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月刊OPTRONICS

月刊オプトロニクス表紙 光技術関連業界の最新情報が満載の月刊OPTRONICS。
技術者,研究者の方はもちろん,光に携わる方は是非ご購読ください!
 
2010.5 vol.29 No.341
5月号 特集 ナノフォトニクスとプラズモニクス

大阪大学フォトニクスセンターが目指すもの

大阪大学 岩崎 裕

大阪大学では,平成19年よりフォトニクス先端融合研究拠点(総括責任者:鷲田清一総長,フォトニクス先端融合研究センター長:河田聡教授)の事業を推進してきた。本拠点は,文部科学省が,特に重要と考えられる先端的な融合領域において,企業(協働機関)とのマッチングにより,新産業の創出等の大きな社会・経済的インパクトのある成果を創出するための科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点形成」プログラムの一つである。3年目を迎えた平成21年度の再審査によって,フォトニクス先端融合研究拠点は,引き続き平成22〜29年の7年間拠点事業を推進する課題(13課題中5課題)に選ばれた。本拠点には,フォトニクスに関するナショナルセンターの役割が期待されている。また,大阪大学は経済産業省の平成21年度産業技術研究開発施設整備費補助金で,5層4900平米のフォトニクスセンタービルを吹田キャンパス内に建設し,光を使って人と環境に優しい(エコロジカルな)長寿人生の産業を拓く「光エコライフ」技術開発を推進する。フォトニクス先端融合研究拠点と光エコライフ研究開発事業は,大阪大学の有する光科学・先端技術分野の世界屈指の高いポテンシャルを基盤として推進する。大阪大学は,古くより光学・分光学・光エレクトロニクス・光通信・光加工・光エネルギー等のフォトニクス研究の,世界の重要な研究拠点の一つとして知られてきた。・・・(続きは本誌で)

プラズモニクスとナノイメージング

大阪大学1,理化学研究所2 河田 聡1, 2,市村 垂生1

プラズモニクスとは,金属ナノ構造とフォトンの相互作用の科学である。そのプラズモニクスに関する関心が非常に高まって来ている。Nature誌だけでも,Nature Photonics誌の2010年2月号,2008年6月号,Nature Materials誌の2010年3月号,2009年9月号などで,特集号や特集記事が掲載されている。私自身もNature Photonicsの昨年8月号と一昨年7月号に原著論文を,昨年7月号に解説を発表し,Nature誌の昨年10月号にはインタビュー記事が掲載された。プラズモニクスには古い歴史があり,いまさらのこのブームに意外感を持つ人も多いかもしれない。Mieの散乱やMaxwell-Garnettの金属光物性の研究は,100年以上前の話である。古くからよく知られている話を知らずに発表している例も,最近多く見受けられる。しかし一方,「光でナノを見て刻んで操る」という新たな目標を得て,プラズモニクスの分野において新しい現象の発見や新しい機能の解明,そして新しい応用の展開が生まれつつあることもまた事実である。・・・(続きは本誌で)

プラズモニクスとナノ光集積回路

大阪大学 高原 淳一

今日のエレクトロニクスの発展にとって集積回路技術は極めて大きな役割をはたしている。フォトニクスにおいても早くから集積回路の重要性が認識され,1969年には光集積回路の提案がなされている。現在では,石英系PLC(Planar Lightwave Circuit)が既に実用化され,InP光集積回路やSi光集積回路によってさらなる高集積化,高機能化を目指して研究がすすめられている。このように光集積回路は40年以上の歴史をもつが,誘電体光導波路が回折限界の制約を受けるために,電子集積回路と比べると集積度(微細化)に関して大きな差がついてしまった。我々は誘電体に代わって負誘電体を用いることによって,回折限界を超えるナノ空間に光ビームを閉じ込めて伝送できることを示し,ナノ光集積回路への道を拓いた。この負誘電体光導波路は現在ではプラズモニック導波路とよばれ,ナノプラズモニクスのキーコンポーネントとして世界中で活発な研究がおこなわれている。・・・(続きは本誌で)

