-イメージセンサ無料セミナー

2018年11月14日(水) 10:15-15:45
【-1 最新のイメージセンサーとその応用 -自動運転から農業まで-

CMOSイメージセンサは画素数競争から、TOFセンサに代表されるような高時間分解撮像、900nm以上の長波長に対する高感度化と広帯域化、画素のマルチタップ化による高機能化など、応用に特化した多様な進化の道を探り始めています。
本オープンセミナーでは、CMOSイメージセンサ開発の最新動向と、生体画像計測、農業におけるイメージングなどの新しい応用の方向性を紹介します。

世話人:香川 景一郎(静岡大学電子工学研究所 准教授)
    長原 一(大阪大学 データビリティフロンティア機構 教授)
 

農業におけるイメージングとディープラーニング

信州大学 小林 一樹
植物の表面色の変化は。生長の順調さや病気の有無といった生育状態を表すことが多い。そのため。農作物においては。農園の画像を収集することで果実や葉の着色変化や損傷。害虫の有無。剪定などの農作業の痕跡。生長速度などを把握することが可能である。
本講演では。農園での画像収集を行うフィールドモニタリングシステムを中心として。農業におけるイメージングの様々な事例を紹介する。また。ディープラーニングを用いた果実の生育状態評価や。画像をベースとしたコミュニケーションシステム。アノテーション管理システムといった。収集した農園画像の具体的な応用例について説明する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

紫外-可視-近赤外光帯域・高感度イメージセンサと分光イメージングへの応用展開

東北大学 黒田 理人
イメージセンサはデジタルカメラに加え、ライフサイエンス、産業計測、車載、医用・医薬・健康、農業・食品、防災・防犯、宇宙・環境・資源探索等、様々な分野で広く利用されている。これらの分野では、多様な現象を可視化・分析するために紫外-可視-近赤外光の広光波長帯域に対して高感度であり、強い光が照射されたとしても特性が変化しない高い耐光性を有するイメージセンサが求められている。
本講演では、上記のニーズに応えるべく東北大学にて研究開発を行っている、広光波長帯域・高感度・高耐光性CMOSイメージセンサ技術とそれを用いた分光イメージングへの応用展開を紹介する。
先進半導体プロセス技術を適用した高感度・高耐光性フォトダイオードを導入することで、190-1100nmの広光波長帯域における高い感度と、分光分析機の製品寿命10年超相当の積算紫外光量を照射したとしても光感度、暗電流の劣化が生じない高い耐光性との同時実現に成功したCMOSイメージセンサ技術を紹介する。また、近赤外吸光を用いた非侵襲血糖値センシングや紫外光を用いた環境汚染物質の二次元・リアルタイム・高精度モニタリング等を簡便に行うことが出来るセンシングシステムの創出を目指して開発を行っている分光イメージングへの応用展開の事例を紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

車載向け距離画像センシング技術の進展

パナソニック(株) 小田川 明弘
近年、自動運転に向けた安心・安全の要望高まりを背景に、車載向けセンシング技術開発が活発化している。特に夜間や悪天候など環境耐性の強いセンシング技術に注目が集まっている。本講演では、カメラとLiDARの技術進展に注目し、遠距離までをカバーずる物体検知技術に関し、最近弊社より発表した直接TOF(Time of Filght)方式を用いた遠距離物体検知の技術を含んで、その進展を概観する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

近・中距離向けハイブリッド型TOFイメージセンサ

静岡大学 川人 祥二
屋外における近距離から中距離(数m~20m程度)レンジでの光飛行時間(TOF=time-of-flight)距離画像計測を可能とするハイブリッド方式と呼ぶTOFイメージセンサについて講演する。デュ―ティ比の小さい短時間パルス変調光を用い、マルチタップ(3タップ、4タップ、8タップ)のロックインピクセル及び、サブフレームによるレンジシフトを組み合わせることで多数の連続した時間窓を形成し、光パルスが入る時間窓位置に基づく直接的TOF計測と隣接時間窓間の光電荷の差による間接的TOF計測とによるハイブリッド方式とすることで、比較的長距離かつ強い太陽光等の背景光が存在する中で、高い分解能でのTOF計測が可能となる。その原理と達成可能な距離分解能の計算結果、及び試作したTOFイメージセンサによる測定結果を示して、提案方式の屋外中距離TOFイメージセンサにおける有用性及び応用分野について解説する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

