編集長の今月のコメント(2009年5月)

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20090114-kawajiri.JPG 編集長 川尻多加志

景気の動向は相変わらずと言いましょうか,一部には下げ止まったのでは?という希望的観測もありますが,油断は出来ません。政府の大型景気対策に期待も集まっていますが,政局優先で足の引っ張り合いなどは以っての外,こういう時こそ一丸となって事に当るべきでしょう。 我が国の経済を牽引してきた自動車産業も,各社とも軒並み売り上げをダウンさせています。最大の原因はもちろん米国を始めとした世界市場の低迷ですが,国内市場に目を向けると,そこには別な要因も見えてくるという調査結果が出ています。 この4月,日本自動車工業会は2008年度の自動車市場動向調査を発表しました。そこでは,国内の自動車市場低迷の背景には景気悪化だけでなく若者の「クルマ離れ」があると分析しています。調査では各世代に対し関心のある製品・サービスは何かという質問をしているのですが,この中で自動車は40から50歳代で7位,これが20から30歳代の社会人になると10位に下がり,18から24歳までの,数年以内に社会人になって自動車を購入し始めるエントリー世代の大学生(短大生を含む)では17位とかなり低い順位になっています。 ちなみに1位は40から50歳代でファッション,20から30歳代の社会人と大学生ではともにパソコンという事です。パソコンと自動車では価格も違うので,収入の少ない大学生にとっては景気の低迷という社会情勢も心理的に影響を与えているのかもしれませんが,価値観が多様化するなか,彼らに訴求する商品を如何に開発するのか,当然の事ですがとても大切なテーマです。 一方で,ハイブリッドカーの売り上げが好調です。税制優遇のある環境に優しい,いわゆるグリーンカーには追い風が吹いているといえるでしょう。クルマ作りにも新たなコンセプトが求められています。今月号の特集では,これからのクルマを変えていく可能性を持つ注目の光技術を取り上げました。各国が力を入れ研究・開発を進めているグリーンカー分野においても,我が国のメーカーが強い地位を確立する事を期待しています。 少し前の話で恐縮ですが,米国の調査会社アンダーソン・アナリティクスの調査によれば,米国の大学生の58%が韓国のサムスン製品を日本製と勘違いしているそうです(正しく答えた人は約10%)。同じく自動社メーカーのヒュンダイ(現代)も約56%が日本製と思っていて(正解・約25%),フィンランドのノキアが約53%(正解・約5%),自国である米国のモトローラでさえ42%の人が日本製だと信じている(正解・約38%)ということです(2007年6月19日付・日経産業新聞4面。「約」標記の数値は掲載グラフからの推定値)。 同社では,品質の良い製品を作るイメージを持つ国のランキングも調べていて,その結果は日本が1位で82%を獲得,2位は米国の79%,以下3位はドイツの77%,4位はイタリアの74%,5位は英国の66%という結果になりました。日本のブランド力は相当に高いと考えて良いのではないでしょうか。このブランド力を活かすための戦略や戦術を再考する必要はあるようですが。 編集長 川尻 多加志
追伸)今月号のオプトロニクスの特集テーマは「光で変わるクルマの未来」です。

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