局在表面プラズモンチップを用いたバイオセンサ

大阪大学 吉川 裕之,斉藤 真人,近藤 兼司,民谷 栄一

インフルエンザ,高齢者医療,食品の安全性などが社会問題となっている昨今,安価,簡便,迅速に複数のタンパク質やDNAなどを少量のサンプルから検出するバイオセンシング技術の発展が求められている。特に,安全で非侵襲な光学的バイオセンシング技術は,今後ますます重要となる。光を利用したバイオセンシングの中でも,色素分子を目的の生体分子にラベリングし,吸収や蛍光を検出する手法は,検出感度が高く,ELISA法などに広く利用されている。一方で,より簡便,迅速な検出が求められるマイクロチップによるバイオセンシングでは,チップに抗体やDNAなどを修飾して特異認識機能を持たせることにより,試料をラベルフリー測定できる点が重要である。この場合,チップ表面に特異結合した生体分子を光学的に検出するため,チップ表面近傍の屈折率(誘電率)の変化を高感度に捉える仕組みが必要となる。そこで注目されるのが,金属ナノ構造の表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance: SPR)を利用したバイオセンサである。・・・(続きは本誌で)

有機薄膜太陽電池とプラズモニクス

大阪大学 尾崎 雅則,藤井 彰彦

クリーンで無尽蔵な太陽からのフォトンエネルギーの有効利用は,CO2排出量削減は勿論のこと持続可能な低炭素社会実現において不可欠であり,高効率太陽電池は人類がもっとも切望するフォトンデバイスの一つといっても過言ではない。しかしながら,現在すでに普及が進んでいるシリコン太陽電池は,その資源の枯渇が懸念され,また,その生産においては環境負荷が高いプロセスが必須であり,さらに生産コストも高いことから,低コスト・低環境負荷で,しかも大面積化・大量生産が可能な次世代太陽電池が切望されている。有機薄膜太陽電池は,p共役分子・高分子をベース材料としており,印刷法などのウェットプロセスを用いたロール・トゥ・トールによる生産が可能で,大面積・大量生産が最大の特徴である。加えて,軽量・フレキシブルで任意形状に加工可能な特長を生かして,建物の屋根に載せる従来の太陽電池モジュールのみならず,いつでもどこでも光エネルギーを利用可能なユビキタスエネルギー源として社会に浸透するものと考えられ,グリーンエネルギーの普及に拍車をかけることは間違いない。・・・(続きは本誌で)

プラズモニクスを応用した次世代磁気記録

大阪大学 中谷 亮一

20世紀に革新的に飛躍した情報産業は,未来においても人々の生活を支える主要産業であり続けるものと考えられる。情報産業と言っても,その範囲は非常に幅広く,公共放送に限っても,それらの番組を作り出す録音システム,録画システム,編集システム,さらにそれらを配信する3次元的な電磁波送信システム,1次元的なケーブルシステム,また,受信する側の受信機,映像機器,音響機器,録画・録音機器などが並立に存在し,機能している。また,近年,コンピュータ間を結ぶインターネット環境が急速に進歩し,どこでも必要な情報を得る事ができるユビキタス環境も整備されつつある。コンピュータも1951年に商用コンピュータが発売されて以来,目的に応じて細分化され,いわゆるスーパーコンピュータ,個人用のパーソナルコンピュータ,装置等を制御するコンピュータなど,性能も用途も様々である。上記の種々の情報システム,情報機器などの多くは,情報を格納する装置が必須であり,現在,その装置の多くは,ハードディスク装置である。・・・(続きは本誌で)

プラズモニクスで映し出す細胞内の分子

大阪大学 藤田克昌,安藤 潤

光は生体に優しいと言われる。これは,すなわち,光と生体分子との相互作用は弱いということを意味している。このため,生体分子を光で分析,検出することは容易ではなく,生体組織や細胞の生体分子の観察には,光と強く作用する色素が利用されてきた。しかし色素を用いる手法だけでは,既知の分子しか観察できず,また染色が不可能な分子も観察できないため,生体機能を生み出す分子の役割のすべてを映し出すことは難しい。光を生体分子により効率的に作用させ,色素の助けを借りずに分子を検出する手法も必要である。本稿では,プラズモンを介した細胞内の分子の高感度な観察法について紹介する。金属表面でのプラズモンは光の電場を増強させるため,様々な光学現象を効率的に誘起できる。特にラマン散乱との組み合わせは効果的で,数〜十数桁の散乱効率の向上が報告されている。細胞内に金属を導入する必要があるが,金などは生体に対する悪影響は少ないことが報告されており,増強ラマン散乱を利用した生体分子のセンシング技術の開発が進んでいる。・・・(続きは本誌で)

