-オプティクス

2017年11月15日(水) 09:30-12:30
【-1 偏光計測の基礎と応用


偏光の基礎とエリプソメトリー

東京工芸大学 川畑 州一
 偏光は光の持つ性質のなかで最も理解し難いといった声をよく聞く。偏光を理解するにはその電気ベクトルの軌跡をイメージすることが大切であるが、その軌跡は光の伝播とともに三次元的な軌跡を描くのでこのことが偏光の直感的な理解を困難にしているものと思われる。セミナーでは偏光についてなるべく視覚的に説明し、その理解を容易にするように努めたいと思っている。そして光の偏光状態を表す様々な表示法とそれらの互換性について解説する。
 また、偏光を用いた薄膜や表面の計測手法としてエリプソメトリー(偏光解析法)がよく知られているが、その測定原理と測定手法を説明すると共に、いくつかの代表的な応用例についても紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

ストークス偏光計とミュラー行列偏光計

宇都宮大学 大谷 幸利
 近年の様々な光学やオプトエレクトロニクス分野の開発には偏光の知識が要求される。光の偏光状態は、直線偏光、楕円偏光、円偏光や非偏光と表現される。これらは、ストークス・パラメータとして表すことができる。また、偏光素子は、偏光子、旋光子、位相子や偏光解消子があるが、複屈折、旋光(円複屈折)、二色性(複吸収)、円二色性(円複吸収)や偏光解消という物理量をもつ。この偏光情報をミュラー行列として表すことで、入射光と出射光および偏光素子の関係を理解することができる。ここでは偏光とは何かという基礎的な部分からスタートして、偏光の表示法とこれらの検査方法である各種偏光計について解説する。
 以上の講義によって偏光関連のカタログ、論文や特許を理解できるようになることを目標とする。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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2017年11月15日(水) 13:20-16:15
【-2 新しいイメージング技術:コンピュテーショナルカメラ


ライトフィールド光学と立体情報

株式会社ニコン 岩根 透
 ライトフィールド光学は、これまでの結像光学系とは異なり、“像”ではなく光線の状態を記録、再生する技術である。また違う見方すると3次元立体の情報を平面上の2次元データに符号化し変換するとともに、この符号化データを3次元立体像に復元再生するものですある。具体的には、ライトフィールドカメラにより3次元の光景は撮像素子上に記録されるわけであるが、記録された符号化データは立体情報そのものであるから、ここから計算処理によって、レンズによるものと同様に任意の焦点、任意の被写界深度の2次元像を切り出すことができるし、3次元的な奥行きも知ることができる。
 こうした方法は、これまで完成した像としてフィルム上に記録したものを、そのまま電子的に取得すると云ったデジタル画像パラダイムからの脱出である。 すなわち、取得するのが電子的なデータであれば処理可能で、対象が完成された像である必要なく、いろいろな要素を含んだデータのかたまりを取得し、必要な形に演算処理すればいいと云うパラダイムに移行し始めたと考えることができる。ライトフィールドはその一つの例である。
 本講演では、ライトフィールドカメラとライトフィールドディスプレイを紹介して、その方法論や可能性そして考えられるアプリケーションについて論じていく。

フレネルゾーン開口によるレンズレスライトフィールドカメラ技術

株式会社日立製作所 中村 悠介
 従来のレンズレスカメラ技術は、撮影画像の現像処理に重い計算が必要であった。そこで我々は、外側ほど間隔が狭くなるFZA(Fresnel Zone Aperture)を画像センサー直前に配置する構成により、従来比1/300の低演算負荷かつ撮影後の容易なピント調整を可能とするレンズレスライトフィールドカメラ技術を開発した。本講演では、撮影原理とノイズ低減方法、ならびにプロトタイプでの撮影結果について紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

シングルピクセルイメージングとその展望

神戸大学 仁田 功一
 シングルピクセルイメージングは、イメージセンサーを必要とぜずに、単一画素計測と計算機処理により測定対象を画像化できる技術である。シングルピクセルイメージングについて、その原理を光計測と信号処理の観点から解説し、その特徴を示す。また、実用技術としての可能性を研究事例を用いて説明し、実用化への課題について述べる。

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※学生料金:
個人もしくは学校からのお支払いで、30歳未満の方が対象となります。

[ 特定商取引法に基づく表記 ]

川畑 州一

東京工芸大学

名誉教授

1973年 3月 学習院大学理学部物理学科卒業
1978年 3月 学習院大学大学院自然科学研究科
 物理学専攻、博士課程満期退学
1978年 4月 学習院大学理学部物理学科助手
1980年 3月 理学博士(学習院大学)
1980年 4月 東京工芸大学工学部講師
1988年 4月 同 助教授
2002年 4月 同 教授
2014年 3月 東京工芸大学工学部 定年退職
2014年 7月 東京工芸大学名誉教授 現在に至る

大谷 幸利

宇都宮大学

オプティクス教育研究センター 教授

2010年4月より宇都宮大学オプティクス教育研究センター教授.
2015年より宇都宮大学工学研究科先端光工学専攻教授,現在,専攻長.
2004〜2005年アリゾナ大学光科学部客員教授.
主な研究は,光応用計測,特に,偏光科学・偏光工学,干渉計,光三次元計測およびオプトメカトロニクス.
2010年〜SPIE(国際光工学会)フェロー.
2012〜2016精密工学会理事.
2014年〜光学会偏光計測・制御技術研究グループ代表.
2010〜2012年 オプトメカトロニクス技術に関する国際会議運営委員会 委員長,OPJ2016, ISOT2016 Itabashi Tokyo 実行委員長

岩根 透

株式会社ニコン

映像 第二開発部 技監補

3D Volume Image Reconstruction in Space, Using Combined System of Light-Field Display and Aerial Imaging Device,IDW,2016
Light-field display combined with aerial imaging by retro-reflection (AIRR),OSA Imaging and Applied Optics、2016
High-resolution 3D light-field display,SPIE Newsroom
http://spie.org/newsroom/6623-high-resolution-3d-light-field-display

京都大学理学部宇宙物理学科卒

中村 悠介

株式会社日立製作所

研究開発グループ 光応用システム研究部 主任研究員

2002年 大阪大学 基礎工学部 電子物理科学科 卒業
2005年 大阪大学大学院 基礎工学研究科 修士課程修了
2005年 株式会社日立製作所 入社(現職)
光ディスク信号処理、Computational Photographyに関する研究に従事
2014年~2015年 米国 アリゾナ大学 光科学部 客員研究員
<受賞歴>
2015年 International Symposium on Optical Memory 2015, Program Chair Award
2016年 International Workshop on Image Sensors and Imaging Systems, Best Poster Award
2017年 日本光学会 光設計研究グループ 光設計優秀賞

仁田 功一

神戸大学

2003年大阪大学大学院工学研究科 物質・生命工学専攻 博士後期課程修了。
博士(工学)
独立行政法人科学技術振興機構研究員、神戸大学工学部情報知能工学科助手を経て、現在
神戸大学大学院システム情報学研究科システム科学専攻 准教授
現在の研究テーマは、並列光情報処理、ディジタルイメージングに基づく画像計測システム開発、3次元ホログラフィー等