TACMIコンソーシアム主催オープンセミナー

2024年04月26日(金) 13:00-15:45 展示会場内 特設会場
【TCM-1 第7回 TACMIコンソーシアムシンポジウム ー最先端光源の開発ー

TACMIコンソーシアム

開会のあいさつ

東京大学 小林 洋平 氏

スペクトラ・フィジックスの微細加工用レーザー 「TimeShift テクノロジーの進化による革新的パルスレーザー」

スペクトラ・フィジックス(株) 専務執行役員 産業営業本部長 大野 剛 氏
近年、レーザー微細加工の産業応用の裾野の拡がりは著しく、特に半導体製造、電子デバイス製造分野における加工材料の多様化、高密度化による微細化要求が高まり、その製造過程における加工品質、加工速度、相対的なコストなどの観点でレーザーに対する要求度はさらに高くなってきています。

本講演においては、最先端産業用微細加工分野に焦点をあてたスペクトラ・フィジックスより最近リリースしたナノ秒、ピコ秒、フェムト秒の各種産業用レーザー、特にそれらの特徴である「TimeShift」バーストテクノロジーに焦点をあて、代表的な微細加工応用例とともに紹介いたします。

1kW超級高平均出力LD励起Yb:YAGセラミクスレーザーの開発

浜松ホトニクス(株) 中央研究所 主幹プロジェクト 研究主査 関根 尊史 氏
パルスレーザーは、波長やパルス幅、パルスエネルギーなどの可変性に優れており次世代の加工用レーザーとして期待されている。

既に平均出力で1 kWを超えるパルスレーザーが材料加工用として市販されるに至っている。これらの市販レーザーは、レーザパルスの繰り返し周波数が10 kHz以上と高くパルスエネルギーが1 J以下と低い仕様が主である。

一方で、学術論文ではパルスエネルギーが1~100 Jとなる高いパルスエネルギーのレーザーによる1 kWの平均出力が報告されている。このような高いパルスエネルギーのレーザーは、エネルギーの増大に伴い装置のサイズが大きくなりコストも高くなるため、学術・医療・エネルギーと言った特殊な分野への応用が期待される。
高エネルギーパルスレーザーは、光学損傷や複雑な熱レンズ効果の抑制など技術的な課題がある。

本講演では、将来の応用開拓に向けた1 kW超級となる250 J×10 Hzレーザーの開発について報告する。

休憩


アカデミアにおける科学技術研究用レーザー光源開発

東京大学 大学院工学系研究科 准教授 坂上 和之 氏
科学技術は、20世紀に入ってから急速な発展を遂げ、技術の高度化・専門化が進み、分野が細分化された。その細分化された幅広い分野において、レーザー光源は基盤技術として広く利用されるほど、汎用化が進んだ。

一方で、高度に専門的な科学技術研究においてはその分野特有の性能を持ったレーザー光源が必要であり、自身で適切なレーザー光源を開発する、もしくは適切な技術を持った技術者と共同研究することが求められる。
研究現場では電気回路技術が基盤技術として、特有の回路を自身で製作しているように、光源もそのような基盤技術として浸透していくことができれば、光に関連する技術者の裾野を広げられるものと考える。

本講演では、講演者の専門である量子ビーム科学におけるレーザー光源利用・開発事例と大学等における光源開発の現状、及び今後より一層広がるであろう光技術を基盤とした分野間融合領域形成の展望について紹介する。

深紫外固体レーザーとエキシマレーザーを組合わせたハイブリッドレーザーの開発と加工事例の紹介

ギガフォトン(株) 研究開発本部 研究部 担当部長 三浦 泰祐 氏
エキシマレーザーは深紫外(DUV)領域の代表的な高出力光源であり、フェムト秒レーザーが世に出る以前から微細加工やアニーリング等、広く産業界で使われている。

特に半導体露光機用光源としてはおよそ30年前に実用化されて以来半導体の微細化に伴って改良が続けられており、波長248 nmのKrFエキシマレーザーは3D-NANDメモリやパワーデバイスの露光用光源、波長193 nmのArFエキシマレーザーは主にロジックデバイスの液浸露光用光源として今日も活躍している。
一方当社ではこの半導体露光分野で培ってきた高繰返しエキシマレーザーを加工分野へ展開するための技術開発を行っている。

