レーザー基礎&応用技術セミナー

2024年04月24日(水) 09:30-12:25 アネックスホール F201
【LE-1 レーザーの基礎

レーザーの基礎

京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター
レーザー物質科学研究領域 教授 時田 茂樹 氏
レーザー光の特性、レーザー装置の構造を全く知らない方を対象とした基礎セミナーです。

光とは?(光の波長、振幅、偏光)から始まり、自然光とレーザー光の発生原理と特性の違い、レーザーの基本構造と種類、ビーム光学の基礎(レーザー光の集光、回折限界、ビーム品質)、連続波(CW)レーザーとパルスレーザーの違い、レーザー装置の仕様表の見方など、レーザーを扱う上で必須となるベーシックな内容について実例を交えて紹介します。

「光は電磁波である」といった程度の一般知識をお持ちの方なら、どなたでも理解できるよう平易に(数式を用いずに)説明します。
●一般的(高校程度、一般論)

ファイバーレーザー事はじめ

名古屋大学大学院 工学研究科電子工学専攻 教授 西澤 典彦 氏
ファイバレーザーは、増幅媒質や共振器が光ファイバで構成されたレーザーで、空間的にずれる要素が無く、電源を入れるだけで容易に発振し、優れた空間的なビーム特性や安定性を得ることができる。
また、放熱効率や励起効率に優れ、最も高い出力が得られるレーザーであり、レーザー加工を始めさまざまな用途に活用されている。

本講演では、「ファイバーレーザー事はじめ」と題して、ファイバーレーザーの基礎から、超短パルスファイバーレーザーを中心とした最近の進展について、基礎的な面を中心に概説する。
また、光周波数コムや光断層計測への応用展開等について紹介する。
●一般的(高校程度、一般論)

高出力ファイバーレーザーの基礎と最新動向

電気通信大学 レーザー新世代研究センター 白川 晃 氏
ファイバーレーザーは現在、もっとも信頼性の高い高輝度高平均出力レーザーとして広く認識され、産業応用が進んでいる。

ビーム品質が悪く集光特性に優れない高出力レーザーダイオード光を比較的大きな断面積をもつクラッドに注入・伝搬させ、希土類イオンを添加したコアで徐々に吸収させ高輝度のコアモードでレーザー発振させる、理想的な空間輝度増強器と言える。

長手方向に分散して排熱するため冷却能力に優れ、自然空冷でkW動作が可能で、冷却器など余計な付帯設備が最小限で済むのは実用上極めて大きな利点になっている。

しかしその小径コアと長い相互作用長により非線形光学効果が卓越し、高ピークパワー・エネルギーのパルス光を得るのは一般に困難である。
非線形限界、そして破壊閾値を超えたパワー・エネルギースケーリングのためには、ファイバーレーザーの並列化(アレイ)が唯一の方法である。

複数のシングルモードファイバーレーザーをビーム品質を維持したままビーム結合しパワー・エネルギーを向上する研究が、世界中で盛んに行なわれている。

本講演では、高出力ファイバーレーザーの基礎について勉強し、高出力化、ビーム結合技術について、我々の研究も含めて最前線の研究を紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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2024年04月24日(水) 13:10-16:05 アネックスホール F201
【LE-2 レーザー取扱いの基礎

レーザー安全の基本

オフィス橋新 代表(元 近畿大学理工学部 教授) 橋新 裕一 氏
新規のレーザー応用製品が登場し、一般消費者向けの製品も増えてきました。レーザーの波長は紫外から赤外に亘り、そのパワーは高出力化・小型化が進み、値段も安価になってきました。しかし、レーザーの発展・普及に伴い、レーザーによる事故・事件も多くなってきています。

10年ほど前までは教育機関、研究機関、製造会社などのレーザー取扱者が傷害を被る事故でしたが、最近では一般消費者の事故や事件が頻発しており、看過できなくなってきています。
レーザーに対する安全意識を高めて、適切な安全対策を施し、安心してレーザーと関わって頂くことを願っています。

レーザーと太陽光・一般照明光との違いから、レーザーの持つ性質を説明します。レーザーに対する危険感受性を高めるため、レーザーが目や皮膚に与える影響について解説します。

