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月刊OPTRONICS

月刊オプトロニクス表紙 光技術関連業界の最新情報が満載の月刊OPTRONICS。
技術者,研究者の方はもちろん,光に携わる方は是非ご購読ください!
 
2010.7 vol.29 No.343
7月号 特集 進展する光応用バイオMEMSデバイス

総 論

九州大学 澤田 廉士

 MEMSの発展は,1980年代これまで電子立国で築いてきた半導体技術を生かしたMEMSが中心で,1990年マイクロマシンプロジェクトを国の施策として進めてきて20年経過している。当初100ミクロンのマイクロモータが動画で見せられ一世を風靡した。一方,マイクロモータは駆動力が小さいこともあり役に立たないなどと言われることもあった。また,半導体の発展がかつてアルカリ金属の汚染で一時停止したように,MEMSにおいてもスティクション(構造体同士がくっついてはなれない現象)が起こったり,また,プルインや内部応力の課題がありMEMSの開発が遅れたこともあった。しかし,まずは,「光MEMS(Optical-Micro Electro Mechanical Systems)」はマイクロマシン技術とマイクロ光学技術を組み合わせた分野で花開いた。光ファイバ通信,光ディスクメモリ,光電子機器,画像処理,光計算等様々な分野で研究開発及び用途展開(新規アプリケーション開拓を含む)が進められた。マイクロミラーを動かすには大きな駆動力が必要ないこともあり,マイクロミラーを用いたDMDやGLVなどの光MEMSが大展開をみせた。・・・(続きは本誌で)

光を用いた高速微小領域流体制御 ―バイオ・MicroTAS分野への光応用

早稲田大学 庄子 習一

 MEMSやナノテクノロジーの技術を用いて化学,バイオ分野における化学分析・化学合成を高効率に実現するマイクロデバイス・システムの研究が盛んに行われている。
 この分野はMicro Total Analysis Systems: MicroTAS あるいはLab-on-a-Chip(LOC)と呼ばれてその実用化への期待が高まっている。中でも細胞機能解析や1 分子レベルの生体分子計測への期待から微小流路内での細胞・生体分子のソーティングに関する研究が注目されている。これには,水力学的手法や電気泳動・誘電泳動等種々の方法が用いられているが,光ピンセットを用いたソーティングも報告されている。
 細胞生物学の分野では,目的細胞の分離・収集にFluoresence Activated Cell Sorting: FACS という装置が広く用いられている。FACSは大掛かりで高価な装置であり,同じ機能を持つ装置をMEMS技術により小型化・低価格化した装置が待望されている。そこで我々は,含水生高分子の可逆的なゾル−ゲル相転移反応を利用し,収束光照射による微小流体制御技術を開発し,ソーティングデバイスに応用する方法を考案した。本報では,細胞・生体分子の高速・高効率ソーティングについて述べる。・・・(続きは本誌で)

垂直単位化学操作による積層型微量分析用バイオリアクターの開発

兵庫県立大学 内海 裕一

 近年,医療,環境,食品等の複雑で困難な問題を抱える社会情勢の中で有効な解決策を得るためには,個別の状況を網羅的に迅速かつ的確に定量分析・把握できる手法が求められている。医療分野で言えば各個人の遺伝的情報に基づいた遺伝子治療などのオーダーメイド医療やゲノム創薬,臨床現場では診断が即可能となるPOCT(point of care testing:臨床現場即時検査)などが必要とされる時代となった。即ち個々の状況を小型で簡便な高機能機器によって迅速に定量測定し,フィードバックするシステムの実現が益々重要となっている。このような流れの中で,mTAS(Micro Total Analysis Systemの略)やLab-on-a-chipと呼ばれるマイクロフルイディクスシステムの研究が注目されている1〜3)。これらは数cm角程度のガラスやプラスチック等の基板上に,数十から数百mm程度の流体流路を作製し,小型化されたポンプ,バルブ,センサなどを組み合わせた化学分析若しくは合成システムである。各要素をマイクロマシン技術によりダウンサイジングし,基板上に集積化することにより,材料原資の低減,使用試薬量の低減が可能となる。・・・(続きは本誌で)