プログラマブルイメージセンサ

大阪大学 長原 一
一般的なカメラに用いられるセンサは,グローバルシャッタと呼ばれる電子シャッタを持つ.グローバルシャッタでは,センサのすべての画素が同期して露光開始や終了を行うことで,ある瞬間の映像を一枚の静止画として記録し,これを高速に繰り返すことで,静止画の連続として動画を撮影する.また,近年のCMOSイメージセンサでは,特に静止画用のセンサとしてローリングシャッタを採用するセンサが一般的になっている.ローリングシャッタは,画像の行読み出しタイミングと露光が同期しているシャッタ方式で,行毎に順次露光される.そのため,画像の上部と下部で露光タイミングが異なることから,動画撮影において像が歪むという欠点を持つが,回路が簡略化できセンサ内のフォトダイオードの面積を最大限にとれることから感度が高いという利点がある.これらグローバルシャッタやローリングシャッタを備えた通常センサは,いずれもナイキストサンプリングに基づく均等サンプリングを前提としているため,すべての画素は均等な間隔でサンプリングされ,時間的にも均等な時間間隔でサンプリングされることを前提に設計されている.つまり従来のイメージセンサでは,これらの設計上の想定から外れる露光パターンやタイミングでの画像取得は事実上不可能であった.一方で,圧縮センシングによる動画撮影やTime-of-Flight(TOF)型デプスカメラなどの高機能画像センシングが注目され,これらを対象とした特殊なCMOSイメージセンサが提案されている.例えば露光制御を画素毎に自由に設定できるもの[1]や,マルチタップやマルチバケットと呼ばれる複数電荷蓄積[2]を可能とするセンサなどが提案され,一部は市販されている.本稿では,これらの新しい露光制御が可能なイメージセンサをプログラマブルセンサと呼び,その新しいセンサを用いたコンピュテーショナルフォトグラフィの応用について紹介する.

非接触心拍数検出用NIRロックインピクセルCMOSイメージセンサ(英語による講演)

静岡大学 Chen CAO
Non-contact heart rate (HR) and its variability (HRV) measurements using CMOS image sensors (CIS) are greatly attractive for the driver emotion monitor demanded by the next generation automotive security applications. Previous works employed standard red, green and blue (RGB) Bayer pattern sensors or a special red, green, blue, cyan and orange (RGBCO) sensor for remote HRV measurement by using ambient light. In these methods, relatively stable visible-band illuminations are essential for carrying the effective HR signals. However, the light condition could hardly be satisfied for a moving vehicle, in particular, which is passing through the tunnels or along the night streetlights, in these cases the driver HR detection becomes puzzled due to the extremely weak visible-band intensity under low-visible-light conditions. Moreover, the image signal processing (ISP) algorithms involved in the presented methods would also increase further the computing system complexity in an intelligent car. To address these issues, this paper proposes a time-resolved image sensor with two-tap near infrared (NIR) lock-in pixels using lateral electric field charge modulators (LEFMs). The remote HR detection is realized in both non-visible-light and fluctuant ambient-light brightness environments owing to the NIR sensitive response and background light (BGL) cancelling function achieved by the lock-in pixel operation in association with a non-visible NIR-modulated auxiliary light source. The proposed method is implemented without complicated ISP power consumptions.

CMOSイメージセンサを使用した非接触心拍数(HR)およびその変動性(HRV)測定は、次世代自動車セキュリティアプリケーションで要求されるドライバ感情モニタにとって非常に魅力的です。これまでの研究では、周囲の光を用いて、赤、緑、青(RGB)のベイヤー・パターン・センサー、赤、緑、青、シアン、オレンジ(RGBCO)センサーを使用して遠隔HRV測定を行っていました。これらの方法では、有効なHR信号を搬送するために、比較的安定した可視帯域照明が不可欠である。しかし、トンネルや夜間の街灯を通っている移動車両では、光の状態をほとんど満足することができず、運転者HRの検出は、可視光条件である。さらに、提示された方法に関わる画像信号処理(ISP)アルゴリズムは、インテリジェント・カーのコンピューティング・システムの複雑さをさらに増大させる。これらの問題に対処するために、本研究では、横電界電界変調器を用いた2タップ近赤外(NIR)ロックインピクセルを用いた時間分解イメージセンサを提案している。遠隔HR検出は、非可視NIR変調された補助光に関連してロックインピクセル動作によって達成されるNIR感受性応答およびバックグラウンド光取消機能のために、非可視光および変動周囲光輝度環境の両方で実現される光源。提案された方法は、複雑なISP消費電力なしに実装される。
難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

