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月刊OPTRONICS

月刊オプトロニクス表紙 光技術関連業界の最新情報が満載の月刊OPTRONICS。
技術者,研究者の方はもちろん,光に携わる方は是非ご購読ください!
 
2007.2 vol.26 No.302
2月号 特集 注目!! 光ナノテク最前線

光ナノテクノロジー ―基礎から応用まで―

京都大学 平尾一之,三浦清貴

 レーザー光を用いて,工業材料をマイクロメートルレベルまで微細加工をすることは,すでに一般的に行われていることである。しかし,それをナノメートルレベルまで加工しようとすると光の回折限界のため困難が伴う。ところが,最近尖頭値の高い超短パルスレーザー光を用いるとその限界を打破できることが明らかとなった。さらに,ナノ材料を容易に作製できることもわかった。したがって,本特集では主としてこの超短パルスレーザー光の代表格であるフェムト秒レーザーを用いた光ナノテクノロジーについて今後の応用の期待も込めさまざまな方に執筆をお願いした。
 1981年,ベル研のForkとShankの研究によりフェムト秒レーザーのパルスがはじめて実現され,それを用いることにより,原子と電子のレベルでさまざまな超高速過程を観察することができるようになったことはよく知られている。またそれによる新しい発見に伴い,フェムト秒レーザーは物理学,生物学,化学,光通信などの分野で幅広く応用されるに至っている。とくにフェムト秒レーザーの超高速性と超高分解能により,病気の早期診断,医学での分子イメージング,生物のin vivo観察および外科医療など,さまざまな先端分野でその独特な特性を発揮している。これに伴って,フェムト秒テクノロジーという分野が新たな広がりをみせはじめている。
 一般的にフェムト秒テクノロジーとは,フェムト秒またはそれより短い時間内で起こる物理,化学,生物などのダイナミック過程のメカニズムをフェムト秒レーザーを用いて解明すること,さらに一歩進んで,フェムト秒レーザーと物質の相互作用により生じるさまざまな現象のメカニズムを利用する技術のことを指す。
 このフェムト秒テクノロジーの歴史は,超短パルス化と高出力化の歴史ともいえる。パルス圧縮については1980年代から熾烈な競争が展開されてきた。現在,数フェムト秒までのパルスも得られるようになっている。一方,極端に強い光は通常の増幅では得られない。それは光が強すぎると,増幅器自体が光により損傷してしまうためである。この問題を解決するために,ミシガン大学のMourouらは1985年に画期的なチャープパルス増幅(chirped pulse amplification;CPA)を提案した。・・・(続きは本誌で)

フェムト秒レーザーによる「ナノガラス」の実用化展開 ―三次元光デバイス高効率製造技術―

(社)ニューガラスフォーラム 田中 修平

 ガラスの歴史を表1に記した。この表から分かるように,5000年に及ぶガラスの歴史でガラスの機能化としての技術革新はガラスそのもの(板,容器),レンズ(めがね,望遠鏡,顕微鏡)そして光ファイバーの発明・発見が挙げられる。
 ガラスを更に機能化するための研究がここ20数年前から始まっている1,2)。これらは通常行なわれていた組成の研究開発ではなく各種のビーム(光,イオン)を使用するもので,ガラス内部を物理的・化学的に三次元加工することでより高度な機能を発揮させようとするものである。その一つはイオンをガラス内部に注入しガラスに機能をもたせようとするものである1)。他の一つは,フェムト秒レーザーによる方法である2)。本稿では後者について述べる。これは,ガラスを透過する波長のレーザー光をガラス内部に集光照射し,集光部の光強度を極端に大きくし,多光子吸収を起こさせて集光部を物理・化学的に変化させ,いわゆる異質相を形成しようとするものである。更に集光部を三次元的に移動させることにより三次元加工を行い,これにより光学的,光回路的等のデバイスを作製しようとするものである。これが「ナノガラス技術」である。
 ナノガラスを含めたナノテク関連市場規模推移予測(2005年〜2030年)の調査結果が,経済産業省・ナノテクノロジー材料・戦略室から発表されている3)。図1に示した。これによると,2030年でのナノテク関連市場は26兆円余になっている。2020年頃の第二世代の普及期にはナノガラスが顔を出している。(社)ニューガラスフォーラムの外部委託調査では,ナノガラス関連市場は2010年で概略2300億円,雇用創出は9600人と予測している4)。・・・(続きは本誌で)

