-紫外線セミナー

2018年11月15日(木) 09:30-12:25
【-1 【★満席★】紫外LEDの高効率・高出力化とその応用

殺菌用紫外LEDの開発と今後の展望

国立研究開発法人 理化学研究所 平山 秀樹
波長が230-350nmの紫外発光ダイオード(DUV-LED)は、殺菌・浄水、皮膚治療などの医療、紫外樹脂硬化・加工、UV接着、印刷・塗装・コーティング、生化学産業、農業など、さまざまな分野での応用が考えられており今後の実用化が期待されている。最近、窒化物AlGaN系半導体を用いた紫外LEDの開発が盛んに行われており、すでに実用可能な出力も達成されている。一方、素子の効率は未だ低くマーケット拡大の大きな妨げとなっている。本講演では、AlGaN深紫外LEDの高効率・高出力化のポイントについて、結晶成長と高効率発光、注入効率・光取り出し効率の向上などの観点から概説し、現状と今後の展望を述べる。最近得られた世界最高効率・深紫外LED“水銀ランプに迫る20%程度の効率”の達成についても紹介する。
難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

UVC-LEDの開発動向と応用

旭化成(株) 永瀬 和宏
昨年の水俣条約の発効を背景に、水銀を一切使わず、環境にやさしい殺菌手段として、265nmを中心とする発光波長のUVC-LEDが注目されている。旭化成では、世界で唯一のUVC光を透過するAlN単結晶基板を用いることで、殺菌に最も効率的な265nm近傍のLEDを製品化しているが、他社においてもサファイア基板を用いて280nm近傍のLEDで急速に出力が向上してきている。また、世界的な飲料水の不足や、衛生に対する関心の高まりからUV殺菌の市場ニーズは幅広い分野に広がりをみせており、事業としての立ち上がりが見えてきた段階である。
本講演では、まずUV殺菌の原理や波長と殺菌効果の関係を説明したうえで、UVC-LEDにAlN基板を用いる強みとUVC-LEDの開発動向について紹介する。次にLEDの応用例として、旭化成が最近製品化した流水殺菌モジュール製品について紹介する。UV殺菌でこれまで用いられてきた水銀ランプと異なり、点光源であるLEDを殺菌に応用するうえでの技術的ポイントを示しながら、大規模の水殺菌実現に向けての技術課題と今後の展望について説明する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

UV LEDs; Trends & road map(英語:日本語訳あり)

Seoul VIOSYS Jong Man Kim
UV LEDに対する研究開発が本格的に開始された後、20年間くらいなったが、まだ技術と市場の成熟度は期待に及ばないです。
本講演ではUV LED技術についての概略的な紹介とトレンド、そして市場で求められる事項を協議する予定です。
又、UV LED、特にUVC LEDが円満に市場で通用されるための備えるべきな必要条件を説明してUVC LEDの様々な応用について紹介する予定です。
そして、UV LEDの性能と技術に対するroadmapと市場と応用分野の拡大のため、必要な素子の性能と目標価格を提示する予定です。
ここについて市場の要求事項である性能、信頼性、そして価格課題を解決するためで、新しい技術であるUV WICOP技術と応用分野について紹介致します。

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Although the research and development of UV LED has been started in earnest for 20 years, the maturity of technology and market is not yet satisfactory. There has to be a breakthrough to enhance the possibility of UV LED. The subject of my talk would be discussions on the status of UV LED technology.
The main topic for the talk will be related to a brief overview of UV LED technology, trends and market requirements. The requirements for UV LEDs, especially UVC LEDs, to be used in the market, will also be explained and various applications of UV LEDs will be introduced.
Additionally, the roadmap of the product & technology of UV LEDs and the performance and target prices of the devices required in order to expand the market and applications also be discussed.
Finally, UV WICOP technology and its application shall be introduced, which is a new technology for resolving problems of existing technologies such as lower performance, shorter reliability and higher price.

