TACMIコンソーシアム主催オープンセミナー

2025年04月25日(金) 13:00-16:10 展示ホール内特設会場1
【TCM-1 第8回 TACMIコンソーシアムシンポジウム-モノづくりとシミュレーター

 
●主催:TACMIコンソーシアム
●共催:光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)次世代レーザー領域STELLA部門
 

開会のあいさつ

東京大学 小林 洋平 氏

来賓挨拶

文部科学省
研究振興局 基礎・基盤研究課 量子研究推進室 室長
田渕 敬一 氏

来賓挨拶

光量子飛躍フラッグシッププログラム次世代レーザー領域
近藤 公伯 氏

Q-LEAP先端レーザーイノベーション拠点「光量子科学によるものづくりCPS化拠点」

東京大学 石川 顕一 氏

レーザー加工は、波長、パルス幅、パルスエネルギーなど、豊富な自由度が魅力である。

現在、これらのパラメーターは、職人の経験と勘によって最適化されている。
来るべき超スマート社会、Society 5.0における個別大量生産のニーズに応えるため、Q-LEAP先端レーザーイノベーション拠点「光量子科学によるものづくりCPS化拠点(STELLA)」部門では、「技から学へ、経験から理へ、古典から量子へ」のスローガンの下、人工知能(AI)と学理によるCPS型レーザー加工を目指した研究開発を進めている。

レーザー加工の理解は、マルチスケールかつ学際的な最先端科学に属する。
STELLAのねらいは、レーザー加工のCPS(サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステム、Cyber Physical System)化にフォーカスしながら、AIや量子力学の第一原理にまでさかのぼるさまざまな理論的・実験的手法を組み合わせることで、高強度のレーザーと物質の相互作用を理解し、シミュレーションすることである。

本講演では、STELLAの取り組みの概要と、成果のハイライトを紹介する。

深層学習を用いたレーザー溶接シミュレーターの開発

パナソニックホールディングス(株) 和田 紀彦 氏

電気自動車に搭載される車載用二次電池や電子部品などの生産性を高めることができるレーザー加工が注目されている。

レーザー溶接加工では加工条件や加工状態により加工結果が複雑かつ大きく変化するために製造条件の確立には多くの時間を要しており、また、要求される品質の向上により被加工物の状態や加工環境の変動によって生じる製造バラツキの影響が無視できなくなりつつある。
これらの問題に対応するためには、様々な状況における加工状態を正確にモデル化し、状況に応じて適切に加工条件を制御するCPSの実現が必要になると考えている。

本講演では,加工と結果測定を全自動で行う自動実験装置及び取得した加工データに基づく製造バラツキも評価可能なシミュレーターの開発状況について紹介する。

レーザー加工の理解に向けたシミュレーション

量子科学技術研究開発機構 関西光量子科学研究所
乙部 智仁 氏

レーザー加工ではまず電子による光吸収がおき、非平衡な電子空孔分布が形成される。その後緩和により格子温度の上昇及びエネルギー拡散が起きて加工に至る。このような複雑な過程を踏むため、レーザー加工過程を理解するためには複雑な物理過程をそれぞれの階層及び階層間相互作用について明らかにする必要がある。

本講演ではまず「加工閾値を決める物理は何か?」について最新の成果を踏まえて説明し、現在研究を進めている第一原理計算ソフト「SALMON」による量子力学に基づいたレーザー加工シミュレーションの成果についてご紹介する。

レーザ溶接シミュレーションへの期待

(株)アマダ 赤城 正幸 氏

近年、レーザ溶接は、製品の高品質化、生産性向上の要求が高まり、溶接品質の安定化、溶接速度の高速化、難材料への対応などが課題となってきております。
これらの課題解決には、溶接現象の可視化や光学制御技術が重要視されています。

本講演では、弊社のレーザ溶接商品に搭載されている光学制御技術、溶接モニタリングを解説し、溶接現象の可視化への取り組みと期待されることを紹介します。

ラグランジュ的手法を用いた革新的伝熱モデルの開発

東京大学 酒井 幹夫 氏

著者のグループでは、ラグランジュ的手法を用いた伝熱シミュレーション手法を独自開発している。

本講演では、まず、ラグランジュ的手法のMoving Particle Semi-implicit法を用いた溶融・凝固を伴う伝熱シミュレーション手法の概要とともにその積層造形システムへの応用について述べる。

次に、著者のグループで独自開発したDiscrete Element Methodを用いた伝熱シミュレーションモデルについて概要を説明する他、本モデルの妥当性確認および縮約モデルについても述べる。