フェムト秒レーザーを利用したナノ・マイクロ構造の形成

京都大学 兼平 真悟

超短パルスレーザーによるナノ構造の形成とその応用

京都大学 下間 靖彦

フェムト秒レーザーによる微細内部加工での物質の変形過程の超高速観測

(独)科学技術振興機構 坂倉 政明

テラヘルツ分光が切り開く材料科学

京都大学 田中耕一郎

 テラヘルツ領域とはおよそ300GHzから10THzの周波数領域のことを指し,エネルギーに換算すると数meV〜数十meVに対応する。携帯電話の周波数がGHz帯であり,可視域が数百THzであることを考えると,エレクトロニクスとフォトニクスが舞台とする周波数領域のちょうど中間であることがわかる。CPUのクロックが10GHzを凌駕しようとしている現状をみても,エレクトロニクスはテラヘルツ帯域にむかって確実に進みつつあることがわかるだろう。したがって,テラヘルツ帯で動作する能動デバイスはもちろんキャパシタなどの受動デバイスの開発が急がれている。しかし,現状ではそれらのデバイスにもちいる適切な材料が存在しないために,研究は素材開発の段階にあるといってよい。フォトニクスの観点から見ると,可視域や赤外域での物質の性質を評価する「光物性」の技術は成熟の域に達しており,新材料評価や分析に欠くことのできないものとなっている。特に,テラヘルツ領域にはこの周波数領域にしか測定できない物質情報があることから,この領域での「光物性」の構築が待望されている1〜4)。フォトニクスの中心課題の一つである光通信に関しても,今後変調帯域はTHz帯域にシフトしていくことが予想される。この場合は,変調デバイスとしてのエレクトロニクスが必要となると同時に,その変調信号を伝達する導波路などの伝送デバイスが必要となるが,後で述べる素材の特性からくる技術的困難のためにまだまだ研究途上の段階である。・・・(続きは本誌で)

プラスチック色素増感太陽電池

桐蔭横浜大学 池上 和志
ペクセル・テクノロジーズ(株) 手島 健次郎
桐蔭横浜大学,ペクセル・テクノロジーズ(株) 宮坂 力

まるわかり非線形光学 第6回 非線形光学結晶を理解するための結晶学(2)

(独)科学技術振興機構 黒澤 宏

 結晶学を学びました。原子が規則正しく配列しているのが結晶ですが,その並び方によって7つの結晶系に分けることができました。さらには,32の結晶点群についても学びました。今回は,このような対称性を使うことによって,二次の非線形光学定数を簡単にすることができることを勉強します。計算の仕方よりも,結果の使い方を知っていただければと思います。さらに,感受率と屈折率の関係をお話しし,屈折率楕円体の知識を増やしましょう。非線形光学効果を実際の波長変換などに利用する場合,位相整合条件を満足させなければなりませんが,その筆頭が複屈折を利用する方法でした。非線形光学素子として有効な結晶でも,この条件を満足する技術がなかったために,有効利用する手だてが無かったのですが,非線形光学定数の符号を周期的に変化させる構造を作ることによって,有効利用することができるようになりました。非線形光学効果にとって,飛躍的な進歩をもたらしました。この疑似位相整合法についても簡単にお話ししておきます。
 全てではありませんが,いくつかの結晶系が持っている対称性の一つに反転対称があります。すなわち,対称中心を持った結晶系のことです。対称操作では「1障魔ニ書きました。結論から言いますと,対称中心を持つ結晶系では全ての二次非線形光学定数あるいは二次非線形感受率がゼロになります。32ある結晶系の中,11の結晶系がこの対称中心を持っています。したがいまして,二次非線形光学性に対するこの対称性の効果は大きなものになります。・・・(続きは本誌で)

進め!! 日本のイノベーション 第6回 「スピンオフ革命」が日本を変える

大阪市立大学 前田 昇

 前回キャッチアップ時代からフロントランナー時代には,日本が得意とするモノづくりにITサービスを装着する必要があり,このような産業変革時代の日本産業発展のためには技術系ベンチャーが不可欠であることを述べた。
 また,大企業は戦略的に正しいことである重要顧客のサティスファクションを追求しすぎるがゆえに従来商品の改良に走りすぎ,革新的であるがリスクの大きい小市場には入らず,イノベーションのジレンマに陥り時代の波に乗り遅れていく。これを克服するには起業家精神の高いベンチャーとのWin-Win連携であるコーポレート・ベンチャリングが最適であると述べた。
 コーポレート・ベンチャリングをするにも大企業が連携する技術系ベンチャーが日本にごく少ないのでは問題である。技術系ベンチャーを育てるのが日本の国家戦略として必要である。ではどのようにして技術系ベンチャーを育てるのか?・・・(続きは本誌で)