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2018年11月15日(木) 13:00-15:55
【-2 【★満席★】紫外LEDの応用を切り拓く装置開発と適用事例

高出力深紫外LEDの開発と応用機器(英語もしくは韓国語:日本語訳あり)

LGイノテック(株) オ・ジョンタク
3族窒化物になる紫外線発光ダイオードは、殺菌、消毒、水質及び空気浄化用の光源に応用しており、技術面がより重要です。 3族窒化物系UV LEDは、主に有機金属化学気相成長法(MOCVD)システムで、サファイア基板に成長させます。3族窒化物層とサファイア基板との間の格子パラメータ及び熱膨張係数に大きな差があり、このような構造的不一致は、窒化物層が成長時に高密度の線欠陥(Threading Dislocation, TD)を起こします。高密度のTDは、非発光再結合センターを生成することになり、3族窒化物系LEDの内部量子効率を低下させ、それによりUV LEDの性能が低下します。紫外線LEDの効率はIn(インジウム)が少ないため、青色LEDに比べ、TDの存在により強く影響されます。従って、このような構造的問題を解決するためには、様々な工夫が必要です。LGイノテックは17年11月に単一チップでは世界最高レベルである100mW級の性能を発表しました。現在は、120mW級のUV-C LED性能を確保し、量産化準備を行っています。弊社はUV-Cの高出力特性を確保するために、弊社だけの独自的なEpi構造及びChip構造を保有しています。特にChipは、競合社とは差別化した垂直チップ構造ベースの技術を確保していて、優秀な光学的・電気的特性及び放熱特性を有し、さらに表面凹凸構造の適用で、光取出し効率も優れています。また、1.5A以上の高電流を入れても安定的で、光取出しも相対的に優秀な特性になっています。
今後、UVに関する多様なアプリケーション拡大を検討している状況の中で、画期的な生産性改善を通じて、より安くて優秀な特性のLEDを提供して、UV関連産業が早く拡大できるよう寄与していきます。そのために、主要大学との産学課題として多様な殺菌力評価を行っており、そのデータを基に主要家電メーカの製品にUV LEDを採用、製品化しています。特に、浄水器、エアウォッシャーなどへの採用は徐々に増加していて、エスカレーターのハンドレールの殺菌など、応用製品を拡大しています。100mW級以上のUV-C LEDを使って水処理メーカとの提携も持続的に拡大している状況です。
水処理分野でも先頭を目指して、持続的に技術Leadingしていく計画です。

紫外発光ダイオードの水処理への応用

東京大学 小熊 久美子
紫外線を照射して水を消毒する技術は、上下水の処理だけでなく、食品・飲料製造、製薬、医療、農業、水産養殖業など多様な産業分野で広く実用化されている。紫外線消毒の利点は、塩素などの消毒剤と違って水の味やにおいに影響しないこと、薬剤が残留しないこと、有害な消毒副生成物を生じないこと、塩素耐性の高い病原性原虫に極めて有効であること、などがある。
従来、殺菌紫外線の光源として水銀紫外線ランプが用いられてきた。一方、近年登場した紫外発光ダイオード(UV-LED)は、小型、無水銀、波長選択可能、ウォームアップ不要、点灯消灯の繰り返しで劣化しにくいなど、水処理への応用に有利な特徴を多数有しており、従来の水銀ランプでは実現し得なかった利用方法や装置設計が可能になる。例えば、飲み水の処理を考えた場合、小型、無水銀、ウォームアップ不要といったUV-LEDの特性は、山間地や離島などの集落水道、家庭用浄水器など、利用者が自己責任のもとオンデマンドで運転管理を行う用途に強みがある。また、UV-LEDは機動的に導入可能なため、大規模災害時の避難所や仮設住宅、飲み水の微生物汚染が深刻な途上国など、待ったなしで安全な水を必要とする場に活用しうる。本講演では、UV-LEDの水処理への応用に関する研究の最前線を紹介し、技術的課題と将来展望を述べる。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

紫外線の医学応用の現状と今後

名古屋市立大学/ウシオ電機(株) 益田 秀之
2002年に国産初のナローバンドUVBが、2008年にエキシマライト治療器が開発・上市されたことを契機に、乾癬や白斑、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患に対する治療方法として、紫外線治療器の普及が急速に進んでいる。ナローバンドとはピーク波長が311nmにあり、発光スペクトルが狭帯化されたランプを用いた機器で、エキシマライトは誘電体バリア放電の短時間放電が多数生じる特徴を生かして、希ガス原子や希ガス原子とハロゲン原子によって形成されるエキシマからの光を放射するエキシマランプを用いた機器である。本セミナーでは、紫外線治療(ブロードバンドUVB、PUVA、UVA1、ナローバンドUVB、エキシマライト)全般に関する内容を中心に、安全かつ効果的な治療に求められる装置コンセプト、光学的な工夫、薬機法等に関する概説を行う。「紫外線による副作用を抑えながら、免疫細胞の制御を行う」というテーマに対して、治療効果スペクトルの数値化、T細胞のin vitro試験等を実施した際のデータを紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