光MEMS技術を用いた低侵襲医療デバイス

東北大学 芳賀 洋一

 医療分野において光技術を用いたさまざまな臨床検査・治療が広く行われている。低侵襲医療とは体を大きく切り開かずに内視鏡やカテーテルと呼ばれる医療用ポリマーチューブなどの細く小さな医療器具を体内に挿入し,手術に匹敵する検査および治療を行うもので,患者への負担が少なく,入院期間が短いなど多くの利点から広く行われるようになった。この低侵襲医療分野において,内視鏡による体内の光学的観察や光ファイバーを用いて体内に導いたレーザー光を用いた治療など,光技術が多く用いられている。一方で,体表の小さな間口や,消化管や血管など曲がりくねった細い管腔を通して体内を傷つけず安全に挿入するためにサイズや形状の制約があり,搭載できる機能や性能が限られる。この問題を克服する手段の一つとしてMEMS(微小電気機械システム)技術をはじめとした微細加工技術が役立つと期待される。・・・(続きは本誌で)

MEMS血流センサ

九州大学 澤田 廉士

 マイクロマシン(MEMS : Micro Electro Mechanical Systems)技術により,これまで大型であった計測装置が,同じ機能・性能を維持した状態で携帯可能な計測装置へと変貌を遂げている。またこれらのセンサが,ロボット,家電,バイオ,通信,安全管理,環境分析などの分野で,高精度,高機能,低コスト化に向かって急速な展開をみせている。高機能なセンサの発達,生活に密着したセンサの実現に向けてMEMS技術の発展は必要不可欠である。生体情報のウェアラブル計測は,健康管理や予防医学,または運転中やスポーツ中の危険防止などの観点から要望が高い。特に,血流量センサは,レーザ光を用いて末梢組織血流量を非侵襲に測定でき,臨床医用の分野において新たな治療指標として注目されている。しかし血液の粘度が心血管事故を促進するという考えはかなり確立した概念となっているものの,高血圧やコレステロールなどの一般的なリスク因子と比べ注目されることが少ないのは過小評価と言わざるを得ない。・・・(続きは本誌で)

ナノバイオセンサを実現可能なナノフォトニクス

シンガポール国立大学 李 正國

  体外診断や製薬発見,環境モニタリングの遠隔探査から戦場での生物戦争病原体の発見にわたる様々なアプリケーションの将来的需要を満たすために,次世代のバイオセンサはマルチプレクシング(多項目同時解析手法)の感度,特性および性能の更なる改良が必要とされている。新たなバイオセンシングと高処理量スクリーニング技術の開発に対する関心は近年のナノスケールセンシング技術の進展に伴い高まっている。ナノスコピックセンシングメカニズムに基づいて特定の生体分子の相互作用を検出するナノバイオセンサはバイオセンサの新たな分類項目となっている。このメカニズムにおいて,光検出メカニズムはマイクロフルイディスク(微小流体制御技術),高感受性,高検出限度,スケーラビリティなどと簡易に統合できるという利点から高い注目を浴びている。
 フォトニック結晶(PhC)(周期的に誘電性が変化する人工物)はフォトニックバンドギャップ(PBG)効果のため波長スケールにおける光子流動の制御を可能にしている。PBG周波数域の光の伝達はPhC構造によって阻害される。・・・(続きは本誌で)

高速MEMSスキャナを用いた次世代SS-OCT用波長走査型光源

Santec(株) 諫本圭史,戸塚弘毅,酒井 徹,鈴木卓也,両澤 淳,鄭 昌鎬/東京大学 年吉 洋

 光コヒーレンストモグラフィー(OCT:Optical Coherence Tomography)は,光の可干渉性を用いて生態の断層画像を非侵襲で測定できる技術で,医療が人にやさしい診断,診療,治療を目指している中で画期的な診断技術として注目されている。OCTの測定原理は1990年に丹野らによって提案され,1991年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のFujimotoらが画像化に成功した。その6年後の1997年にHumphrey社(現在のCarl Zeiss Meditec社)から世界初の商用モデルとしてOCT技術を用いた眼底検査装置が発売された。特に非侵襲性が問われる眼の検査で病理組織の標本の様に網膜の断層を観察できるOCTは医療現場でも広く受け入れられ,現在では眼底疾患の診療には必要不可欠な装置となっている。
 眼底治療への普及に伴い,図1に示すような異なる検査対象へのOCT技術の適用も検討が進んでいる。・・・(続きは本誌で)

連載・シリーズ

USA Today 第30回 トヨタのテスラ提携に沸く!