基礎からの量子光学 第14回 単一光子発生技術の最前線

東京大学 臼杵達哉

 第1回から量子光学に関して様々な角度から解説が行われている。その中で,単一光子は典型的な光の量子状態として何回も取り上げられている。しかしながら他の科学分野への広がりや実社会への応用という観点から見ると,今のところ単一光子状態の研究開発はコヒーレント状態と比べ未開拓な部分が多い。理由の1つに,コヒーレント光は古典的な電磁波の性質を色濃く持つのに対して,単一光子状態は極端に量子的であることが挙げられる。例えば光通信の普及には目覚しいものがあるが,そもそも電波で行っていた通信のアナロジーが使えるという点で通信工学分野への光の応用は比較的容易に予測できる。光の利点が明確であったため,真空管がトランジスタに置き換わったように,コヒーレント光源であるレーザーの開発はタウンズの着想から50年以上の歳月をかけて順調に進んだ。今や半導体レーザーの究極である量子ドットレーザーが実用化目前となっている。量子光学についても,少なくとも工学として捉えたとき,光の古典的な利用法を推し進めた際に現れる障害,すなわち不確定性原理に基づく量子雑音をいかに克服するかが重要視されていた。一方,単一光子状態は量子的であるがゆえに実社会に前段階となる具体的な技術事例が存在しない。つまり,単一光子技術が我々の生活にどのように関わるのかが見えにくいということである。・・・(続きは本誌で)

シリーズ

ワン・ポイント結像光学 第47回 レンズの瞳(2)

朝枝剛

 結像では像のできる位置,像の形,像のシャープさ(解像度)などに直接かかわらないけれどもとても大切な要素が二つあります。一つはカメラレンズからみて写そうとする被写体のどの程度の広がりが見えるかという視界(field of view)あるいは視野角(angle of view, angle of field)です。もう一つの課題は像の明るさ(brightness)です。写真フィルムや撮像素子にとっては単位時間にどのくらいのエネルギーの光が像面に降り注いでくるかが大事な問題です。このどちらの問題も光学系を通過する光束(bundle of ray)がどこでどのように制限を受けるかということにかかっています。そして光束を制限するもの,つまりこの問題に深くかかわっている事柄が光学系の絞り(stop, diaphragm)です。
 図1(a)は大きな開口絞り(aperture stop)を,図1(b)は小さな開口絞りを表しています。図1(a)と図1(b)では光軸と平行な光束がレンズに入射しています。これは被写体が無限遠にあってレンズの焦点位置に像ができる場合です。レンズに入射する光束の大きさ(光束の直径)を比較すると図1(a)のほうが 図1(b)よりも光束の径が大きくなっています。つまり開口絞りが光束の大きさ(直径)を制限しています。・・・(続きは本誌で)

IT市場ウォッチング 第71回 第二の創業が急がれる半導体商社業界

(株)野村総合研究所 藤浪 啓

 エレクトロニクス各社の06年度中間決算はおおむね良好に推移した。半導体市況はおおむね好調で推移しており,日系半導体メーカーもフラッシュ,DRAMを中心に攻めの積極的な投資姿勢が見られる。これを背景に半導体商社も好調に業績を伸ばしている企業が多い。半導体商社は新しい技術の発掘とデマンドクリエーションを生業としており,同業界の動向はエレクトロニクス業界全体の先行指標として注目される。半導体の技術プレミアムの低下は光エレクトロニクスのビジネスモデルにも影響を与える。今後の光エレクトロニクスのあり方に関する参考として本稿では半導体商社の動向について述べてみたい。
 半導体商社業界は商圏移管を中心に近年大きく業界構造が変化しつつある。日本の半導体商社市場は約2兆円といわれており,極めて多くのプレイヤが存在する。NEC系のリョーサンなどメーカー系商社は規模が大きいことが特徴であり,豊富な品揃えを誇っている。一方,外国系半導体商社は海外の半導体を中心にプロダクトや技術サポートに強みを持った展開をしている。また,加賀電子のように商社機能に加え,EMSなどのメーカー機能を並存する企業も存在する。06年度決算はおおむねどのタイプの企業も好業績が予想される。・・・(続きは本誌で)

