半導体産業市場の明日はどっちだ

セミコン

 先週(12月4~6日)、幕張メッセで行なわれたセミコン・ジャパン2013。主催者発表によれば、展示会出展者数は共同出展者を含め671社/団体、出展小間数は1,612小間、出展国数17国/地域、延べ来場者数は57,029人という規模でした。
 2012年の出展社数が19カ国・855社/団体で、小間数1,935小間ですから、かなり落ち込みましたが、逆に来場者は34,145人から大幅アップという結果になっています。
 
 半導体分野の技術開発トレンドは、450mmウエハと3D-ICのようです。いかに大きなサイズのウエハを用いて低コスト化を図るか、3Dで性能をアップさせるかという点が注目されています。

 今回の展示会、何時ものように光を応用した測定評価装置がかなり多く出展されていましたが、ここではそれ以外で目についた露光装置など、レーザを用いた加工装置を紹介したいと思います。

【ニコンエンジニアリング】
 20nm以下のプロセス量産用に開発したArF液浸スキャナ「NSR-S622D」をパネル展示していました。投影レンズ性能とオートフォーカス機能を改良する事で、マルチパターニングへの対応が可能な装置間重ね合わせ精度3.5nm以下、解像度38nm以下を実現、毎時200枚以上の高スループットも維持しています。EUVは高価という事で、同社はマルチパターニングArF液浸方式で勝負という感じでしょうか。
 また、小型・簡単・リーズナブルをコンセプトにしたMEMS/LED製造に適したミニステッパ「NES1-h04」と「NES2-h04/h06」もパネル展示していました。ともに波長は405nm、「NES1-h04」は解像度2.0μmで6インチまで対応、「NES2-h04/h06」は解像度2.0μm並びに3.0μmで8インチまでに対応するとの事です。

【ウシオ電機】
 UXシリーズの中の2.5D/3Dパッケージ向け露光装置「UX7-3Di」をパネル展示。12インチウエハに対応でき、解像力は2μm L/Sを達成しています。
 一方、バンドパスフィルタやNDフィルタの必要がなくi線、h線、g線の各波長ごとの出力調整や露光タイミングが制御できる、LED ollimation Technology(LCT)を用いた同社のリソグラフィ用LED光源は長寿命、低温処理、シンプルな光学機構を実現するとの事です。

【日本製鋼所】
 エキシマレーザアニール(ELA)システムとハイブリッド固体レーザ(Hybrid Advanced disc Laser:HADL)アニールシステム、レーザ微細穴加工装置をパネル展示していました。
 ELAシステムはELAMOD(Excimer Laser Assisted Metal Organic Decomposition)法を採用、低温ポリシリコンTFTフラットパネルディスプレイ製造におけるアモルファスシリコン膜の結晶化に用いられていますが、同社ではそれ以外の応用製品の開発にも取り組んでいるとの事です。
 HADLアニールシステムは、LDからの808nmとYb-YAGレーザの第二高調波515nmの2波長を使う事で0.3~3μmの範囲の活性化深さの制御が可能。レーザ微細穴加工装置はKrFエキシマレーザの波長248nmを使用しています。

【ディスコ】
 高スループットを実現するレーザソー「DFL7161」を実機展示していました。アブレーションによって、ワークへの熱ダメージがほとんどない、衝撃や負荷が少ない、加工難易度が高い硬質なワークにも対応、幅10μm以下の微細ストリートも加工可能という特長を有しています。
 この他、レーザを用いたステルスダイシング用モデル2機種「DFL7341」と「DFL7361」も実機展示していました。

【キヤノンマーケティングジャパン】
 3DSYSTEMS社製の産業用3Dプリンタをパネル展示。レーザを用いた金属粉末焼結3Dプリンタ「Phenixシリーズ」、3Dレーザビームプリンタ「Projet6000/7000シリーズ」、光造形3Dプリンタ「iProシリーズ」、樹脂粉末焼結3Dプリンタ「sProシリーズ」が紹介されていて、実際に作った造形品も展示されていました。

 液浸方式を含む現状のArFリソグラフィ装置で大きなシェアを有し、EUVLの研究・開発に注力するASMLは今年も出展していませんでした。日本市場には魅力を感じないって事でしょうか?
 SEMIの発表によれば、2013年の世界の半導体製造装置市場は、対前年比13.3%減の320億ドルと予測されています。今回の展示会、入場者数は増えたものの出展者数・小間数が大きくへこんだという結果は、その影響もあるのでしょう。
 一方、2014年は一転して23.2%増になると予測されています。それが日本の半導体産業市場にも良い影響を及ぼす事を祈らずにはいられません。
 セミコン・ジャパンは来年、24年ぶりに東京に戻って来ます(会場は東京ビッグサイト)。

編集顧問:川尻多加志

 

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