Optomarketing USA 中島 和宏

 シリコンバレーでは、折しもCLEO (Conference on Lasers and Electro-Optics /会議の詳細は本誌特別レポートを参照)が開催されていた先月、その時、トヨタとテスラ・モーターズ(本社: カリフォルニア州パロアルト市)の電撃的な提携が発表された。電気自動車の生産拠点として再生に帰することとなった旧トヨタ自動車−ゼネラル・モーターズ(GM)合弁会社であるNUMMI(New United Motor Manufacturing, Inc.)のあるフリーモント市周辺の各地が喜びに沸き,そのニュースはバレーに拡がった。同工場の閉鎖後,閉店も覚悟していた地元商店や失業中の元従業員らは,テスラ社による雇用や再稼動の話に沸き,安堵し,まさに大歓迎ムードだ。
 事の起こりは昨年の夏にまで遡る。NUMMI共同経営者であるGMが破産法適用により撤退,トヨタ側としては余儀なく製造の縮小・打切りと同工場の精算をせざるを得なくなっていた。・・・(続きは本誌で)

発明・特許のこぼれ話 第31回 サッカーボールとフラーレン

SMK(株) 鴫原 正義

 この号が発刊される頃,南アフリカでのワールドカップ(以下Wカップ)は決勝戦間近になっている頃でしょうか・・・。サッカーボールはWカップの開催毎にその模様が変わっているようですが,お馴染みの五角形と六角形のボールは,後に発見されたフラーレン構造と全く同じです。果たして,先端技術における世界よりサッカーの世界の方が20年以上早かった・・・ということなのです。オフサイド的(?)で興味深く,今回はサッカーボールを追ってみました。
 先ずフラーレン構造から入りましょう。フラーレンは数十個以上の炭素原子で構成されるクラスター構造であり,1985年に炭素原子60個で構成されるC60フラーレンが発見されました。(図1(a)参照)英国の化学者ハロルド・クロトー(1939〜 )と米国の化学者リチャード・スモーリー(1943〜2005)及びロバート・カール(1933〜 )が共同で実験していた時に発見したのです。近年脚光を浴びているナノテクノロジーの最先端に位置する素材要素でもあり,1996年に三人はこれらの功績でノーベル化学賞を受賞しています。・・・(続きは本誌で)

光技術者のための基礎数学 第19回 フーリエ変換( V )

職業能力開発総合大学校 河合 滋

  フーリエ変換は,光学の分野においてもっともよく使われる数学であり,これにより,波動光学的な結像を記述することができる。
(1)フーリエ変換の光学的な意味
 これまで説明してきたように,フーリエ変換は,実空間と周波数空間を関係付ける関数変換である。一般に,実空間として時間,周波数空間として時間周波数を考えることが多い。光学の世界においては,光通信のように,例えば光信号の強度の時間的な変化を考える場合,光波の強度の変化を時間の関数とし,フーリエ変換によって,時間とその周波数を関係付けることがある。しかし,光波の空間的な伝搬を考える場合には,1.9述べたように,光波の振幅の時間的な変化は観測できないので,空間的な変化が重要となる。
 光波の振幅の変化を空間の位置の関数とし,フーリエ変換によって,空間の位置とその周波数である空間周波数(Spatial Frequency)によって関係付けることができる。・・・(続きは本誌で)

原点に戻って学ぶレーザー原論 第16回 各種レーザー(4)半導体レーザー(つづき)

(独)科学技術振興機構 黒澤 宏

 半導体レーザーは,電子が過剰に存在するn型半導体と,電子が欠乏する結果正孔が過剰に存在するp型半導体が接した接合領域における,電子と正孔の再結合による発光を利用している。このpn接合領域の電子と正孔は,外部に接続した電源より供給されることから,電流注入によって反転分布ができる。構造から見れば,端面から光を取り出す端面発光半導体レーザーと表面から取り出す面発光レーザーがあり,それぞれに波長選択用の共振器が考案されている。発光波長は,バンドギャップの大きさによって決まり,そのバンドギャップは半導体の組成によって決まる。さらに,半導体レーザーは,単結晶薄膜でできているので,結晶性と厚さを精密に制御する必要があり,その製作に基板結晶と格子整合がキーワードとなる。今回は,半導体レーザーの構造と組成を中心に詳しく勉強する。・・・(続きは本誌で)