ゼロから始めるインフォマティクス

Preferred Networks Inc 澤田 亮人 氏

ここ数年、基盤モデルは著しい発展を続けています。例えば、ChatGPTは2022年に最初にリリースされたバージョンと現在のバージョンとでは、記憶力換算で8倍、IQ換算で50程度の差があります。こうした事例は、自然言語処理以外の分野でも枚挙にいとまがありません。

しかし一方で、製造や研究などのエンジニアリングの現場では、こうした技術躍進の恩恵をまだ享受しきれていません。例えば、チャットボットとの会話の15%程度が、人口比で1%に満たないプログラマーによってなされているなど、その活用の度合いには偏りがあります。

そこで、本講演では、「高価な計算資源不要+できるだけコードを書かない」をコンセプトに、材料開発者向けのインフォマティクスの実装方法を紹介・議論します。本講演を通じて、基盤モデルの技術躍進の恩恵が、より広範な課題に活かされることを期待しています。

閉会のあいさつ

東京大学 田丸 博晴 氏

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石川 顕一

東京大学

大学院工学系研究科原子力国際専攻 教授

1992年東京大学工学部原子力工学科卒業、1995年同大学大学院工学系研究科修士課程修了、1998年アーヘン工科大学博士課程修了(Dr. rer. nat.)。1998年フランス原子力庁サクレー研究所博士研究員、2000年理化学研究所基礎科学特別研究員、2002年東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻助教授(2007年より准教授に改称)、2008年理化学研究所上級研究員、2009年東京大学大学院工学系研究科附属光量子科学研究センター特任准教授、2014年より同研究科原子力国際専攻教授。レーザーと物質の相互作用、特に、アト秒科学、超高速高強度場レーザー科学、レーザー加工に関する研究に従事。

和田 紀彦

パナソニックホールディングス(株)

MI本部 超高効率モノづくりプロジェクト プロジェクトマネージャー

平成9年3月 大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻修了
平成9年4月 松下電器産業株式会社 入社
平成20年3月 神戸大学大学院 自然科学研究科機械・システム科学専攻後期課程修了
入社後、主に精密加工技術開発を担当

乙部 智仁

量子科学技術研究開発機構 関西光量子科学研究所

上席研究員

2005年 筑波大学にて強レーザー場中の原子分子のトンネルイオン化率計算手法開発で博士(理学)取得。その後、原子力研究開発機構にて固体電子のレーザー励起過程シミュレーション手法開発を世界に先駆けて行い、レーザー・物質相互作用の第一原理計算という新たな研究分野を開拓する。量子科学研究開発機構(QST)発足後にはそれまで開発してきたプログラムをオープンソースソフト「SALMON」として公開し、現在はQST上席研究員であると共にSALMONの管理団体であるSALMON開発研究会の会長を務める。

赤城 正幸

(株)アマダ

微細溶接技術部門 部門長

・H8.4 ミヤチテクノス(株) 入社
・H12.4 ミヤチテクノス(株) 米国出向
・H19.1 ミヤチテクノス(株) ドイツ出向
・R2. 4 (株)アマダウエルドテック FL革新技術部 部長
・R5. 4 (株)アマダウエルドテック 技術部門 部門長
・R6. 4 (株)アマダ 微細溶接技術部門 部門長

酒井 幹夫

東京大学

大学院工学系研究科 原子力国際専攻 教授

酒井幹夫、東京大学 大学院工学系研究科 原子力国際専攻 教授
2006年 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻博士課程修了、博士(工学)
2007年 東京大学大学院工学系研究科 助教
2008年 東京大学大学院工学系研究科 准教授
2022年 東京大学大学院工学系研究科 教授
2023年 Visiting Professor, Imperial College London, UK
2019年 Visiting Professor, University of Surrey, UK
専門:粉体シミュレーション。特に、固体-流体連成問題に関する数値解析。
受賞歴:2023年 化学工学会 研究賞、2023年 日本計算力学連 JACM Computational Mechanics Award、2022年 日本原子力学会 計算科学技術部会 業績賞、他多数
学外委員:Granular Matter誌 (Springer)・Editor、Chemical Engineering Science誌 (Elsevier)・Editor、Powder Technology誌 (Elsevier)・Editorial Board Member、日本粉体工業技術協会AI技術利用委員会・委員長、粉体工学会・理事、日本原子力学会計算科学技術部会・部会長

澤田 亮人

Preferred Networks Inc

リサーチャー

東京大学工学部物理工学科 博士課程卒業
2019年よりPreferred Networksにて材料開発向けのAIソリューションの研究開発に従事