トータルコストで勝負

 5月13日から15日までの3日間、東京ビッグサイトで「データストレージEXPO」が開催されました。
 データストレージ用メディアというと、どうしてもハードディスク、磁気テープ、半導体メモリがメインという感じですが、光業界の人間としてはやはり光ディスクが気になるところ。会場を歩いてみました。

日立LGデータストレージ 日立LGデータストレージの光ライブラリ「HL200」は、業務用途専用BD-Rの両面タイプ(200GB)を500枚搭載することで最大100TBの容量(ユーザ容量:最大84TB)を実現。システムとしては、これを10台まで搭載でき、総容量1PB(ユーザ容量:840TB)まで拡張できます。
 同社の加速試験では、30℃の環境でも50年以上のデータ保存が可能であり、35℃環境でも30年以上のデータ保存が可能とのこと。記録済みディスクを7日間、塩水と水道水に浸けた後、水分をふき取って再生した結果、問題なく再生できたそうです。
 
ユニテックス 自動データ書き込みができるユニテックスのBDパブリッシングシステム「ODA2002HQ」も50年以上の長期保存ができるBD-Rを用いていて、ドライブを2台搭載、200枚のBD-R、DVD-R、CD-Rの連続書き込みが可能です。BD-Rドライブはパイオニア製で、ディスクは三菱化学メディア製を使用しています。同社では、LTO-5テープドライブと組み合わせたハイブリッドデータアーカイブシステム「BAS2520」(写真)も製品化しており、こちらは長期保存用BD-Rと大容量(1.5TB)のLTO-5テープを用途によって使い分けできるとのことです。

創朋 創朋が扱うアルメディオ製「JIS Z6017 アーカイブパッケージ」は、JIS Z6017に準拠したデータ保存用。こちらもドライブはパイオニア製、ディスクは三菱化学メディア製。
長期保存用BD-Rを用いたタイプには100GBと50GBの2種類があり、同社ではこれを「200年アーカイブ」と称していて、一般業務用BD-Rを用いた「企業用アーカイブパッケージ」を100年アーカイブと称しています。
 
 

 ここで気をつけていただきたいのは、各社の寿命表記です。
 例えば、同じメーカーのドライブとディスクを使っているユニテックスと創朋では、寿命にずいぶん差があるという印象を受けます。しかし、これはディスクメーカーがスペックを発表した時期や、また測定法の違い(新旧の差を含む)から生じているのだと思われます。この点を統一すれば、寿命は同じと考えて良いと思います。詳しい点については、各社に問い合わせをしてみてください。

 データセンターに占める消費電力の約40%はストレージと言われています。ハードディスクドライブ(HDD)システムでは、閲覧時以外でも常にディスクを回転させているため、それだけ電力を消費してしまいますし、マイグレーション(データの移し変え)も必要なのでHDDの購入コストやその作業コストも必要になります。

 その点、光ディスクを用いたシステムは常時通電が不要なため電力コストを削減でき、長期保存が可能なのでマイグレーション作業のコスト等も削減できます。光ディスクアーカイブシステムは、トータルコストをアピールして勝負に出ています。

【各社連絡先】
日立LGデータストレージ:sales@hldsgw.com
ユニテックス:042-710-4630
創朋:03-5812-2151(infosoho@soho-jp.com)

編集顧問:川尻多加志

 

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