光技術の研究開発・特許動向II/技術別に見る最新情報 第151回 太陽電池アレイ

嶋本国際特許事務所 嶋本 久寿弥太

 太陽電池アレイは,太陽電池ストリングスを横に複数並べ並列接続したもので,二次元構造となっている。太陽電池アレイの呼称検索(2010年5月12日現在・1995年は6月1日から12月31日分まで。)による特許出願公開件数は907件に達し,同期間内の特許出願公開(国際公開33件,特許公表81件,実用新案登録10件)を年次別に見ると,1995年19件,1996年29件,1997年49件,1998年45件,1999年66件,2000年72件,2001年60件,2002年78件,2003年56件,2004年88件,2005年87件,2006年88件,2007年57件,2008年43件,2009年58件,2010年(5月12日まで)22件となっていて,合計すると907件となっている。
 最近公開(2009年1月1日から2010年5月12日まで)された80件の企業のランキングを見ると,シャープが14件で1位となっており,2位は三菱電機と京セラがそれぞれ7件,4位はカネカで6件,5位はブレスト工業研究所と昭和シェル石油がそれぞれ5件で,合計6社・44件となっており,全体80件の55%を占めている。・・・(続きは本誌で)

特別レポート

CLEO/QELS 2010 参加報告

(有)グローバル・ファイバオプティックス 梶岡 博

3Dは安全か?

編集部

 3D映画が世界中で人気を博し,また3Dテレビの登場によって家庭でも手軽に3D映像が楽しめるようになった。3Dテレビ市場を巡っては国内メーカではパナソニック,ソニー,シャープ,東芝,三菱電機,日立製作所が,海外メーカからは韓国・SamsungやLG電子などが参入を表明,このうちのパナソニック,ソニー,Samsung,LG電子は3Dテレビの市場投入を始め,この他のメーカも今年度中の投入を決めている。
 米国調査会社DisplaySearchによれば,3Dテレビの世界市場は,2010年には1,200万台,2011年は4,000万台,2013年には1億5,600万台になると見込んでいる。ディスプレイ別では,2010年市場はプラズマテレビが400万台,液晶テレビが800万台と予測。2011年はそれぞれ1,200万台,2,800万台になると見ており,サイズ別では50型がメインになると予測している(表1)。・・・(続きは本誌で)

実用化に向け進展するスーパーハイビジョン技術

編集部

 NHK放送技術研究所の研究成果を一般に公開する「技研公開2010」が,5月27日〜30日に世田谷区の同研究所で行なわれた。今年の展示テーマは「技研80年 さらなる未来へ」。研究所が開所80年という節目の年を迎えるのに合わせ,視聴者や地元住民といった関係者に対して感謝の気持ちを新たにすると共に,今後も放送技術の未来をリードしていくという決意が込められている。
 先行して行なわれたプレスレビューの中で,所長の久保田啓一氏は中長期的な開発目標について述べ,5年後(以内)には放送と通信が融合したサービスの提供,10年後には衛星によるスーパーハイビジョン(SHV)試験放送の実施,20年後には裸眼で視聴できるインテグラル立体テレビを実現するとした。
 今回,記者が特に注目したのは,光関連技術の結晶とも言えるSHV放送技術だ。久保田氏がSHVの試験放送の具体的な実施時期について言及したのには,放送に必要なフル解像度SHVカメラ,フル解像度SHVプロジェクタ,光ファイバを用いたSHV信号伝送技術,高効率映像符号化技術といった要素技術について,一通りの目処がついたことがある。この自信を裏付ける技術について,具体的な進捗を取材した。・・・(続きは本誌で)

NEWS FLASH

DATA ROOM

▼発光ダイオード輸出数量,5ヶ月連続のプラス
▼光ディスクの生産実績,29ヶ月ぶりのプラス
▼民生用電子機器国内出荷金額,対前年同月比126.8%の2,562億円

CALENDAR

EVENTS

▼応用物理学会日本光学会ナノオプティクス研究グループ「第19回研究討論会」
▼光ファイバセンサ国際会議日本委員会シンポジウム「光応用計測の最前線」
▼レーザー技術総合研究所「平成21年度研究成果報告会」
▼情報通信研究機構,産業技術総合研究所,情報処理推進機構「量子暗号・量子通信国際会議 2010」(UQCC 2010)

