-テラヘルツ波 無料セミナー

2018年11月15日(木) 10:30-16:00 会場:特設会場 6号館
【-OTH-1 コース】 テラヘルツ波の通信応用およびバイオ関連応用

近年テラヘルツ波の光源、検出器技術が進歩し、テラヘルツ波の通信応用が現実的なものとなりつつあります。一方では、テラヘルツ波の特徴を生かした生体分子やバイオ関連物質の分光評価技術が進歩しています。
特に高強度のテラヘルツ波を利用した生体分子との相互作用が注目され、テラヘルツ波による生体分子制御といった可能性も議論されています。
本オープンセミナーでは、このようなテラヘルツ波の通信応用およびバイオ関連応用について、研究開発の最前線で活躍されている研究者に講演していただきます。
 

テラヘルツ波無線通信向け超高速IC技術

日本電信電話(株) 野坂 秀之
未利用のテラヘルツ波は、周波数帯域を広く確保できることから高速無線への適用が期待されている。本講演では、テラヘルツ波の周波数利用に活用できるInP(インジウム・リン)系の化合物半導体デバイス技術、高周波・低雑音回路設計技術、高周波実装技術について紹介する。
具体的には、これらの技術を結集することで試作した毎秒数10ギガビットの無線伝送が可能な300GHz帯の超高速ICとモジュールについて紹介する。さらに、従来の無線フロントエンドで課題となっていた伝送帯域幅の拡大と信号対雑音比(SNR)の向上とを両立させる電子回路設計の新手法について解説し、キャリア周波数1波で毎秒100ギガビットの無線伝送に世界で初めて成功した300GHz帯の送信・受信フロントエンドモジュールについて紹介する。
これらの電子デバイスによるテラヘルツ波の送信・受信器構成は、フォトニクス技術を利用したテラヘルツ波発生方式と比較して、将来的に小型・低コストで実現できる可能性があり、通信分野だけでなく、イメージングやセンシング、組成分析、非破壊診断など様々な分野への応用も期待できる。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

300GHz帯のテラヘルツ波通信技術

国立研究開発法人 情報・通信研究機構 笠松 章史
大容量のデータを無線通信により簡単にやり取りしたいという要求の高まりを受けて、従来のマイクロ波やミリ波に続く新たな周波数帯としてテラヘルツ波を用いた無線通信の期待が高まっている。テラヘルツ波の特徴としては、従来にない広い周波数帯域幅を用いることができる可能性が挙げられる。テラヘルツ波を発生する手法としてはフォトニクス技術の応用が先行していたが、近年、電子デバイスによる300GHz帯の研究開発が総務省のプロジェクト等により活発化し、InP(インジウム・リン)系等の化合物半導体デバイス開発、シリコンCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)集積回路によるRFフロントエンド、300GHz帯対応の進行波管増幅器の開発等が実施されている。これと並行して、国際電気通信連合 無線通信部門(ITU-R)における周波数割り当ての検討や、IEEE802での世界初の300GHz帯無線通信規格の策定も行われている。本講演では、これらの動向について紹介する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

テラヘルツ波はバイオ分野にどう貢献するか?

京都大学 小川 雄一
テラヘルツ波の応用探索が始まって20年近くが過ぎ、さまざまな応用可能性が報告されている。しかし次世代通信以外の昨今の動向を見ると、他分野の技術革新もあって明確な差別化の無い応用はなかなか実用化しなかったり、THz技術のさらなる高性能化や低価格化を待っている状況にあるように思われる。そういった中、演者はさまざまな応用可能性の探索を行って来る中で、バイオ分野にはTHz波でないとできない仕事があるように感じている。それは、『水を介して生命を理解する』という試みである。具体的には、多くのバイオ分野で見過ごされがちな、生体反応の場として働く“水”(特に水分子の水素結合ネットワーク)を評価することで、より詳しく細胞や生体そのものを評価できないかという研究である。
そこで本講演では、THz全反射減衰分光法の基礎とそのコツに始まり、細胞内水分子ダイナミクスの計測方法やその解析、さらにはその情報を利用することで実現する近接アレイセンサを紹介する。また、その応用として医療分野やバイオ研究者らと一緒に探索している細胞診や細菌検査への応用研究の現状について紹介するとともに、その先にあるTHz波による細胞操作への可能性についても触れたい。
この分野は異分野融合が不可欠と考えている。新しい側面からバイオ分野を切り拓きたいと考えているので、各々の視点でご参加いただき、THz技術のバイオ分野への貢献について考える機会にしていただきたい。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