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[ 特定商取引法に基づく表記 ]

平山 秀樹

国立研究開発法人 理化学研究所

平山量子光素子研究室 主任研究員

1994年、東京工業大学電子物理工学専攻博士課程修了、同年、理化学研究所に入所、2005年同研究所、テラヘルツ量子素子研究チーム、チームリーダー、2012年平山量子光素子研究室、主任研究員。埼玉大学連携教授を兼務。これまで、量子電子・光デバイスの研究、特にAlGaN系窒化物半導体の結晶成長と深紫外デバイスの開発、フォトニック結晶・量子ドットを用いた光デバイス、テラヘルツ量子カスケードレーザの研究に従事。文部科学大臣表彰科学技術賞(2015年)ドコモモバイルサイエンス賞(2013年)、市村学術賞(2012年)、日本IBM科学賞(2011年)、文部科学大臣表彰若手科学者賞(2005年)、丸文奨励賞(2003年)などを受賞。

永瀬 和宏

旭化成(株)

研究・開発本部 次世代部品開発部 部長

1987年 旭化成工業株式会社入社
1987-2005年 GaAsホール素子、Si系RFIC等開発
2003-2005年 InSb系IRセンサ開発
2005-2007年 FraunhoferIAF派遣
2007-2012年 InAs系トランジスタ、IRセンサ事業開発
2012-2017年 UVC-LED開発および事業開発
2017年より 次世代部品開発部

Jong Man (John) Kim

Seoul Viosys

Executive Vice President

1. Education
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1981-1988 The Hanyang University, Seoul, Korea: BSc/MSc (Physics)
1999-2002 The De Monfort University, Leicester, UK: PhD (Applied Science)

2. Relevant experiences
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1990-2002: Principal Researcher @ Materials & Devices Research Center, Samsung Advanced Institute of Technology
 - Research on display devices (FPD, Optical component)

2003-2007: Vice President @ ZeoLux, Co. LTD, UK & USA
 - R&D for Advanced Optical components

2008-2015: Vice President @ Nepes. Co. Ltd.
 - Head of Business Units (Electronic materials, LEDs, Functional Costings)

2016-Present: Executive Vice President @ Seoul Viosys Co. Ltd.
 - Head of R&D for UV Applications

オ・ジョンタク

LGイノテック(株)

2002 ; 光州科学技術院(GIST) 新素材工学科 修士
2002 -2009 ; (株)三星電機、(株)三星LED
2010- ; LGイノテック 責任研究員
2017- ; LGイノテック 研究委員
2018 ; Korea University 真素材工学科 博士

小熊 久美子

東京大学

先端科学技術研究センター 都市保全システム分野 准教授

博士(工学)。2003年3月東京大学大学院工学系研究科修了。同年4月より東京大学大学院工学系研究科助教、以後、同研究科講師、准教授を経て2015年4月より東京大学先端科学技術研究センター准教授。安全な水を、安定的に、持続可能な形で供給するための浄水技術と水システムの研究を専門とし、特に紫外線を利用した水処理技術に明るい。早くからUV-LEDの水処理への応用に取り組み、関連論文を多数発表しているほか、UV-LEDの強みを生かした装置設計や使う場の提案を行っている。国際紫外線協会(IUVA)アジア副会長、日本紫外線水処理技術協会(JUVA)理事。

益田 秀之

名古屋市立大学

医学研究科 加齢・環境皮膚科学 研究員

ウシオ電機(株)

バイオメディカル事業部 シニアリサーチャー

2006年 新潟大学大学院自然科学研究科修了
2006年 ウシオ電機株式会社 入社
2014年 名古屋市立大学大学院医学研究科
加齢・環境皮膚科学 研究員