光の研究コミュニティ −技術進展を支える光関連研究会/グループ− 第42回
日本応用磁気学会 ハイブリッド記録専門研究会 光と熱を利用した磁性デバイスの創生

日本大学 中川 活二

 ハイブリッド記録専門研究会は,社団法人日本応用磁気学会の専門研究会として,2002年12月より活動を開始した研究会です。ここで言うハイブリッド記録とは,磁気記録(ハードディスクドライブ:HDD)に,光と熱を活用して記録密度を向上する新たな記録方式を提供するものです。
 従来の磁気記録の記録密度向上速度はすさまじく,コンピュータの発展のみならず,新規な大容量メモリを用いた家電製品(ハードディスクビデオレコーダー,モバイル機器など)を実現してきました。近年の記録密度向上は,面内磁気記録と呼ばれる方式から垂直磁気記録と呼ばれる方式が実現された事が大きな技術革新となっており,今後もこの優れた垂直磁気技術をさらに発展することで磁気記録の記録密度向上が期待されます。
 この技術に加えて,ハイブリッド記録,パターンド媒体と呼ばれる新たな分野の研究が進められています。これは,記録密度の向上により,記録ビットサイズが数十nmとなり,これに伴って磁性記録粒子を小さくすることで,磁化状態を保存するエネルギー(磁気異方性エネルギー)を増加しないと,室温の熱エネルギーで記録状態が消失してしまう問題が有るためです。・・・(続きは本誌で)

光技術の研究開発・特許動向II/技術別に見る最新情報 第114回
時分割多重化方式

嶋本国際特許事務所 嶋本久寿弥太

 複数のテジタル信号を1つの高速な光テジタル信号に変換する光時分割多重化方式などの時分割多重化方式技術の特許出願公開を国際特許分類(H04J14/08)でみると1995年に23件,96年に62件,97年に34件,98年に27件,99年49件,2000年に48件,01年に49件,02年に67件,03年に44件,04年に50件,05年に48件となり,合計501件となっている。
 特許出願公開ランキングでみると,1位は日本電信電話で121件,2位は日本電気で76件,3位は富士通で38件,4位は沖電気工業で34件,5位は三菱電機で20件となり,5社合計で289件で全体の57.7%となり,寡占状態となっている。
 6位は英国のブリティッシュ・テレコミニュケーションズが17件,7位はルーセントテクノロジーと日立製作所がそれぞれ16件,9位はKDDIで15件,10位は東芝と韓国の三星電子がそれぞれ11件となり,10位11社合計で80件となり,全体の74.9%となっている。・・・(続きは本誌で)

NGN,いよいよ始動!

 次世代ネットワーク「NGN」がいよいよ実現しそうだ。
 NTTはNGNの商用サービスの開始に向け,フィールドトライアルによる技術確認と,顧客へのアピールを行なうショールーム『NOTE』を昨年12月,東京・大手町と大阪・梅田に開設した。これに際してNTT以下,フィールドトライアルに参加した通信機器メーカおよびサービスプロバイダ9社の代表が共同記者会見を開き,「世界初」となるNGNにかける意気込みを語った。
 NTTの和田社長は会見で「必ず実現できる技術であり,不退転の思いで臨む」と,NGNにかける意気込みを示した。圧倒的な資本力を持つNTTがNGNを構築することで,強力な市場支配が行なわれることを懸念する声もあるが,「NGNはNTT一社で完成するような技術ではない。様々な業界の企業の協力が必要」であるとし,「オープン」と「コラボレーション」がキーワードであると繰り返した。
 一方,イギリスのBTが電話網のIP化を2004年より既に行なっており,NTTのNGNは「世界初」とは言えないのではないかという質問には,「メタルをベースとしたBTのNGNはコストダウンを目的としたIP網だが,NTTのNGNは,光を使った全く「新しい」ネットワークである」と,両者が全く別の技術であることを強調した。・・・(続きは本誌で)

有機ELの市場は何処に?

