オープンセミナー『NTTによるIOWNセミナー』

2022年04月22日(金) 13:15-15:55 アネックスホール F206
【IW-1 IOWN構想 その実現に向けたコア光技術

●企画協力:NTT先端技術総合研究所

IOWN構想について

日本電信電話(株) 研究企画部門 IOWN推進室 担当部長 水野 晃平 氏
新型コロナウイルス対応によるデジタル化・5Gなどの新たな情報通信技術の進展に伴い、今後いままで以上に強力な情報処理基盤が必要となる。現在の情報処理基盤では、いずれ処理能力の限界を迎え、エネルギー消費の問題も避けられない。またカーボンニュートラルに資するコンピューティング・ネットワークも求められている。
そこで情報処理基盤の至る所に光技術を適用することで、高速化、広帯域化、低消費電力化を実現し、情報処理基盤の革新をめざすIOWN構想を2019年に打ち出した。IOWNによりもたらされる情報処理基盤により「環境負荷低減」と「経済成長」が同時に可能となることをめざす。本講演ではIOWN構想とその切り拓く世界について紹介する。
●難易度:一般的(高校程度、一般論)

APNの実現にむけた研究開発の取り組み

日本電信電話(株) NTTネットワークサービスシステム研究所 主任研究員 岡田 真悟 氏
NTTではIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想において既存ネットワークよりもはるかに大容量・低遅延かつ低消費電力を実現可能な基盤ネットワークとしてAPN(All Photonics Network)の研究開発・技術確立に取り組んでいる。これはネットワークに接続されるあらゆるデバイスを対象として、すべての情報伝送と中継処理をフォトニクスベースへ転換することで光の広帯域性 ・ 柔軟性を十分に活用し、端末 ・ ユーザ ・ サービスごとに、多地点間にフルメッシュ接続された光パスを波長単位で提供することを目指したネットワークである。現在の通信システムでは、網内において複数回の光信号と電気信号の変換が必要だが、APNでは電気信号を用いることなく光信号だけで通信を確立することを最終的なターゲットとしている。情報ごとに異なる波長を割り当てることで、例えば8K120P非圧縮映像のような高精細なコンテンツを大量に送りながら、自動運転や遠隔手術などミッションクリティカルな通信を同時かつ超低遅延に提供することが可能となる。また、従来の伝送ネットワーク・光パスのような固定的な運用ではなくSDN制御を利用した動的な運用とすることで任意の地点に柔軟な光パスを提供可能となる。
本講演ではAPNのアーキテクチャや要素技術・今後の推進の方向性についてこれまでに検討した内容をご紹介する。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

IOWNを支える光ディスアグリゲーテッドコンピューティング

日本電信電話(株) NTT先端集積デバイス研究所 主席研究員 坂本 健 氏
IOWNの実現のためには、これまでと比較にならない大量のデータを効率よく処理できる高度なコンピュータがもとめられる。NTTでは、この要求に応えるために、光電融合技術を最大限活用した画期的なコンピュータアーキテクチャを検討している。
単に既存コンピュータ内部の電気インターコネクトを光に置き換えるだけではコンピュータの電力対性能比を高めることは困難であり、光のもつ高速性・低遅延性を十分に生かすためには演算方法やデータ転送方法なども適した方式に変えていく必要がある。本講演では、この新たなコンピュータアーキテクチャである「ディスアグリゲーテッドコンピューティング」の全体概要と基本コンセプトについて簡単に説明する。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

デジタルコヒーレント向け光電融合デバイス

日本電信電話(株) NTTデバイスイノベーションセンタ フォトニックネットワークデバイスプロジェクト プロジェクトマネージャ 亀井 新 氏
IOWN構想の基盤の1つであるオールフォトニクス・ネットワークの実現に向け、デジタルコヒーレント通信に適用する、光電融合型の超小型光送受信デバイスの開発を行っている。シリコンフォトニクス技術を活用した超小型光送受信回路と電子回路のコパッケージ化による、光インターフェースの超小型化および経済化技術について紹介する。
●難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

短距離光インターコネクションを目指したメンブレン光デバイスの研究

日本電信電話(株) NTT先端集積デバイス研究所 上席特別研究員 松尾 慎治 氏
トラフィックの増加は続いており,データ伝送の大容量化・低消費電力化の要求から光インターコネクションの短距離化が重要になってきている。将来はチップ間等にも光技術の適用が期待されている。光インターコネクションの短距離化は,利用される素子数の増大につながるため光集積回路を利用し低コストに大量の光送受信素子を1チップ集積することが重要と考えられており,そのためにはシリコンフォトニクス技術の利用が必要不可欠である。これまでに,シリコンフォトニクス技術を用いて高性能な光フィルタなどが実現されているが,一方で,シリコンではレーザや高効率な変調器が作製できないため化合物半導体の異種材料集積が課題である。
本講演では,NTTで進めている化合物半導体のメンブレン光デバイスの研究開発状況について講演する。メンブレン光デバイスはコア層への光閉じ込めが大きいことにより高効率な変調が得られるのが特長である。また,シリコンフォトニクスデバイスとの集積においてもシリコン基板上への直接接合と化合物半導体の再成長で作製可能であるという特長も有する。
●難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

光電融合アクセラレータに向けたナノフォトニクス技術

日本電信電話(株) NTT物性科学基礎研究所 主幹研究員 新家 昭彦 氏
ムーアの終焉が議論される中、光のデータチャネルとしての広帯域性・超並列性、及び光素子の超高速性への期待から、光による情報処理技術が再び脚光を浴び始めている。このような光を用いた情報処理は、1980-90年代にかけて活発に研究されたがCMOS回路の進展に太刀打ちできなかった経緯がある。ところが近年のナノフォトニクスの進展により、当時の技術では困難であった光素子の小型・集積化・省エネルギ化など様々な問題が解消されつつあり、情報処理と通信に役割分担された電子と光の境界条件を再考する時代を迎えつつあるのである。例えば、フォトニック結晶技術による超小型光電変換素子は、fJ/bit級の超高効率光電変換を実現し、光信号によるCMOSゲートへの直接アクセスなど、シームレスな光電変換の可能性を示唆し、またシリコンフォトニクス技術によるチップサイズの複雑な光干渉系は、信号の光速伝搬を活用することで、CMOS回路を凌駕する超低遅延演算の可能性を有している。本講演では、NTTで培われたナノフォトニクス技術を情報処理に導入し、時間的に情報を高密度に処理しリアルタイムでの情報処理を得意とする光と、空間的に情報を高密度に詰め込み記憶・処理することが得意な電子の特徴を融合した、光電融合型の新しい情報処理形態について解説する。
●難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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