オプティクスセミナー

2022年11月18日(金) 10:00-12:55 -第2会議室B
【OS-1 最先端レーザー加工 ー光学の基礎からAI応用までー

レーザー・マイクロ3Dプリンティング: 基礎と最新動向

横浜国立大学大学院 教授 丸尾 昭二 氏
近年、3Dプリンティングが次世代の新しいものづくり技術として高い注目を集めています。なかでも、光造形法は、サブマイクロメートルから数10マイクロメートルという高い加工分解能が得られる最も高精度かつ高分解能な3D造形技術です。適用材料の種類も年々増加しており、従来の光硬化性樹脂に加えて、セラミックスや金属、ゲルなど幅広い材料が利用できるようになっています。

さらに、最近では、より高機能な3Dデバイスを造形するために、単一材料を用いた造形だけでなく、複数材料を用いたマルチマテリアル3D造形技術の研究開発も活発化しています。このため、光造形法は、工業製品や精密部品の試作だけでなく、フォトニクス、マイクロマシン、再生医療、歯科などさまざまな分野への応用が試みられています。

本講演では、紫外レーザー、青色レーザー、フェムト秒レーザーなどさまざまなレーザー光源を用いた光造形法の造形原理と造形プロセスの基礎と、多様な光造形用材料の進展、さらには最新の応用事例を紹介します。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)、初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

レーザー微細加工とモニタリング技術の基礎と最新動向

(国研)産業技術総合研究所 研究グループ長 奈良崎 愛子 氏
レーザー加工は、我が国の質の高いものづくりに貢献し難加工材料の精密微細加工など従来技術では難しい加工も可能にする新製造技術として、またデジタル化に親和性が高く、ものづくり産業の次世代DX化にも貢献する技術として期待されています。

近年,超短パルスレーザー等に代表される高性能光源やICT技術の導入により,これまで難しかったレーザー加工のリアルタイムモニタリングやAI適用による高速最適化システムの構築など,さらなる加工品質向上と高スループット化に向けた取り組みも進んでいます。

本セミナーでは,我々が開発を進めている超短パルスレーザー微細加工やモニタリング手法の紹介ともに,レーザー微細加工とモニタリング技術について基礎から最新動向について幅広く国内外の最新事例も交えてご紹介します。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)、初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

AIによる補償光学を用いた空間光制御フェムト秒レーザー加工

宇都宮大学オプティクス教育研究センター 助教 長谷川 智士 氏
フェムト秒レーザーは,材料の熱拡散速度に比べてパルス幅が十分に短いため,熱影響を低減した高品質な加工を実現する.また,高いパルスピーク強度により実現される多光子吸収を介した物質励起と,透過性の高い近赤外の波長により,透明材料内部への回折限界以下の加工を可能にする.これらフェムト秒レーザー加工の特徴を活かして,透明材料内部への回折光学素子(光導波路,光メモリー,体積グレーティング)の作製に関する報告がされている.上記の応用では,構造を短時間で大面積に加工することが求められる.

我々は,高速・高精度なフェムト秒レーザー加工を実現するために,空間光変調素子(SLM)に表示された計算機ホログラムを用いた空間光制御レーザー加工に関する研究を行っている.この技術は,任意の光強度パターンを有するレーザーを対象に照射することで,高い加工スループットを実現する.

講演では,空間光制御を用いたレーザー加工の基本原理を述べる.また,高精度なレーザー加工を実現するために,人口知能(AI)による補償光学を用いた取り組みを紹介する.
難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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2021年11月18日(木) 13:40-16:35 -第2会議室B
【OS-2 光学×ディジタルイメージング