レーザーの放射口と放射される方向を確認すること。反射物の位置を確認し、可能ならば、レーザー装置の周辺から遠ざけること。適切なレーザーストッパー(終端)を用いること。
保護めがね着用は安全対策の最終手段です。
IEC、ISOおよびJISにおける標準化作業から、レーザー安全の考え方を説明します。さらに、レーザー安全教育としてのトレーニング内容についても言及します。
●入門程度(大学一般教養程度)

レーザービームの基礎と評価

中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科 教授 庄司 一郎 氏
レーザーを利用するということはレーザービームを取り扱うことを意味するので、ビームの特徴や性質についての基本的事項について、レーザーに関わる仕事をするなら是非とも素養として身につけておきたいものです。

本セミナーでは最も重要なガウシアンビームを中心に、レーザービームの基礎とビームを特徴づける各種パラメータおよびその評価法について、以下の内容で解説します。

 1. ガウシアンビームとは?
 2. ビーム半径と測定法
 3. ビーム拡がり
 4. ビーム強度とパワー
 5. ガウシアンビームの波面
 6. 高次モードビーム
 7. ビーム品質(M2およびBPP)とその評価法
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

光学素子の選び方と取り扱い

(公財)レーザー技術総合研究所 レーザー技術開発室
室長・主任研究員 本越 伸二 氏
レーザー装置、レーザー応用機器の中には、ミラー、レンズ、ウィンドウ、ビームスプリッタなどなど、多くの光学素子が使用されています。同じ焦点距離のレンズであっても、使用する場所、用途に応じて選ぶ必要があります。

本講演では、レーザーを取り扱う、また光学装置を組み始める上で必要となる、光学部品の選び方、取り扱い方について紹介します。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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2024年04月25日(木) 09:30-12:25 アネックスホール F201
【LE-3 新時代のレーザー加工

高出力加工用レーザーと自動車応用 ~カーボンニュートラルへの対応

(株)タマリ工業 特命プロジェクト フェロー 三瓶 和久 氏
高出力加工用レーザーについて、ここ数年のレーザー発振器、および周辺機器の進化と、自動車生産への適用の事例を含めて紹介する。

カーボンニュートラルの実現に向けて、自動車のCO2排出量削減への要求は高く、EV化が急速に進むことが予測されている。

パワートレーンの電動化に伴い2次電池、モーター等の電動化部品への対応で、溶接材料はこれまでの鋼材中心の構成から、銅アルミの比率が増加していく。また、その生産量が急増することになる。これらに対応するためには溶接の高速化、高品質化が必須であり、レーザー発振器、周辺機器の進化を伴いながら、生産ラインへの適用が広がりつつある。

また、エンジンの高効率化のため、インジェクタの墳口の高精度微細孔加工や摺動面の摩擦低減を目的とした微細テクスチャリング加工のニーズが高まっている。

超短パルスレーザによる微細加工はこれまでスループットが課題とされてきたが、高出力が急速に進み、実部品への適用が始まりつつある。
●一般的(高校程度、一般論)

短パルスレーザー加工の基礎(ナノ秒からフェムト秒まで)

(公財)レーザー技術総合研究所 レーザープロセス研究チーム
主席研究員 藤田 雅之 氏
加工用レーザーのパルス幅は連続光からフェムト秒パルス光まで10桁以上もの広い範囲から選べるようになってきた。パルス幅が変わることでレーザー加工がどのように変化するのかを理解することが重要となっている。

本セミナーでは、微細加工を得意とする(パルス幅がナノ秒からフェムト秒の)短パルスレーザーに着目して短パルス光と物質の相互作用について解説を行う。また、次世代の軽量素材であるCFRP(炭素繊維複合材)を例として、レーザーのパルス幅や波長が加工に及ぼす影響を紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

高出力青色レーザーと青色/IRハイブリットレーザー加工への応用

古河電気工業(株) エレクトロニクス研究所 先端光加工開発課 課長
酒井 俊明 氏
モビリティの電動化の進展に伴いその導電部、放熱部として多用される銅部品の需要は飛躍的に伸びている。