テラヘルツ分光による有機・生体分子の計測応用

神戸大学 佐藤 春実
テラヘルツ分光法では水素結合などに起因する分子間振動を観測することができるため、生体分子や生分解性高分子のように、水素結合と関わりの深い物質を対象とした研究に適している。この手法を用いると、高分子の高次構造や分子間相互作用を直接的に観測することができる。そのため、テラヘルツ分光法は高分子材料の新しい物性評価法の一つとして期待される。しかしながら、テラヘルツ分光法は、従来の赤外分光法やラマン分光法とは異なり、ピークの帰属が容易ではない。そこで、高分子材料のテラヘルツスペクトルを測定し、量子化学計算を用いてテラヘルツ領域に現れるピークの帰属を行った。また、それらの熱挙動や偏光スペクトル測定などと併せて解析することで、分子間・分子内水素結合に起因するピークを特定することに成功した。これにより高分子の結晶構造形成機構における分子間・分子内水素結合の役割が明らかになった。
本セミナーでは、生分解性ポリエステルを主に用いて、テラヘルツ分光法による熱的挙動や等温結晶化の測定を行った基礎的研究の例と、熱および紫外線照射による劣化評価や、イメージング測定による結晶化度の分布の評価などの応用例について紹介する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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野坂 秀之

日本電信電話(株)

NTT先端集積デバイス研究所 光電子融合研究部 高速アナログ回路研究グループ グループリーダー

平成5年、慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。平成7年、慶應義塾大学大学院理工学研究科物理学専攻修士課程修了。同年、日本電信電話株式会社入社。無線通信・光通信向けアナログ・ディジタル混載IC、超高速IC、超高速光電子集積モジュールの研究開発に従事。現在、NTT先端集積デバイス研究所高速アナログ回路研究グループ主幹研究員グループリーダ、NTT未来ねっと研究所兼務。博士(工学)。平成13年電子情報通信学会学術奨励賞、平成14年日本工業新聞社先端技術大賞審査員長特別賞、平成23年電子情報通信学会論文賞受賞。電子情報通信学会、IEEE会員。

笠松 章史

国立研究開発法人 情報・通信研究機構

未来ICT研究所 フロンティア創造総合研究室 上席研究員

平成9年、上智大学大学院理工学研究科電気・電子工学専攻博士後期課程修了、博士(工学)取得。同年、同大学理工学部電気電子工学科助手。平成11年、株式会社富士通研究所入社。平成14年、独立行政法人通信総合研究所(現・国立研究開発法人情報通信研究機構)入所。この間、ミリ波・テラヘルツ波を用いた無線通信技術、およびそれに用いる送受信機と極微細半導体デバイスの研究開発に従事。現在、国立研究開発法人情報通信研究機構未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室上席研究員。平成29年、電波功績賞電波産業会代表理事表彰受賞。応用物理学会、電子情報通信学会各会員。

小川 雄一

京都大学

大学院農学研究科 准教授

1997年3月  岡山大学大学院農学研究科地域環境農学専攻修了
1997年4月  ヤンマー農機株式会社
2001年7月  理化学研究所工学基盤研究部 研究協力員
2003年7月  同所、川瀬独立主幹研究ユニット ユニット研究員
2004年4月  東北大学大学院農学研究科 助手
2005年7月  同大学大学院農学研究科 助教授(博士(農学))
2007年4月  同大学大学院 准教授
2009年4月  同大学大学院農学研究科付属先端農学研究センター 准教授
2009年10月  京都大学大学院農学研究科 准教授 現在に至る

佐藤 春実

神戸大学

大学院 人間発達環境学研究科 教授

1996年:群馬大学大学院工学研究科博士後期課程修了博士(工学)学位取得
1996年4月-1997年9月:豊田工業大学大学院工学研究科 博士研究員
1999年4月-2012年9月:関西学院大学理学研究科(2002年より 理工学研究科) 博士研究員
2012年10月:神戸大学大学院人間発達環境学研究科 准教授
2018年4月から現職
専門:高分子化学、高分子振動分光学