食品産業分野に貢献する光技術

11月26日(火)から28日(木)の3日間、東京都立産業貿易センター(浜松町館)において「赤外線フェア」、「マイクロオプティクス・フェア」、「光技術で安心・安全フェア」、「光反応機能材料フェア」の四つの展示会を開催します。
幾つもの併設セミナーも開くのですが、その一つ「光技術で安心・安全セミナー」の中では「光で守る食の安全」というコースを設けました。
http://www.optronics.co.jp/safety_fair/seminar.php

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食品産業において光技術はどのように応用されているのでしょうか。
このほど東京ビッグサイトで開かれた「食品開発展」で目に付いた製品が幾つかありましたので、以下にレポートします。

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会場入り口

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住友電気工業(株)の近赤外分光カメラ搭載食品品質管理システム「COMPOVISION」

住友電気工業(株)(住友商事マシネックス(株)と共同出展)は、近赤外分光カメラを搭載した食品品質管理システム「COMPOVISION」を出展。
一般的な近赤外カメラより広い(1000~2350nm)帯域を用いているので、有機化合物を高感度で非破壊・非接触検査できます。毎秒300枚を撮像する高速ラインカメラによってインライン全数検査が可能で、コーヒー豆内の異物検知や成分分布の定量測定などに使えるとの事です。
 

ブルカー・オプティクス(株)は簡単・迅速・確実をセールスポイントにしたフーリエ変換近赤外分光計(FT-IR)「TANGO」を出展していました。同社はFT-IR高分解能モデルやFT-IRリモートセンシングシステム、FT-ラマン分光計、赤外顕微鏡・ラマン顕微鏡、光ファイバを用いたタイプの製品などを幅広く取り扱っています。
 

日本ビュッヒ(株)は、近赤外分析器「NIRMaster」を出展しました。飼料や食品の製造現場でのアットライン測定ができる防塵・防水仕様(IP54仕様。要望によりIP65仕様にも対応可能との事)のスタンドアローン型フーリエ変換近赤外分析器です。
 

ビーエルテック(株)は、近赤外分析装置「SpectraStar」シリーズを出展。フーリエ変換型ではなく、敢えて回折格子を用いているので、比較的安価で安定性の高い定量分析が可能です。定量分析だけでなく、定性分析ができる機能も追加したとの事です。
 

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(株)日立ハイテクノロジーズの分光蛍光光度計「F-7000」

(株)日立ハイテクノロジーズは、分光蛍光光度計「F-7000」を出展していました。3次元蛍光スペクトルの蛍光強度分布(蛍光指紋と言う)を用いて食品の産地や鮮度、種類を判定できます(例えばマンゴーや蜂蜜の産地を特定できる)。
複数の励起波長と蛍光波長における蛍光強度比で解析を行なう仕組みです。
 

(株)トミー精工は、紫外~可視光分光光度計「Halo DNAmaster」を出展しました。200nmから900nmの波長を用いてサンプル量0.5μlから、核酸やタンパク、細菌培養などの濃度分析ができます。
 

日本施設(株)は、紫外線光触媒脱臭装置を出展。光触媒と紫外線の二重効果によって、食品工場や学校給食調理場などから発生する悪臭物質を分解・無害化します。同社では、UVランプを用いて一般細菌やビブリオ菌を殺菌する海水殺菌装置も出展していましたが、これは栽培・養殖用海水や循環系海水の殺菌に用いるものでした。
 

(株)日立パワーソリューションズは、カセット式の迅速細菌数計測装置「カセットラボONE」を出展しました。90分以下という短い時間での計測が可能で、DNAを多重染色法で染色して蛍光波長プロファイリング法を用いる事で、ノイズ成分の大幅低下も実現しています。
 

このように、食品産業分野において最早なくてはならないツールとなっている光技術ですが、月刊オプトロニクスでは11月号(10月末刊行予定)で、植物工場や病害虫防除、水産業応用、食品検査などと言った「食を守る光技術」を特集します。こちらも乞うご期待。

編集顧問:川尻多加志

 

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