アーカイブ領域で頑張る光ディスク

 先週(5月14日~16日)、東京ビッグサイトにおいて「データストレージEXPO」が開催されました。「クラウドコンピューティングEXPO」を含め、11もの展示会が同時開催された「2014 Japan IT Week 春」の内の一つとして開催されたものです。「データストレージEXPO」自体は30社弱の出展規模。他の展示会が大きいため、あまり目立たないという印象を持ったのは仕方のない事かもしれません。

 データストレージに使われるメディアというと、磁気テープやハードディスク、最近では半導体メモリなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、それじゃ光ディスクはどうなってるの?と、展示会に行ってきました。

 ハードディスクの保存寿命は約5年、磁気テープは約10年と言われています。一方の光ディスク(ブルレイ・ディスク:BD)の寿命は約50年とも推定されています。長期間のアーカイブに適していると言われる所以です。
 この他にも、データの移し変えを頻繁に行なう必要がないのでマイグレーションにかかる費用が少なくて済むし、低消費電力、さらには再生機が下位互換性を持っているため、再生機に係る費用も少なくて良いといった特長を持っています。
 
 さて、展示会を光ディスクというキーワードで探してみたら創朋、日本テクノ・ラボ、リマージュジャパン、さらにパイオニアと三菱化学メディア、オプティカルエキスパートの3社共同出展ブースを見つける事ができました。

 創朋は光ディスク自動アーカイブシステム、日本テク・ノラボは同社のソフトを組み込んだソニー製ならびにパナソニック製光ディスクアーカイブシステム、リマージュジャパンは光ディスク記録装置と盤面印刷機を出展していましたが、個人的に興味深かったのはオプティカルエキスパート、パイオニア、三菱化学メディアの3社共同出展ブースで聞いた話でした。

HIT社のBDライブラリー

HIT社のBDライブラリー

 オプティカルエキスパートの展示説明員の方によれば、今年の1月29日、facebookのインフラストラクチャー・エンジニアリング担当のJay Parikh副社長は、Open Compute Summit会場において、アクセス頻度の下がった写真やビデオデータ、いわゆるコールド・データの保存にBDを使用すると発表したそうです。

 Parikh氏は、コールド・データ専用のデータセンターで使用するため、1万枚のディスクを収容できるライブラリー装置を紹介して、従来のハードディスクを用いたものに比べ、コスト50%、消費電力は80%削減できると述べました。現状はメディア1枚が100GBで、トータルとして1PBの容量ですが、これを数年後には5PBにするとも述べたそうです。このライブラリー装置は、オプティカルエキスパートが国内ディストリビューターを担当しているドイツのHIT社とfacebookが共同開発したものとの事です。

 3社の共同展示ブースでは、パイオニアも光学ドライブとライティングソフト、三菱化学メディア製の業務用BDをパッケージしたアーカイブシステムを紹介していました。
 このシステムには、電子化文書の長期保存方法を定めたJIS Z6017に準拠した長期保存用(図書館や博物館における貴重な資料や公文書資料用)と一定期間保存用(企業管理文書や製造業における設計データ、試験機関における試験データ用)の2種類があるのですが、使用する光ディスクはBD-Rで50GBと100GBの2タイプ、推定寿命は前述したように50年で、海中に1週間放置してもデータの再生が可能だそうです。
 そう言えば、東日本大震災で津波被害にあった光ディスクのデータが、クリーニングで復元できたという話を思い出しました。

 どっこい、光ディスクはアーカイブ領域で頑張っています。

編集顧問:川尻多加志

 

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