レーザー加工技術はその生産性、部品精度、設計自由度の高さから銅部品の接続技術として多用される状況であるが、溶融時に飛散する金属粒子(スパッタ)や溶融再凝固部に残ってしまう溶接欠陥を抑制する必要がある。

特に導電部が多数共存する箇所でのスパッタ残留は回路の短絡原因となるためレーザー導入の障壁になる大きな課題であった。その課題に対して近年レーザーを単純に集光するだけでなく集光ビーム内の出力分布を制御することで溶融を安定化させることができるようになっている。

当社では、溶融を安定化する役割の青色レーザーと加工速度や加工の深さを増加させるための高パワー密度の近赤外ファイバレーザーを重ねて照射するBlue-IRハイブリッドレーザーシステムを製品化している。

本講演ではハイブリッドレーザーの特徴とアプリケーション、レーザーの高出力化に伴う適用範囲の拡大について概説する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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2024年04月25日(木) 13:10-16:05 アネックスホール F201
【LE-4 半導体レーザーとその応用

面発光レーザフォトニクスの進展 ―高速光インターコネクト、3Dセンシングへー

東京工業大学 科学技術創成研究院 特任教授 小山 二三夫 氏
現在の短距離系光通信や携帯端末の光センサーの光源として中心的な役割を果たしている面発光レーザの発明からおよそ47年が経過した。短距離の光リンク用光源として広く普及が進み、現在の短距離光LANやデータセンター・スーパーコンピュータ内の光インターコネクト用光源として中心的な役割を果たしている。特に、データセンターでは、膨大な数の光配線導入が必須であり、伝送距離が100m以下の短距離リンクでは、低コスト化、低消費電力動作を可能とする面発光レーザが主要光源になっている。また、3Dセンシングは、自動運転用LiDAR、スマートフォン用近接センサ、セキュリティカメラやモーションセンサなど多様な応用が展開されている。特に、面発光レーザアレイを用いた3Dセンシング技術がスマートフォンの顔認証システムに搭載されてから、大きなセンサ市場展開が開拓されており、自動運転用のLiDAR光源の開発も急速に進んでいる。本講演では、面発光レーザの超高速高速変調・低消費電力動作、かつ高密度アレイ実装に焦点をあて、面発光レーザの100Gbps以上の高速変調技術、アレイ技術、Co-package Opticsへの展開、2km以上のリンク距離拡大等の最近の研究について紹介するとともに、単一波長・光ビーム掃引機能の集積など、高出力面発光レーザとその3Dセンシング応用について解説する。
●中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

ウェーハレベルLD励起固体面発光レーザー

ソニーセミコンダクタソリューションズ(株) 第3研究部門 統括課長 鎌田 将尚 氏
ソニーが独自に開発したウェーハレベルLD励起固体面発光レーザーについて解説する。

本レーザーは、固体レーザと半導体レーザの2つの共振器をシングルチップに集積した新しいレーザ構造を有し、わずか1 mm角という従来の半導体レーザ並みのサイズでありながら、固体レーザ並みの高いピークパワー(56 kW)を実現した。

形態としては良好なビーム質のレーザがウェハ面垂直方向に出力される面発光型のレーザ(VCSEL)の一種であり、原理的にアレイ化も可能である。

本レーザは、我々の知る限り世界最小サイズのkW超ピーク出力可能なパルスレーザであり 、LiDARによる自動運転や大気観測で必要とされる長距離センシングや、レーザ加工における精密加工等、医療ヘルスケア/バイオフォトニクス領域での検査分析や治療等、高ピークパワーが求められる用途での活用が期待される。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

赤色/緑色/青色半導体レーザーとその応用

シャープ福山レーザー(株) レーザー事業部 取締役 事業部長 平野 恭章 氏
本公演では、赤色/緑色/青色半導体レーザーについて、低中出力レーザ(Singleモード)と高出力レーザ(Multiモード)のそれぞれの、電気特性、光学特性及び寿命について説明を行う。さらに、これらの特性をもつ半導体レーザの適応商品の歴史と、今後の市場について紹介を行う。