本解説では固体レーザーとエキシマ増幅器を組合わせたハイブリッドArFエキシマレーザー光源の開発と、ハイブリッドArFを用いた、脱炭素社会に向けジェットエンジンに適用されている軽量高耐熱セラミック複合材(Ceramic Matrix Composites, CMC)のレーザー加工事例を紹介する。

シングルサイクルレーザー増幅技術 – 次世代アト秒光科学に向けて −

理化学研究所 チームリーダー/主任研究員 高橋 栄治 氏
2023年ノーベル物理学賞の受賞対象となったアト秒レーザーは、電子の動きを捉えることを可能にしたことで基礎科学へ大きく貢献してきました。次のステージとして、細胞観察や新素材開発、医療診断などさまざまな分野での利用展開が期待されています。
そのような次世代のアト秒光科学を切り拓くには、アト秒レーザーの高出力化が必要となりますが、現状のアト秒レーザーの出力は様々なアプリケーションに利用展開するには十分ではありません。

本講演では、アト秒レーザーの高出力化に必要不可欠なレーザー技術であるシングルレーザー光源に対する我々独自の増幅法を紹介します。この新しいレーザー増幅法により、従来と比較して二桁以上高い出力のシングルサイクルパルス光を生成できるため、アト秒レーザー開発だけでなく、高強度レーザー科学に更なる進展がもたらされることが期待されています。

閉会のあいさつ

東京大学 田丸 博晴 氏

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大野 剛

スペクトラ・フィジックス株式会社

専務執行役員 産業営業本部長

1987年 甲南大学大学院 自然科学研究科物理学専攻修士課程修了、専攻は光物性物理
1991年 スペクトラ・フィジックス株式会社入社
研究用および産業用各種レーザーの販売・マーケティング活動に従事
2004年より大阪支社長
2015年 執行役員 産業営業本部長
2018年より現職
2023年より株式会社オフィールジャパン代表取締役 副社長を兼任

関根 尊史

浜松ホトニクス株式会社

中央研究所 主幹プロジェクト 研究主査

2002年3月 東京電機大学大学院 工学研究科 電子工学専攻 博士前期課程修了
2018年3月 大阪大学大学院 論文博士(工学)
2006年 第26回レーザー学会学術講演会年次大会優秀論文発表賞
2017年 第41回レーザー学会業績賞・論文賞(オリジナル部門)
2019年 第43回レーザー学会業績賞・進歩賞
2021年 第45回レーザー学会業績賞・進歩賞
2022年 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)

坂上 和之

東京大学

大学院工学系研究科 准教授

2009年早稲田大学大学院理工学研究科修了、博士(理学)。早稲田大学理工学術院 次席研究員、助教、准教授、主任研究員。2018年東京大学大学院工学系研究科附属 光量子科学研究センター 主幹研究員を経て、現在、東京大学大学院工学系研究科 原子力専攻 准教授。専門は量子ビーム科学。レーザーを中心とした光科学と加速器を中心としたビーム科学の双方に携わり、融合領域の形成を進めている。

三浦 泰祐

ギガフォトン株式会社

研究開発本部 研究部 担当部長

1974年生。2001 年慶應義塾大学理工学研究課後期博士課程修了。博士(工学)。JST細野プロジェクト研究員,理化学研究所基礎科学特別研究員、チェコアカデミー物理学研究所シニア研究員を経て2016年4 月ギガフォトン(株)に入社。ハイブリッドArFエキシマレーザーの開発に従事。

高橋 栄治

国立研究開発法人 理化学研究所

チームリーダー/主任研究員

2001 年宇都宮大学大学院工学研究科修了,博士(工学).同年,理化学研究所 基礎科学特別研究員.2004 年 分子科学研究所 助手.2006 年より理化学研究所 研究員,専任研究員を経て,現在,光量子工学研究センター 超高速コヒーレント軟X線光学研究チーム チームリーダー,研究開拓本部 高橋極限レーザー科学研究室 主任研究員.超短パルス高出力レーザーの開発,及び物質との相互作用の研究に従事.