応用物理学会フォトニクス分科会主催セミナー

2024年04月26日(金) 13:15-16:00 アネックスホール F206
【APP-1 光AI・光コンピューティング

応用物理学会フォトニクス分科会

挨拶

横浜国立大学 フォトニクス分科会 幹事長 片山 郁文 氏

物理リザバーコンピューティング:AIとセンサネットワーク社会の要諦

東京大学 大学院工学系研究科電気系工学専攻 教授 廣瀬 明 氏
近年、物理リザバーコンピューティング(reservoir computing: RC)が注目を集めています。なぜならば、それが人工知能(artificial intelligence: AI)とセンサネットワークが一層活躍する近未来の人間社会の要諦となる構成要素だからであり、また科学技術的にも物理と数理が融合する面白い分野だからです。
(たとえば、田中ら、「リザバーコンピューティング」、森北出版 (2021) 参照。)

本講演は光RC、スピン波RCなどを具体例としながら、

・人間はなぜ賢い? 脳が行う情報の表現方法と処理方法
・ニューラルネットワークの中でのRCの位置づけと、そのダイナミクス
・時系列情報処理を軽々こなすリザバーコンピューティング
・その物理的実現の目指すもの
・光リザバーコンピューティングの構成、特徴、展開

などを取り上げ、議論します。

波長・空間多重による光ニューロモルフィックコンピューティング

日本電信電話(株) 先端集積デバイス研究所 特別研究員 中島 光雅 氏
深層学習における情報処理には、人工ニューラルネットワーク(ANN)と呼ばれる脳の処理に着想を得た計算アルゴリズムが活用されている。この計算は、膨大な量の行列演算と非線形処理によって構成されている。

近年の AI 技術の進展に伴って、この計算需要が爆発的に増大しており、電力や環境負荷的な観点で社会的な課題となりつつある。例えば、最新 の言語処理モデルの訓練には、数百 MWh の電力消費と膨大な CO2 排出を伴うと推定されている。計算 需要は3-4か月毎に倍増し続けており、将来的に計 算機ハードウェアの性能が AI の進展を妨げるだけで なく、地球環境などへも無視できない影響をもたら すことを示唆している。

このような背景で、AI 計算の高速化や低電力化に向けた ANN 処理専用のアナログ計算回路の研究開発が活発化してきている。中でも、光回路によるAI計算は、電力、計算時間の観点で優位性があるとされ、大きく注目を集めている。

本講演では、光アナログ計算の原理について概説し、我々の取り組みについて紹介する。

光ニューラルネットワークの時空間ダイナミクスと空間光イジングマシン

大阪大学 大学院情報科学研究科 教授 鈴木 秀幸 氏
光を活用した高速・高効率な計算技術の実現に対する期待は大きい。
本講演では、数理研究者の立場から、光ニューラルネットワークの時空間ダイナミクスに基づく計算技術に関する研究の概要を紹介する。

特に、光の並列性を活用して高速・高効率に組合せ最適化計算を行う空間光イジングマシンの概要と、近年提案された低ランク計算モデルについて紹介するとともに、多重化光学実装等の進展、今後の課題と展望について紹介する。

光ニューラルネットワークとそのセンシング応用

金沢大学 理工研究域 教授 砂田 哲 氏
AI・機械学習の急速な進展により、コンピューティングの需要が爆発的に増大すると同時にその要求水準も劇的に変化している。一方、昨今ではポストムーア時代を支える新しいコンピューティング技術の創出が望まれている。

本講演では、光ニューラルネットワークやリザバー計算などの光コンピューティング技術に関する最近の動向や研究例を紹介し、それらを用いた情報処理と光センシングとの融合について議論する。
具体的な例として、高速マシンビジョンや触覚マルチモーダルセンシングへの応用を示す。

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廣瀬 明

東京大学

大学院工学系研究科電気系工学専攻 教授

1985年 東京大学 工学部電気工学科卒業
1987年 東京大学 先端科学技術研究センター光デバイス分野・助手
1991年 工学博士
  同大 大学院新領域創成科学研究科基盤情報学専攻などを経て、
2007年 東京大学 大学院工学系研究科電気系工学専攻・教授
 IEEEフェロー(2013)、電子情報通信学会フェロー(2018)。日本神経回路学会(JNNS)会長 (2013-2014)、アジア太平洋ニューラルネットワークソサイエティ(APNNS)会長(2016)などを歴任。本年2024年には、IEEEの人工知能分野の旗艦国際会議であるIEEE World Congress on Computational Intelligence (WCCI) 2024 Yokohama (2024年6月30日~7月5日、横浜にて開催)でも共同組織委員長を務めている。

中島 光雅

日本電信電話株式会社

先端集積デバイス研究所 特別研究員

2010年 東京工業大学大学院修士課程修了。同年、日本電信電話株式会社入社。2015年 東京工業大学大学院博士後期課程修了。NTT先端集積デバイス研究所において、光デバイスを用いた情報処理や通信応用の研究に従事。IEEE、応用物理学会、電子情報通信学会正員。電子情報通信学会学術奨励賞等、各賞受賞。

鈴木 秀幸

大阪大学

大学院情報科学研究科 教授

2001年 東京大学 大学院工学系研究科 計数工学専攻 博士課程修了、博士(工学)
2001年 東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻 助手
2005年 東京大学 生産技術研究所 助教授・准教授
2009年 科学技術振興機構 さきがけ研究員(兼任)
2013年 東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻 准教授
2016年 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報数理学専攻 教授

砂田 哲

金沢大学

理工研究域 教授

2006年立命館大学大学院博士後期課程修了.博士(理学).光情報物理,非線形科学に関する研究に従事.国際電気通信基礎技術研究所(ATR),NTT コミュニケーション科学基礎研究所,金沢大学理工研究域機械工学系助教,准教授を経て,2021年4月より現職.2019年から2023年3月までJSTさきがけ研究員兼務.2023年4月フランスFEMTO-ST Institute・招聘教授.