特に、低中出力用のレーザでは、AR/VR glassなどのモバイル機器に使用されるため、今後の取り組むべき課題として低消費電力化と小型化が重要であり、その対策方法の一例を述べる。

また、RGB レーザで使用されることから、赤レーザの温特の改善が重要であること及び改善状況について述べる。さらに、高出力レーザでは、ProjectorやレーザTV、加工用レーザが今後、拡大する市場と想定される。
これらは、今後、高出力化が望まれ、効率の改善と信頼性の確保が重要である。特に加工用のレーザーにおいて、今後EVカーが広く普及する中、モータや電池に必要不可欠な銅の加工用向けの青色Laserの技術動向と特性改善の取り込みの最新情報について、紹介する。

さらに、今後の展開として、新しい応用分野として、農業への応用についての取り組みに言及する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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2024年04月26日(金) 09:30-12:25 アネックスホール F201
【LE-5 中赤外・テラヘルツ波とその応用

テラヘルツ量子カスケードレーザーの最近の進展と応用への期待

(国研)理化学研究所 平山量子光素子研究室 主任研究員 平山 秀樹 氏
電波の透過性と光の分解能を兼ね備え持つテラヘルツ(THz)光は、各種透視・非破壊検査用の光源として注目され幅広い応用範囲が期待されている。

量子カスケードレーザー(QCL;Quantum-Cascade Laser)は、中赤外(MIR)からTHz周波数でレーザー発振が可能で、小型、高効率・高出力、狭線幅、連続発振、高耐久性など優れた特性をもつ光源であるため、実用化を目指した開発が行われている。

本講演では、THz-QCLの開発で注目されている、高出力動作、室温動作、ならびに、動作周波数領域の拡大に関して、適切なサブバンド間遷移機構の導入、GaAsに加えGaN系半導体の利用を含め、開発動向について概説する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

面発光型量子カスケードレーザーとその応用

(株)東芝 生産技術センター 光学・検査技術研究部 上席研究員 斎藤 真司 氏
量子カスケードレーザ(QCL:Quantum Cascade Laser)は、中・遠赤外波長を発する半導体レーザで他の光源に比べ、小型で波長の線幅が狭い光源である。特に中赤外波長域は分子の指紋領域とも呼ばれ、分子振動の吸収帯が存在し、その吸収波長から分子の同定が可能である。

ガス、液体、物質の表面の分析や加工など、様々な応用に用いられており、小型高感度な分析機器が実現されている。
分析、計測に用いるQCLは、吸収線を分離できるように波長幅が狭い必要があり、発振波長を限定する構造が必要である。この波長の限定、高いビーム品質、高い出力を同時に実現できる構造として、面発光型QCLを開発した。

新規開発の面発光型は従来の端面発光型に比べ、歩留まりを低下させる劈開工程が不要、検査をウエハ上で行えるなど、生産性においても優れている。
高出力を目指した面発光型QCL素子の技術開発について紹介するとともに、高出力化により発展が想定される応用技術について紹介する。
●初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

中赤外・量子カスケードレーザーとその応用

浜松ホトニクス(株) 先進基盤本部 固体開発部 グループ長代行 秋草 直大 氏
波長3µm~15µmの中遠赤外領域における光源、光検出器などの光デバイスの技術革新が急速に進んでおり、それらを用いた計測技術の進展も目覚ましい。中赤外領域で発振する量子カスケードレーザ(QCL)の最近の展開について概説する。

QCLは、中赤外領域における代表的な技術革新であり、グローランプと光学フィルタを組み合わせた非分散赤外吸収方式のガス計測装置(NDIR)では不可能であった干渉ガス雰囲気中のリアルタイム計測や、ppb以下の極微量濃度のガス計測用のレーザ光源として実用化されている。また、波長可変幅が2µmを超える広帯域な波長可変を実現した外部共振型のQCLは、赤外分析の主役であったフーリエ変換型赤外分析法(FTIR)にとって代わる新しい赤外分析手法として注目されている。

また、QCLチップ内部の差周波発生を利用したテラヘルツQCLの研究も進展している。現在のところ0.6~6 THzの範囲での動作が実現されており、テラヘルツ領域で室温動作可能な半導体レーザ光源として、精密分光やイメージングなどへの応用が進展するものと期待されている。