レンズ収差を奥行き手がかりとした単眼カメラ距離計測

(株)東芝 研究開発センター 知能化システム研究所 メディアAIラボラトリー フェロー 三島 直 氏
市販の単眼カメラで撮影した1枚の画像から、距離画像を取得できる技術を紹介する。画像を用いて高精度に距離を計測する装置としてステレオカメラが広く知られているが、2台のカメラを用いるため小型化が困難であった。また、単眼カメラを利用する場合は、小型であるが、特殊なカラーフィルターを取り付けるなど、追加工無しでは距離計測ができないと考えられていた。本技術は、この常識を覆し、レンズ収差と距離に基づく画像のボケの色づき(収差マップ)を分析して被写体までの距離を計測する。ボケと距離の関係は複雑であり、数式によるモデル化が困難なため、深層ニューラルネットワークにより計測データから得られるボケの色づきを学習する。これにより市販のデジタルカメラ一台のみで被写体の形状等によらずステレオカメラ並みの高精度な距離計測を実現した。この技術を利用することで、カメラの高機能化、保守点検サービスの自動化、製品検査の精密化等、幅広い応用が期待できる。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

コンピュテーショナルイメージング

東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授 堀﨑 遼一 氏
コンピュテーショナルイメージングは,信号処理や画像処理を前提にした光学イメージング法の総称である.既存の光学イメージング法では,光学系と処理系が独立して設計されることが多く,両者が不必要に肥大化する傾向にあった.コンピュテーショナルイメージングのフレームワークを用いることで,イメージング性能の向上や光学系の簡略化,低コスト化が可能である.近年の計算機パワーや情報科学技術の進展に伴い,当該分野の推進剤となっている.コンピュテーショナルイメージングの身近な例として,X線CTやMRIなどがある.また近年のコンピュテーショナルイメージングの研究例として,薄型カメラやレンズレスカメラ,シングルピクセルカメラ,多次元カメラなどが報告されている.

本講演では,発表者がこれまで携わってきた散乱を経由した光計測や光制御,深層学習を含む機械学習を利用した光計測や光制御,位相イメージングを中心に,コンピュテーショナルイメージング分野の紹介を行う.特にこれらの研究は,従来のイメージング法では避けられることが多い散乱を積極的に利用している.上述の技術発展を背景に,コンピュテーショナルイメージングの重要性は今後さらに高まっていくと考えられる. 
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

自然な光を用いるホログラフィー -多種の自然光デジタルホログラフィック顕微鏡と 手のひらホログラム検知器「ホロセンサー」試作の紹介 -

(国研)情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波先進研究センター デジタル光学基盤研究室 主任研究員 田原 樹 氏
ホログラフィーでは従来,レーザー光を物体に照明して精密な光学測定を行なってきました。ホログラフィー測定の飛躍的な汎用性の向上のために,身の回りにある自然な光でホログラムをデジタル記録する技術:インコヒーレントデジタルホログラフィー(IDH)が提案されています。IDHにより,LEDやランプの光,さらには自然光で物体のホログラフィック3D測定が行なえ,細胞や光学素子などの透明な物体に対する定量的な測定も行なえるようになります。また,IDHを蛍光顕微鏡へ応用することが世界的な研究の方向性の一つに挙げられています。IDHにより物体の3D情報を一括取得できるため,微小物体の高速な3D動画測定を行なえる新しい技術:ホログラフィック蛍光顕微鏡法として注目を集めています。また,IDHの特徴的な光学素子の構成により,コンパクトで持ち運べる光学システムでデジタルホログラムセンシングが可能です。
本講演では,まずIDHの記録と像再生の原理について述べます。また,代表的なIDHの技術や,IDHにおける世界的な研究動向と応用例を紹介します。その後,世界各国で提案されているIDHに基づく自然な光の3D顕微鏡技術を紹介し,各技術の比較的特徴をお伝えします。加えて,NICTより提案された,手のひらサイズのホログラム検知器「ホロセンサー」を紹介します。これまでに試作した複数の手製ホロセンサーをお示しし,カラー3Dセンシング,光学顕微鏡にホロセンサーをドッキングすることで実現されるホログラフィック蛍光顕微鏡,手のひらサイズの3次元顕微鏡,そして単一露光の接写3Dセンシングに関する基礎的な実験結果例をお示しします。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)
受講料(1セッション/税込)
一般 出展社/主催・協賛団体会員 月刊オプトロニクス定期購読者/シニアクラブ会員 学生
¥18,000 ¥15,000 ¥9,000 ¥5,000