PRODUCTS INFORMATION

今月のコメント

 MEMSの実現とその研究・開発の進展によって、様々な分野における機器・装置の小型化や高性能化は大きく前進しました。(財)マイクロマシンセンターは、MEMSの国内市場は2005年度で約4,400億円、2010年度は1兆1,700億円、2015年度には2兆4,000億円に達すると予測しています。
 一方、DMDに代表される光MEMSもディスプレイや光通信を始めとして、多岐に渡る分野において研究・開発と応用が進みました。市場規模もMEMS全体に比べれば小さいものの2005年度で896億円、2010年度で2,047億円、2015年度には3,831億円と、順調に推移すると予測されています。
 近年、先進諸国では単なる物質的な豊かさでなく、人がより健康的な生活を送れるかどうかという点に関心が集まっています。特に高齢化が急速に進む我が国では、対応する医療技術に期待が集まっており、その産業発展によって我が国の経済を大きく成長させることができるという声も上がっています。
 バイオ技術は医療、環境、食品等が抱える様々な問題を解決する有効な手段と、内外で研究・開発が活発に進められています。特に医療分野では、個人の遺伝子情報に基づいた遺伝子治療などのオーダーメイド医療やゲノム創薬、生体情報センサや低侵襲治療が注目を集め、光MEMSはこれらの分野においての活躍が期待されています。
 今月号の特集では九州大学・工学研究院機械工学部門の澤田廉士教授に企画していただき、いま注目の光応用バイオMEMSデバイスの研究・開発最新動向に焦点をあてました。海外に比べ規制が多く、それが日本企業の国際競争力の足かせとなっている現状を踏まえ、我が国の医療制度そのものの見直しも積極的に進めて欲しいものです。

 数々の危機を乗り越えて小惑星探査機「はやぶさ」が、7年の宇宙の旅を終え地球に戻ってきました。月以外の天体に探査機が着陸して帰還するのは世界初の快挙で、今回の成功は我が国の宇宙技術の高さを世界に示しました。
 「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」離陸後に燃料漏れを起こし制御不能となって通信が途絶しましたが、7週間後に微弱信号をとらえ周期的につながる僅かな時間を利用して復活に成功。しかし今度は推進力の強い化学エンジン12基が全て故障、これには長距離航行用のイオンエンジンを代用して乗り切りました。ところが、そのイオンエンジンも4基中3基が故障、これに対しては故障箇所の違う2基をつなぎ合わせ1基分にするという裏技でよみがえらせました。この我慢強くあきらめないという日本人の気質そのものの頑張りに、多くの賞賛の声が寄せられました。
 ところが、後継機「はやぶさ2」の予算は、政権交代前の概算要求額17億円が、政権交代で実施される高校無償化に4,000億円近く掛かるしわ寄せを受け大幅に削られ5,000万円に、昨年11月の事業仕分けではさらに3,000万円に縮減されてしまいました(6月15日付読売新聞社説等)。
 「はやぶさ」のあまりの人気と予算削減への批判に、政府は予算復活をほのめかしていますが、無駄と断定した科学技術の成果が出たとたん、姿勢が180度変わるのは如何なものでしょう。
 「はやぶさ2」は目標とする小惑星と地球の位置関係などから2014〜15年に打ち上げないと、次の機会は10年以上先になるということです。米国は日本の予算縮減の隙を縫うように既に「はやぶさ」予算の5倍以上の600〜800億円規模の小惑星探査プロジェクトを進めています。「2位じゃ駄目なんでしょうか」ではなく、科学技術分野においても、ぜひとも学べば学ぶほどにその重要性を分かって欲しいものです。

編集長 川尻 多加志

■次号(8月号)の特集予定

「干渉計最新動向(仮)」(敬称略)

▼総論: (株)東洋精機製作所 山口 一郎
▼光コムと干渉計測: 東京大学 松本 弘一
▼並列位相シフトを用いた高速位相シフトデジタルホログラフィ: 京都工芸繊維大学 粟辻 安浩
▼タンデム型低コヒーレス干渉計: (独)産業技術総合研究所 平井 亜紀子
▼偏光解析と干渉計測: 宇都宮大学 大谷 幸利
▼半導体・FPDプロセスにおける干渉計測の応用: 東レエンジニアリング(株) 北川 克一
▼デジタルホログラフィ干渉法による変位分布・ひずみ分布計測: 和歌山大学 森本 吉春,藤垣 元冶
▼デジタルホログラフィによる塗料乾燥モニタリング: 島根大学 横田 正幸

(都合により,内容に変更のある場合があります。)

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