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小林 一樹

信州大学

学術研究院 准教授

2000年茨城大学卒業。2002年同大学院修了。2006年総合研究大学院大学修了。博士(情報学)。同年関西学院大学博士研究員。2008年信州大学助教。2013年より同大学准教授。インタラクションデザイン、ヒューマンエージェントインタラクション、雰囲気工学、スマート農業に関する研究に従事。ACM、人工知能学会、電子情報通信学会、農業情報学会、日本ロボット学会、日本知能情報ファジィ学会、ヒューマンインタフェース学会各会員。

黒田 理人

東北大学

大学院工学研究科・工学部 電気・通信工学専攻 教授

2010年、東北大学大学院工学研究科博士課程修了。2007年~2010 年、日本学術振興会特別研究員(DC1)。2010年、東北大学大学院工学研究科助教。2014年、同大学准教授。半導体集積回路プロセス・デバイス技術、高性能・高機能イメージセンサ等の研究に従事。

小田川 明弘

パナソニック(株)

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
技術本部 センシングソリューション開発センター
センシングシステム開発部 部長

91 松下電器産業(現パナソニック)入社
98 応用物理学会・講演奨励賞
99 博士(理学)取得(広島大学大学院・理学研究科)
01-03 (国)産業技術研究所・主任研究員(協同研究)
11-14 imec(半導体コンソーシアム@ベルギー)・オンサイトマネージャ
15 現職
専門分野:超伝導や磁性など材料物性物理、およびそれらを用いた半導体デバイスへの応用

川人 祥二

静岡大学

電子工学研究所 教授

1988年東北大学大学院工学研究科博士課程修了(電子工学専攻)。工学博士。
1988年東北大学工学部助手。
1996年豊橋技術科学大学助教授。
1996~97年スイス連邦工科大学客員教授。
1999年静岡大学電子工学研究所教授。
2006年株式会社ブルックマンテクノロジ(取締役CTO(兼任))


[主な受賞歴]
2006年 産学官連携功労者表彰(文部科学大臣賞)
2009年 IEEE(米国電気・電子学会)フェロー表彰
2010年 電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ賞
2010年 第24回高柳記念賞
2012年 中小企業庁長官賞 (ブルックマンテクノロジ)
2013年 Walter Kosonocky Award
2014年 映像情報メディア学会丹羽高柳論文賞
2014年 大学発ベンチャー表彰「科学技術振興機構理事長賞」
2016年 NEアナログ・イノベーション・アワード審査員特別賞
2017年 Image Sensors Europe Awards
2017年 電気通信普及財団賞「テレコムシステム技術賞」

長原 一

大阪大学

大阪大学データビリティフロンティア 研究所知能情報基盤部門

平8 山口大・工・電気電子卒.平10 同大大学院理工学研究科博士前期課程了.平13 大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程了.同年日本学術振興会研究員として同研究科に所属.平15 より大阪大学大学院基礎工学研究科助手.平19年同研究科助教.平成22年九州大学大学院システム情報科学研究院准教授.平17 フランスピカルディ大学客員助教授.平19-20,28-29年 アメリカコロンビア大学客員研究員.平29年より大阪大学データビリティフロンティア機構教授.コンピュテーショナルフォトグラフィ,コンピュータビジョンの研究に従事.ACM VRST2003 Honorable Mention Award, 平成24年情報処理学会長尾真記念特別賞, ICCP2016 Best Paper Runners-up Award, 平成28年度画像センシング技術研究会高木賞などを受賞. IEEE,電子情報通信学会,情報処理学会、日本ロボット学会,映像情報メディア学会各会員.博士(工学).

Chen CAO

静岡大学

電子工学研究所 博士研究員

2009年に西安理工大学(中国西安)から物理学のB.S.学位を取得し、2012年と2016年に西安マイクロエレクトロニクス技術研究所(中国西安)のマイクロエレクトロニクス部門で修士学位と博士学位を取得した。現在、静岡大学電子工学研究所川人研究室の研究員である。現在、CMOSイメージセンサ、非接触生理学的センシング、混合信号集積回路などの研究に従事。