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丸尾 昭二

横浜国立大学大学院

教授

1997年大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士後期課程修了.博士(工学).名古屋大学リサーチアソシエイト・助手,日本学術振興会特別研究員を経て,2003年より横浜国立大学大学院工学研究院助教授.2014年4月から同大学院教授.専門は,3次元マイクロ・ナノ光造形技術の開発とその応用.内閣府SIPプロジェクト(2014-2018)では,マルチスケール3D造形システムの開発と産学連携オープンイノベーションを推進.2019年度からはJST CRESTにおいて,マルチマテリアル3Dプリンティングの研究開発を推進中.

奈良崎 愛子

(国研)産業技術総合研究所

研究グループ長

2000年 京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了,博士(工学).2000年 通産省工業技術院物質工学工業技術研究所に任期付研究員として入所,組織改革を経て産業技術総合研究所に.2005年よりパーマネント研究員となり,現在,電子光基礎技術研究部門 先進レーザープロセスグループ 研究グループ長.専門はレーザー加工および材料化学.近年は,ガラス・セラミックスのレーザー微細加工,バイオマテリアルのレーザー転写などに取組む.応用物理学会,レーザー学会,レーザ加工学会,電気学会,SPIE会員.Photonics WEST LAMOMチェア,COLA2021/2022国際会議コチェア,電気学会「持続可能な社会発展に向けたスマートレーザプロセシング」調査専門委員会委員長,多元技術融合光プロセス研究会幹事など.2005年 LPM2005国際会議優秀発表賞,2006年 応用物理学会講演奨励賞,2016年 女性活躍パワーアップ大賞奨励賞,2018年 応用物理学会Poster Award受賞.

長谷川 智士

宇都宮大学オプティクス教育研究センター

助教

2010年宇都宮大学大学院工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).2010年宇都宮大学オプティクス教育研究センター特任研究員.2014年宇都宮大学オプティクス教育研究センター助教,現在に至る.レーザー加工,光情報処理,光計測,およびAI光学が専門.応用物理学会,日本光学会,レーザー学会,レーザ加工学会,電気学会各会員

三島 直

(株)東芝 研究開発センター 知能化システム研究所 メディアAIラボラトリー

フェロー

1999年慶應義塾大学工学部卒.2001年慶應義塾大学理工学研究科卒(修士).2001年東芝研究開発センターに入社.2003年同センター マルチメディアラボラトリー.2017年同センター メディアAIラボラトリー.画像処理の専門家として、テレビ向けの高画質化技術、裸眼3Dテレビ向け信号処理技術、イメージセンサ向けの高視認化技術、コンピュテーショナルフォトグラフィ技術、移動体向け自己位置推定技術等の研究開発に従事.

堀﨑 遼一

東京大学大学院情報理工学系研究科

准教授

2010年 大阪大学 大学院情報科学研究科 博士後期課程修了.2010年~2020年 大阪大学 大学院情報科学研究科 助教.2017年~2020年 JSTさきがけ(兼任).2020年~現在   東京大学大学院情報理工学系研究科.

田原 樹

(国研)情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波先進研究センター デジタル光学基盤研究室

主任研究員

2011-2013年 (独)日本学術振興会 特別研究員(DC).2013年 京都工芸繊維大学 博士(工学).2016-2020年 科学技術振興機構(JST) さきがけ個人研究者(兼任).関西大学 助教, NII 特任研究員を経て,2019年より情報通信研究機構(NICT) 電磁波研究所 研究員,2021年より主任研究員,現在に至る.平成25年度コニカミノルタ画像科学奨励賞(優秀賞),(公財)光科学技術研究振興財団,JSPS科学研究費,JSTさきがけ「光の極限制御・積極利用と新分野開拓」の研究課題遂行を経て,自然な光の瞬間カラー多重ホログラフィー法とその蛍光顕微鏡応用を実証.自然な光を用いるホログラフィーの研究開発と共に系のコンパクト化に取り組み,手のひらホログラム検知器「ホロセンサー」を提案中.