センシング以外の用途では、生体組織や樹脂材料、フィルム等の「分子振動を狙い撃ち」するワットクラスの高出力量子カスケードレーザの開発、およびそれを用いたレーザ治療や中赤外レーザ加工の技術開発も行われている。
本セミナーでは、量子カスケードレーザの基礎と特徴を、応用例と将来展望を織り交ぜながら概説します。
●入門程度(大学一般教養程度)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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2024年04月26日(金) 13:10-16:05 アネックスホール F201
【LE-6 光・レーザーによる給電技術と社会実装への期待

IoT端末から移動体まで対応する光無線給電

東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授 宮本 智之 氏
無線給電は、配線不要による敷設・接続・保守の負荷低減が可能なほか、バッテリー運用においても、バッテリー搭載量の大幅削減や充電作業の負荷低減など、さまざまな利点・利便性がある。このため、無線給電は新たな機器や応用などの創出の基盤となる。

ビーム光を空間伝搬させて受光素子を照射して発電する光無線給電は、既存の無線給電方式に比べて、数m以上からkmクラスの長距離に対応可能であり、また、光源出力に応じてkWクラスの電力まで給電可能、さらに電磁ノイズ干渉を起こさないといった優れた特徴がある。このため、屋内から屋外までの非常に多くの機器への適用が期待される。

この光無線給電は1970年前後にすでにコンセプト提案されていたが、現時点でもまだ実際の応用事例はほとんどなく、様々な応用に向けた基礎的な取組が始まったばかりの段階である。

本講演では、屋内から屋外向けの、特に著者らが進めているIoT小型端末向けのほか、現時点では玩具への応用となるが地上、空中、また水中用の移動体への検討状況を報告し、将来的な実際の機器への適用性について解説する。
●入門程度(大学一般教養程度)

光ファイバー給電の基礎・応用と最新動向

電気通信大学 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 教授 松浦 基晴 氏
光ファイバー給電は、光ファイバーを用いて、光のエネルギーを伝送することで、遠隔の機器を駆動する技術である。光ファイバーは電気を通さない電力線で、軽量かつ耐腐食性にも優れていることから、従来のメタル線には無い特長がある。さらに、光信号を同時伝送することで、高速通信回線としても活用可能である。

近年、レーザの高性能化や光ファイバー技術の発展に伴い、光ファイバー給電の大電力化が急速に進んでいる。これにより、これまではセンサや小型カメラなどの小電力機器の駆動に限定されていたものが、より大電力かつ多種多様な機器の駆動が行えるようになり、社会実装も拡大しつつある状況になっている。

本講演では、光ファイバー給電の基礎から、様々な光ファイバを用いた光ファイバー給電や講演者らが取り組んでいる独自の大電力光ファイバー給電技術について詳しく解説する。また、現在世界各国で進められている光ファイバー給電の最新動向や性能比較を紹介する。
さらに、これらの技術で想定される様々な応用技術、社会実装への期待、今後の展望についても述べる。
●入門程度(大学一般教養程度)

トラッキング技術による光無線通信/給電の社会実装に向けた取り組み

ソフトバンク(株) データ基盤戦略本部 林 英誉 氏
近年、光を利用した無線通信や無線給電の研究開発が進められている。

光は長距離化かつ大容量化を実現する性能を持つだけでなく、水中のような電波の利用できない環境においても利用できるという特性を持ち、電波では実現し得なかったユースケースを実現する可能性を秘めている。しかし、光は指向性が非常に高く光軸が少しでも外れると機能しないという課題があるため、社会実装における大きな壁となっていた。

この課題を解決するため、我々は画像認識を活用した高速・精密なトラッキング技術の研究開発を進めており、トラッキング技術が無くては実現困難な、自動隊列走行バス間の光無線通信や、AGV(自動搬送車)によるIoT機器への光無線給電など、光無線通信および給電の社会実装に向けた多くの取り組みを行っている。