プラズマフォトニクスとその産業応用

大阪大学 北野 勝久

“プラズマ”といえば“プラズマテレビ”を真っ先に思い浮かべる方も多いかと思われるが,身の回りには多くのプラズマがあふれており,化学燃焼による炎,蛍光灯,雷などもプラズマの一つである。プラズマとは固体,液体,気体につぐ物質の第4の状態の事を指し,物質は非常に高温になることで電離してイオンと電子に解離した状態(プラズマ)になる。プラズマ状態は密度,温度,電離度などのパラメーターで表現されるが,他の3態と比べて何桁にも渡るパラメーター領域で存在するという特長を有しており,宇宙に存在する物質の99%以上はプラズマであると言われている。プラズマからは,電子,イオン,ラジカル,光,熱,衝撃波などが作られ,用途に応じて様々なプラズマが生成されて,エネルギー,半導体,環境,新素材,光源,医療など各種方面で利用されている。例えば,プラズマテレビでは,プラズマから放出されるUV光を蛍光体によって可視光に変換するという蛍光灯と同様の原理を利用して,画素となるマイクロサイズのプラズマをアレイ状に多数並べることで画像を表現している。産業的には,半導体製造などでプラズマプロセスは欠かせない技術の一つになっており,真空容器内の低圧環境下で発生させたプラズマをシリコン基板などに照射して,エッチングやデポジションをすることで、微細加工などを行っている。・・・(続きは本誌で)

特別レポート

OFC・NFOEC 2010 参加報告

(有)グローバル・ファイバオプティックス 梶岡 博

EOS DO 2010 参加報告

愛媛大学 市川 裕之

太陽光発電と電気自動車(続)

島田 禎晉

連載・シリーズ

USA Today 第28回 OFC/NFOEC 2010

Optomarketing USA 中島 和宏

OFC/NFOEC(Optical Fiber Communication Conference & Exposition)が,米国カリフォルニア州南端サンディエゴ市の港湾に面したコンベンションセンターに移転してから三年目を迎えた。初春の暖かい陽射しに爽やかな風が頬を撫でる,当地のこの時期に相応しい心地好さは,ホテルから会場までの道程を苦にさせない。会場に隣接したタワーホテルは,ハイアットとマリオット,さらに他端にはヒルトンが建てられた。会場沿いのハーバー通り,並行して走る路面電車サンディエゴ・トロリーを渡れば北側にダウンタウンが広がり,中央を北上する五番街,通称「ガスランプ通り」は歴史ある観光通りとして整備され,ダウンタウンに点在するホテルに加えて,会場近隣にも新設ホテルが増えた。サンディエゴ湾のマリーナに沿って造られたコンベンションセンターは,奥行き約100 m,横幅が約500 m。その細長い会場はAからGホールに区切られているが,展示会場として利用されたのは実質BからDホールであった。東京ビッグサイトの東棟半分程度の広さだ。小ぢんまりと収まった会場は,数日間歩き回る我々にとっては程よい広さ,そこに今年は500社が集まった。空席のブースもあり,実際にはやや少ないかもしれない。学会等の詳細については本誌のレポートに委ねるが,ほんの少し目に付いたところを紹介したい。・・・(続きは本誌で)

発明・特許のこぼれ話 第29回 植物に関する知的財産権

SMK(株) 鴫原 正義

5月は,緑萌え,多くの花が咲き競う季節です。最近はこの美しい花にバラエティ豊かな色や形の改良を加えた新品種を見ることが時々有ります。サントリー社が2004年にそれまで不可能とされていた「青いバラ」の開発に成功したと発表し,昨年から販売を開始したのも代表的な話題です。遺伝子組み換え技術を駆使しての成果ですが,今回はこの植物の世界における知的財産権の一つである「育成者権」と「種苗法」について見てみましょう。種苗法は,図1に示すように植物の新品種を創作した人に与えられる育成者権を守るためのもので,この権利は登録の日から25年(果樹等の永年性植物は30年)独占することが認められています。種苗法は農林水産省が管轄するもので,第1条(目的)には「品種育成の振興と種苗の適正な流通を図り,農林水産業の発展に寄与する」との趣旨が記載されています。ここでの保護対象は農林水産植物の生産のために栽培される植物となりますが,工業製品における特許法と類似した面と,植物特有の側面があります。以下に主な違いを見てみましょう。・・・(続きは本誌で)

光技術者のための基礎数学 第17回 フーリエ変換( III )

職業能力開発総合大学校 河合 滋

畳み込み(Convolution)や相関(Correlation)などの関数変換は,フーリエ変換と直接関係ないが,これらの関数変換をフーリエ変換して周波数空間で考えると,有用な関係が導かれる。
(1)畳み込み
次の関数を関数f(t)とg(t)の畳み込み,この積分を畳み込み積分と呼ぶ。・・・(続きは本誌で)

