・理化学研究所・光量子工学研究センター 光科学研究の現状と将来

2019年04月25日(木) 13:00-16:45 会場:アネックスホール F203
【ORP-1 コース】 理化学研究所・光量子工学研究センターの研究者が語る光科学研究の現状と将来


※本セミナーに参加された方には、月刊オプトロニクス2018年9月号で特集した
『理研光量子工学研究センターと光の研究』のPDF版(ダウンロード)を差し上げます。

理化学研究所光量子工学センターの研究 “Making the invisible visible”

(国研)理化学研究所 緑川 克美
2018年4月1日、国立研究開発法人理化学研究所において光量子工学研究センターが発足した。それまでの光量子工学研究領域の3グループ16チーム体制を改編し、4領域17チームでスタートを切った。英語名は、RIKEN Center for Advanced Photonics, 略称RAPである。RAPでは「Making invisible visible」を標語に、今まで見えなかったものを見ることを第一の目標にして、光の可能性を極限まで追求している。そして、この光量子工学研究を推進するために、光の有するポテンシャルを極限まで追求する「エクストリームフォトニクス研究領」と、電波と光の間をつなぐ「テラヘルツ光研究」、超解像イメージングや波長以下構造による新機能の開拓を目指す「サブ波長フォトニクス研究」という3つの研究領域と基礎研究において開発されたレーザー光源や測定技術等の実用化を目指す「光量子工学基盤技術開発」という1つの技術開発領域を設定している。講演では、RAPの概要と最近の成果特に社会的課題解決に向けた取り組みの成果をわかり易く紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

高輝度テラヘルツ波光源の開発とその応用

(国研)理化学研究所 南出 泰亜

深部イメージングの限界を突破するための多光子顕微鏡技術の開発

(国研)理化学研究所 磯部 圭祐
多数の細胞が相互作用することによって生じる高度な生命現象を解明するためには、細胞集団の平均値としてではなく、生体組織の深部イメージングによって、細胞集団の中にいる1細胞の個性を解析する必要がある。しかし、生体組織の深部を観察するための重要な可視化技術となっている多光子蛍光顕微鏡でさえも、様々な問題があるため、深部イメージングにより生命現象を観察することは困難となっている。例えば、観察位置が深くなると、観察対象外である試料表面近傍から背景光となる多光子蛍光が発生するため、観察可能な深さが制限されている。また、レーザー走査を行う必要がある多光子顕微鏡では、時間分解能と観察領域がトレードオフの関係にあるため、遠く離れた細胞間における時間応答の速い相互作用を解析するのは困難である。
本講演では、これらの問題を解決するために、我々が開発している深部イメージング技術(背景蛍光除去技術、深部超解像イメージング技術、多焦点面同時イメージング技術など)を紹介する。
難易度:中級程度(大学院程度、レーザー加工にある程度の知識を有する方)

光音響波イメージング用光源の開発

(国研)理化学研究所 和田 智之

理研小型中性子源RANSとその実用化への取組

(国研)理化学研究所 大竹 淑恵
「いつでも、どこでも中性子線利用」を目指して「現場で非破壊観察や評価、分析に利用できる」小型中性子源システムの開発ならびにシステムの高度化を理研では進めている。中性子線は、金属などに対して高い透過能を有し、水素やホウ素、リチウムなど軽元素との相互作用の大きなことが特徴と知られており、電子線やX線がサンプルの表面を詳細に観察するのに対し、中性子線は数ミリから数センチ厚サンプル全体を評価分析することができる。
コンパクトな直線加速器を利用した理研小型中性子源システムRANSでは、ものづくり現場への利用に役立つ、材料組織の分析評価技術として複相含む材料の相分率評価や、コンクリート内部水分や鋼板腐食の非破壊可視化イメージング、また大型構造物内部非破壊分析評価を可能とする中性子源と計測技術の開発に成功している。中性子回折、3次元イメージング、中性子誘導即発γ線解析、高速中性子反射(後方散乱)イメージング、中性子小角散乱などがRANSで現在実施可能である。
将来は、さらに小型軽量化し屋外現場で利用可能な中性子線システムの実現を目指している。これにより大型構造物部の劣化が非破壊で評価することが可能となり、より適切な補修補強の実施へとつながり、現在では予測不可能であった突然の落橋事故等を未然に防ぐ予防保全へ貢献することを目指している。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)/中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

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国立研究開発法人 理化学研究所

光量子工学研究センター センター長

1983年慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了。同年4月理化学研究所入所。1997年緑川レーザー物理工学研究室主任研究員、2008光量子工学研究領域長を経て現在に至る。高出力レーザーの開発とその非線形波長変換等の研究に従事。近年は、高次高調波発生を用いた軟X線領域での非線形光学およびアト秒パルスの計測等を中心に研究している。OSA Fellow , IEEE Fellow, APS Fellow,応用物理学会フェローおよびレーザー学会フェロー。文部科学大臣表彰(2006)、泰山賞(2010),報公賞(2011)等受賞。

磯部 圭祐

国立研究開発法人 理化学研究所

光量子工学研究センター 研究員

2007年3月 大阪大学大学院工学研究科 物質・生命工学専攻 博士後期課程修了
2007年4月 理化学研究所 緑川レーザー物理工学研究室 入所
2008年4月~2011年3月 理化学研究所緑川レーザー物理工学研究室 基礎科学特別研究員
2011年4月 理化学研究所 緑川レーザー物理工学研究室 協力研究員
2012年4月~2013年3月 理化学研究所 基幹研究所 基幹研究所研究員
2013年4月~現在 理化学研究所 光量子工学研究領域 研究員
2014年10月~2018年3月 JSTさきがけ研究者(兼務)

大竹 淑恵

国立研究開発法人 理化学研究所

光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム チームリーダー

1984年 早稲田大学理工学部 物理学 卒業
1989年 早稲田大学大学院理工学研究科後期博士課程物理学及び応用物理学 素粒子原子核理論専攻 修了 理学博士取得
1989年 国立茨城工業高等専門学校電子情報工学科助手 講師
1993年 京都大学大学院物理学研究科素物性物理学研究室研究員(文部省研究員)
1995年ラウエ・ランジュバン研究所(ILL, フランス)研究員
1996年 理化学研究所 SPring8 研究員 
2011-13年 同研究所 イノベーション推進センターものづくり高度計測技術チーム 副チームリーダー
2013年 同 光量子工学研究領域 中性子ビーム技術開発チーム チームリーダ
2015年 中国 西安交通大学 客員教授 博士生導師
2018年 理研 光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム チームリーダ—
現在に至る