本講演では、我々の取り組みをいくつか紹介しながら、トラッキング技術と光無線技術の組み合わせにより実現可能となるユースケースの説明を行う。
●入門程度(大学一般教養程度)
受講料(1セッション/税込)
一般 主催・協賛団体会員/出展社 月刊オプトロニクス定期購読者 シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥9,000 ¥5,000

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購読者割引は読者番号(送本時の宛名ラベルに記載)とお申込み者のお名前が一致している方が対象となります。

受講申し込み後のキャンセルは受け付けておりません。申し込み後、受講者のご都合で欠席となる場合でも受講料は申し受けます。テキスト(pdf)は事前に参加者全員にメールにてお送りいたします。
なんらかの不可抗力により該当セミナー、及び付帯するイベントの開催が不可能となった場合、主催者は受講のキャンセルの受け付け致しません。また、受講料の返金を含む、これにともなった損害の補填・補償は行いません。

【不可抗力】台風、洪水、地震を含む天災、あるいはそれらを原因とする様々な事態、疾病や伝染病の蔓延、労働争議、主催者の合理的なコントロールを超えた会場設備の使用制限や講師の欠席等を含むもの


[ 特定商取引法に基づく表記 ]



時田 茂樹

京都大学 化学研究所

教授

2006年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了,博士(工学).同年日本学術振興会特別研究員,12月より京都大学化学研究所助手(2007年より助教).2013年大阪大学レーザーエネルギー学研究センター講師(2017年よりレーザー科学研究所).2021年同准教授.2022年京都大学化学研究所教授.レーザー工学,プラズマ物理学を専門分野とし,高出力パルスレーザー,フェムト秒レーザー,中赤外高出力レーザー,高強度テラヘルツ波発生,レーザー加速電子ビーム発生などに関する研究実績をもつ.所属学会:レーザー学会、応用物理学会、日本物理学会.

西澤 典彦

名古屋大学大学院 工学研究科電子工学専攻

教授

1991年 名古屋大学工学部電子工学科卒業
1993年 同大学院工学研究科量子工学専攻前期課程修了
1995年 同後期課程修了・博士(工学)
1995年 古屋大学工学部助手, 2003年 サチューセッツ工科大学客員研究員,2005年 名古屋大学工学研究科助教授,2006年 大学発ベンチャーNUシステム(株)取締役兼務,2007年 大阪大学工学研究科准教授, 2010年 名古屋大学工学研究科准教授,2012年より現職
レーザー学会進歩賞,光学論文賞,応用物理学会論文賞,第1回文部科学大臣表彰若手科学者賞,バイオビジネスコンペジャパン優秀賞,産学官連携功労者表彰科学技術政策担当大臣賞等受賞,等受賞

白川 晃

電気通信大学

レーザー新世代研究センター

1999年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学博士)。同年電気通信大学レーザー新世代研究センター助手。2007~2008年英サウサンプトン大学光エレクトロニクス研究センター客員研究員を経て、2010年より電気通信大学レーザー新世代研究センター准教授、2020年より教授。同大大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻併担。 レーザー学会奨励賞、同業績賞、文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。

橋新 裕一

オフィス橋新

代表(元 近畿大学理工学部 教授)

博士(工学)。1982年4月,近畿大学理工学部助手,1998年専任講師,2003年助教授,2007年准教授,2012年教授,2021年非常勤講師。2023年退職、2024年オフィス橋新。レーザー学会(フェロー),日本レーザー医学会(名誉会員),光産業技術振興協会(IEC/TC76レーザ安全性標準化部会およびISO/TC172/SC9国内対策委員会・委員)。 2002年日本レーザー医学会総会賞,2009年国際レーザー医学・医療学会Good Speech Award,2013年IEC1906賞。

庄司 一郎

中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科

教授

北海道室蘭市出身.1992年東京大学工学部物理工学科卒.1994年東京大学工学系研究科修士課程物理工学専攻修了.1995年同博士課程中途退学.1995年東京大学工学部助手,1999年分子科学研究所研究員,2002年同助手を経て,2004年より中央大学理工学部専任講師.2005年同助教授,2007年同准教授を経て,2010年同教授,現在に至る.専門は固体レーザーおよび非線形波長変換材料とデバイス.応用物理学会,レーザー学会,電子情報通信学会,OPTICA各会員.レーザ協会前会長・現理事.第11回(2001年秋季)応用物理学会講演奨励賞,2016年度第40回レーザー学会業績賞(進歩賞)受賞.OPTICAフェロー.