 ディスプレイや照明などの用途として早期実用化が期待されている有機EL。1987年に米国Eastman Kodakが有機EL素子の開発に成功し,これを契機に本格的な実用化に向けた開発がスタートした。ディスプレイ分野では現在一部の携帯電話のサブディスプレイや,音楽プレーヤなどのディスプレイとして採用され始めているが,まだまだ揺籃期にあると言え,企業各社による試作やマーケットの見定めが続いているのが現状だ。
 有機ELディスプレイは自発光型であることから,既存のLCDやPDPなどと比較すると,「バックライトが不要で,薄型・軽量化が容易」,「視野角が限定されない」,「明るく高コントラストな表示性能が得られる」,「応答速度が速く,低消費電力」などがアドバンテージとして挙げられる。現在ディスプレイ市場ではLCDとPDPが隆盛期を迎えているが,今後これらディスプレイとの競争に打ち勝つためには,有機ELディスプレイの優位性を如何にアピールできるかが,カギになるといえよう。
 米国ディスプレイサーチ社では有機ELディスプレイ世界市場調査結果を発表しているが,それによると,2006年第2四半期の有機ELディスプレイの出荷数は1,610万枚で,出荷額は1億1,200万ドル。また,同年第3四半期は出荷数が2,120万枚で,出荷額が1億3,250万ドルとなっている。有機ELディスプレイの駆動方式はLCDと同様,パッシブマトリクス(PM)方式とアクティブマトリクス(AM)方式があるが,このうち,PM方式が出荷額ベースで市場の98%を占めているという。・・・(続きは本誌で)

テラヘルツイメージングの産業応用の可能性をイメージング!

 光と電波の中間に位置するテラヘルツ光。紙やプラスチック,ビニール,繊維,半導体,脂肪,粉体など様々な物質を透過する特性を持っていることから,分光やイメージング用途の新たな光源として注目されている。その研究開発はわが国を含め世界各国で進められているが,気になるのは,やはり産業応用への可能性だろう。
 テラヘルツ光はそれまで未踏波長領域とされてきたが,その理由の一つは,光の発生と検出の難しさにあったようだ。しかし,近年の研究開発の進展に伴ってテラヘルツ光の光源の開発や検出に関する研究成果が数多く報告され,これによって幅広い応用分野への適用の道筋も見え始めてきた。テラヘルツ光の市場は,いつどこから立ち上がるのか,今後の開発動向が注目される。
 特に非破壊検査・計測手法の一つとして,テラヘルツ光の適用に対する期待が高まっている。どの産業分野でも非破壊による検査や計測は必要不可欠な要素技術であることから,実用化されれば大きな市場が形成されることが予想される。
 現在,非破壊検査・計測手法にはエックス線,超音波,磁気などを用いたものが実用化されているが,テラヘルツ光はこれらの技術を利用しても探知できないものに対して,特に高い効果を発揮する。例えば,郵便物内の違法薬物や爆薬など危険物質に対する検査がその一つで,エックス線では中身の形状までしか分からないのに対し,テラヘルツ光を用いることで,その中身の成分を同定することが可能なのだ。・・・(続きは本誌で)

光ディスクメディアの寿命ははたして何年?

 仕事上の文章はもちろん,最近では写真やビデオ,音楽までもがデジタルデータで扱えるようになった。デジタルデータは劣化が少なく,省スペースの保存が可能なので非常に便利だ。
 一般に使われているデジタルデータの保存手段には,ハードディスクやフラッシュメモリといったメディアがあるが,中でも安価で容量も大きいCDやDVDのような光ディスクは手軽で人気も高い。記者も日頃お世話になっている1人だ。
 こうした光ディスクは,かつてLDやCDが「半永久的」に保存が可能なメディアであると謳っていた経緯もあり,データの長期保存が可能なイメージが強い。だが,発売されて20年以上が経つ音楽CDの中には,読み取り不能となるような経年変化を起こしたケースも報告されているという。
 構造上CDより劣化に強いとされているものの,登場してからの歴史がまだ浅いDVDにも,今後こういった事態が起こるかもしれない。はたして光ディスク,特に書き込み型のCDやDVDはどの程度の保存性を持つのであろうか。・・・(続きは本誌で)


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PHOTONICS SPECTRA

▼欧州委員会,フォトニクス部門を編成

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▼精密工学会 第319回講習会 ここまできたレーザ加工技術の最前線!!
▼JOEM公開セミナー プロジェクション光学系および光学部品の最新技術動向
▼第103回微小光学研究会 DOE / 回折の微小光学
▼第39回光波センシング技術研究会
▼第32回光学シンポジウム 光学システム・光学素子の設計,製作,評価を中心として
▼InterOpt '07(International Optoelectronics Exhibition 2007)

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※コラム「Zoom in USA」は今月お休みします。

今月のコメント

 ナノテク関連市場は2030年には26兆円強にもなると注目を集めています(経済産業省ナノテクノロジー材料・戦略室調べ)。一方,このナノテクと光技術を加工という側面から見てみると,光を用いた加工はマイクロメートルレベルでは実現できていますが,ナノメートルレベルとなると,これまでは光の回折限界があって,その実現は難しいと言われてきました。ところが近年,超短パルスレーザを用いることで,その限界が突破できるということがわかってきました。

