食の安全に貢献するX線検査装置

 6月9日(火)から12日(金)までの4日間、東京ビッグサイトにおいて「FOOMA JAPAN 2015国際食品工業展」が開催されました。主催は日本食品機械工業会、来場者数は主催者発表で92,802人。38回目を迎える、この展示会の今年のテーマは「発見!『食』はいつも進化系。」でした。
 食の安全・安心に関心が高まる中、展示会では、原材料を始めとして最新テクノロジーを駆使した食品機械、製品、サービスなど、食品に関連する多種多様な製品が展示されていました。今回は異物検査で期待が集まる検査機の中でも、特にX線検査装置を探してみました。

システムスクエア◆各種X線検査機や金属検出機を取り扱うシステムスクエアは、X線と光学系の画像を組み合わせたハイブリッドタイプの噛み込みX線検査機を出展しました。
 「噛み込み」とは包装シールの接着部分に、例えば煎餅やクッキーなどの割れた小さな欠片が挟まっている状態のこと。本機では、X線と光学系画像を組み合わせることによって異物がシールの接着部分にあるのか、袋の外側にあるものなのかを判別、X線を用いることで外からは見えないアルミ包装でも噛み込みを始めとした異常や異物を検知できるそうです。中身の割れ、袋の幅や長さ、面積、重量なども高感度で検査できるということです。

イシダ◆ウェイトチェッカーや金属検出機、X線検査装置を取り扱うイシダは、デュアルエナジーセンサー搭載の第2世代型X線異物検出装置を出展しました。
 デュアルエナジーセンサーは、コンベア上を流れる検査物にX線を照射して、性質の違う上下2段のラインセンサーから得られる画像を比較することで異物を検出するというもの。標準機では検出が困難だったアルミ板やSUS板といった微小金属、ゴムや肉に混入した骨、ガラス等を高感度で検出できるとのことです。

◆アンリツ産機システムも噛み込み検査のできるX線検査機を出展していました。その仕組みは、包装工程でシール部に噛み込んだ食品がX線を吸収して、結果としてX線ラインセンサーに届く線量が通常のシール部より少なくなる、その差を検知するというもの。同社ではデュアルエナジーセンサー搭載モデルも製品化しています。

◆大森機械工業は、光学式センサーに代えて包装機内に軟X線位置ズレセンサーを組み込むことでアルミ包材に対応でき、トップシールへの噛み込みを事前に防止できる位置ズレ検知装置を出展していました。

◆アンリツ産機システム製の小型X線装置を使用しているX線一体型パウチローダーを出展していたのが三橋製作所。縦搬送のためX線を阻害する搬送ベルトがなく、パウチを直接検査できるため精度が向上したとのことです。

 この展示会では珍しく写真撮影のガードが固かったのですが、そんな中、撮影を許可してくれた太っ腹のシステムスクエアとイシダに感謝いたします。

編集顧問:川尻多加志

 

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