原点に戻って学ぶレーザー原論 第14回 各種レーザー(1)固体レーザー

(独)科学技術振興機構 黒澤 宏

固体レーザーも,ガスレーザーと同じく原子の発光を利用しているが,ガスレーザーと大きく異なる点は,発光種である原子が母材である透明固体の中に埋め込まれていることである。ガスレーザーの場合,ガラス放電管の中にガスを入れて放電させれば,レーザー発振の基礎データを採れるため,多くの種類のガスが試されてきたが,固体レーザーの場合,レーザー発光原子と母材を組み合わせて,適当な大きさの結晶を作り,そのレーザー動作を最適化するためには大量の時間と資金が必要であり,その組み合わせの種類は余り多くない。固体レーザーの仲間であり,メイマンが世界最初に発振させたルビーレーザーでは,ポンピング光を吸収し,発光する種であるクロムイオン(Cr3+)が透明な酸化アルミニウム(別名サファイア:Al2O3)結晶中に分散ドープされている。サファイア結晶は無色透明であるが,中にドープされているクロムイオンが青色と緑色の光を吸収するので,結果として赤色に見える。ただし,クロムイオンは0.05%程度しか入っていないので,薄いピンクになっている。細いペンシル型のルビー結晶の周りがらせん形の写真用フラッシュランプで取り巻かれており,クロムイオンがこれから出てくる白色光の中の青色と緑色の光を吸収して励起状態に上がり,そこで持っている余分なエネルギーを赤色光として放出する。ルビーレーザー光は,フラッシュランプが発光している時間だけ持続するパルス光である。・・・(続きは本誌で)

光技術の研究開発・特許動向II/技術別に見る最新情報 第149回 表面プラズモン

嶋本国際特許事務所 嶋本 久寿弥太

表面プラズモン関連の特許出願公開をセンサとの関連で見ると,2010年3月20日現在で4275件に達し,2000年以降で3974件,2005年以降で2608件に達し,2009年以降に絞っても,368件を記録している。その中から表面プラズモン関連を整理すると,1年3ヶ月間に38社の参入がみられ,特許出願公開は,国際出願5件を含めて66件となっている。表面プラズモン関連の特許出願公開のランキングをみると,1位は富士フイルムで8件,2位は日本電信電話とシャープの2社でそれぞれ5件,4位は九州大学,キヤノン,ロームの2社でそれぞれ4件,7位は日本航空電子が3件となっていて,7社合計で33件となり,全体66件の50%となっている。また,大学関連では新潟大学,北海道大学,長岡技術科学大学,早稲田大学,精華大学(中華民国),創価大学,東京大学,埼玉大学,香川大学のほか,韓国のコリア・ユニバーシティ・インダストリアル・アカデミック・コラボレイション・ファウンデイションが登場している。・・・(続きは本誌で)

100Gb/s時代に向けての研究・開発が活発化

クラウドコンピューティングやインターネットを利用した音声/動画配信など多様化するサービスの普及に伴って通信トラフィックは爆発的に増加しており,今後の通信需要の増大に対応するための技術開発が求められている。こうした中にあって現在活発化しているのが,100Gb/s光通信の実現に向けた関連技術の研究・開発だ。この6月にはIEEEによる40/100GEの標準化が完了し,いよいよ市場が立ち上がる。次世代イーサネットでは,40GEが主にサーバ間の接続用途として,一方の100GEはデータセンター間や構内のネットワーク構築用途が中心となる。また,100GEをOTN(Optical Transport Network)に効率的に収容,転送するための標準化もITU-Tによって進められている。OTNは大容量波長多重化伝送規格で,これを光コアネットワークに用いることでイーサネット信号などを数百から数千kmにわたって長距離伝送することが可能になる。これらの動きに先立ち,参入メーカ各社も対応製品を開発,100Gb/s光通信へのソリューションを展開している。一方,波長あたり100Gb/sの大容量長距離伝送の実現に向けた研究・開発も進んでいて,通信事業者における100Gb/s光通信の商用化に向けたフィールドトライアルの動きも活発だ。高速・大容量化へと進展する光通信市場において,100Gb/s光通信ではどのような伝送技術・製品がカギを握るのだろうか。その動向に迫ってみた。・・・(続きは本誌で)

