構造を用いた超高感度分光センシング

徳島大学 LEDフォトニクス研究所 教授 矢野 隆章 氏
本講演では、金属や誘電体からなるナノ構造の電磁場光共鳴を活用した超高感度分光センシングについて、最新の成果を交えながら紹介する。

とくに、可視から中赤外までの波長域の光を特異的に増幅する様々なナノ構造体を紹介し、疾病由来の生体分子(バイオマーカー)の分光応答(蛍光・ラマン散乱・赤外吸収など)を高感度検出する手法について、それらの原理と実例を紹介し、今後の展望を議論する。

また、光の回折限界を超えた空間分解能で分光検出する技術の開発も行っており、これらの医療・バイオ応用についても紹介する。

インライン全数検査の実現へ向けた非接触光表面形状計測

埼玉大学大学院理工学研究科 准教授 塩田 達俊 氏
製造業の生産ラインでは、品質と信頼性を向上または維持するために製造する全ての製品の表面や塗装面の欠陥検査が求められています。
しかし、既存の計測器では検査スピードが遅く広範囲の高分解サンプリング計測が困難であったり、製造ラインの激しい振動環境によって高精度な計測を阻害されたり、時にはコストがネックになるなど、同様の理由により広い分野で実用化が進まない現実があります。

そこで本研究室ではこれらの問題を克服するため2次元イメージセンサを用いて演算なしに奥行方向の2次元断層像をシングルショット撮像する計測システムを、光干渉計を用いて研究しています。
製品の表面検査は2次元断面像の積み重ねで可能ですので、2次元断層画像をシングルショットで撮像できると、忽ちロバスト性が上がり、インライン全数検査の実現へ近づけることが分かっています。

講演ではこれらの手法に関する原理や実験データを紹介します。また、塗装などの層構造の層毎のスペクトルを分離して解析できる技術を紹介します。

光ファイバ分布振動計測を用いた環境モニタリング

日本電信電話(株) アクセスサービスシステム研究所 研究員 脇坂 佳史 氏
光ファイバ分布振動計測(Distributed Acoustic Sensing;DAS)は、測定する光ファイバに試験光を入射し、そのレイリー散乱光を受光・解析することで、光ファイバの各地点にどのような振動が加わっているか分布的に測定する技術である。
DASを使用すれば、広大な光ファイバ通信網をそのままセンサ網として活用でき、光ファイバ周囲の様々な環境をモニタリングすることが可能となる。

本講演では、DASを実現する光計測技術の基礎から最新動向まで、その主流である位相検出の光時間領域反射測定方法(Optical Time Domain Reflectometry;OTDR)を中心に解説する。
また、位相検出のOTDR(位相OTDR)に基づくDASを用いて通信用に敷設された光ファイバケーブルを実際に測定した際の、ケーブルが地下や架空にある区間での振動測定事例を紹介する。

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岩長 祐伸

国立研究開発法人 物質・材料研究機構

主席研究員

京都大学理学部理学科物理学系卒業
京都大学大学院人間・環境学研究科修了(博士号取得)
東北大学大学院理学研究科物理学専攻助教
2009年から現在、国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
2010–2014年、科学技術振興機構さきがけ個人研究者(兼任)
2005年からメタマテリアル、メタ表面などの人工設計に基づくナノ構造において顕在化する光機能の開拓と高度化に関する研究に従事。2017年頃からメタ表面のバイオセンサー応用にも取り組む。

矢野 隆章

徳島大学

LEDフォトニクス研究所 教授

2007年 大阪大学大学院 工学研究科 応用物理学専攻 博士後期課程 修了,博士(工学)取得.
2007年 大阪大学 工学研究科 特任研究員.
2011年 東京工業大学 総合理工学研究科 助教.
2016年 東京工業大学 物質理工学院 助教(改組による).
2020年 徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所 准教授.
2022年 同 教授・次世代光研究部門長.

主な受賞歴
2017年 文部科学大臣表彰 若手科学者賞 受賞
(受賞業績:プラズモニクスの原理限界を超越したナノ分光法の開拓研究)

塩田 達俊

埼玉大学

大学院理工学研究科 准教授

2002年 東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程修了 2002年 米国ケースウェスタンリザーブ大学物理学科 博士研究員 2004年 東京農工大学工学部電気電子工学科 助教            2008年 長岡技術科学大学工学部電気系 准教授              2013年 埼玉大学大学院理工学研究科 准教授               現在に至る

脇坂 佳史

日本電信電話株式会社

アクセスサービスシステム研究所 研究員

2016年 東京大学大学院 理学系研究科 化学専攻 修士課程 修了、2017年 東京大学大学院 理学系研究科 化学専攻 博士課程 中退。2017年よりNTT アクセスサービスシステム研究所にて光ファイバ分布振動計測技術の研究開発に従事。電子情報通信学会(IEICE)、応用物理学会(JSAP)会員。 IEICE光ファイバ応用技術研究会より奨励賞(2019年度)、IEICEより学術奨励賞(2021年度)、各受賞。