光の日

 3月8日は「光の日」ですが、その日がなぜ「光の日」になったのか、由来をご存知でしょうか? 答えは、光の速度が3×10の8乗m/sで、その数字の中から「3」と「8」をとって「光の日」としたそうです。制定したのは日本学術振興会・光エレクトロニクス第130委員会(学振130委員会)で、制定した2007年以来いろいろな活動を行なってきたということです。
 今年の「光の日」には、同委員会と日本光学会、レーザー学会、応用物理学会フォトニクス分科会の主催によって、東京・茗荷谷の筑波大学東京キャンパスで第1回の「光の日」合同シンポジウムも開催されました。
 
 光は医療やエネルギー、情報、通信、一次産業、天文、建築等に関わるあらゆる科学技術に応用され、人類の幸福、芸術、文化などの発展に貢献してきました。そして、今後ますますの進展が期待されています。
 まだ記憶に新しい2015年の国際光年では、内外で様々なイベントが催されましたが、このシンポジウム、国際光年終了後も継続して振興を図ろうと、これら光関連学会が毎年3月8日に合同記念イベントを行なうことを提案して、開催に至ったそうです。

 シンポジウムは、宮本智之氏(東京工業大学・准教授)の「開会の辞」で始まり、小林駿介氏(山口東京理科大学・名誉教授)の「『光の日』制定について:フォトンの不思議と恩恵」、中井直正氏(筑波大学・教授)の「南極で切り開く天文学-南極望遠鏡計画-」、美濃島薫氏(電気通信大学・教授)の「光コムによる光波の超精密制御とその応用」、石川哲也氏(理化学研究所・放射光科学総合研究センター長)の「X線自由電子レーザー(XFEL)施設『SACLA(さくら)』」、河田聡氏(大阪大学・教授)の「光の顕微鏡:収差と波長の壁を超えて」、荒川泰彦氏(東京大学・教授)の「量子ドットがもたらす光技術の新展開」、伊賀健一氏(東京工業大学・名誉教授)の「光の日、音の日:光エレクトロニクスの玉手箱より」と続き、神成文彦氏(慶應義塾大学・教授)の「閉会の辞」で幕を閉じました。講演終了後は、場所を茗渓会館に移して懇親会も開かれ、出席者全員で「光の日」をお祝いしました。

小林駿介 山口東京理科大学名誉教授

小林駿介 山口東京理科大学名誉教授

 「光の日」制定を提案した学振130委員会の当時の委員長、小林名誉教授は当時を振り返り、同委員会の45年間の研究活動記録CDの序文に記された制定趣旨説明文を紹介していました。そこには、こう記されていました。「ここで、われわれは、光の科学技術を研究している者として、われわれは光に感謝し、敬意をしめし、かつ親しみを込めて、3月8日を「光の日」とすることに決定しました。3月8日を「光の日」と選んだ理由は光の速さが真空中で3×10の8乗m/sであり、光は吸収されない限り休むことなく走り続けるからです」と。

 荒川教授によると、日本学術会議総合工学委員会ICO分科会ではメイマン氏がレーザー発振に成功したと言われる5月16日を「国際光デー」にすると決めたそうです。
 そうなると、国内と海外で「光の日」が二日あるということになりますが、あまり細かいこと言わないで、めでたい日が一年に二日もあるという感じで捉えて、どちらも大事にしていきたいと思いますね。

編集顧問:川尻多加志

 

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