NEWS FLASH

DATA ROOM

▼発光ダイオード輸出数量,3ヶ月連続のプラス
▼デジタルカメラ(コンパクトタイプ)の生産実績,24ヶ月ぶりのプラス
▼民生用電子機器国内出荷金額,対前年同月比136.6%の2,619億円
▼総務省,FTTHの契約数を発表

CALENDAR

EVENTS

▼ナノフォトニクス総合的展開 第25〜27回オープンセミナー
▼応物応用電子物性分科会研究例会 「紫外光デバイスの進展 − 材料物性と応用」
▼応物光設計研究グループ 第44回研究会 「3D映像技術と光設計」
▼応物微小光学研究グループ 第16回微小光学特別セミナー 「微小光学の基礎と発展」

PRODUCTS INFORMATION

今月のコメント

光の波長より小さなものは光学顕微鏡では見えません。
回折限界と言います。
ところが、金や銀といった貴金属にナノ構造を作りこんで、そこに光を照らすと電子と光が共鳴する表面プラズモン共鳴が起こって、表面近くでは飛躍的に電場が強くなります。
この効果を応用すると回折限界を超える分解能が実現できたり、他にも様々な光学効果を格段に向上させることができると、各方面から注目を集めています。

表面プラズモン共鳴の応用としては、身近なところではガラスの表面に金属微粒子を塗って鮮やかな色を醸し出すステンドガラスが有名です。
この他、自動車用の塗料などにも使われていますが、近年ではこれを光デバイスに応用しようという研究・開発が内外で活発化しています。

今月号の特集では、ナノフォトニクスとプラズモニクスを切り口として、ナノイメージング、ナノ光集積回路、バイオセンサ、有機太陽電池、磁気記録、細胞内分子観察などへの応用、さらに大気圧低温プラズマの産業応用にも焦点をあて、我が国のプラズモニクス研究を先導する大阪大学フォトニクス先端融合研究センターを中心とした研究者の方々に、最新の研究を紹介していただきました。
プラズモニクス研究は、本特集のご執筆者の一人でもある河田聡教授を始めとして、我が国の研究者が世界に先駆けた研究を行ない高い評価を得ています。
基礎的な研究はもちろん、産業界と連携した応用研究にも期待したいと思います。

4月9日(金)、日本学術会議公開シンポジウム「先端フォトニクスの展望」が東京は六本木の日本学術会議講堂で開かれました。
「光」というキーワードを持つ各学会の最先端の話題を集めた講演を行なって、光科学のインパクトやイノベーションを国内にアピールするとともに、次世代を担う若手研究者の育成、新しい産業やコミュニティーの創成推進を目的に開かれたものです。

当日の内容をざっと紹介しますと、日本女子大の小舘香椎子名誉教授がシンポジウムの趣旨を説明、続いて東大・荒川泰彦教授による「ナノ科学技術が拓く先端フォトニクス」、同じく東大・五神真教授の「先端レーザー技術による光物理学の展開」、阪大・河田聡教授が「プラズモニクス:機能と応用とその未来」、京大・野田進教授は「フォトニック結晶の現状と将来展望」、日立の小泉英明氏が「光トポグラフィがひらく未来」を講演されました。
講演会には予想を遥かに上回る約400名の方々が参加、別会場では若手研究者によるポスターセッションも開かれました。
若手研究者が「光」という共通テーマのもとに集い、活発かつフレンドリーな雰囲気の中でディスカッションしていたのがとても印象的でした。

先端科学技術分野の研究は、その研究が進めば進むほど細分化され、研究自体は深く掘り下げられる一方、他分野との横断的交流が少なくなって行き、弊害として研究者の視野が狭くなりがちで、新しい発想も生まれ難くなるという話を良く聞きます。そのような観点からも、今回のようなイベントは光の分野で今後とても重要になって来るのではないでしょうか。

編集長 川尻 多加志

■次号(6月号)の予定

「CIGS系太陽電池の最新技術動向(仮)」(敬称略)

▼総論:産業技術総合研究所 仁木 栄
▼CIS太陽電池の低コスト製造プロセス:龍谷大学 和田隆博
▼新製膜技術と最近の評価技術について:東京工業大学 山田 明
▼CIGS太陽電池の基礎と最適バッファ層:立命館大学 峯元 高志
▼CIS系薄膜太陽電池量産化技術の動向:昭和シェル石油(株) 櫛屋 勝巳
▼フレキシブル太陽電池:青山学院大学 中田 時夫
▼CIGS系太陽電池における界面・粒界の電子構造評価:鹿児島大学 寺田 教男

(都合により,内容に変更のある場合があります。)

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