本越 伸二

公益財団法人レーザー技術総合研究所

室長・主任研究員

1994年、大阪大学大学院工学研究科博士課程修了後、財団法人レーザー技術総合研究所・研究員。2012年に公益財団法人に移行。レーザー技術開発室長、主任研究員として、固体レーザーおよび光学薄膜の研究に従事。特に、高出力レーザー装置に必要となる高耐力光学素子とレーザー損傷物理について研究を行い、現在、国内唯一のレーザー損傷耐性の評価機関として産業界に情報を提供している。主な所属学会:応用物理学会、レーザー学会。博士(工学)。

三瓶 和久

株式会社タマリ工業

特命プロジェクト フェロー

1974.4 トヨタ自動車株式会社入社
電子ビーム、レーザー等の高エネルギー密度熱源を利用した接合技術開発、システム開発に従事
2009.3 株式会社 レーザックス入社 専務取締役
2010.6 IPGフォトニクスジャパン株式会社入社 理事
2010.9 前田工業株式会社入社 取締役 を経て
2015.9 タマリ工業株式会社入社 技術フェロー
現在に至る。
溶接学会フェロー、レーザ加工学会理事

藤田 雅之

公益財団法人レーザー技術総合研究所

レーザープロセス研究チーム 主席研究員

1983年大阪大学工学部電気工学科卒業、1992年カナダ・アルバータ大学大学院電気工学専攻博士課程修了、PhD取得。アルバータ大学研究員、(財)レーザー技術総合研究所研究員、副主任研究員、主任研究員を経て、現在主席研究員。(社)レーザー学会監事、光産業創成大学院大学客員教授、大阪大学レーザー科学研究所招へい教授。レーザープラズマ相互作用、自由電子レーザー、光蓄積、高出力レーザー開発、パワーレーザー応用(フェムト秒レーザー加工、レジスト剥離,MEMSウェハダイシング、CFRP加工、レーザークリーニング、月の模擬砂を用いた3次元造形)などの研究に従事。

酒井 俊明

古河電気工業株式会社

エレクトロニクス研究所 先端光加工開発課 課長

2009年 古河電気工業株式会社入社。生産技術開発部門にてファイバレーザーによる加工技術開発に従事。社内外の生産工程にレーザー加工技術を導入。2017年より事業部門にてファイバレーザーの拡販活動・企画、2021年より研究部門にて高出力青色レーザーとファイバレーザーの加工技術開発に携わり現在に至る。

小山 二三夫

東京工業大学

科学技術創成研究院 特任教授

昭和60年東工大大学院博士課程修了.工学博士.東京工業大学精密工学研究所助手,助教授,教授を経て,現在科学技術創成研究院特任教授.面発光レーザ,半導体光回路,などの研究に従事.応用物理学会フェロー,電子情報通信学会フェロー,IEEEライフフェロー,OSAフェロー,2010電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ会長,1990電子情報通信学会篠原賞,論文賞受賞.1998丸文学術賞,応用物理学会会誌賞,2004市村学術賞,2005電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ賞,2007文部科学大臣表彰科学技術賞,2008 IEEE/LEOS William Streifer Award, 2011 Microoptics Award,2012 応用物理学会光・電子集積技術業績賞,2015東京都功労者技術振興功労表彰,2016市村産業功績賞,2017櫻井健二郎氏記念賞,2018大川賞,2019 Nick Holonyak, Jr. Award,2019 電子情報通信学会業績賞,2024 IEEE Nick Holonyak, Jr. Medalなど受賞.

鎌田 将尚

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社

第3研究部門 統括課長

慶應義塾大学理工学研究科総合デザイン工学専攻博士課程修了(工学博士).2008年ソニー株式会社入社.2022年ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社転籍.2004年米国Harvard University 訪問研究員(Department of Physics)、2007年慶應義塾大学理工学部 共同研究員等.