 光とナノテクノロジーを掛け合わせた光ナノテクとも言うべき研究開発の一つが,ガラス内部にフェムト秒レーザを照射して三次元加工を行ない,光回路等のデバイスを作製しようというナノガラス技術です。ここから得られた基盤技術を用いた三次元光デバイス高効率製造技術のプロジェクトも進められており,各方面から注目を集めています。

 今月号の特集ではフェムト秒レーザを用いた光ナノテクノロジーを中心に据えて,光ナノテクの研究開発最前線に迫ってみました。

 米国ラスベガスで開催されたCES(国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)期間中,ワーナー・ブラザースはBlu-ray Disc(BD)とHD DVDの両規格の何れのプレーヤでも再生ができる光ディスク「トータル・ハイ・デフ」の発売計画を発表しました。厚さはDVDと同じなのですが片面にBD,反対側の面にHD DVDのデータを記録するというものです。また同じ期間中に,韓国のLG電子は両規格を再生できるプレーヤを発表しました。

 ただし,双方とも支払う特許料や部品点数が増える分,コスト高になるのがネックのようです。LG電子のプレーヤは単一規格対応の最も安いプレーヤに比べ,価格が倍以上だといいます。HD DVD陣営は歓迎みたいですが,BD陣営は何れBDに集約されると強気のようです。

 規格対立が買い控えを招いているという声もあがっていますが,頷けるものがあります。スピードが勝負の今の時代,市場の立ち上がりに時間がかかってしまうのには一抹の不安が残ります。鳶に油揚げをさらわれたなんて,それが杞憂であることを願っています。

 そういえば昨年の12月6日,特許料の支払いに耐えかねた中国の大手家電メーカ20社が,政府の肝煎りで開発された光ディスク規格「EVD」の本格普及を目指し,対応プレーヤ54機種を一斉に発表したというニュースが流れました(12月7日付フジサンケイビジネスアイ)。石油や天然ガスでは資源ナショナリズムが頭角を現わしていますが,技術的優位性やビジネスの正当性が通用しない状況も考慮しておくべきでしょう。

 話題をもう一つ。FTTH加入数がついに700万を突破しました。総務省の2006年度第2四半期(9月末時点)のブロードバンド回線加入数の発表によれば,FTTHは対前期比131.1%の715万4,550加入,これに対しDSLは99.2%の1,439万6,034加入,対前期純増数は,FTTHが過去最高だった前回を2倍上回る169万6,853加入で,DSLは−12万1,825加入。主役交代も視野に入ってきたようです。

編集長 川尻 多加志

■今後の特集予定(敬称略)

 3月号 特集『ユビキタス時代に注目される電子ペーパー』

 ▼電子ペーパーの狙いと研究動向 東海大学 面谷信

 ▼電気泳動方式電子ペーパー 凸版印刷(株) 壇上英利
 ▼電子粉流体を用いた反射型ディスプレイ (株)ブリヂストン 田沼逸夫,増田善友,櫻井良
 ▼コレステリック液晶を用いた電子ペーパー 富士ゼロックス(株) 馬場和夫
 ▼サーマル・リライタブルペーパーの技術 (株)リコー 筒井恭治
 ▼電子ペーパー用エレクトロクロミック方式 千葉大学 小林範久

 4月号 特集『ファイバーレーザとその応用(仮題)』

 ▼総論 大阪大学 宮本勇
 ▼フェムト秒ファイバーレーザとその微細加工応用 アイシン精機(株) 吉田睦
 ▼ピコ秒ファイバーレーザとその加工応用 Corelase Oy J.Sillanpaa
 ▼大出力ファイバーレーザの開発と応用 IPGフォトニクスジャパン(株) 福部博
 ▼高出力ファイバーレーザ溶接とその応用 大阪大学 片山聖二
 ▼ファイバーディスクレーザの開発 浜松ホトニクス(株) 伊東勝久

 5月号 特集『農業に貢献する光技術(仮題)』

 ▼地球環境の変動と食糧安全保障 アミタ(株) 嘉田良平
 ▼植物工場の現状と動向 東海大学 高辻正基
 ▼光触媒の農業への応用 (独)産業技術総合研究所 垰田博史
 ▼光による害虫の物理的防除 岩崎電気(株) 田澤信二
 ▼オプティカルファーミング 三重大学 亀岡孝治
 ▼農業リモートセンシング 東北大学 斎藤元也

(都合により,内容に変更のある場合があります。)

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