平野 恭章

シャープ福山レーザー株式会社

取締役 レーザー事業部 事業部長 兼 第一開発部長

1995年、法政大学大学院電気工学研究科博士課程卒業、「Si基板上へのβ-SiCの低温単結晶成長と不純物制御に関する研究」で博士号を取得。1994年にシャープ株式会社に入社。入社後、フラッシュメモリの設計開発に従事、新規フラッシュメモリの開発、多値フラッシュメモリの開発、量産化を行う。2004年~2008年電子情報通信学会 集積回路学会ICD専門委員。2009年~2017年LEDバックライトの開発に従事。社内AQUOS向けのLEDの直下型バックライトモジュールを開発。LED照明、モバイル向けサイド発光LEDの開発責任者を経て、2018年よりレーザーの開発責任者、2023年12月より、シャープ福山レーザー株式会社レーザー事業部、取締役事業部長兼第一開発部長を経て、現在に至る。

平山 秀樹

国立研究開発法人理化学研究所

平山量子光素子研究室 主任研究員

1994年 東京工業大学電子物理工学専攻博士課程修了(工学博士)
1994年 理化学研究所入所
2005年 テラヘルツ量子素子研究チーム、チームリーダー(現職)
2012年 平山量子光素子研究室、主任研究員(現職)
(兼務)埼玉大学連携教授、東京理科大学客員教授、徳島大学招聘教授
(公職歴) 応答物理学会理事(’21-22)、JJAP/APEX誌編集長(‘22)、NPO法人日本フォトニクス協議会理事・紫外線研究会委員長、NPO法人皮膚光線治療促進の会理事

斎藤 真司

株式会社東芝

生産技術センター 光学・検査技術研究部 上席研究員

1992年 東北大学 理学研究科修了(修士) 1992年 株式会社東芝入社 研究開発センター 2013年 東芝ライテック株式会社 研究開発本部 2015年 株式会社 東芝 生産技術センター 2017年 筑波大学 数理物質科学研究科修了(博士) GaN系の半導体レーザ(LD)やLED、高出力なLDを用いたレーザ励起白色光源、GaN系材料による黄色・赤色LED、量子カスケードレーザなどの光半導体デバイスの研究開発に従事

秋草 直大

浜松ホトニクス株式会社

先進基盤本部 固体開発部 グループ長代行

1996年 北海道大学工学部 卒業
1996年 浜松ホトニクス株式会社 入社
1997年 同、中央研究所
2009年 同、開発本部
2014年 同、レーザー事業化部
2017年 同、レーザ事業推進部
2023年 同、固体事業部 先進基盤本部
現在に至る

宮本 智之

東京工業大学

准教授

1996年3月 東京工業大学 博士課程修了,博士(工学)学位取得
1996年4月 東京工業大学 助手
1998年講師
2000年助教授(現在は准教授に職名変更)
現在に至る
この間,2004年10月~2006年9月 文部科学省学術調査官を兼務

研究分野は光エレクトロニクス・フォトニクスであり,以前は面発光レーザーを中心とした半導体光デバイスの研究を進め,2014年頃より光無線給電に関する研究を推進.
第1回国際コミュニケーション基金 優秀論文賞
第45回光学論文賞
平成17年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞
など受賞

松浦 基晴

電気通信大学

2004年電気通信大学 電気通信学研究科 電子工学専攻 博士後期課程修了.博士(工学).その後,産学連携博士研究員を経て,2006年より電気通信大学 電気通信学部 情報通信工学科 助教.現在,同大学 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 教授.慶應義塾大学 特任教授.2010〜2011年にオランダ・アイントホーフェン工科大学 訪問研究員を併任.主な研究分野は光ファイバー通信,光ファイバー無線,光ファイバー給電等.光無線・ファイバ給電国際会議(OWPT)組織委員長をはじめ,多くの学会委員を歴任.IEEE,OPTICA,電子情報通信学会会員.

林 英誉

ソフトバンク株式会社

データ基盤戦略本部

2017年岐阜大学工学部卒業.2019年岐阜大学大学院知能理工学専攻修士課程修了.同年ソフトバンク(株)入社,現在に至る. 主に,深層学習を用いた画像認識技術による物体追跡技術の開発に従事.